「知識人」はすげ替える

2005年9月の衆議院総選挙で、自民党は恐ろしい数の議席を獲得しました。

小泉首相は党首としての公約を果たせなかったから解散、民意を問うという実に当然な民主主義の基本のタテマエを使って、党内の反対派を黙らせました。実際、今までがナアナアすぎたので、この解散は評価します。多数決で決めた党首が党内選挙時にあげた公約を守ることは独裁でもなんでもない。それをヒトラー的独裁だとかいう印象操作をする政治家たちこそが、国民に見えないところで発言権と役得をわが物にしようとする陰険な危険人物またはただの愚か者たちだといえましょう。まあ、公約外になにかこそこそやるつもりかもしれませんが、それはそれであげつらうべきで、選挙で決めたことに逆らうならば出てゆくべきでしょう。まずその公約に勝てなかった反対派の自分の力不足を恥じるべきです。

そしてマスコミ。彼らはとにかく反自民であればいいらしい。選挙翌日の日経新聞の「識者に聞く」という記事は、それを見事に裏付けています。まさに負け惜しみ感一杯の、しかも誰それ?といった感じの方々の意見が載っていました。

最初の精神病理学の先生のコメントは、「大多数の有権者は思考停止しているので小泉を選んだ」。すごい!国民を総白痴状態よばわりです。今回の肝は、小泉が解散するということで民意を問うという民主主義の基本を守ったことに、政治に失望していた有権者が戻ってきたということなのだと思うのですが。そして、揚げ足取りしかできない、魅力のない、現実感のない、意思の弱そうな野党に有権者が不安を感じ、さらに、追いだされる形になった自民党内の官僚癒着派への反感と、それを助長するかのような亀井静香氏の映像的にも言葉的にも下品な態度が自民主流への応援という形にあらわれたということだと思うのですが。これは亀井氏に対抗して出馬した、やはり少し下品なイメージのあった堀江氏が健闘したことでもよく分かると思います。今回、大多数の国民は怠惰で浪費家の官僚への反感を持って選挙におよんだということなのでしょう。

つぎの放送作家の人のコメントは、自民党が無知な有権者を宣伝でだまして勝った(自分以外の有権者は判断力のない白痴だそうです)、過半数を占めた翼賛政治が始まったら小泉のせい、みたいなことが書いてあったのですが、オイオイ!ちがうでしょう!今回自民党が圧倒的過半数以上の議席を獲って翼賛政治の危険を惹起した犯人は、実力と魅力のなさすぎる野党自身なのです。それを国民の程度の低さにすげ替えて誤魔化そうと操作する「識者」は実は危険な潜在的ファシストの発想をしているというべきです。国民は無知なので黙らせて知識のある自分が導いてやろうなんて思ってるわけですから。戦前にそういう思想を持っていたのは自称エリート軍人たちでした。

今回の選挙の最大の問題は、自民以外にまともな選択肢がなかったことなのです。これは能無しな野党の責任です。しかも非常に重い責任です。マスコミや知識人に危機感があるならもっとこのことをあげつらうべきです。前述の潜在的ファシスト思想なんかして「世の中が悪い」とかオナニーしてる場合じゃありません。オナニーしてるうちにほんとに国が滅んじゃいますよ。文句があるなら野党に入って野党直しをするほうがはるかに健全ですよ。それを支持するかどうかは国民の責任ですが。

民主党は、もっと柔軟に考えて、べつに基本的政見が自民と被ってもいいくらいに構えて、国民の嗜好を読んで、ちょっとだけ自民との違いをしかも強烈に出すということをすべきだった。今うまくいってるものまで変える必要はないのです。それを、日頃の国会も単細胞にだらだ反自民というだけで暮らしていたし、民主党の考える日本の暮らしという一本通った芯がないのが国民にも見透かされたわけでしょう。キャラクターも出自が「自民にいても天下とれないから新党作ってお山の大将」みたいな発想しか感じられないひとたちばかり。中見なさそうなのを見抜かれたわけで。そして、党首はトレードマークが「笑わない男」。ロベスピエールを連想させます。イメージ戦略ですでに敗北しています。社民に至っては、そんなのわざわざ議席とらんでも主婦連の陳情で済むじゃんという程度の幼稚な政見。ほんとに反省するべきですよ。もっと経営的見地にたってものをいうべきで、そのためのコンサルタントくらい金払ってやとったらいかがですか?

ほんとに、野党にはもっとしっかりしていただきたいです。日本について現実的な、経営的視点にたった政見をもってほしいです。ほんで、人気取りだけで政治家になるのはやめてほんと。人気取りだけで政治家になったのにロクなのいないでしょ?近衛とか。

もどる 表紙へ