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黒後家蜘蛛の会 2 |
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「黒後家蜘蛛の会」シリーズ第2弾。マニアックさが前作より増しており、主な掲載誌であった「エラリー・クイーンズ・ミステリー・マガジン」(以下、EQMMと略す)にボツにされた作品もある。それらは「マガジン・オブ・ファンタジー・アンド・サイエンス・フィクション」(以下、F&SFと略す)に掲載されて日の目を見ることになった。著作のジャンルが多岐にわたるアイザック・アシモフらしいエピソードである。
正直、薀蓄系ミステリと呼ぶには、ネタにした分野を深く掘り下げているとは言えない。短編の制約があるとはいえ、単なる知識のひけらかしになっている感がなきにしもあらず。それでも、これだけのネタをひねり出し、惜しげもなく短編に使うのは大したものだと思う。このシリーズは各編にあとがきがある。訳者あとがきではアシモフの照れ隠しだと指摘されているが、このやや尊大な言い方が天然のように思えるのは自分だけだろうか。いずれにせよ、このまめさに免じて読み続けよう。
以下、各編に簡単に触れておく。
この回のゲストは嫌味な奴だと思ったら、アシモフ自身がモデルだという…。
盲点を突いた数少ない本格らしい1編だが、日本にはない習慣だよなあ。
こちらも盲点を突いた1編。自分も集めていたことがあるので、気持ちはわかる。
ナンバーズのことではない。本作の一押し。現在でも紛らわしいのに変わりはない。
EQMMがボツにしたのも無理はないだろう…。
アシモフは嫌煙家の走りだったのか。その割にはよく観察している。
前作からこういうパターンの話が多いが、だからEQMMに断られたのかは不明。
この分野に弱いので、勉強になりましたとしか言いようがない。
専門的すぎる上に、日本語に訳すのは苦しいネタだな…。
数学の入試問題にでも使えそう。自分は好きだが、一般読者には…。
またしても日本語訳は苦しいネタだが、英語圏の読者でも何人がわかるのか。
シャーロック・ホームズは好きだが、BSIに入会するのはとても無理。
年月はEQMMまたはF&SFの掲載号を示す。