1 遠い、遠いエアーズ・ロック

      成田====Sydney====AliceSprings====Yulara(AyersRock)

   (1) TOMODATI
      シドニー・キングスフォード・スミス国際空港には定刻よりも約1時間遅れの到着であった。
      国内線への乗り換えを2時間半見ておいたのだが、入国にも50分近く費やしてしまい、
      時間的な余裕がほとんどなくなってしまった。どうなることやら。
      国内線の空港へはバスで移動しなくてはならず、しかし、オーストラリア$は持っていず、
      さりとて、朝早くて空港内の銀行も開いていなかった。もう万事休すであった。
      エアーズ・ロックが遠のいた・・・・と思った。
      ところが、インフォメーション・カウンターで相談していた私たちを見て、一人の体格の良い
      紳士が近づいて来て、
      「私は今から国内線ターミナルに行きます。"We are TOMODATI."遠慮しなくて良いですヨ
      タクシーで一緒に行きましょう。」とニコニコしながら日本語で話しかけてきた。
      "FRIEND"でなく、"TOMODATI"と言ってくれたことにいたく感動をして、お言葉に甘えることに
      した。
      結果、彼の好意で私たちはようやくのことで国内線に間に合った次第。これでエアーズ・ロック
      が近づいたかに思えたのだが・・・・。
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      ところで、空港での女神、いや親切なミスターは、その後、かなりの間文通のやり取りを
      する中で、
何と、ハンググライダーのオーストラリアチャンピオンであることが判明。
      貿易商を営み、
日本には何回も来ている人であった。その名をロン・ゴスという。
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    (2) お金がない
      オーストラリアのド真ん中、アリススプリングスの空港は『赤い砂漠』の中にあった。
      オーストラリアの大地の息吹が聞こえてくる思いである。エアーズ・ロックへは
      このアリスから更にユララまで45分間飛行機に乗らなければならない。
      カウンターに行き、1泊2日のエアーズ・ロック小旅行の予約の確認をする。
      「MR.&MRS. MIZUNO OK. 265オーストラリア$です。」
      「オーストラリア$を持っていないんです。銀行はありませんか?」
      「この空港には銀行はありません。」
      「エエ〜〜!どうしよう。」
      『☆▲▽★・・・・MIZUNO』何か私を呼んでいるような。ユララへの飛行機がでる時間なのだ。
      『☆▲▽★・・・・MIZUNO』放送で確かに私の名前を呼んでいる。早く搭乗してくださいという
      ことなのだ。
      どうしよう、どうしたら良いのだろう!      
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                                   結局、現金は持っていないために
 アメックスのチェックで許してもらい
 支払いをする事にした。
 そして、急いで飛行機に飛び乗った。
 15分遅れであった。
 『皆さん、ごめんなさい』
 50人乗りくらいの本当に小さな
 プロペラの飛行機で、日本人は
 私たち夫婦2人のみ。スチュワ
 デスの見込みが良く、何と、コッ
 ク・ピットにまで案内された。
 今では考えられないことである。
 
      



      約45分の遊覧飛行の後、ユララリゾートの玄関口、赤い砂漠のコネラン空港に無事着く
      ことが出来た。上の写真は飛行機から降りて直ぐ。空港といっても施設はほとんどなく、
      私の前にある丸木が空港『CONNELLAN AIRPORT』の看板である。
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    (3) またまたアクシデント
      「ユララ行きのバスがでます。荷物を受け取った方からバスに乗って下さい。」
      空港の小柄だが、はち切れそうに若い案内係の女性が大きな声で私たちを誘導する。
      皆それぞれに自分の手荷物を受け取ってバスに乗って行く。
      ・・・・・・・・私の手荷物がない!
      アリス・スプリングスで私たち夫婦は、飛行機に飛び乗ったのだが、どうやら空港の係が
      手荷物を乗せ損なったらしい。
      この旅はアクシデント続き。エアーズ・ロックが遠い。
      「大丈夫、ホテルに届けますから。」と案内係の女性が私たちの心配そうな様子を気遣って、
      慰めながらバスに乗るように促した。
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      Sheraton-Ayers Rock Hotel バッグがまだ届かなくて・・・・・
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      ホテルの部屋に入って見たものの、バッグがなくては落ち着かないし、着替えも出来ず
      どうにも身動きが出来ない。
      『そろそろエアーズ・ロック行きのバスが出る頃だから、ホテルのロビーに行っていようか』
      ということで部屋を出て、ロビーに行く。さすがに大きなホテルで、ロビーは立派だし、
      ブテイックやレストランもある。一通り見て回り、ソファーに座ってバスを待つ。
      「ここで待って居れば良いって言ってたよなあ。遅いなあ。・・・・・・(沈黙)・・・・・・・」
      幾ら何でもおかしいと思って、再びカウンターに行く。
      「エアーズ・ロック行きのバスはまだですか?」
      「もうすぐ来ます。待ってて下さい。」
      「もうすぐ、もうすぐって、もう時間が過ぎているのに!」と言うと、
      「まだですよ。」
      「???????」
      ホテルの時計と小生の時計と比べると時間が違っていた。
      ????????
      何と、私の時計はシドニー時間、ユララとシドニーは30分の時差があったのだ。
      同国内で時差があるなんて、思いもよらなかったことである。
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      そんなことを受付カウンターの人とやり取りしているところに、バスがやって来た。
      今度はエアーズ・ロック行きにしてはいやに早いなあと思ってロビーから外へ出ると、
      何と!空港のあの若い女性が、私のシルバー色のバッグをバスで届けてくれたのだ。
      アリスからの次の便で来たとしても、あまりに早く届いたのでむしろビックリしたのだが、
      いずれにしてもバッグが手元に戻り、一安心であった。
      そして、スッキリした気持ちで、私たちはエアーズ・ロック行きのバスに乗り込むことが出来た。   
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    (4) やっと来ましたエアーズ・ロック


夕刻、10分毎に岩の色が変わる。最初は砂漠の
太陽に照らされて黄金色に光っていたものが
だんだん色を増して、上の写真は18:20
ほとんど紫色に輝いている。ワオッ!
2億3千万年前にできた砂岩の塊。周囲約9キロ、
高さ348メートル。まさに、世界最大の一枚岩であ
る。これまで何人の人が転げ落ちて死んだという表
示板を横に見ながら慎重に登る。本当に途中で転
んだら下まで何の障害物もなく落ちてしまいそうな
少し滑りやすい岩肌である。それでも、最初の急な
登りを登れば、後はほとんど起伏のない道程であ
った。どこが頂上なのか良くわからないが、他の人
について行くと、しばらくして、頂上を表す銅板の
埋め込まれた表示があった。360度地平線。砂漠
の真ん中の自分が本当に小さく感じた。
岩肌にはいくつもの洞穴がある。その中にはアボリジニの芸術が幾つも残されている