奥田英朗 06


延長戦に入りました


2002/08/27

 Jリーグの記念すべき第一号ゴールを記録したのがマイヤーというオランダ人選手であり、しかも年内に帰国してしまったことを覚えている人が何人いるだろう?

 横浜高の松坂大輔の活躍に沸いた1998年の夏の甲子園だが、青森県大会二回戦でこんな試合があったことを覚えている人が何人いるだろう?


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深浦0000000

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 いきなり小ネタを並べてみたが、本作は作家デビュー前の奥田英朗さんが「モノ・マガジン」に連載していたスポーツエッセイを一冊にまとめたものである。これは危険だ。電車の中で読まない方がいい。僕は絶対変な奴だと思われたろうなあ。

 本作の面白さは、素人の視点で茶々を入れている点にある。例えば、レスリングのタイツはなぜ乳首を出すのか。ボブスレーの前から2番目の選手は何をする人なのか。名のあるスポーツライター諸氏とは一味も二味も違う、この着眼点には脱帽だ。

 基本的におちゃらけ路線ながら、それでいて鋭い分析もあったりする。日本人選手の海外での活躍を伝える報道に見え隠れする、日本人の国民性。マリナーズの勝敗よりも、イチローが何安打なのかが最優先される。サッカーだってそうだよな。今日の中田、今日の稲本、今日の小野、今日の俊輔。そりゃ気にはなるけどさ。

 部活という身近なテーマにはうんうんと頷く人が多いだろう。強豪校より弱小校に、私立校より公立校に共感を覚えるのが人情というもの。運動オンチだった僕は、腹を抱えて笑う一方で、汗まみれの青春という財産を持つ人を羨ましく思った。

 記憶に新しいワールドカップ狂想曲を、奥田さんはどのように分析したのだろう? これで税抜き850円は超お得ですぜ。続編求む。



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