【La France Ensemble (豊橋日仏サロン)】
《現地報告》1:南仏プロヴァンスから(中嶌秀樹さん)
件名 : プロヴァンスから
日時 : 2006年10月23日
新鮮な牡蠣にコート・ド・ニームのロゼ、最高でした。
ナイスアドバイスの御礼に旅の報告をします。
昨日は起床4時。
それからインターネットを繋ごうとしましたが繋がりません。四苦八苦の末、ようやく有料のホテル専用無線
LAN管理会社(WIFI)に繋がり、こうしてメールを送ることができるようになりました。
いつもの簡単なハムとチーズとクロワッサン、カフェオレで朝食を済ませ、
一路アヴィニヨンへ。
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要塞に囲まれたアヴィニヨンの旧市街、カーナヴィが無いので久しぶりに地図を見ながら細い道をぐるぐる
廻り、何とか聖ベネゼ橋近くの駐車場に辿り着きました。
「6時間3ユーロをパーキングメータに入れてください。」と係りのお兄さんが寄って来ましたが、財布には小銭
が無し、お兄さんも両替できず。
「どこかで両替してくるからちょっと待ってくれ。」と言うと
「あなたを信用するから見学から帰ってきたら僕を呼んでくれ。」と彼、何と親切でやさしい係員だろうとプロヴァ
ンスの人情に触れ、心温まる思いで“橋の上”へ。
【聖ベネゼ橋】
“橋の上で輪になって踊ろう・・・・”と思ったら幅はせいぜい4〜5メートル。川に落ちたくないので早々に橋を後
にして法王庁へ。そこから見る聖ベネゼ橋はまさに絵葉書どおり、遠くまでプロヴァンスの丘陵が広がり、絶景。
水を買って小銭をつくり、駐車場へ戻ると先程のお兄さん、呼び止めて「はい3ユーロ」と手渡しするとニコリ。
「オランジュへ行きたいんだけど」と聞くと、
「この道をまっすぐだよ」と車の誘導までしてくれてまたまた超親切。
「オーヴァー、メルシー」・・・・・・・
ところであの3ユーロはもうパーキングメーターに入れる必要もないし、・・・・・・
あのお兄さんうまく稼いだなと思いつつオランジュへ。
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目的は野外劇場。駐車場から歩いてそこに向かうと眼の前に巨大な一枚の壁。中に入ると2000年の時を
タイムスリップしたような不思議な巨大空間。壁の上部にあるアウグストゥスの像がともすれば無味乾燥な古
代遺跡ではあるが、人の営みがあったという事実を訴えかけているようで胸に迫るものがありました。
【オランジュ・古代円形劇場】 | 【ポン・デユ・ガール:2千年前、ローマ人が造った】 |
時刻は既に3時を廻っています。ポン・デユ・ガールに向かわねば。着いたら4時を過ぎていると言うのに駐
車場は一杯。やはり有名な観光地だという事を実感させてくれます。橋の方へ歩を進めると、遠くに見えてい
た橋がいつのまにか巨大な建造物となって眼前に現れます。誰もが思うとおり2000年前にどうやって作った
のだろうと思うと
まだまだ私のものづくりなどかわいいものだなと反省をしつつ、今日の最終目的地ニームへ。
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今晩はホテルが予約してありません。
闘技場、小神殿をすでに閉まっていたので外から見学し、安易に見つけた街中のNOVOTELへ。食事をかねて、
きっとライトアップされていると思い、散策に出かけました。日曜日のせいで開いている店が少ないし、どのレスト
ランも客はまばら。その中で路地裏を歩いていると一軒だけ満席で賑わっている店を発見。どうやら海産物の店
らしい。楽しそうに大皿の牡蠣を食べている。牡蠣はパリで食べる予定だったので少し躊躇したが、肉という気分
でもなかったので
「二人座れるか?」と聞いたら
「いいけど、もうパンも売り切れ、エビもないし、あるのは牡蠣とムール貝だけだよ」と初老のオヤジ。それでもいい
からと着席。伊藤さんのメールを思い出し、
「コート・ド・ニームのロゼはある?」
「もちろん」とマドモワゼル。やがて牡蠣が届き、無いはずのパンも付いている。
「パンがあるじゃない?」と聞くと「向かいのレストラン(客はゼロ)で貰ってきました。」とマドモワゼル。そう言えば
昔の日本も隣で醤油を借りたりしたなと、そのおおらかさと優しさに感激。
牡蠣を一口頬張ると何と新鮮な事か、これまで何百、ひょっとしたら何千個とフランスで牡蠣を食べてきたがこん
なに中の潮が透き通って、味の濃い新鮮な牡蠣には出会った事がない。いつもはあまり食べないムール貝の生。
恐る恐るビネガーをのせて口に運んだら、何とこれも全く生臭みは無く、超新鮮、絶品である。こうなれば後はワイ
ンが待ち遠しい。
《CHATEAU L'ERMITAGE COSTIERES DE NIMES 2005》コート・ド・ニームのロゼが届いた。テイスティングで口に
ふくむと、良く冷えてこれまた何とスッキリとした味わいだろう。 日本酒でいうと“上膳水如”、なぜかロゼは甘いとい
う先入観を持っていた私には衝撃的な出来事であった。帰りに、
「このワインを持ち帰りたいのだけど、冷やしてないのを売ってくれないか?」と聞くと、
「いいよ」
「ところでいくら?」
「冷やして店で出すのは13ユーロだけど、このままなら6ユーロだよ。」(それって原価じゃないの?)と心で思いつつ
「OK」大満足の夜でした。帰ったら皆で飲みましょう。
今日はモンペリエまで走り、その後、海辺を通りながらアルルへ行きます。
では Bonne journee !
中嶌 秀樹・・・・・・ニームにて
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----- Original Message -----
From: "伊藤 篤哉"
To: "Hideki Nakajima"
Sent: Monday, October 23, 2006 12:29 AM
Subject: Re:
> 中嶌さんへ
> うらやましいなぁ〜
> ブイュアベースは
> 「シェ・ルーリー」が最高でした。
> マルセイユの旧市街です。
> イフ島はマルセイユの港から船が出ますが
> エドモン・ダンテスのファンなら感動物です。
> ワインはカシーやバンドールの白がお勧めです。
> コート・ド・ニームのロゼもいけます。
> 赤はせっかくなのでローヌの良いものを!
> シラー100%のコート・ロティはじめ
> ジゴンダスも良いですよ。
> ニームの赤も素晴らしいです(^^)
> 伊藤篤哉
>
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件名 : プロヴァンスから−2
日時 : 2006年10月24日
ニームを後にして、昨日はまずモンペリエまで行きました。あいにく地中海特有の澄んだ青空ではなかったのですが、
旧市街はとても綺麗な街で、何より女性が美人なのには驚きました。皆さんに写真でお見せできないのが残念なくらい
です。何故かという考察はお任せ致します。目的のファーブル美術館は工事中のため見学できず。
ここからはオートルートを離れて県道に入り迷い迷ってグロー・デユ・ロワという港町に着きました。前日の牡蠣に味を
しめて新鮮な魚を食べたいと思いましたが、街には別荘付きの大きなヨットハーバーがあり、おしゃれな街には違いがな
いのですが、 すべてのマンションのベランダのシャッタが降りており、完璧にシーズンオフという感じ、ここまで見事に人
の居ない街も珍しいというぐらいでした。よって開いているレストランもまばらで魚にはありつけず。
海岸通りを砂浜と平行に、珍しい塩田を見ながら城壁に囲まれた街エーギュ・モルトへ。ドイツのローテンブルグほどは
観光地化されていませんでしたが、城壁を一周でき、映画でよく観る中世の戦を想像しながら、大変いい運動になりました。
そして昨日の宿泊予定地アルルへ。劇場も闘技場もあるけれど、お目当てはゴッホゆかりの地を訪ねること。ホテルは
旧市街のまさに入口にあり、超便利。今回の旅行で最高級のホテルです。しかし、何故か泊まり客はまばら。立地と古い
アンティークな建物におぼれた感あり。 早速、「夕べのカフェテラス」へ。黄色い光に包まれてのんびりパスティスを飲み
ながら至福の時を過ごしました。
日が替わって今日。劇場、闘技場を見学の後、ゴッホが住んでいたという「黄色い家」に向かいました。もはやその家は
ありませんが、絵の構図通りにその家の後ろにあった建物が残っており、 充分に当時の様子を想像させてくれます。
郊外にある「アルルの跳ね橋」を見学し、マルセイユへ。
【ゴッホ・跳ね橋】
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やはり大都市は道がわかりにくく、旧港を探している内に工事中の交差点でいきなり前の車がバックして来て、アッと
いう間にガツン。これまで運転にも慣れ、順調に旅を進めてきたのに
「ついにやっちゃった。」という感じでガックリ。幸い相手は可愛いお嬢さんでフランス人にしては珍しく自分の非を簡単に
認め、その場で示談書を交わし最後は握手をして「オヴァー」。もちろん警察などは呼びません。簡単なものです。災難は
いつどこから降ってくるか判りません。やはり保険には入っておくものですね。
ようやく着いた旧港で伊藤さんに教えてもらったブイヤベースのおいしい店を捜そうと案内所へ。しかし、あっさりとレス
トランの案内まではしてませんと係のマダム。ムッときながらしょうがないから適当にどこかへ入ろうと歩きだしたが、きっ
と大通りにはそんな旨い店は無いはずだと細い路地に何軒かのレストランが眼についたので入ってみたら、何とそこに
“CHEZ LOURY”の看板。「これだ!」と大発見したような気分。今日は車に当てられるしついてない日だと思っていた
だけに喜びもひとしお。
まず最初にブイヤベースのスープのみがとても熱く出され、これが絶品。ワインはギャルソンの薦めるままにBANDOL
のCHATEAU SALETTLES 2005の白 ニームでのコート・ド・ニーム同様大変スッキリとした味がブイヤベースに
ぴったり。 魚(多分コチのような魚)を3匹取り分けてくれたが、乾パンを浮かべてふやかして食べたせいか腹一杯。
その後イフ島へ行こうと船着場へ行ったが、
「今日は波が高いのでイフ島には寄りません。」と言われその後の島へ。その白い岩肌と青い空がまさに「太陽がいっ
ぱい」を彷彿させ、スロータウン映画祭には絶対行こうと意を強くさせてくれました。もう車はこの街ではちょっと自信が
なかったのでタクシーでノートルダム・ド・ラ・ギャルドへ。遠くにはイフ島が傾きかけた陽の陰となり、すぐ下には無数の
ヨットが狭い港にぎっしりと繋がれ、山側にはどこまでも続くオレンジ色の屋根。すばらしいパノラマである。
【厳窟王・イフ島:紺碧の海、地中海】
本当は明朝まで借りるつもりだったレンタカーを事故の説明もした方がいいかと思い、 そのまま空港へ返しに行き、
淡々と事務的に事を終えた。明日は朝6:30の便、もう寝なくては。
では皆さんお休みなさい。
中嶌 秀樹
(マルセイユ空港のホテルIBISにて)
事務局
E-mail nakajima@lastec.co.jp (中嶌)
Tel 0532-45-7637(FAX同番) (水野)