映画版 |
ホワイトアウト |
いきなり結論から言うと、前評判通り、いやそれ以上の傑作だ。原作を読んでいる人も読んでいない人も、映画館へ急ごう。
真冬を中心に敢行されたロケは過酷さを極めたらしい。織田裕二さんの弁によれば、酸欠にはなるし、凍傷にはなりかけるし、冗談じゃなく命懸けだったとか。その甲斐あって、洋画にも決して劣らない完成度である。どんなに優れた特撮映像も、実写の迫力にはかなわない。最近の邦画は侮れないな。
悔しいくらいに(?)織田さんはかっこいいし、見事な役者バカぶりだ。原作のイメージに思っていたより近い。体を張った演技は最近じゃ貴重である。雪と戦う富樫の息遣いは、大画面と優れた音響で味わいたい。松嶋菜々子さんは美人だね、やはり。
テロ組織「赤い月」の部隊長を演じた佐藤浩市さんがはまっている。原作の設定より若い気がするけど、大した問題じゃない。以前、NHKのドラマで連続殺人犯役を演じているのを見たことがあるが、佐藤さんは一流の悪役かもしれない。それにしても、ビジュアル系が多いテロ組織だな…。
富樫の同僚だった吉岡を石黒賢さんが演じているが、この顔合わせで思い出すのは、フジテレビのドラマ『振り返れば奴がいる』である。今回も織田さんに食われていたりして。
ラストシーンは原作よりも派手だが、映画としてはこの方はいいんじゃないかな。ぎりぎりでダムの爆破を防ぐところはご愛嬌だろう。織田さん扮する富樫がリモコンのタイマーを止めた時、残り時間は0.46秒を示していたが、これは「しろ→白→ホワイト」という洒落なのかな?だとしたら、なかなか心憎い演出である。
さりげなく(?)cdmaOneの宣伝をしていたが、時計好きの僕としては織田さんが着けていたIWCのGSTアクアタイマーについ注目してしまった。『踊る大捜査線』で着けていたハミルトンやウェンガーに比べるとかなり値が張るので、ブームにはならないだろうけど。
ちなみに、警察庁のお偉方と犯人グループの交渉が行われるシーンがあるが、『踊る大捜査線 THE MOVIE』といい本作といい、あんなサイバーな部屋はない、とは一緒に観に行った友人の弁である。