いまさら聞けない!?学校事務職員の仕事

2002.10.29暫定アップ
随時改変予定

  1. はじめに
  2. 基礎編〜学校事務職員はマルチな事務職員〜
  3. 各業務実務編〜範囲は広い、しかし基本をしっかり押さえれば〜
  4. 情報処理の中核として
  1. はじめに
  2.  事務とは組織が意思形成を図るための情報を整理、準備、提供し、活動が円滑に展開するために行われる活動です。組織の目的を直接達成する機能ではありませんが、その経営活動を助け、促進する働きを持つものです。
     OA化の進展により、事務活動の本質は、「読み・書き・そろばん」といった書記的な作業事務から、経営活動を具体的、有機的に結合もしくは関連させ、円滑に運営するための情報の処理・情報の扱いへと変化してきています。定型レベルの作業事務から意思決定に直接的に影響するレベルの業務へと変化してきています。
     そのような流れの中、公立小中学校は、事務部門がとっても軟弱であるといわざるを得ません。ほとんどの公立学校では事務職員が1人しか配置されていないため、多くは作業事務で忙殺されることになり、定型レベルの業務でさえも、他の教職員と分担している例が多く、学校組織そのものがほかの組織とは異なっているととらえたほうが適切かもしれません。そのような状況から学校の事務部門では、自ずと様々な職員が協働することで子どもたちの学習活動の支援をし、教育費の適正化のため試行錯誤を繰り返しているところです。学校事務職員はその中核を担い、学校経営上のさまざまな問題に取り組んでいます。


  3. 基礎編〜学校事務職員はマルチな事務職員〜
  4.  学校事務を機能面から定義するとすれば、学校が期待された目的を達成する活動を行うことに伴って発生する情報の処理や管理をすることである、といえるでしょう。教育行政をとりまく基本的な法や例規には、次のようなものがあります。

    1)知っておきたい教育関連法規

    • 【教育基本】 日本酷憲法、教育基本法、児童憲章
    • 【学校教育】 学校教育法学校教育法施行令 学校教育法施行規則、公立義務教育所学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律、義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律、学校保健法、学校保健法施行令 学校保健法施行規則、日本体育・学校健康センター法
    • 【教育行財政】 地方教育行政の組織及び運営に関する法律、地方教育行政の組織及び運営に関する法律施行令、中央教育審議会令、地方自治法、学校施設の確保に関する政令、地方財政法、義務教育費国庫負担法 市町村立学校職員給与負担法、義務教育諸学校施設費国庫負担法 地方交付税法
    • 【教育振興】 学校図書館法、理科教育振興法、へき地教育振興法、就学困難な児童及び生徒に係る就学奨励についての国の援助に関する法律
    • 【教職員】 教育公務員特例法、学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法、地方公務員法 労働組合法 労働基準法、同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約、家族的責任を有する男女労働者の機会及び待遇の均等に関する条約、教員の地位に関する勧告
    • 【免許】 教育職員免許法
    • 【福祉】 児童福祉法 少年法
    • 【教育内容】 学習指導要領

    2)教育行政を知る指標

    • 臨時教育審議会の動向
    • 地方分権推進委員会の動向
    • 教育指標の国際比較
    • 知っておきたい教育用語小学館最新基本教育用語より
    • 小・中学校設置基準(2002.3.28制定 4.1施行)
      1. 自己評価の実施と結果の公表、積極的な情報提供
      2. 1学級の児童生徒数は原則として40人以下とする
      3. 校舎及び運動場の面積…教育に必要な最低限の数値を規定。地域の状況を踏まえた例外規定を設ける
      4. 必要な施設は必要最小限の記述に(普通教室、特別教室、図書室、保健室、職員室)
      5. 他の学校等の施設設備の使用を認める
      6. 教員等は他の学校の教員等の職と兼ねることができる
    • 上記に伴う学校教育法施行規則が改正・・・ 学級の編制、教員の配置基準、校務分掌の整備、教務主任及び学年主任、保健主事の設置、事務主任、その他の主任等、特定の教科担任教員…これらに関する条文が削除されました。


  5. 各業務実務編〜範囲は広い、しかし基本をしっかり押さえれば〜
  6.  一般的に事務が煩雑化する要因として

    • 思いつきではじめた事務や形骸化した事務を漠然と存続させている
    • 必要以上に精度を求めた仕事をしている
    • 事務手続きの分析を十分に行っていないこと

    などがあげられます。学校事務職員がカバーする業務の範囲はとても広範囲にわたっています。たえず業務内容や処理手順を見直しながら業務をすすめましょう。

    1)総務・人事業務

    労働契約―いろんな職種、雇用条件の職員がいます。勤務条件と給与のしくみは―

    • 知っておきたい労働法の基礎知識
    • 賃金支払の原則
    • 口座振り込みの要件
    • 労働時間と休日・休暇
    • 安全衛生、労働災害補償
    • 福利厚生

    2)児童生徒の就学にかかわる業務

    • 就学時
    • 転出入
    • 教科書の無償配布

    3)経理業務

    学校の経営上の課題を知らなければ、ただの予算の差引係でしかありません。

    • 自治体会計のしくみ
    • 校内会計の規定化とマニュアル
    • 決算書の種類とその役割
    • 決算書を活用する
    • 学校予算編成のポイント

    4)備品の管理業務

    • 規格や仕様の統一
    • 教材購入計画
    • 職員へのコスト意識の徹底
    • 備品の稼働率
    • 損をしない保守契約・リース契約

    5)施設管理業務

     保守点検を平素把握しておかないと思わぬ事故を招きます。安全教育の一貫として安全管理を位置付けている学校が多いのですが、公的機関としてとしての最低限の施設設備の知識は必要です。また、施設の充実に伴い、光熱水費の使用料が増大していきます。取り組み方によっては、多額の経費節減にもなります。

    • 施設設備の保守点検
    • 防災体制の整備
    • 清掃、施設管理
    • 光熱水費料金体系のしくみ


  7. 情報処理の中核として
  8. 1)教育情報システムの構築とその活用

    • 人的資源を生かして事務管理システムを設計する
    • お金をかけない物品管理
    • データを教育活動分析に活用する
    2)学校における「顧客満足」の考え方
    • 学校における「顧客」とは
    • 「顧客満足」とは
    • 学校が提供するサービス

参考文献:涌田宏昭「オフィスシステムの革新と情報システム」



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