オーストラリア自転車旅行環境

 

    オーストラリアでは普通の自動車道路を走る。

自動車のなかなかやって来ない自動車道路を走っていると、次は何時来るのだと気になる。ついつい、時計で計る。五分に一度、十分に一度、十五分に一度。場所と状況によって違うので、意味のない行動だ。変なパニック。

  

夢のサイクリング環境

道幅は10メートル以上の舗装。道は一直線。どっこいオーストラリア大陸は平坦に出来ているわけでない。道は一直線の代りに、緩やかな上下は繰り返す。上っていってしばらくすると、くだりが来る。何もブレーキをかける事情がない。下りながら速度計を見ると35キロほど。スピードを出しすぎれば転倒すると野宿との思いだけが、少しブレーキをかける。夢のサイクリングコースだ。

 

一直線の道路の理由

 そんなイメージが定着したのはオーストラリアが牧場の国だからだ。数十キロ四方の牧場がところどころにあり、それを通り抜ける。牧場は数キロ四方を碁盤の目とし、10キロ以上の経線、緯度線に区切られる。町から町への主要自動車道路はこの中の一本が選ばれて、そこには自動車は走っているが、サイクリングのガイドブックが選ぶのは、それに平行して走る道路のうち、景観がドラマチックに変化して、決してサイクリストを飽きさせない。

 

人恋しい環境

自動車に会わないわけではない。牧場や農場の作業用自動車には会う。日本ではありえないことが起こる。自転車を漕いでいると、一本道のずーっと奥に自動車見え、徐々に時間をかけて近づいてくる。始めに自動車の姿が。次に人の姿が。そして、人の顔が。最後に否応無しに見つめ合う目。そうして、旧来の友達のように挨拶する。オーストラリア人が素朴で人が好いと思う。原因はこの人恋しい環境が人々を育てていると納得できる。

 

牧場を走ることでの悩み。

牧場の中の丘を20キロのスピードで走っていても、いつも、十匹ほどのハエがい追いかけてくる。不思議であって、驚異でもある。顔のまわりにぴたっと寄り添って一緒に飛んで出いる。あるいは空中に浮かんでいたのが集団で顔にぶつかってくる。このとき瞬間芸で目か鼻の穴に入り込もうとする。目にも鼻にも入ってくる。大きな呼吸をしながら走っているから、一匹が肺に収まった。肺の中に張り付いているのを感じる。こいつらも、生きるのに一生懸命だ。許してやるかと言う気分になるのは爽やかな風と風景のせいだ。

 

  小さな15センチ四方の地図で80キロも走る。

メルボルンに着くとこれからのサイクリング地図を求めに、サイクリング協会に行った。推薦できる地図は高いし重いから、図書館に行って必要なページをコピーして来いと助言してくれたが、言葉も文化も違う国でそんなことをするのは一仕事だ。

 

   それで東京で求めたA5の大きさのLonely planet cycling AUSTRARIAの中の、小さな地図を頼りに出かけた。大きな賭けではあったが、さすがLonely planet その地図で十分行けた。地図の中の補足に20行ほどのQue(手順)なるものがあって、一行ごとに何キロ行ったら、どちらの方向に行けとある。これと自転車の距離計と照らし合わせるとどんぴしゃ八十キロほどの目的地につける。

 

  それでも二度ほど、どこを走っているか皆目分からなくなった。腕時計に磁石をつけていたから、地図と磁石を睨みながら方向の見当をつけて自転車を走らせて、数時間後方向が分かったものの、その間、ひと気がなくて聞き様がなかったのはオーストラリアゆえではあった。

 

 

自転車旅行には、変化の激しい厳しい気候

時は11月。日本でいえば春。花咲き乱れる頃をおもった。なるほど晴れれば快適なのだが、降りたったったメルボルンではしとしとと梅雨のような日ばかり続いた。続いて、グランピア国立公園でも冷たい雨で二日ほどホテルで休んでいた。晴れれば快適。グレートオーシャンロードでは、時に雨と風、強い風だった。

一方、金鉱の町では、暑くてたまらぬサイクリングになった。暑さのため、頭がふらふらであって、水を飲むと五分くらいは正気だが、その後は元のふらふらに戻る。その日、メルボルンで37度、シドニーで42度とかと新聞にあった。世界中異常気象というわけであるが、オーストラリアの内陸の内熱が降りてきていると理解できた。

     

 

宿はモーテル

宿はモーテルに泊まった。黙っていても、着いた町の観光局は自転車で十分ほど離れた静かなところを、観光案内所は紹介した。

二十畳ほどの部屋に2ベッドで5000円から8000円くらい(自転車はいつも部屋に置いた)。申し分なく清潔、場合によっては日本人には豪奢。宿に着くと必ずミルクは?と聞かれる。部屋の案内が終わるとすぐにミルクが来る。部屋には必ずコーヒー沸かしがある。これも必ずクッキーが用意されている。宿に着くと必ず飲むのが習慣らしい。

 

 部屋に必ず置かれた設備は、エアコン、冷蔵庫、テレビ、扇風機、トースター、面白いのは電気毛布。(毎晩必ず電気毛布に電気を入れた必要性)。厨房、アイロンもよくある。レストランはないところが多く、夕食は外食。朝はトースターでパンを焼いて食べるか、朝のメニューを前日に頼めば部屋に届けられるシステム。

 

 

自転車は電車もバスもそのまま持ち込み可能

  バスでは座席の下に他の荷物と同様にハンドルを折り曲げれば自転車を載せてくれる。電車はそのまま持ち込める自転車用のスペースが用意されている。

  便利なものだがグレートオーシャンロードで山越えはバスでと調べたら、バスは一週間に一度ということ。公共の交通は場所によっては不便

 

参考;旅の概要

場所;オーストラリア・ビクトリア州(南緯36度前後)

ガイドブック;lonely planet cycling AUSTRALIA

コース1、The Grampian (easy-moderate 208km) の内100m

コース2 The Great Ocean Road(moderate 281km)の内280km

コース3 Central Gold and Spa country (easy-moderate 307km)の内150km

合計500キロ