錫杖岳・左方カンテ

◆山行日 03年(H15)6月7日(土)〜8日(日)

◆天 候 晴れ 後 雷雨 ◆参加者 志水・加藤・安藤・山本 ◆ルートグレイド W級−

コース・タイム

7日

槍見温泉駐車場着2:00〜出発5:45〜7:30錫杖沢出合い8:20〜9:10左方カンテ取付き9:15〜12:30終了・昼食13:40〜14:00下降16:30〜17:00夕食・就寝21:30

8日

7:30起床・出発8:00〜11:40錫杖沢12:00〜13:40下山15:30〜解散21:10

錫杖沢のテント場(写真は1回目の左方カンテ)

3P目のフェイス上部(同左)

◆報 告

北アルプスの南西、笠ヶ岳の南に位置する錫杖岳は、平湯から栃尾温泉を抜けて新穂高ロープウェイの手前にある槍見温泉駐車場のある場所から登り出す。登山口は笠ヶ岳へ向かうルートで、クリヤ谷を抜け8〜9時間もかけて笠ヶ岳へ登るという長いルートだ。錫杖沢との出合いまでは1時間30分から2時間で着くことが出来る。途中徒渉をするところが1ヶ所あり、川を渡り更に高度を上げて行くと錫杖岳の前衛フェースが左前方に見える。程なく赤いテープが2・3ヶ所まとまってつけてある位置に出る。そこから笠ヶ岳へのルートと別れて左に入り、錫杖沢に降りる道に沿ってゆくと本谷と錫杖沢が合流している場所に出る。この辺りがテント場になっていて4〜5張り程は張る事の出来るスペースがある。更に錫杖沢に沿って10〜15分登ると岩室に着きそこでも2張り程のテントを張る事が出きる。

左方カンテのあるフェースまでは錫杖沢出合いから後40分でその取付きに着く。錫杖沢の右手より道が付けられていて白や赤のテープを目印にして行くと突き当たり正面右手側が左方カンテの取付きになっている。更に右手に壁を沿って下ると1ルンゼ・3ルンゼの登り口にも行ける。

(1P目)志水TOP V級

溝状になっているところの岩を40m登る。ホールドは豊富で容易に行ける。

(2P目)加藤TOP V級

1Pと同程度の状況とグレードで40m程岩溝を登りテラスにでる。

(3P目)志水TOP X級

テラス正面から右手のフェイスに回り込み前衛フェイス正面のスラブを登る。ここを抜けたら壁に沿って4P目のチムニー下の取付きまで進む。3P目がこのルート全体の中で一番高度感のでるところで、スラブに回り込んで次の一手を見つけるのがポイント。フェイス上まで20m、チムニー下まで30m。

(4P目)加藤TOP W級

取付きはチムニーから始まる。クラックの中に深く身体を押し込むとザックが壁に引っかかってしまい動けなくなる。チムニーを抜けたらフェイスを気持ち良く登る。40m。

(5P目)志水TOP V級

簡単な岩領を登ってテラスに出る。15m。

(6P目)加藤TOP X級+

取付きからの数手が決めて。正面壁から右手側のチムニーに回り込み、チムニーを抜けた後はフェイスを登り、右上方向に抜けてテラスにでる。40m。

(7P目)(8P目)志水TOP 7P目・W級、8P目・U級

7P目は脆いスラブ状のフェイスを登る。ホールドは豊富にあるが剥がれそうな物もあり気を付けて登ることが必要。8P目は岩場を登る。登りきったところがこのルートの終了点になる。40m。

そこから先、簡単な岩場を少し登ると前衛フェイスの上は、一帯が大きな草原状の台地になっていて天空の城ラピタの台地を想わせる。東には西穂高岳の山頂から大キレットや稜線の素晴らしい眺めを満喫することが出来る。

【 感想 】

今回、左方カンテは2度目の登攀になった。沢を詰めて錫杖岳山頂へ行った山行を含めると3度目の計画になる。前回始めて左方カンテに来たときは日進のクライミングベアーズの牧さん、勝さんとご一緒させて頂いた。初めてのルートと言うこともあって終始サードを努めさせてもらったが、今回は加藤さんとツルベで行うことが出来たことに満足々々。午前9時30分から始めて午後12時50分には何事も無く終了をした。ルート全体には特別に難しいところも無かったが、錫杖沢出合いまでのザックの重さには閉口した。(加藤さんのザックの方が数段に重かったのだが)非力な中年親父の悲しいところだ。下降は先行パーティーの情報によりクリヤ谷方向が雪で埋まっていた為、懸垂下降で下る事にしたが登り下りのパーティーが交差し、渋滞の為相当な時間を費やす事になった。その上、俄かに振り出した雨がヒョウに変わり遠くで聞こえていた雷も接近してきた。遠くで聞こえているだけでも気持ちの良いものでは無かったのに暫くの間、怖い思いをしながら下降を中断して行き過ぎるのを待つ羽目になった。濡れ鼠になって16時30分にテント場に戻り、夜は加藤さん恒例の焼き肉パーティーが始まった。雨の為、外に出て焼き肉を焼くこともできず、テントの中でパーティーを始めたものだからテントの中は煙がモウモウと立ち込めて目の痛くなるほどだったが、僕にはこの煙のお蔭で焼き肉の煙だか煙草の煙だか解らない状態になった事は幸いした(これが本当に煙に捲くと言うこと)。安藤さんと山本さんは、錫杖岳山頂を目指したが沢を間違えて失敗してしまった。其れならばと翌日もう一度4名で出発する事にしたが、岩室手前のところの、沢の分岐を左に入るのを間違えて右に入ってしまって岩場の基部に上がってしまって失敗。(前日の失敗は更に一本上の沢を右に入って失敗したとの事)西山さんと3・4年前に来た事もありよもや間違えないと思っていたが、沢沿いを進まず途中までフェイスに向かう道を使って登った事で岩室の上に出てしまい最初の分岐から失敗してしまった事が原因と為ってしまった。山本さん、安藤さん済みませんでした。

尚、左方カンテのルートグレイドはガイド文によるものを引用しました。

【志水 龍雄 記】

◆地 図 1/2.5万図 笠ヶ岳