2007//15 宝剣岳中央ルンゼ右壁ルートV級A1

 

宝剣岳全景

1P取り付き

トンネルホール

右壁ルート全景

宝剣岳山頂AM1000→下降点チェック→中央ルンゼ右壁ルート取付点発PM1240→終了点PM1610→千畳敷着PM1700

 

 

中央アルプスの主峰、木曽駒が岳に連なる宝剣岳は、氷河期以来の雄姿を誇り、東には千畳敷カールを抱かえ、高山特有の植物、コバイケイ草・車ゆりなどが生息する。太古の昔より残された雄大な自然に囲まれたここ千畳敷から中御所谷、西横川などの素晴らしい沢・滝が、駒ヶ根高原に向かってその美しい水の流れを落としている。今夏はその中央アルプスの宝剣岳東面の壁に3度も取り付く機会を得た。メンバーは今回もTSCCのMさんと行くことができた。心強い仲間である。ところが、である。朝に弱い僕は又しても寝坊をしてしまった。平謝りの末1時間遅れで出発をする。8時の中央アルプスの高原バスに乗り込み9時に、やっと2612mの千畳敷に到着をした。ホテルにいた指導員に聞くところ、中央稜は登攀に来る者もあるが中央ルンゼ右壁ルートはここ何年も来たパーティーは居ないと言うことだ。リングは錆びていて使えないかもしれなので注意しなくてはいけないとアドバイスをくれた。すぐに千畳敷カールを歩き出し宝剣岳山頂に向かうことにした。山頂に着いて下降の仕方の相談となった。中央ルンゼから降りて取り付こうと持ちかけたが、中央ルンゼの右壁をダイレクトに降りてピンやリングをチェックしたいと言うことで中央稜を1ピッチ下る。早速下降を開始したが、最初の下降は中央ルンゼにより過ぎて失敗。二度目の下降は左フランケの最終ピッチに降りてこれも失敗した。三度目はMさんの下降で行い、ドンピシャリ。ただ、時間もかなり経過していたので今回は下見で終わり、登攀は今度の機会になるだろうと勝手に思っていたら取り付き点に着いたから下りて来いと声が掛かる。下降点から取り付き点まではザイルの長さで45mくらい。この間を3ピッチに切っている様だ。リングボルトもハーケンも錆びてはいたが十分に使えそう。登山体系によれば3ピッチ90mとの記載だったが、此れはどうやら45mくらいの長さ。洞窟の奥は暗くてよく見えなかったがこんなに間直に見ることの出来る位置に来られた事に少し感激をする。少し一息入れてザイルを抜こうとしたが今度はザイルが抜けない。どうやらザイルを長く出しすぎたせいと、上部の岩でザイルが重なったからと思うが、時間も12時30分を廻りこのままでは帰りのロープウェイに乗れなくなってしまう。仕方がないのでプルージックでザイルを確保して人工で登ろうということになった。

1P目 終始アブミの掛け替えの繰り返しだが、2つ目のピンが遠い。最初のうちは慣れない所為か力任せに登り、すぐに疲れがたまる。途中でアブミがハーケンごと抜けてしまう。幸い、リングやハーケンは多く打たれてあるのでリードで登っていても墜落距離は数mくらいで済んだと思うが慎重さが要求されるところだ。

2P目 4人は立てるかと思うほどのテラスがあり、時間があればここで昼食をゆっくり食べたかった。アブミにもやっと慣れてきたところで実質2ピッチの長さで終了点に着いてしまったがアブミを使って登る楽しいルートだった。今度来るときは、中央ルンゼから下降をするか、テラスまでを1本のザイルで下りて、トンネルホールまでをもう一回下降する方法で下りるほうが良さそうだ。

                                    記録:志水龍雄

以上