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ストーリー

1200年 中世のイタリアの都市アシシ。富裕な商人の一人息子として生まれ
18才になったフランチェスコは盛大な武装を整えてもらい 隣国との戦争におもむくが 凄惨な戦いに敗れ、熱病におかされ
帰ってくると何週間もベットに横たわり 生死の境をさまよった。


ある朝、窓辺の小鳥の声に目覚め
無心に手をさしのべながら近づき、屋根の上に出た彼は、
小鳥のあとについて手をはばたかせる。
まるで大空へ飛びたつかのように・・・
その向こうには、野や山が開けていた。




ある日、 果樹園で休んでいた彼に、
美しい娘クレアが近づいて来た。
「あなたは気が変と言う噂よ。小鳥のように歌い、
蝶を追い、花を見てるから。
でも私には、狂っていたのは戦争に行く前だと思えるわ」
彼女は優しいまなざしで、語りかけた。



彼は自然のなかで、生きるものの素晴らしさを悟った。
そして次第に 彼の目には自分のまわりの人間を見つめ出す。
働く者、老いた者、病に苦しむ者・・・・。
教会のなかには、富める人々が、外には貧しいながら懸命に祈る者たちがいた。
このあまりに大きなへだたりを神はゆるすのだろうか。
NO!」思わず叫ばずにはいられなかった。
     

 家に帰ったフランチェスコは、店にある高価な布を窓から通りに投げ出した。
 激怒した父親は彼をひきずり、司祭に裁きをこうた。
 街の人々の前で、彼は、「私は生きたいのです。」
 そして、着ている服を脱ぎ、両親に返した。
 「もうあなたの息子ではない。人間に大切なのは富ではなく心です。
  これからキリストのように乞食になります。」
 真裸になり 城門をでた彼は太陽に腕をひろげながら
 野に向かった。
   

雪がやってきた。真っ白におおわれた野に1人、彼はサン・ダミアノ教会の再建をめざしていた。
十字軍の英雄として帰ってきたベルナルドは、その姿に強く打たれ、そこにとどまって石を積み上げはじめた。
また 昔の親友たちも次々と加わっていった。


 このままだと若者達がみな、
 サン・ダミアノへ行ってしまうのを
 おそれた領事や町の議会は、彼らに喜拾を
 ほどこすことを禁じた。
 やがてパンを恵むのはクレアひとりになった。
 その彼女もフランチェスコのもとへ行き、
 美しい滝の前で
 髪を切ってもらうのだった。  

  
 


貧しいが素朴な人々が 完成したサン・ダミアノ教会に集まるようになった。
だが 司教の兵隊に教会が焼かれ、仲間の一人が殺されるにおよんで
彼は自ら問うのだった。
私のしたことは、間違いだったのか。
その答えを求めるべく、仲間たちとローマへ旅立った。

      

泥まみれの粗服に裸足で法王庁の前にあらわれた彼たちを、
法王にとりついだのは、司教の下で彼らに最後まで反対していたパオロだった。
法王への絶対の服従が条件なのだが、フランチェスコの口から出たのは、
野のユリの美しさであり
わずかな水と実で生きる小鳥の幸福についてである。
彼の清貧さに恥じ入った法王は、真実を説く事を許し、彼の足にひざまずいて
くちづけをした。

アシシに帰ったフランチェスコは、朝日に輝きはじめる野や山に向かって
両手をひろげながら歩みよった。
光のなかで鳥のようにやすらかで幸せでだった。

       

解説
13世紀のイタリアを舞台に、実在した有名な聖フランチェスコの青春時代を
宗教映画として描くのではなく“自然のなかに愛や自由や平和を見 本当に人間らしく生きたい”
という精神的なめざめを、豊かな映像で普遍化。
現代に生きるすべての人々に、生きることのすばらしさ、愛の尊さを訴えた作品。

ジュディ・ボウカー
ファッション雑誌にのっていた写真をひと目見て、その内部から輝くような美しさにうたれた
ゼフィレッリ監督は、すぐに彼女に面接した。
だが より幅広い可能性を求めて2年間、公募を行い、1000人以上の応募者の中から
再び選び出されたのが当時16歳だったジュディであった。
1954年4月6日、イギリス生まれ