2分でわかる、学校教育と生涯学習

〜生涯学習体系に移行する、って、どういうこと?〜

そもそも生涯学習社会ってナニ?

 生涯学習の理念をひとことで言えば、「国民一人一人が充実した人生を送るために、各人が自発的意思に基づいて生涯にわたって学習できる社会にしましょう。」ということです。学校や社会のなかで意図的・組織的に行われる学習活動だけを指していうのではなく、ボランティア活動、趣味・レクリエーション活動、文化活動など、生活のあらゆる分野において行われるものです。「充実した人生を送るため」に「生涯を通じて行う学習」を、「自己に適した手段・方法を自ら選んで」行う、あくまでも「個人的な営み」です。

 

生涯学習と行政の関係は?

国民は、一人の個人であるとともに、家族の一員であり国家社会の形成者といえます。一人一人が生涯学習に取り組み、その輪を広げていくことは、いつしか地域に対する愛着と誇りにつながり、明るく豊かで住みよいまちづくりへとつながるでしょう。

 行政の立場から生涯学習を推進し、個人の生涯学習を援助支援していこうとするには、生涯学習の目標を設定し、期待される人間像を描く必要があります。行政的な営みとして生涯学習を推進する以上は、その地域の振興・発展と切り離して考えることはできません。

 生涯学習の推進にあたって、都道府県には、「生涯学習推進センター」が設けられています。また、どの市町村にも生涯学習の基本構想・基本計画が策定され、それに基づいてさまざまな取り組みが実施されています。

 

生涯学習社会における学校の役割は?

<学校教育と生涯学習>

 学校は、教育に必要な人的物的条件と組織的な教育力を備えた専門的な立場から何よりもまず適切な学習環境を構成し、意図的教育の中心にならなくてはなりません。学校教育の役割は、生涯学習の基礎作りをすることです。学習者の主体性や自発性を前提として行う生涯学習の基礎を培うのが小中学校教育の役割です。小中学校は生涯に渡って学習を行うことができるような知識や能力と自ら学ぶ意欲や態度を育てるところです。その意味からの学校教育の改善充実が望まれています。

 学校中心の教育の考え方からの脱却が必要といわれています。しかし、このことは、生涯学習における学校教育の重要性を否定するものではありません。学校教育は生涯学習体系の中でますます重要な役割を持ちます。学校教育に求められる生涯学習の基盤とは、学ぼうとしたときに必要な基礎知識や能力、学習の仕方を身についているかどうかということです。

 人間の成長過程のそれぞれの期にはその時期特有の発達課題・学習課題があります。そのときでなければならない教育の必要性にそって学校教育は行われていることをきちんと心に留めつつ、学校の人間離れ・社会離れを反省し、学校は本来の学校の姿をとりもどすことを求められています。

 そして、地域社会には、学校教育への過度の期待と依存をやめ、学校だけでは成し得ないより豊かな教育を可能にするために、社会教育と学校教育がそれぞれの役割分担を前提とした上で、学習の場や活動などに共有できる活動を作り出すことが期待されています。とくに、学校週五日制の進展に伴い学校外活動の場や機会の提供・学校外活動の基盤を強化することが求められています。

 

社会教育施設と生涯学習

 公民館設置は、区市町村の9割余の自治体が設置しており、統計的には義務教育機関に並ぶ水準にあります。(小学校10校あたり7.6館、これは、中学校数より多い。)しかし、自治体格差が大きく、約9%の自治体ではまったく公民館を設置せず、特に東京・横浜等大都市部では空白が大きいところです。1)

 市場原理優先の民間生涯学習事業への助成策などにより公民館の職員配置の専任規定の削除され、公民館運営審議会の必置規制が廃止されました。生涯学習を推進する意図とは逆に、全国的レベルで見たとき、社会教育を支える行政の基盤は年々脆弱になってきていると言えます。

 一方で、生涯学習に関する国や県などの審議会では、もっとも身近な教育機関である小中学校を地域住民の学習拠点として施設・設備面を中心に開放することや、生徒数の減少から生じる余裕教室や廃校などを生涯学習スペースとして活用したり、学校改築時においては当初から地域の住民が利用できる施設として計画的に整備していくことが今後の重要課題として求められる、としており、学校施設をより積極的に生涯学習に活用することが提案されています。(学校施設の開放)

 これらのことは、いったい、何を意味しているのでしょうか。

学校施設と生涯学習

 学校施設は、なによりもまず、学校教育に必要な施設を確保しなくてはいけません。2)学校施設は学校教育本来の目的以外で使用することは、管理者の許可なしにはできません。このことから、学校施設は子どもたちの学習する権利を一番に保障されなければいけません。

 これまでの学校施設の開放では、施設開放の手続きは法にのっとっていても、その管理運営体制は、教職員個々の理解と協力により成り立っており、十分なものではありませんでした。先に述べた行政の社会教育基盤の脆弱さを克服する意味でも学校施設の地域社会との共同共用化に際しては、学校教職員の過剰な負担とならないよう、警備委託も含めた人員配置等管理運営体制を講ずるなど、施設の管理や利用者の安全確保指導にあたる人員の適切な配置を求めなければいけません。

1)小林文人編「これからの公民館〜新しい時代への挑戦〜」国土社1999/12 
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2)学校施設の確保に関する政令(昭和24年2月1日)第3条       
  学校施設は学校が学校教育の目的に使用する場合を除く外、       
使用してはならない。但し、左の各号の一に該当する場合は       
この限りでない。                          
一 法律又は法律に基づく命令の規定に基づいて使用する場合      
二 管理者又は学校の長の同意を得て使用する場合           
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まとめと感想
●生涯学習は、個人的な営みである。
●行政がそれを支えるには、行政目標の設定が必要。
●住んでるところの「生涯学習プラン」を見てみよう。
●生涯学習を推進している割には、それを支える行政基盤は弱いかも。
●「学習」繋がりで公立学校をそのステージにしようという動きがあるけ ど大丈夫なのかな?施設は?人は?それ以前の問題として、学校は、子 どもの多様な学習ニーズに応えられていたのかな?最近、バリアフリー な学校施設になりつつあってうれしいことだけど、子どもたちは今までよく我慢してたよね。

 

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