STD(性行為感染症)とは?


STDとは、SEXUALLY TRANSMITTED DISEASES(性行為感染症)の略です。
横文字や略語が氾濫する最近の風潮に乗ってというわけではありませんが、ずっと“性病”と言われてきた言葉が、現在では“STD”に置き換えられるようになりました。言葉のイメージも大きく変わりましたが、治療についても、以前は不治の病とされていたものまで、その多くは通院による専門医の治療で完治するようになりました。ここで大切なことは『STDにかかったかな?』と疑いのある方は“勇気と決断”をもって、早めに専門医の診察を受けることです。STDに限らず、病気は早期治療が功を奏します。以下、STDの代表的なメニューを紹介します。

1.淋病

淋病とは、その字のごとく淋菌という病原菌によって引き起こされる尿道の炎症です。性行為により感染したあと、3日ないし1週間程度経過して、尿道からクリーム色というか黄緑っぽい色のウミがジクジクと出てきたら、淋病の疑い濃厚です。しかもオシッコするとメチャクチャ痛みを感じるようなら、間違いありません。これを無理に我慢していると、炎症が慢性化してしまい、さらに尿道が狭くなって、オシッコを出にくくしてしまい大変なことになります。最近は医学の進歩のおかげで、簡単に治療ができるようになったので、ご安心を。淋病専用の抗生物質の注射を一本打てば、すぐに完治します。

2.非淋菌性尿道炎(クラミジア感染症)

淋菌以外の雑菌によって尿道に炎症を引き起こした場合『非淋菌性尿道炎』と言い、その多くは“クラミジア”と呼ばれる非常に小さな菌によるものです。『クラミジア』の特徴的な症状としては、淋病よりも薄くてやや水っぽいウミが、尿道から出て下着についたりし、排尿時、尿道になんとなく不快感が感じられるといったものです。女性に感染しやすく、最悪の場合は不妊症の原因になるケースがままあるので、早めの治療をお勧めします。

3.梅毒

かつて梅毒と言えば、それは死を意味し、梅毒が原因で命を落とした歴史的人物、著名人なども多かったのですが、現在では梅毒は完璧に治療可能な病気に数えられています。それでは、簡単に梅毒の感染経過を説明します。一般に知られているように梅毒の潜伏期間は長く、人によるバラつきがあります。感染後、約三週間程度たつと、まず始めにペニスにシコリができ、次には、股の付け根(鼠径部)にあるリンパ腺が腫れてきます。そして約三カ月後になると、バラ疹といわれる赤い斑点が体のあちこちに登場します。一般に梅毒判定には血液検査が用いられ、感染後、4週間から6週間程度経ると、血清梅毒反応が陽性と出ます。現在では優れた抗生物質、新薬、ペニシリンなどが開発されているので、安心ですが、稀に表面的な症状が出ないまま梅毒が進行してしまうケースもあるので、注意が必要です。

4.エイズ

今、STDにかかわる最大の課題は、エイズ問題の克服しかないでしょう。エイズとは日本語でいえば『後天性免疫不全症候群』となります。エイズを一言でいえば、人間の血液内にあるいろいろな免疫機能が低下してしまう非常に恐ろしい病気で、しかも症状がすぐに現れないというやっかいな特徴を持っています。感染後、2年から5年、あるいは7年ともいわれる潜伏期間で、一見スローテンポでウイルス感染が進行していくものと思われます。ところが一旦発病するやいなや、その多くは1年以内に50%以上の人が亡くなる怖い病気です。日本ではまだまだ感染者数が少ないと言われていますが、統計的な数字として現れてこないだけで、潜在的な数は、ひょっとしたら計り知れないほど大きな数になっているのかもしれません。今のところ、これといった治療法は発見されていません。感染後、6〜8週間の潜伏期間があるので、すぐに陽性反応を検出するのは無理ですが、生活するうえでのマナーとして血清検査を実施するのが常識になりそうです。とにかく身に覚えがある人は、一度エイズ検査をするといいでしょう。

5.陰部ヘルペス

ヘルペスとは疱疹の一種のことで、唇にポチポチとできたりするのと同じ仲間です。医学的には、陰部にできるヘルペスを『ヘルペスII型』といい、唇にできるものを『ヘルペスI型』と分けています。このヘルペスII型の症状は、陰部周辺に小さな水泡ができるのが特徴で、症状自体はそれほど強くはありません。放っておくと自然に引っ込んでしまう場合も多くて、コレといった後遺症もないので、安易に見られがちですが、一度引っ込んで、完治したように見えても、すぐに再発するので、とてもやっかいな病気なのです。結局は徹底した治療が必要なので、診察を受けるのがベストです。

6.尖圭コンジローマ

コンジロームとも言ったりする病気で、ペニスや亀頭部分の付け根、包皮の内側部分に、まるでカリフラワーのような大きなイボ状のものができる病気です。異物感や見た感じの気色の悪さは確かに感じますが、痛くも痒くもないので、知らんぷりしてしまう人もいます。しかし、そのままにしておくとどんどん増殖してしまう気持ち悪い病気でもあります。原因は不衛生さとも言われ、実際、包茎の人の発病率が高く、注意が必要な病気です。包茎の人は亀頭に皮が被ってしまうため、どうしても中身が不潔になってしまい、恥垢が溜まって、病原菌の温床となり、尖圭コンジローマが出現してしまいます。基本的には包茎の手術を施すことが必要ですが、尖圭コンジローマだけを取り除く治療は簡単にできます。

7.カンジダ性包皮炎

“カンジダ”という菌によって亀頭や包皮が赤くなり、白いカスのようなものが覆う病気で、これも残念なことに、多くは包茎の人がかかってしまいます。治療法は簡単で、塗り薬の塗布で治ってしまうことが多いのですが、再発しやすいという難問もかかえており、根本的には包茎の手術も施すのが得策といえます。

8.B型ウイルス性肝炎

ウイルスによって肝臓の肝細胞が破壊されてしまう病気です。ウイルスの違いで、三種類に大別されていますが、A型肝炎、B型肝炎のほかに、最近ではC型(非A非B型)肝炎なども発生しています。感染経路は主にA型肝炎は食べ物を通しての場合が多いのですが、問題のB型肝炎は性交によって感染するケースが非常に目立ちます。他には輸血によって感染する場合もあります。潜伏期間は、だいたい1カ月から2カ月。一番始めに尿が赤茶色っぽくなって、同時に黄疸が出始めます。もうこれから先は、しばらくのあいだ入院してじっくりと治療しなければなりません。


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