塗装の話

家具塗装の目的

なぜ家具には塗装が必要なのでしょうか?塗装の目的は次の2点にあると私は思います。
 1、家具の表面、木材、素材を保護する事
 
2、より美しく見せる事

①保護する事とは紫外線等に対する耐候性力や物理的な力に耐える耐衝撃力、剥がれ難い耐摩擦性、薬品等に強い皮膜力が上げられます。
上塗り塗装として、2液のポリウレタン樹脂塗装等が上げられます。石油系塗料(シンナーを使用)としてはこの塗料を私は使用しております。

②の美しく見せる事とは、お気に入りの色合いで着色する事、木材の美しさ(木目等)をより引き出すための色付けにあります。
着色剤としてはオイルステイン等があります。


家具の用途、質感等により塗装剤を変え、最適な状態でご利用いただけるようご相談させて頂きます。
特に家具の美しさである木目を最大限に引き出す塗装が私の仕事の基本です。

木目の美しさを出した塗装例です。

着色剤を木目に染め入れ、上塗りに透明なポリウレタン樹脂塗装を行っております。木目をきれいに出します。



家具塗装の種類

ポリウレタン樹脂塗装
一般的に高級家具に使われている塗装です。この塗装は耐久性、耐磨耗性に優れているだけでなく耐湯性、耐薬品性等にも優れ、塗装に求められるほとんどの要因をカバーする高品質の塗料です。短所は乾燥するのに時間がかかる為、ちょっとした補修や現場塗装には向きません。

アクリルウレタン樹脂塗装
油脂、酸、アルカリに非常に強い二液反応型塗料です。塗膜も硬く保護目的に対して理想的な塗料ですが、塗料自体の価格が非常に高く、また作業性が悪い点が短所にあげられます。

ポリエステル樹脂塗装
ポリエステルに硬化剤を混合し塗装を行います。他の塗装材のようにシンナー等の溶剤を混合しないため、塗布した量そのものが硬化し、塗膜となるため100パーセント樹脂の塗装といえます。乾燥後表面のパラフィン層を研磨し、磨き上げなければなりません。非常に厚い、艶のある塗膜を作ることができ、耐気候性、耐水、耐湯、耐薬品性があります。

アクリル樹脂塗装
アクリル樹脂をシンナーで溶解し塗装を行います。耐久性、耐気候性にも優れ、ポリウレタン樹脂塗料よりも扱いが難しくなく、そこそこの乾燥性を持っております。

アクリルラッカー
アクリル樹脂に硝化綿(ニトロセルロース)を混合し塗装いたします。乾燥力が高いため作業性に優れております。ソフトな感じに仕上がります。通常のラッカー(ニトロセルロースラッカー)より3倍から4倍の耐久力をもち、何度でも簡単に修復できるという長所を持っているためアンティーク家具にはよく使われております。

UV塗装
UVという言葉は、どちらかというと塗料より化粧品での方がなじみがあると思います。ウルトラバイオレットの略でUV塗料に人工的に紫外線を照射することにより、塗装面が驚異的な速さ(約5秒~6秒)で硬化いたします。塗膜の硬さはメラミン化粧版以上になります。鏡面仕上げの塗装に向いております。短時間で硬化するため大量生産においては大変効率の良い塗装ですが塗料の値段と塗装のための設備に費用がかかるのが今のところ大きな短所になっております。

植物性自然塗料 オスモカラー
石油系塗料(シンナー使用塗料)ではなく、植物油(ひまわり油、大豆油、アザミ油)と植物性ワックスからできた科学物質を含まない、自然て゜体に優しい塗料です。特徴はウレタン樹脂塗料のように木材の表面に塗膜を作るのではなく、木材の内部に浸透することにより「木の呼吸」を妨げない塗料です。安全性の高い塗料です。ドイツ製です。


ムラタ家具修理工房で使用する塗料
石油系では2液のポリウレタン樹脂塗装を、植物系ではオスモカラーを使用しております。オスモは自然塗料、気の呼吸(調整機能)を妨げない塗料としての特徴だけでなく木の質感(木目)が綺麗に出ることから昨今は問い合わせが多いです。
基本的にはこの二種類の塗料が多いのですが、用途によりましては、水性塗料、オイルステイン等も使用いたします。塗装に関しましてはご相談くださいませ。