THE DOVE

スループと呼ばれる1本マストのヨット、“ダブ号”にたった1人、
自由を求め、己の限界を試す為に、世界の海に挑戦したロビン。
これは海を愛し、試練を克服し、航海の中途で芽生えた愛をも貫き通した
若き冒険野郎の実話映画化である。



スタッフ




キャスト


ストーリー

17歳の高校生ロビンは、両親の許可を得て、カリフォルニアのサン・ペドロ港を出航した。
7メートルのヨット“ダブ”で世界一周しようと。同乗したのは波止場でもらった子猫、ジョリエットだけである。
 舟足は快調だった。ハワイからサモアを回り一路フィジー島へ。
むろん孤独に襲われないわけではなかったが、ラジオが自分の壮挙を放送しているのを聞き、励まさせた。
 フィジー島で人やすみする間に、彼はダンスに行こうとしていたパティという娘を見かけた。
大学をほったらかしにして世界をヒッチハイクしているアメリカの女子学生。
しかしロビンは猫とヨットにすわり、陽気なダンス・パーティをただ眺めているだけだった。
 悲劇が起こった。ロビンが買い物に出た間に、猫がトラックにひき殺させたのだ。
悲しみを忘れる為に彼はバーで酒を飲み、翌朝、ひどい二日酔いになって目を覚ますと、猫の死を知ったパティが、
慰めに来てくれた。うれしくなってロビンがデイトを申し込んだが、パティは首を横に振った。
19才の彼女にとって、17歳の彼では若すぎるというのだ。それに次の日、ロートカへ旅行することになっていた。
 衝動的に、ロビンは“ダブ”をローカトへまわし、彼女のホテルを訪ね、ヤサワス諸島へ誘った。
パティは馬鹿げてると笑ったが、馬鹿げた事をするのは、彼女には、たまらなく魅力であるらしかった。
 自由で何の気兼ねもいらないヤサワスで、若い2人は意気投合した。ロビンは、国を出てから初めて、孤独を忘れた。
そんなある日、ロビンに父から電報が届いた。ガダルカナルで、ワールド・トラベル誌の編集者に会ってみないかと。
 ひとまずフィジーに戻った彼に、彼女はニュージーランドに行くから、
そこのヨットクラブへ手紙を出せばいいと教え、
アバンガという猫を送った。
 ガダルカナルであった編集者は、航海記をカバーストーリーにしたいので できるだけ多くの写真をとってくれと、
航海の費用をほとんど出してくれるというので ロビンは引き受けることにした。

台風をやり過ごしてから オーストラリアに向かった。すでにニュージーランドをあとにしていたパティに会う為に。
しかしダーウィンについたときには彼女の姿はなく、旅行雑誌の別の男に 奥地に連れて行かれ原住民たちと写真を撮られた。
 ダーウィンに戻ると パティが待っていて ロビンを大喜びさせた。一緒に一夜を過ごした後 ロビンは決心した。
二度とパティと別れることはできない。することがなかったから航海に情熱をもやしたが、パティと知り合った今では、
事情が違っていた。ロビンは、旅行記を断り、建設現場で仕事を見つけパティとヨットで暮らすようになった。
 父親がダーウィンに来た。
ロビンが航海を放棄して年上の女と同棲していると聞いたからだ。
しかしパティに会ってみると、悪い娘ではなかった。気に入りさえした。そんな心はすぐにパティにも伝わる。
彼女の気持ちが変わり、ロビンに航海を続けさせようと もし世界一周をやりとげたら、今度は2人で航海しようと・・
その言葉で ロビンは再びヨットを海にだした。

インド洋を航海中、猫のアバンガに海図を引き裂かれ、怒った彼から逃げようとした猫は、
 海に落ち、サメに食べられてしまう。その憎いサメに銃弾をあびせた。
マダガスカルへ向かう海で、大シケに遭い、ヨットを壊され、海中に放り出され、何とかヨットにしがみついたももの、
 彼は生まれて初めて、神に助けを祈った。

遭難の話を聞いても パティはロビンが死ぬなどとは思えなかった。
ロレンソウ・マークへ駆けつけ 毎日、海を見つづけた。
ある朝、ホテルのバルコニーにいた彼女の目に “ダブ”が・・急いで浜辺へ、海を泳ぎロビンにヨットへ引き上げってもらい、
2人で大笑いし 泣き合った。そしてヨットの修理中に ひと気のない海岸で、結婚式の真似事をした。
パティの指にはめられた指輪は、ロビンのボーイスカウトのリングだった。

またも試練が襲った。大なぎだった。来る日も来る日も、波も風も無い9日間は、ロビンにとって地獄の責苦だった。
こんなヨットがあるからだ!と叫び半狂乱になって船室にガソリンをまき火を放った。
ゴムボートに乗り移ろうとした時理性が蘇り、消化器で火を消し止めて後 ロビンは頭を抱えうずくまった。
 パティが 父親からの手紙を持って見舞いにきた。
手紙には あの頑固に航海を続けるように主張していた父親でさえ ヨットを売ってその金でパティと結婚しハネムーンを
楽しむようにと書いてあった。ガラパゴスの教会で結婚式を済ませたが、ロビンは迷っていた。
エクアドルで落ち合うことにして パティを飛行機で先に発たせ、ひとり島に残ったロビンは航海の再開を決断。
パティに 予定変更の電報を打ちヨットをロサンゼルスに向けた。

こうして ロビンは遂に初志を貫いたのだった。
もしパティの愛情がなかったら こうはいかなかったろう。
ロサンゼルスのヨットハーバーでは、ダブ号の栄光を祝う人々がつめかけていた。
その中に、ひときわ高い歓声をあげているのは誰かいうまでもない。