自転車旅行は安全か

   今回は転倒事故は三度ほど起こした。スピードをある程度出しての転倒だから、とても危険だ。自転車も重い荷物のせいで操作し難くなる。

(1) 一度目の転倒  

   一度はモーゼル&ライン川サイクリングコースの最後の町ビンゲルの町に到着したとき。駅を探すため町のあり様を見定めようと、余所見して走っていたら、広場のような道の真ん中にあった白い鉄のポールに激突。余所見の上、道路も白っぽく、ポールも白かったから、見落とした。

   衝突して、頑丈なポールがスピードの出ている自転車のハンドルをがっちり捕捉。そのため体は自転車のスピードのまま、空中で一回転して前方に尻から落下。続けて体の後ろに下げていたデジカメも前方に落下。何を思ったか、落下して瞬間的にカメラを拾い電源を入れた。カメラはピーポーと警告音を発してレンズを二度ほど出し入れして電源が切れる。あっやっぱり壊れたか。そして"保証書は効かせられるかな"と頭を掠める。

   事故を目撃し、自転車旅行していたオランダの家族が怪我のようすを見たり、絆創膏を出してきたり、タオルを持ってきたり、面倒を見てくれた。そして次に行くべき駅の場所を聞きにいたりした。最後に、奥さんから駅というドイツ語(BAHNHOO)の発音練習を貰って一件落着。この間二人の子供が親の東洋人への親切をじっと見ていた。子供の誇らしげに嬉しげに見やる姿から、親は生きた模範を示したように思えた。

   体はふくらはぎが腫れて二週間は触ると痛かったが、自転車を漕ぐには支障が無かった。ホテルに帰ってデジカメに電源を入れると正常動作に戻っていて、ラッキー!!ポールが体に激突していたら、体が損傷していただろう。  

(2) 二度目の転倒

   二度目はドナウベルトにいたる一つの小さな町に入っていったとき起きた。村に入っていったとき、花で満艦飾の道筋の家に見とれ、これまた余所見をしていた。自転車が道路を少し外れて、歩道の路肩をかすめた。路肩に車輪を取られて、今度は前方斜めに頭から落下。瞬間、腕で頭をかばったが、顎を前方に出して落下したらしい。まず、顎に衝撃、続いてそれが顎関節に伝わり、その部分の骨が折れる予感。次に、この衝撃は頭蓋骨に移り、脳が圧縮されるような感覚が伝わった。

   拙い!!顎関節と頭の中が危ないと考えた。 しばらく動かないほうが良いと考えて一度座ってみた。しかし、頭の中に影響がある場合は寝ていた方が好いと考えた。今度は道路にそのまま寝込み三十分。その後様子を見るのに三十分座ったままで過ごした。

   例の満艦飾の花の家からはおばさんが五回ほど、おじさんが二回ほどタオルを持って、心配して現われる。大丈夫かと聞いてくれば、無理やりにでも少し微笑して大丈夫と言うしかない。 場所はロマンチック街道のサイクリングルートであったが、幸いにサイクリストは誰も通らなかった。サイクリストが通れば皆が皆様子を見に来て、その度に無理やり微笑を浮かべて大丈夫という演出をせざるを得なかっただろう。

   小さな町にちょっとした事件だった筈だ。その場で様子を見て一時間で出発。その日泊まれる町まで、兎に角、行かないといけなかった。耳の近くの顎関節がしばらく痛んだが半日ほどで痛みが無くなった。浅い擦り傷のほか、顎の下部二箇所紫色に硬くはれ上がった。擦り傷は4日目には瘡蓋がはがれた。顎の腫れは二週間を経ても腫れていた。唇が歯で大きく裂傷したが、硬いしこり唇に残っただけで、目立たなくなった。

   残念なのは前の歯が一本揺れて前歯が使えなくなった。食べられるものが少なくなった。帰って歯医者に揺れを止めてもらいに行ったら、抜いてブリッジにするしかないといわれた。これは悲しい損失。本当に抜いてブリッジにするのかと、今も迷っている。

   その日、ドナウベルトに着いたのだが、宿を紹介してくれた町の観光局の受付嬢の驚きは大きかった。サイクリストが多く訪れる観光局といえど、滅多に見かけない無残な姿の訪問者だった。改めてホテルでよく見たら、口元が血だらけ、顎が紫色にはれ上がり、服は泥だらけだった。   

   このように自転車事故は、新しい町に入ってきたときに、状況把握のため余所見運転をして、事故を起こしがちであるとの教訓を得た。