「碁清源
碁石並べ替え遊び」
菅野礼司
I.「碁石並び替え遊び」とは
同数の白石と黒石を、下図のように左右にまとめて配置したA図を、B図のように
白黒交互に並べ変えるゲ−ムです。 たとえば、石数が6個づつの場合は
○○○○○○●●●●●● (A)→ ●○●○●○●○●○●○ (B)
「碁石並べ替えゲーム」のルール
(1)白石と黒石は同数であれば、3個づつ以上なら何個でもよい。
(2)石の移動:隣り合う2個の石を同時に移動させる。(例のA図では、○○、●●、
または中央の○●のように、2個づつ)
(4)移動回数:白石(または黒石)の数と同じ。 (例図では6回)
(5)最終図は、白黒が1個づつ交互に並べば、右端の石は白でも黒でもよい。
やり方の例 :(石の移動方向は白と黒を逆にしてもよい。)
・3個の場合 ( @:白、 @:黒、 ◇◇は移動跡
の空所)
@AB@AB → B@AB@A→ B@A◇◇AB@
→ AB@AB@
(3回)
・4個の場合
@ABC@ABC→@◇◇C@ABCAB→@@AC◇◇BCAB→
@@ACCAB◇◇B→ACCAB@@B
(4回)
このように、ルールにしたがって目的の図に到達できる(2個の場合はできない)。 5個以上になるとだんだん複雑になり、石数が大きくなると急速に難し
くなる。しかし、法則があるはずである。それゆえ、並べ替え手順の一般法則(解法)を求めてみよう。
何を求めれば解けたことになるか:
@石数と同数の移動回数で常に可能か、A最終図までの手順、B解法は何通りあるか
これが求まれば完全に解けたことになる。
II. 解法の見つけ方
(1)予備考察:1個づつ移動させる場合
石の移動手段を、同時に2個づつではなく、1個づつ移動させる場合を考える。これは2個づつ移動させる場合の、移動効果を分析するためである。
1個づつ移動させる場合は、任意のN個について必ずN回の移動で
目的図に移れることは容易に分かる。しかも、説明は省略するが、手順は一通りとは限らな
い。
(2)対石(隣り合う2個づつの石)の移動効果
1個づつ移動させる場合は、一つの無駄もなく1回で目的位置に石を移動させることができる。ところが、隣り合う石を2個づつ対で移動させる場合は、1個
は目的位置に移動できても、連れの石は必ずしも目的位置でないことが起こる。目的位置への石を移動を「適正移動」と呼ぶことにする。そうでない移動は、後
に再び移動しなければならないので「無駄移動」と呼ぶ。
同色対○○と●●の移動は、少なくとも1個は無駄移動となる。異色対
○●と●○の移動では、2個とも適正移動となるか、2個とも無駄移動となるかのいずれかである。無駄移動はマイナス効果を及ぼすから、なるべく避けるよう
にする。特に2個とも無駄移動はやってはならない。
対石(2個)移動の評価:石を移動したとき、目的達成への効果を数値で表そう。
適正移動の効果は+1、無駄移動の効果は−1と評価すべきである。すると、
同色対の移動:1個適正、1個無駄移動ゆえ評価は1−1=0,(0移動と呼ぶ)
異色対の移動:2個とも適正移動の場合の評価は+1+1=+2、(+2移動と呼ぶ)
2個とも無駄移動の評価は−1−1=−2、(−2移動と呼ぶ)
石数がNのとき、1個づつ移動の場合は、その評価は全て適性移動(+1)にできるから、移動評価の総計は石数と同じ丁度Nであった。他方、2個づつの対
で移動させる場合も、N回で完成すべきであるから、移動評価はN(奇数の場合はN+1となる)となるはずである。そうならば、Nが偶数のとき、0移動は
N/2回、+2移動はN/2回となるべきである。Nが奇数のときは、0移動が(N−1)/2回、+2移動が(N+1)/2回であることが、
実例から経験則
として分かる(理由は後述)。つまり、Nが奇数の場合、0移動よりも+2移動が1回多いので、評価の合計はN+1となる。
(3)移動評価のパターン
Nが少ない場合の解答例から0移動と+2移動の手順を見ると、その分布は見事に、前半のN/2(奇数のときは(N−1)/2)が0移動、その後は全て+
2移動である。つまり、手順は(00・・0022・・22)となっている。(実例参照)
それを見るには、完成図を下に並べて移動操作を遂行すればよい。(完成図は分かっているのだからこの方法は許される。)
例えば、N=5の場合:移動評価のパターンは(00222)
@ABCD@ABCD
(開始図)→ @◇◇CD@ABCDAB (0移動)→
●○●○●○●○●○(完成図) ●○●○●○●○●○
@BCCD@A◇◇DAB
(0移動)→ @BCC◇◇AD@DAB
(2移動)→
●○●○●○●○●○
●○●○●○●○●○
@BCCDAAD@◇◇B(2移動)→ CCDAAD@@BB (2移動)
●○●○●○●○●○
●○●○●○●○●○
最初の2回の移動で準備段階は終わりで、残る3回で仕上げとなっている。このように、
前半の0移動(同色対移動)は準備段階で、後半は+2移動で仕上げという構図になっている。
(4)準備段階修了図の分析
前半の準備は、Nが偶数のときはN/2回の0移動で終わり、その準備段階修了図を完成図と対比してみると、白黒が逆転している対(これを「逆転対」と呼
ぼう)がN/2個ある。それ以外の石は適正位置にある。それゆえ、すべての逆転対をN/2回の+2移動で適正配置に持っていける可能性がある。
Nが奇数のときは(N−1)/2回で準備が終わるが、その図と完成図とでは(N+1)/2個の逆転対がある(0移動の回数より1個多い)。その理由は、N
が奇数の場合は、開始図で、中央の白黒がすでに逆転対になっているからである(N=5の例ではD@)。それゆえ、逆転対は(N+1)/2個となり、(N+
1)/2回の+2移動で適正配置に持っていける可能性がある。
これで、すべてのNについて、計N回の移動で完成できそうだということが分かった。
(5)逆転対の数
このゲームでは、前半の準備段階修了図で、逆転対の数が奇数か偶数かが問題になる。それによって、0移動により逆転対を作る手順と仕上げの逆転対の移動
順が変わるからである。
逆転対の数は、Nが4のサイクルで奇数と偶数が入れ替わる。
この事実は任意のNに対する規則を求める上で、重要な意味を持つ。
N 5,6;7,8 ; 9,10 ;11,12; ・・・
逆転対の数 3 ; 4 ; 5 ; 6 ; ・・・
(逆転対を数えるとき、準備修了図では左端の2個の下には完成図の石がないが、延長補充して●○が存在するものとして数える。)
ところで、逆転対には白黒の並ぶ順序により、○●対と●○対の2種類がある。N=5の例では、@B、D@およびDAの対である。
重要なことは、その逆転対の数が偶数のとき(N=7,8;
11,12;・・の場合)は、●○対と○●対が同数であり、(逆転対の数が奇数のときN=5,
6;9,10;・・の場合)は、●○対よりも○●対の方が1つ多いということである。(○●対が多い理由は、初動が白対であったことと、N
が奇数のとき中
央にある逆転対は必ず○●対だから。)この構図になることが、後半の+2移動で完成図に達しうる条件なのである。
(6)逆転対のでき方
前半の0移動で、逆転対をどのような手順で作るかがこのゲームのポイントである。そこで2種の●○と○●逆転対がどのように現れるか、その規則を明らかに
しておこう。
まず、石を移動した跡にできる空所(上段)に対応する完成図(下段)が●○対の場合2通りのパターンがある:
● ● および ○
○ (異動対象部分図)
○●○● ○●○● (完成図の部分図)
この図で、上段の空いているところに、それぞれ両端の色と異なる白対と黒対を、他のところから持ってきて埋めると
●○○●
および ○●●○ (異動対象)
○●○● ○●○● (完成部分図)
となる。できる逆転対(下線部)は両方とも、空所の下の完成図にあった●○対と同じ●○逆転対である。ただし、逆転対の現れ方は、白対で埋めたときは一つ
左にずれ、黒対で埋めたときは一つ右にずれる。
同様に、上段の空所に対応する完成図(下段)が○●対のときも、埋める物が白対でも黒対でも、常にそれと同じ○●逆転対ができる。
これで、予備考察はほぼ終わった。残る問題は、準備段階において、上に述べた目的の数だけの逆転対を作り出す0移動の手順と、出来た逆転対を完成図に
持っていく+2移動の手順を決めることである。
(7)前半0移動と後半+2移動の手順
0移動で目的の数だけの反転異色対を作る順序は次のようにするのがよい。まず最初の0移動では●○逆転対ができ、次には○●逆転対というように、●○逆転
対と○●逆転対を交互に作る。ただし、逆転対が奇数の場合は、Nが偶数のとき、最後に続いて2つ○●逆転対を作るようにする(Nが奇数のときは最初から、
中央に○●逆転対があるので、交互に作ればよい)。
実際の手順を実例を示しながら説明しよう。
(1)N=6の場合:移動評価パターンは(000222)、逆転対は3個だから2個の ○●対と1個の●○対を作る。
@ABCDE@ABCDE
(異動対象図)
●○●○●○●○●○●○
(完成図)
第1回目は、その後の移動が可能になるように隙間を作る。そのために、白対を右端に移動せざるを得ない(黒対を左端に移動してもよい)。そこでまず、定
石通りABを右端に移動する。
第1回目: @ CDE@ABCDEAB
(異動対象図)
(●○)●○●○●○●○●○●○ (完成図)
(上図では完成図の左端に便宜的に括弧の中の2個を追加した。)この0移動でできた逆転対は下線をつけたEAである。このように第1回目の0移動では必ず
●○逆転対ができる。第2回目は、その移動跡に黒対を移動させて○●逆転対を作るのだから、空所の下(完成図)は○●対になっていなければならない。そう
なるために第1回目ではABを選んだ。(CDでもよさそうであるが、そうすると左端に白が3個並び、その右に黒対が移動してくるから、その後が巧くいかな
い)。第2回目の黒対移動により○●逆転対ができるが、続いて○●逆転対を作らねばならない(○●逆転対が1個多いから)。それゆえ、第2回目移動の跡の
空所は、下段(完成図)が○●対でなければならない。そこでAB対を左の空所に移動する(CD対では、すでにある逆転対の隣りで巧く行かない)。
第2回目: @ABCDE@ CDEAB
(異動対象図)
(●○)●○●○●○●○●○●○ (完成図)
できた逆転対は@Aである。次の第3回目は白対CDを空所に移動する。
第3回目:
@AB E@CDCDEAB
(準備修了図)
(●○)●○●○●○●○●○●○ (完成図)
これで0移動は終わり、準備段階は修了である。できた逆転対は@A、DC、EAである。 ○●逆転対が1個多いので、仕上げの+2移動では○●逆転対から
移動を始めねる。そのために、準備修了図では空所の下段は○●対でなければならない。第3回目の移動では、移動跡の下段が○●対になるようにCDを選んだ
(DEでは駄目)。
後半の仕上げは、それら3個の逆転対を○●対から移動して、空所を交互に埋めていけばよい。
ただし、左端の@A逆転対を早く移動させて空所を埋めてしま
うと空所がなくなり、その後の移動ができなくなるから、左端の移動は必ず最後にしなければならない。
それゆえ、まず、DC対を左の空所に、次にEA対をその跡に、最後に、@A対を移動させて完成である。
この移動は、○●対と●○対をあたかも一つの大石とみなせば、(適正位置にある石を無視すると)最初の予備考察で述べた1個づつの石の移動に対応してい
る。1個づつの移動なら、白黒合わせてN個の石を、N回の移動で必ず目的位置に持っていける。それゆえ、準備修了図から、必ず完成図に持っていけるわけで
ある。
(2)N=7の場合:移動評価パターンは(0002222)、逆転対は4個だから2個づつの●○対と○●対を作るべきである。
@ABCDEF@ABCDEF
(異動対象図)
●○●○●○●○●○●○●○
(完成図)
Nが奇数だから、開始図にすでに○●逆転対(下線)が中央にある。
第1回目は、定石通り白対ABを右端に移動す。
第1回目:@ CDEF@ABCDEFAB (異動対象図)
(●○)●○●○●○●○●○●○●○ (完成図:)
新たにできた逆転対は下線をつけたFAである。このように第1回目の0移動では必ず●○逆転対ができる。第2回めは、その移動跡に黒対を移動させて○●逆
転対を作るのだから、第1回目移動でできる空所の下段は○●対になっていなければならない。そうなるためにABを選んだ(CDでもよさそうであるが、そう
すると白が3個並び、その右に黒対が移動してくるから、その後が巧くいかない)。それゆえ、第2回目の黒対移動でできるのは当然○●逆転対であるが、次に
●○逆転対を作るためには、その跡の下段は●○対でなければならない。その候補はABかCD対であるが、逆転対が隣接するのはまずいので、F@逆転対の隣
でなく、CD対を移動し空所を埋めると
第2回目: @CDCDEF@AB
EFAB (異動対象図)
(●○)●○●○●○●○●○●○●○ (完成図)
第3目の0移動で準備段階は修了するのだが、最後の0移動は特別な考慮が必要である。順番から行くと、次は下段が○●対になるようにCD対を移動するこ
とになるが、そうではない。その理由はこうである。後半の+2移動では、左端の@C逆転対の移動は必ず最後にしなければならない。逆転対の数が偶数個の場
合は●○と○●逆転対が同数だから、+2移動は●○逆転対から始めて、●○と○●逆転対を交互に移動させるのである。そのためには、最後の
第3回目0移動
は、下段が●○対になるようにDE対を右の空所に移動させねばならない。そうしてできた、準備修了図は次のようになる。
@CDC
F@ABDEEFAB
(●○)●○●○●○●○●○●○●○
これで2個づつの○●と●○逆転対(下線部)ができた。(ほとんどの場合、○●対はすべて左側に、●○対はすべて右側に現れている。)
仕上げはそれら4個の逆転対を●○対から移動して、空所を交互に埋めていけばよい。たとえば、BD、F@、FA、@C
のように。ただしBDとFAの順序は入れ替えてもよい。この移動は、○●対と●○対を一つの石のようにみなせば、1個づつの移動に対応しているので、準備
修了図から必ず完成図に持っていける。
DCBDFAAF@EE@CB
(完了図)
●○●○●○●○●○●○●○ (完成図)
III. 手順の一般法則
これで、N回の移動で完成できることと、その手順がわかった。最後に、この処方が任意のNに対して常に成り立つことを示し、一般法則を求めよう。
これまでの考察から、このゲームのパターンは次の4形に分類できる。その分類を決める特性は次の2つである。
1.Nの奇数・偶数:移動評価(0移動と+2移動)のパターンが変わる。
2.逆転対の奇数・偶数:Nが2増すごとに変わる。
したがって、Nが4増すごとに同じパターンになるから、Nの値により次のように分類される。
N=4m、 N=4m+1、 N=4m+2、 N=4m+3
mは1,2,3,・・の整数でである。(この分類では、N=3が除かれるが、事実、最初の実例図で見たように、この場合だけ完成図が4つ右に移動する例外
パターンである。)
mが1増すごとにこれら4種は、それぞれの系列で同じパターンを繰り返すのである。それゆえ、m=1の基本形ができれば、それ以上のNについてはほぼ自
動的に手順が分かる。
4の周期で同じパターンを繰り返すことを、正木さんは実践で経験的に発見したそうである。その素晴らしい感性と洞察力には感嘆するばかりである。
それを実際に示そう。基本形では、最初の0移動はすべてAB対を右端に持っていくことから始めるので、移動する石(対)を、移動順序に従って示すだけに
する。前半の0移動で準備段階ができれば、後半の+2移動は●○と○●逆転対を交互に(ただし左端の○●対は最後)、移動跡に順次機械的に埋めていくだけ
であるから、規則は簡単である。それゆえ、前半0移動の手順の規則性が分かれば解法が得られたといる。そこで、0移動の規則を見ることにする。
・N=4mの場合:移動評価値(2m個の0、2m個の2)、逆転対数=2m偶数
N=4(m=1基本形):0移動 AB、@A;+2移動 CA、@@
N=8(m=2): AB、BC、EF、DE; AE、
DD、GA、@B
N=12(m=3):AB、BC、EF、FG、IJ、HI;
AE、DF、EI、
HH、KA、@B
0移動と+2移動の数は同数で、mが1増すごとに2個づつ増える。そして、0移動の規則は、白対の系列と黒対の系列がともに、番号が4ずつ増すということ
である。ただし、最後の黒対はその規則からずれている。その理由は、後半の+2移動では●○逆転対から始めねばならないので(最後の移動は左端の○●逆転
対であるから)、最後の0移動でできる空所の下段(完成図)を●○対にする(順番からすると○●対である)という制約があるために規則からずれるのであ
る。しかし、その最後の黒対にも、mが1増すごとにその番号が4づつ増すという規則がある。
後半の+2移動にも規則性は少しあるが、単純ではない。
・N=4m+1の場合:移動評価値(2m−1個の0、2m+1個の2)、
逆転対数=2m+1奇数
N=5(基本形):AB、BC; D@、DA、
@B
N=9: AB、CD、EF、FG; DE、BE、H@、HA、@C
N=13:AB、CD、EF、GH、IJ、JK;
DG、BE、HJ、FI、L@、LA、@C
この場合は逆転対が奇数個で、○●逆転対が1つ多いから、+2移動は○●逆転対から始めねばならない。それゆえ、最後の0移動でできる空所の下段(完成
図)を○●対にする(順番からすつと●○対)という制約があるために、最後は規則からずれる。
ここでも白対系列と黒対系列には、番号が4づつ増えるという規則が見られる。最後の黒対はその規則からずれるが、それもmが1増すと4づつ増えている。
残る2つの場合にも、以下に示すように、同じような規則が見られる。
・N=4m+2の場合: 移動評価値(2m+1個の0,2m+1個の2)
逆転対数=2m+1奇数
N=6(基本形):AB、AB、CD; DC、EA、
@A
N=10: AB、BC、EF、EF、GH;DE、AE、
HG、IA、@B
N=14: AB、BC、EF、FG、IJ、IJ、KL;
DF、AE、HI、EI、
LK、MA、@B
・N=4m+3の場合: 移動評価値(2m+1個の0,2m+2個の2)
逆転対数=2m+2偶数
N=7(基本形):AB、CD、DE; BD、F@、FA、@C
N=11:AB、CD、EF、GH、HI; BE、DG、FH、J@、JA、@C
N=15:AB、CD、EF、GH、IJ、KL、LM;
BE、DG、FI、
HK、JL、N@、
NA、@C
これで、すべてのNについて、N回の対移動で、白黒を交互に並べ替え得ることが証明できた。そして、その手順に関する一般法則が求まった。残る問題は、
「その手順は何通りあるか」である。
IV.並べ替えの手順は何通りあるか
上に示した並べ替え手順は、標準形式であり、いわば定石のような物である。この標準形式をベースにして、何通りの手順があるかを見るのは比較的簡単であ
る。Nが6以下では手順は1通りしかないが、7以上になると、白対と黒対の0移動が多くなり、白対同士、または黒対同士の移動順序を入れ換えることができ
る。たとえば、N=8と9の場合は、ABとEFの順序を入れ換えてもよい。だから最初はABの移動とは限らない。Nが大きくなると、この種の入れ替えは急
速に増大する。
同様に、後半の+2移動についても、○●逆転対と●○逆転対の数が増えると、同種の逆転対の手順入れ替えが許される。たとえば、N=7の場合、BDと
FAの順序は入れ替え可能である。N=8の場合も、AEとGAは入れ替えてよい。
Nが大きくなると、同種の逆転対も増えるので、入れ替え可能な手順は急速に増えるが、その場合の数は、順列・組合せの問題であるから、丹念に計算すれば
分かることである。
上記の定石「標準形式」以外にも、0移動と+2移動が別種のパターンで完成図に到達できるのもある。たとえば、
N=9の場合:AB、EF、EF、BC;DB、DE、H@、HA、@E
というのもある。
このような定石はずれについては、どのようなパターンが存在し、幾通りあるか、その場合の数を一般的に求めることは非常に難しい。これが残された問題で
ある。
終わりに
ここまで分析してきて、かなり分かったような気になった。最後に残された定石はずれの問題の完全解答は難しいが、これ以上解明することを止めた。完全に
解明されてしまっては、ゲームとしての面白さが消えてしまうからこのまま問題を残しておく方が、まだゲームに挑戦する夢があってよいだろう(負け惜しみだ
といわれそうだが)。
もし挑戦してみようという方がいたらやってみて下さい。
それにつけても思うことは、囲碁の深さである。囲碁の論理を完成し、必勝法を発見することは人間には不可能であろう。だから、囲碁には、理論追求の夢と
ロマンが永遠に続くであろう。
2006.6.29 受付 編集 事務局(小俣)