乞食の天国 ラサPhoto by Tadao Kimura

働かざる者は食うべからず。この言葉はチベットには存在しないようだ。仏光照らす

聖地ラサでは、不幸な人々を助けることが徳を積むと考えられ、不幸な人々を無視

することをしない。だからラサには乞食が多い。特に毎年チベット歴の四月十五日サ

カダワ祭りの日は、乞食にとって極楽の日である。祭りにはチベット中の人々が巡礼

でラサにやって来る。街中、香草を燻らし、人々は香の中を決まったルートで黙々と

寺詣りをし、布施をする為に銀行で大きな金を小金に両替し、乞食に与える。1995年

のチベット歴4月14日、私が銀行へ両替に行った時のことである。8才位の可愛い少

女が入ってきて百元を百枚の一元に両替してほしいと銀行員に頼むのだが、大勢の

人々が両替をした後なので、小金がなく、希望はかなえられなかった。少女は「明日

私はお参りに行くので、身体が不自由な乞食達にお金をあげたいのです。私は前世

で身体の不自由な乞食達を助けたことがあったので、今世に美しい少女に生まれて

くることができたのだとお婆ちゃんから聞きました。だからどうしても小金がいるので

す。」彼女の言葉からも、善良なチベット人は不幸な生命に対し、自分の出来うる限

りのことをするのが当然だと考えていることがわかる。なんと美しい心を持っているの

だろうか。そして、施しを受けた乞食達もまた、釈迦を信じ、感謝し、来世への希望を

持つようになるのである(soboku)

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