輪廻転生へ通じる道「鳥葬」
チベット人は厳しい大自然の環境下での生活に不便を感じていないのだろうか。
物質文明の国とチベットとは100年の隔たりがあるように思える。彼らの生きる希望
はチベット仏教の輪廻転生の思想によって支えられているのだが、つまりは死後、
生まれ変わっても、人間界や神明界に転生することを、ひたすらに願っているので
ある。
初めてラサのセラ寺の隣にある鳥葬場でチベットの友人の鳥葬に参列した時のこと。
夜明け前に、肉と骨を細かく切り刻み、ザンパ(チベットの大麦)と一緒にして、ハゲ
タカに食べさせ、無に帰し、儀式は終わる。原始的で残酷に見えるが、チベット人に
とっては理想的な葬式なのである。私は鳥葬場の上空を舞っているハゲタカを仰ぎ
見、彼らの輪廻転生に対する考えを悟った。命がつきたら肉体までも鳥達に布施を
するのである。鳥も神格化され大切にされている。なぜならその鳥こそが輪廻転生
の媒体となるからである。私も友人の霊魂が早く輪廻転生出来るように祈った。(soboku)