内部告発裁判に勝ちました
内部告発で退職金減額は不当 東京高裁で賠償命令

厚生労働省の独立行政法人、労働政策研究・研修機構を相手に、内部告発を理由に退職金を減らされたことは不当として損害賠償を求めた裁判の判決が3月23日東京高裁でありました。
1.退職金の減額は裁量を逸脱し違法無効なので払え
2.内部告発に対する不法ないやがらせであるとした慰謝料の請求は棄却
 という内容でした。勝訴です。

 事件は、週刊朝日2001年12月21日号、28日号に載った「お気楽特殊法人あきれた実態」という、内部告発記事が発端です。私はその直前の11月に年内で退職する旨辞表を出して受理され、引継ぎも終え、有給休暇をとっていました。機構側は「事情を聞きたい」と出頭命令を出し、「出頭しなければ退職を認めない場合もある」と脅した上、結局退職金を減らしたものです。

女性一人で本人訴訟、相手は弁護士3人
 私は東京簡易裁判所に2003年9月に調停を申し立てましたが、機構側が応じませんでした。そこで、東京地裁に11月23日に提訴しました。被告の労働政策研究・研修機構側は@原告のパソコンを調べたところ、私的な使用があったA原告の部署のファックスから週刊誌編集部への送信暦があるB出頭命令に応じなかったと主張、一審はそのうち@はあったとしても軽く、Aは証拠がないとして、Bの理由だけを認めた上、減額を容認しました。
途中、150万円の勝訴的和解勧告が出ながら、2004年9月13日の判決で敗訴、控訴したものです。

 9月22日に控訴、2回の口頭弁論を経て、判決では原審判決踏襲の上、Bについても労働者に調査協力義務はないとして、減額分の支払いを命じました。理由は私の業務には、調査協力は含まれていないことと、告発された記事の事実関係の確認は内部調査のみで足りるはずで、休暇中及び退職後の職員への出頭要請は不合理として、一審判決を変更、減額分の支払いを命じました。

 ただ、本件が内部告発への報復という不当性には触れられず、その結果慰謝料が認められなかったのも残念です。でも、一応勝訴で大喜びしました。


 私は弁護士費用もなく、女性一人で本人訴訟。弁護士にときどき相談に行きましたが、自分で勉強して本人訴訟で臨みました。機構側は、理事、総務部長、総務課長が総がかりのうえ、弁護士3名をつけてきました。私は法律論で苦戦を余儀なくされ、辛い思いをしました。その弁護士費用は税金と雇用保険なのです。
 労働者の権利を守るのが仕事のはずの厚労省の研究機関でこのような事件がおきたことは、法人の存在意義に大きな疑問を投げかけるものでした。自浄と改革を望みます。



一審判決要旨は「労働判例」822号の50ページ「労働政策研究・研修機構事件」に出ています。これは大きな図書館に入っている判例雑誌です。

なお、内部告発の内容は、先週に国会でもとりあげられました。厚労省は言い訳の末、謝っていました。
審議の模様は以下で。参議院インターネット審議中継 3月18日と23日参議院総務委員会 民主党 桜井充議員質問です。
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/library/index.php

 拙著『ホージンノススメ』は、「内部告発をしたことを告白するなど、原告の不利益事実の自認」として被告の労働政策研究・研修機構側から証拠提出されました。普段は「あの本はウチのことではない」「誇張・歪曲がある」と否定しているのに……。ただし、本は登場人物のプライバシー保護のため、設定を多少変えています。

 独立行政法人というといいイメージですが、不正を告発されても一向に改めず、告発者いじめをする点は、特殊法人時代と変わりません。これからは外からの取材で悪を追求していきます。