KV-1や、T-26の砲塔のハッチに装備された対空機銃架「П-40(P-40)」の構造を、ラフスケッチで解説してみます。
主な部品は図で、赤と緑と水色と黄色とオレンジ(赤に見えてる・・・)で示した4つからなりますが、更に細かく分けると11点ほどになります。
図中の部品番号を解説すると、
  1. 機銃が乗っかるフレーム
  2. 機銃が乗っかるフレームの支え
  3. 俯仰する機銃架本体
  4. 機銃架を俯仰させるピニオンギア
  5. 機銃架の角度を固定する穴あき円盤
  6. 俯仰ハンドル
  7. 俯仰ハンドルロック握りのバネ
  8. 俯仰ハンドルロック握り
  9. 台座
  10. 台座固定レバー
  11. 砲塔ハッチ側の固定レール

赤色のグループは一体で、可動部分はありません。
5)の穴開き円盤も固定です。
緑色の俯仰ハンドルグループは、4)と6)が固定で、8)は、5)の穴開き円盤の外周部の穴にハマっているのですが、6)を握ることで穴から開放され、俯仰ハンドルが自由に回転できるようになります。
俯仰ハンドルグループの4)ピニオンは、水色の台座の扇形歯車と噛み合っていて、俯仰ハンドルを回転させるとで機銃架が俯仰するわけです。
俯仰ハンドルから手を離すと、8)がフリーになって穴あき円盤の外周の穴のどれかにたどり着いたときに、そこにハマって、機銃架の角度が決定されるわけです。
機銃はカルダン架に固定されていて、カルダン架の脚が1)に刺さる格好で機銃架本体とは独立して上下左右に自由に振り回すことができます。
後世のソ連戦車の砲塔についた機銃のような、俯仰ハンドルで狙いを定めるわけではなく、振り回しやすい位置に機銃架を調整するだけの機構なのです。
この機銃架は、比較的楽にワンタッチで砲塔から取り外しができるようになっています。
11)の砲塔ハッチ側の固定レール(よく目にする、KVの砲弾搭載シーンの写真に写ってますね。)の後ろから差し込んで、10)の黄色のレバー、これは回転軸が多分半円に加工されていて、11)のさきっぽの回り込み部分に半円が下に来る位置で差し込まれたあと、レバーを手前に引くことで半円が回転して回り込み部分に食い込んで固定されるのでしょう。
取り外ししやすいだけに、現存車には残っていませんな・・・