2007/09/01 宝剣岳中央ルンゼ W級A1

 

宝剣岳東面全景

1P目

3P目

トンネルホールテラス

中央ルンゼ右壁ルートV級A1

行程:Am730 菅の平駐車場発

   Am840 千乗敷発

   Am924 乗り越し浄土

   Am940 宝剣岳山頂

Am1000 懸垂下降開始

   Am1120 中央稜基部着

   Am1130 昼食

   Am1200 中央ルンゼ取付

Pm1220 トンネルホール

Pm1500 中央ルンゼ終了点

Pm1630 千乗敷着

Pm1730 菅の平駐車場着

 

 

夏も過ぎようやく涼しくなってきた。春残雪の時期には中央ルンゼをするつもりでいたものの、雪が思いのほか多く、トンネルホールも雪で埋まっていたために、結局は中央稜の登攀で終わってしまった。夏場になれば下から取り付くことも出来なく山頂に上がってから懸垂下降をする事になる。今年は宝剣岳東面中央ルンゼの登攀はもう無いと思っていたら、M氏から明日は天気が良いので中央アの千乗敷に行きませんかと話があった。千乗敷の東面は雪の時期以外は山頂から懸垂下降をして取り付きにいくことになるので面倒だという気持ちが前に立って今まではつい行きそびれていたが、ビレイ点の作成やポイントを知る良い機会だと思い直して、又もやザイルを組ませていただくことになった。(嬉しいなー)

6月に来たときよりは1時間早いバスに乗り、早々と千乗敷に着き夏道を一気に乗り越し浄土から宝剣岳山頂に上がる。ごそごそと準備を済ませてオケラクラックの上部へ進み這松の根元に下降点を作成。(勉強になるなー)中央稜を3ピッチで降りると既に昼前になった。前回の6月のときも取り付き点で同じ時刻だったことが頭に過ぎりひょっとしたらロープウェイの最終にまた間に合わないかもと不安になるがM氏に押されて中央ルンゼへ向かう。中央稜の最初の基部からバンド伝いに左へ斜度をあげていくと、すぐ次にもう一つの中央稜の取り付きがある。更に進むと「中央稜左フランケルート X級A1」の取り付きになる。スタート点から上のピンには、お助けシュリンゲも早々と掛かっており、これは見た目に一寸厳しそうだ。この先をもう少し詰めると一段下にピッチを切るためと思われるビレイ点が出てきた。此れは中央ルンゼをバンド伝いに来たときの最初の取り付き点だなと判断。ここからスタートをすることにした。(僕は中央ルンゼ下部の2ピッチ目と思ったがどうも勘違いだった。)

1P バンドから一段下がったところにシュリンゲが掛かっておりここから左上する。上部の2ヶ所のハーケンにそれぞれザイルを通したためトンネルホール前のテラスに出てからザイルがかなり重くなった。テラスも斜度が少しあり安定感に欠けたため1ヶ所はパスしたほうが良かったかもしれないと反省する。スラブ左端の階段ルートの取り付きにシュリンゲが掛かっていたがザイルが届かずその下で肩がらみで確保をする。残置ハーケン一個あり。テラスに着いて、右側の上に続く一枚壁を見上げると「中央ルンゼ右壁ルート V級A1」が見渡せる。取り付き点からハーケンが何枚も打ち込まれており、すっきりとした垂直の壁はいかにも人工のルートで、アブミの架け替えの連続で上がっていく面白さが十分に楽しめそうな感じだ。

2P 中央ルンゼA1ルートの左側の岩の取り付きから始まる。最初の部分が核心で右手側にあるハーケンにザイルを掛けて乗り越すと階段状のルートになりチムニーの下まで進む。こっちを登るとA1じゃないかもしれないが、やはり最初の数手は緊張した。

3P チム二ーのルートは右側に十分なホールドとピンがありチム二ーの上部まですんなり行くが、右に乗り越すか左に乗り越すかを迷う。一見左のほうが行き安く見えたので乗り越そうとしたが体を支えきれず墜落。今度は右に進んでみるとチム二ーを右上してザラザラとした岩に乗りあがって終了。後は草付を階段状に上がると正面左手にピッチを切るシュリンゲが出てきた。実は、僕はこのシュリンゲが見つけられなかった。シュリンゲの色が黒かったため岩と同化して見え目に入らなかった。右手にあった岩でセルフを取る。情けないな・・。この位置から中央稜の最終ピッチのスカイラインが見える。もう終わりが近いと感じる所だ。

4P 草付きで50mほどで中央稜の終了点近くにでた。実は、最初この草付きに不安を感じていた。バイルの用意が無かったため、草を掴んで上がるのはかなり怖いなと思っていた。エイヤーで突っ込んだので相当な時間がかかっても仕方がないと思っていたが何と足元は階段状になっていてあっという間に終わってしまった。

 春先からやりたかった中央ルンゼルートが終わった。感激の思いだ。その上、中央ルンゼ右壁ルートの取り付きの確認まで出来た。こんな幸せな日も久しぶりだ。ゆっくりと片づけをしながら煙草を吸って山頂の一時を楽しんで今日一日を終わらせた。

                                           「記:志水龍雄」

ルート図