1996年度研究発表(泊昌孝)

(1) 96年度、研究実績の概要

  代数多様体や複素解析空間上にあらわれる特異点の不変量を、特異点解 消に
おける例外集合、および特異点解消操作の複雑さとの関係で分類論的に考察をつ
づけている。

(a)2次元2重点について、関係式 $ p_g  \leq p_a\cdot L $ を証明した。
これは、私自身が修士論文の時代に予想していたもの解決であり、2重点の
解消過程の詳細な解析による。(発表1,2, 6)

(b) 3次元特異点の有理性の判定に関するReid予想の反例(3次元3重点による)
を発見した。一方、同予想を2重点に関しては単純K3特異点 に関し肯定的に解決
した。問題自身が現在非常に重要な曲面にさしかかっている事を明かにする
仕事ができた。(発表4)

(c)divisor class group が有限群になる、超曲面2次元次数付環を特異点論的に
(そのweightにより)分類した。Brieskorn type の多項式について藤枝淳道君が行った
結果を一般の超曲面の場合に拡張したものである(藤枝君との共同研究。発表5, 3)

(d) 2次元正規特異点について、Artin's fundamental cycle と極大イデアル因子
の同一視原理について、簡明な判定法を証明した。(発表7)

  研究の遂行にあたり、早稲田大学をはじめ多くの研究機関への出張による
密な研究連絡・討論が、私にとって非常に有益であったとおもわれます。
科研費による補助に対して心から感謝します。

(2) Key Words: 

  特異点解消操作、不変量 $L$、幾何種数、 Reid予想、単純K3特異点、
 divisor class group 、Artin's fundamental cycle 、極大イデアル因子

(3) 発表:今年度は、多くの機会に口頭発表した。(残年ながら、)論文は準備中である。

口頭発表

1.  An upper bound of $p_g$ of surface singularities,
    Concluding Workshop of Algebraic Geometry , 
    University of Warwick,1996年7月24日

2.  An upper bound of $p_g$ of surface singularities,
   Workshop on singularities and the geometry of analytic varieties , 
   東京都立大学、1996年10月8日

3. Invariants and deformation theory of 2-dimensional singularities 
   (after J. Wahl's works ),   CR geometry and isolated singularities 
   conference,  京都大学基礎物理学研究所、1996年12月19日

4.  Theory of filtered rings and filtered blowing ups and  singularities 
    on complex spaces of dimensions 2 and 3.
    Winter Seminor in Complex Analysis in Several Variables、
   Shonan International Village Center, in Hayama, 1996年12月25日

5. 超曲面2次元正規次数付環の divisor class group による分類
 (with 藤枝淳道)、1997年3月5日〜8日、射影多様体/特異点
 研究集会、早稲田大学

6.  2次元正規2重点についての不等式 $ p_g \leq L\cdot p_a $
    日本数学会総合分科会、信州大学、(代数学) 1997年4月1日〜4日

7.  2次元正規特異点の maximal ideal cycle と fundamental cycle 
    の同一視について
    日本数学会総合分科会、信州大学、(関数論) 1997年4月1日〜4日


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