■石田頼房先生を囲むミニ研究会の報告

 

昨年の開催に続く2年目にして、早くも恒例化の雰囲気があふれる「囲む会(先生の言葉を借りると『囲まれる会』)」が、去る11月10日午後、駿河台の()日本立地センター(東京YWCA会館内・梶川会員の職場)の一室を会場に、大竹代表(都市再生機構)以下20名が参加して開催された。

 

この日のテーマは『都市計画における「計画構想」の役割について』であり、事前にメール配信された先生のレジュメによればもっと正確には『西山夘三の「構想計画論」の役割について』としたかった、とのことであった。

石田先生は「西山夘三の住宅・都市論」(日本経済評論社、20075月刊)を手に、お話をされた。

先生はこの本の書評を書こうとしているときに今回の「囲むミニ研究会」の話があり、そこで西山夘三先生の構想計画論に関する検証・批判をテーマにされたとのことであった。

 

この日のお話を伺って、さっそくその『西山夘三の住宅・都市論』を入手した。

まだ一部を読んだだけだが、西山先生の愛弟子といった面々が、西山理論の各側面について、かなり辛口の論評を加えている。この本の入手については、末尾に「著者割引」で入手できるサイトが記してあるので、まだ入手されていない方はご利用いただきたい。

(私自身は定価で購入してしまったが。)

 

また、1993年の「住民と自治」誌も我が家にあり、これに掲載された西山・石田対談も読んでみた。

 

西山先生には、一度だけお目にかかったことがある。

もう20年ほど前、たしか伊豆の修善寺であったように記憶しているが、自治体学校かなにかの会合で、「住民主体のまちづくり」をテーマとした分科会に出席した際のこと。司会者が「今日は京都大学の西山先生がお見えになっています」と、出席者一同に、部屋の中程に座っていた初老の参加者を紹介した。

すると西山先生は立ち上がって、一同に向けてにこやかに挨拶をされた。大先生ではなく、温厚そうな田舎のおじさん、という風貌であった。

 

本題に戻ろう。

「囲む会」の当日は、日中から今にも雨が降りだしそうな曇り空で、参加者の出足が心配されたが、事務局役をつとめてくれた古里会員(埼玉県庁)の尽力もあり、石田先生のお話を聴きたいという参加者で会場は満席になった。

昨年と同様に、呼びかけ人を代表して谷口会員(都市再生機構)が挨拶し、先生の講義が始まった。

 

お話の端緒は、「構想計画とはなんぞや」ということから展開された。

西山先生が構想計画の一つの例として主唱された「イエポリス」は、私も学生時代に触れて、「家に帰ったら靴を脱いで上がるように、都市に帰ったらクルマという下駄を脱ごう」という比喩は新鮮で判りやすく、当時かなり傾倒した覚えがある。

 

この日に受けたインパクトは、石田先生がいかに西山先生の著作を熟読されているかということであり、改めて西山先生の著作を読もう、と思わせるものであり、今後、少しでもわが書棚や書店を探ってみねば、という気持ちを強めた次第である。

 

「囲む会」恒例の懇親会は、お茶の水駅に近い寛いだ居酒屋に席を代えて開かれた。

懇親会には加藤会員(東海大学)も駆けつけてこられた。

出席者の近況報告などで話は弾み、石田先生からは「昨今の先生の日常」について、びっしり書き込まれた手帳を参照されつつ、元気に地域活動などに参加されていることが報告された。

来年のこの会までには、この日に話題に上った文献を少しでも多く読んでみよう、と(おそらく多くの出席者も)決意を新たにしつつ、降り始めた雨の中を散会した。

(文・村松 紀明 S47卒)

 

補足

☆『西山夘三の住宅・都市論』の注文

・税込み定価3990円を、文庫への注文に限り、税込み3000円に約25%割引きます。送料は無料です。

http://www.n-bunko.org/order200707.doc

     上記のURLをコピー&ペーストでIEのアドレス欄に貼り付けてご利用下さい。