残雪の木曽・風越山

39日・晴れ

参考タイム:上松町から車で木曽古道取付きまで10分・木曽古道〜2時間30分〜山頂

 

3月になると里はすっかり春めいてくる。アルプスには沢山の雪は有るものの、里は梅がほころび日増しに風も暖かくなってきた。会の仲間が昨年暮れの公営競馬で軍資金を増やしたのでこの際にと思い立ってアイゼンとピッケルを買った。これを機会に冬山をしてみたいと山道具屋で彼是と相談をして買ったらしいが、道具を買ったままで1月・2月と山に行く機会にも恵まれず今年の冬山を終わらせてしまうところだった。何処か一緒に行きましょうと話しをしたのは良かったが日帰りの山で練習になりそうなところと言ってもパッと思いつかない。御在所に聞いてみたがもう山頂にも雪は望めないとの事で、南木曽岳にしようかと仕事帰りに南木曽を見に行ったが山は既に黒々としていた。39日朝、加藤・小山・志水と3人揃って、親和木曽駒高原スキー場もやっている事だからもう少し北に行けば何とかなるだろうと風越山まで行くと、まだ真っ白な風越山が目に飛び込んできた。僕らは木曽古道まで車を進めて早速歩き出すことにする。樹林に覆われた古道は雪と言うよりは氷の塊が道の上に付着しておりアイゼンを着けて歩くだけならここだけでも良さそうなくらいだった。加藤さんのアドバイスで小山さんも少しずつ慣れてくる。高度を上げるに連れて雪も増え樹林を抜けると一人前の雪山に様相を変えていた。初夏ならば山百合やアザミ草など花の山と化すここも、春めいた上松町を見下ろす今が最後の冬景色だった

記:志水龍雄