7月7日

<メンバー>:西山・小川・横田・志水

<タイム> :AM5:50駐車場発〜AM8:10X級の滝〜AM9:20階段状の滝〜PM12:00幅広バンドの滝〜PM12:30登山道

 

 

今回、念願の幸ノ川遡行をすることに決まった。行きたい!と1年間程思い続けてやっと適った計画だが、日が近づくにつれて不安が出てくる。そう言えば2週間前、僕たちがに萩原沢岳を登っている日にTSCCの鳥居さんは幸ノ川を遡行していた。後日になって話しを聞いたところ、30mのスラブの滝は雪の下になっていて、雪渓歩きが大半だったとの事。それでは参考にならないと思いながらも今回もそうだったら遡行の楽しみが半減してしまう。今年は特に雪が多いのかもしれない、困ったものだ。少し実施日を遅らせたらどうか、いや、そんな事を言っていると今年も幸ノ川をやれずに終わってしまうかも知れない、等と訳の解らない考えている内に7月6日の夜がやってきた。

テント場は、親和木曽駒高原スキー場の奥の、幸ノ川にかかる”幸ノ川橋”の隣にある小さな広場で張った。台風が近づいている事もあって天気の具合が心配だったが、幸いな事に星が見えている。満天の星空と言うほどでは無かったが天の川も見えていた。明日の心配をしてみても仕方が無い。うまい煙草を2本も吸って、皆で少しくつろぐ。後は沢の音を子守り歌にして就寝した。

7日、福島Bコースの登山道と幸ノ川と交わるポイントまで車を進める。車を5〜6台は止められるスペースが充分あり、スキー場から歩くことを考えると相当な時間短縮になった。今日は晴れてはいないが雨にはならなかった。ただ麦草岳上部はガスに覆われている。途中から雨になるかもしれない。そんな事を考えながらAM5:50分、早速、沢に下りて遡行開始をする。堰堤を越えて小滝を3本進むと15mの滝が出てきた。志水・小川が右岸スラブ状をフリーで登る。その後8mの滝、6m二条の滝などあわせて5本の滝を登って行くと二俣に出合う。右手方向に進んだところで13mの釜を持つ滝が現れた。”X級の滝” に着た事を小川さんに教えられる。左岸よりフリーで登ろうとしたところ取付きの上部の滑りに足を滑らしバランスを崩して釜に落下。「舐めているぞ」と滝に跳ね返されてしまった。釜の水で頭を冷やしてカッパの上着を着ると、2度目はザイルをセットし、リードで再登攀。適度な緊張もあって難なくクリアーしたが、小川さんが容易なルートを見つけて自分の勉強不足を反省する。この上に、古い記録には30mのスラブの滝が出てくるが、見たところ2本程度の舐め滝と10mの滝で、これも難なく通過する。いよいよ雪渓が出てきた。暫く雪渓の淵を進み、雪のトンネルを潜ると階段状の滝に出合った。小川さんトップで上がり”U級の滝”と伝える。何本かの小滝を越えて、堰堤状の滝を登り、薄い雪のトンネルをバイルで崩して進むと目の前にバンドを持った滝に着く。小川さんがトップで左岸から右岸へバンドをつたい真ん中を登っていると雪渓が音を立てて崩れた。何処か近くに雷でも落ちたのかと思うほどの音で、余りの大きな音に、ビックリして振り返ると間もなく2度目の落雪があった。このころから沢はガスに包まれ小雨が降り出してくる。もう2200m辺りまで遡行してきた。少し右手がはれてきて力が入らなくなったのを感じる。最後の”W級の滝”に出合い、直登したい気持ちもあったが無理は避け、右岸から巻いて登る。PM12:30福島Bコース登山道上に出て終了。滝を登り、振り返れば又滝の連続で、遡行距離が特別に長く無いコースの中で20数本の滝に出合った。退屈をしない程よい緊張感を持って登れた面白い沢だった。

帰りには、無いと思っていた7合目避難小屋が建っていた。真新しい小屋には土間部屋とロフト付の部屋がある。外には奇麗なトイレも有る。昨年の8月から9月に建ったものらしい。僕たちはここでしこたま休んで、福島Bコースを下山した。

記・志水龍雄