The first-aid kit for trumpeters(ラッパ吹きの救急箱)

なにやら何処ぞの薬のCMみたいなネーミングですけど(笑)、こちらは、アマチュアのトランペット奏者(特に中高生)に対し、トランペットを演奏する上での悩み事、いわゆる「壁」にぶち当たった時に、家庭にある救急箱のように応急処置的な役割として少しでもお役に立てればとの思いで立ち上げてみました。今までの自分の経験やレッスン生の状況をふまえ書いてみました。あくまで救急箱ですので、本当は専門医(職業音楽家)に診てもらう(レッスンしてもらう)事をお奨めします。また、次に該当しないものや、さらに踏み込んだ質問などは、メールにて対応いたしますので、遠慮なくどーぞ。普段吹奏楽などを指導されている先生からのご質問も歓迎します。(返事が遅くなることもありますが、ご容赦ください)

1,高い音がどうしても出にくいのですが。
2,何かが詰まったような音になるのですが。音を出すときにとても苦しいのですが。
3,吹奏楽でポップスを演奏するのですが、どう吹いたらいいか解りません。
4,ピアノ(P)が出せないのですが。
5,トランペットを買いたいのですが、選び方が解りません。

1,高い音がどうしても出にくいのですが。
トランペットを吹いていると、殆どの人が必ず当たる壁が「ハイ・トーン」ですよね。自分も高校の頃は、本当に悩みました。今でも悩んでるんですけど(笑)。えー、ハイトーンが出にくい原因として考えられるのがいくつかあります。まずはエアーが足りないということです。多くの方はこの項目に当てはまるのではないかと思われます。高い音を吹くときに、構えすぎてはいませんか?最初のうちは外しても、出来うる限りリラックスした状態を心がけましょう。構えすぎると、全体的に力が入りすぎているので、思ったように息が吸えません。息が吸えない=ハイトーンを吹くために必要なエアーが体内に入っていないということになります。また、別な理由として、高い音に対して「きつい」という先入観を持っているために出ないことがあります。確かにハイトーンを出すときには、それなりの圧が必要になります。頑張らなきゃという気持ちが、楽に出すことが出来る音域のところから既に頑張っちゃって、肝心の音に来たときにはもうこれ以上頑張れないというように、明らかに自滅してる場合あったりします。この場合には、考え方をちょっと変えるだけでハイトーンが出ちゃったりします。「上はきついから頑張らなきゃ」という発想ではなく、「きついところを吹くために、楽に出せる音域を広げておこう」という発想にしてみてはいかがでしょう。いずれにしても、唇が慣れるまでは、少しずつ、焦らずに真ん中あたりの音域からスラーで音階練習をしていきましょう。

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2,何かが詰まったような音になるのですが。音を出すときにとても苦しいのですが。
これもよくあるパターンですね。多くの場合は、エアーと唇の関係が上手くいっていない事が多いです。唇を無理矢理振動させて、とにかく音が鳴るよう頑張っちゃってませんか?こういった症状の方は、息を出すときに苦しい感じがする場合が多く、唇の所などで無理矢理抵抗を作り、それを頑張って乗り越えようとするが為に結果として「むー」とか「めー」とかいう音になります。喉を詰まらせるようにして発音したとき、声帯(?)に無理な負担がかかっているためいい声がしないのと同じように、唇にも無理な負担がかかるといい音がしません。アイスコーヒーなどを飲むときに使用するストロー(細めのものをご用意ください。太めのはあまり効果ないですよ。)を軽く口にくわえ、ストローの中に息を流してみてください。きっと抵抗無く息が流れると思います。ストローに流した感覚をそのまま楽器にも置き換えてみましょう。無理に音を出そうとせずに、息が抵抗無く楽器に入っていくように。そして、ストローをくわえたあたりから息が出ていく感覚を忘れずに。トランペットなどは、「吹き鳴らす」という感覚があると思いますけど、常時そんなに苦しい思いして鳴らす楽器ではありません。「鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス」ではなく、「鳴かぬなら 鳴くまでまとう ホトトギス」でいきましょう。スムーズに息が入るのに、胸が締め付けられる感覚が消えず大変な方は、本当のお医者さんに診てもらうことをお奨めします。

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3,吹奏楽でポップスを演奏するのですが、どう吹いたらいいか解りません。
これの手っ取り早い解決法は、「とにかく聴く」。吹奏楽版の演奏を聴くのもいいですが、本物(原曲)を聴いてみることをお奨めします。単に聴くのではなく、どういったニュアンスで吹いているのか、しっかり何度でも聴いてみましょう。そして、真似をしてみる。言葉の発音を覚えるときは、聴いたことを口に出して言ってみますよね。でないと、頭で理解していた事が口でどう発音することにより相手に伝わるか、体で覚えていく事をしなければそのための筋肉の働かし方が出来ません。同様に、聴いたことを自分なりに発音してみて、それを楽器で同じように「発音」してみましょう。最初は誰でも出来ないものです。怖がらず、やってみましょう。自分が真似してみたものを録音して聴き比べてみると、より早く問題点に気づくでしょう。

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4, ピアノ(P)が出せないのですが。
こういう方は、前出2の項目で書いた事と同様に、エアーと唇の関係が上手くいっていない事が多いです。ただ、こちらの症状は、音だし(ウォームアップ)の方法にも問題がある事が多いです。即ち、常に吹きやすい音量で演奏していたり、無理矢理音を出そうとして、大きな音を常に吹いていたりという方がこのような現象になったりします。まずは、タンギングをしないでPをだすようにしてみましょう。きっと最初は出ないと思うんですが、そういうときは、ちょっとだけ息の圧を高めるようにしましょう。ともかく、ちょっと息を吹き込んだだけで唇が反応するようになるまで、音出しを繰り返してみてください。

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5, トランペットを買いたいのですが、選び方が解りません。
楽器屋さんに行くと、色々なメーカーの楽器が置いてありますよね。確かに、最初はどの楽器を買っていいものやら解らないと思います。自分はシルキーというメーカーを使用してますが、メーカーのまわし者ではありませんので(笑)、どのメーカーがいいとは言いません。
楽器を購入に行くときは、現在使っている楽器とマウスピースを持参しましょう。最悪でも必ずマウスピースを持って行きましょう。オブジェを買いに行くのではないので、きちんと試奏できるよう準備していくのが賢明です。
試奏して選ぶ際のポイントをいくつか紹介しておきます。
まずは、吹き易さ。これは実際に試奏してみてチェックをします。音を出すときにスムーズに出るかどうか、音が鳴る手応えが感じられるかどうか、色々な音域に対して試してみましょう。また、吹いてみてきつくないか(言い換えれば、自分にとって息が入りすぎたり、逆に息を送り込むのが辛かったりしないか)も選定のポイントといえます。
次に、音色。試奏したときに、好みの音色であるかどうか。自分で聴いてみるのもいいですが、もしお友達とかが一緒に行ってもらえるならば、友達の意見も聞いてみましょう。
あとは、予算。高い楽器=自分にあった楽器とは限りません。自分の予算内でもいい楽器にはきっと巡り会えると思います。ですので、予算に応じた楽器をいくつか選んでみて試奏しましょう。解らなければ、店員さんに相談してみるといいと思います。
おおざっぱなところでは、このようなポイントに気をつければ、本当に自分に合わない楽器を買うことにはならないと思います。しかしながら、楽器購入にはもう一つ、大切なポイントがあります。それは、選定できるだけの在庫を持っていて、きちんと試奏させてくれる楽器店に行くことです。
同じモデルの楽器でも、1本1本すべて違う楽器だと考えてください。製作するときのベルの叩き方、ロウ付け作業時のちょっとした違いなどなど、微妙な差があります。ですので、いくつか購入候補モデルを絞れたら、同じモデルで複数台試奏させてくれる楽器屋が望ましいでしょう。全く試奏させてくれない楽器店では、管楽器を買わない方が賢明です。これはマウスピース購入時も同様、試奏させない所では買わない方がいいでしょう。
最後に、楽器店には「プロ選定品」なるものが展示販売されている場合があります。これを購入するのも一つの手ではあると思いますが、「プロ選定品」という肩書きに惑わされないほうがいいと思います。「選定品ですので」と、値引率が悪い事がある上に、中にはちょろっと吹いて「ま、いいんじゃない」ということで選定品となる場合もあるとかないとか。

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