X子:さぁ、前半5組のネタ披露が終わりました。

Y美:後半4組に参りましょう!
   6組目は、このコンビです!


キャラクターとネタの両輪が噛みあった漫才は各地で旋風を巻き起こした。
憧れの先輩もかつて輝いた栄冠を掴み、勝利の美酒に酔いしれろ!
エントリーNo.046 「名門の最新兵器」
kissしてシクラメン
はじめてのよるにそなえて
峰岸:どーもー、kissしてシクラメンでーす!

花笠:ハッハッハッ、恋はやめられない止まらない……かっぱえびせんと一緒さ! 花笠オトコマエだ!

峰岸:冒頭から意味わかんないこと言うの止めてくれないかな! 惚れちゃうんですけど!
   まぁね、屈強な女の子連れてきちゃって申し訳ないんですけどね!

花笠:ところで峰岸よ、私は男前のロリコンなんだが、君は?

峰岸:何だその突如とした告白! よくそのテンションで聞けるね!? あのごめん私ロリコンじゃないんだ!

花笠:そうか。いやー、君は知らなかったかもしれんが、私はあらゆる子供が好きなんだ。
   こども店長が出ているCMの車はだいたい購入したくらい好きだぞ!

峰岸:TOYOTA車を!? 何その無理のある幼児愛好バイタリティ! 破産しそう!

花笠:そんな私が最も好きなテレビ番組があってね。それが、おかあさんといっしょの「パジャマでおじゃま」なんだ。

峰岸:やっべえリアルな奴来た! 幼い少年少女の公開生着替え番組じゃん!

花笠:そんな訳で、峰岸よ。私がテレビの前の人やるから、峰岸は可愛らしい雛鳥をやってくれないだろうか。

峰岸:嫌過ぎる!! 今までお願いされたコントの中で群を抜いて嫌だよ!
   私が着替え始めたらそれはもう漫才じゃなくてポルノじゃねーか! そして雛鳥とか言うなよ! 怖い!

花笠:頼む! ……私がこれ程まで頭を下げても嫌と言うのかい……?

峰岸:ねえ土下座と上目遣いやめて!? 妙な罪悪感湧いて来るから!
   いやいやオトちゃん? もっと他のコントないの?
   私、相方が例え性倒錯者でも仲良くして行きたいと思ってるし、ここはお互い歩み寄って行きたいなあ!

花笠:そうか、では二番目に好きなテレビ番組があるんだが……。
   しかし、これはあまりにも破廉恥で、私も赤面してしまうんだ……。

峰岸:え、そ、そうなの? まあ、とりあえず怒らないから言ってごらんよ。

花笠:………………「はじめてのおつかい」なんだ。

峰岸:……ん? 今なんて?

花笠:だ、だから……はじめての、おつかい、なんだ。

峰岸:はじめての、おつかい?

花笠:キャッ!

峰岸:マジで!?

花笠:キャッ! キャッ!

峰岸:……全然わっからねえ……!!

花笠:キャッ!

峰岸:おいキャラ崩壊やめろ! イライラする! いや、あれって普通に微笑ましい番組じゃないの?

花笠:いや、何も知らない懸命な雛鳥達をカメラが物陰から捉えているというシチュエーションがな……。
   ……おおう、鼻血が出てしまう……!

峰岸:シチュ萌えなんだね……。いや、そうだね……はじめてのおつかいコントなら、やっても良いかな。

花笠:山が動いただと……!?

峰岸:大袈裟だな! じゃあ私子供やるからオトちゃんはナレーションとかお願いね。スタート!

花笠:こんばんは、はじめてのおつかいです。今日、おつかいに挑戦するのは峰岸喜久子ちゃん。
   果たしてちゃんとおつかいを成功させることができるのでしょうか。

峰岸:よーし、ママからお使いを頼まれたぞー! 頑張って私も立派なお姉さんになるんだー!

花笠:さて、その前の晩の喜久子ちゃん、パジャマを一人で着れるかな?

峰岸:パジャマでおじゃま始まってんじゃねーか! すこぶる嫌だって言ったの忘れてるなさてはー!

花笠:D・V・D! D・V・D!

峰岸:何のコールだよー!? よくわかんないよ怖いよー!
   だからさー、もう昼間だからパジャマには着替えないよ私はー。お買い物にいくんだからね!

花笠:元気に家を出た喜久子ちゃん。はじめてのおつかい、出来るかな?

峰岸:カレーの材料を買いにいくんだー! まずは八百屋さんでお野菜を買うよー! すいませーん!

花笠:ハッハッハッ! 私だ、男前の八百屋さんだぞ!

峰岸:うわっ、凄い既視感のある八百屋さん出て来た!

花笠:ははあ、君がテレビ局の人が言ってた喜久子ちゃんだな!

峰岸:それ絶対本人に知られちゃいけない奴!
   あーでも私純粋な子供だから言ってる意味わかんないなー! 理解出来ないなー!

花笠:いらっしゃい! 何を買うんだい?

峰岸:えーっとねー、カレーの材料を買いに来たんだよー!

花笠:そうか! ならばこの木の棒と新聞紙はどうだい? 安いぞ!

峰岸:ゴミだなー! いくら純粋な私でも、流石にそんな物買わないぞー!

花笠:この火打ち石も安いぞ!

峰岸:ゴミだ……さてはうちの火の回り舐められてんなー!? うちにはIHクッキングヒーターあるんだよー!
   にんじんと玉ねぎとじゃがいもを下さいなー!

花笠:そうか、はいどうぞ! 大きいの選んでおいたぞ!

峰岸:わー、男前な八百屋さんありがとー! はい、じゃあこれお金です!

花笠:うむ! あ、そうそう! お嬢ちゃん可愛いから、袋の中にオマケ入れといたぞ!

峰岸:えっホントー! うわー、ありがとー! 何入ってんのかなー。

花笠:ロウソクだぞ!

峰岸:いらないなー! どうしてずっと火を扱う文化が無いと思われてんのかなー! まあ一応貰ってくけどねー!

花笠:あと来月の十日に放送するらしいぞ!

峰岸:おいその口閉じなー! 私にも幼いなりに理解力あるんだからなー! じゃあねー!
   さてと、次はお肉屋さんでお肉を買わないといけないなー!

花笠:ハッハッハッ! 私だ、男前の紙芝居屋さんだぞ!

峰岸:うわ、また見覚えのある人が出て来た! って、紙芝居屋さん?

花笠:ハッハッハッ! 私はな! 番組ディレクターに言われてやって来た仕掛け人だぞ!

峰岸:うわー壊滅的な自己紹介始めだしたよー!
   どんな穢れを知らない幼女でも、そろそろこのおつかいのカラクリが分かる頃だよー!

花笠:それでは紙芝居の始まり始まりー!

峰岸:あ、いえ、ちょっ、私急いでますんでー! そのー! お使いの最中なんでー!

花笠:ええっ、そんな! 見て行ってくれ! 頼む! ……これだけお願いしても、嫌なのか……!?

峰岸:ねえ土下座と上目遣いやめてー!
   なんで男前ってすぐ土下座すんのー!? それにしても大人に土下座される感覚がこんなに気持ちのいいこととはねー!
   もー分かったよー少しだけだからねー。

花笠:おやおや、喜久子ちゃん。まだおつかいの途中なのに紙芝居を見始めてしまいました。大丈夫かなー?

峰岸:大人の本気の土下座を見てしまったからねー! 平然とナレーション当てられてて何か腹立つ!

花笠:それでは、紙芝居の始まり始まりー。

峰岸:わーい! 早めに終わらせろよー!

花笠:『ぐりとぐらと殿』。

峰岸:……知らない話だ!!

花笠:むかしむかし、あるところにぐりとぐらと言う野ねずみの双子と、織田信長がいました。

峰岸:完全に場違いな武将がいるぞー!

花笠:信長は「光秀めー」とロープで縛り上げたぐりとぐらの首を刎ねました。めでたしめでたし。

峰岸:うわーん! 何てもの見せるんだよー! 明智光秀の仇名が禿げネズミとかどの幼女が分かんだよー!
   馬鹿野郎ー! 劇画調の紙芝居の馬鹿野郎ー!

花笠:さあ、おつかいの続きに行っておいで。

峰岸:早く終わった以上のメリットの無いクソストーリーだったなー! じゃあねー!

花笠:あっ、ちょっと待つんだ! お嬢ちゃん可愛いから、プレゼントをあげるよ!

峰岸:えっ本当! わーい、何くれるのかなーお菓子かなー。

花笠:ロープだぞ!

峰岸:トラウマ再びー! 縛られてたぐりとぐらの恐怖にゆがんだ顔が脳裏にフラッシュバックだよー!
   仕方ないなー、貰っていくよー。さてとー、お肉とカレールーを買って来ないとなー。

花笠:おやおや、喜久子ちゃん。そっちじゃありませんよー。大変です、喜久子ちゃん道に迷ってしまいました。

峰岸:あれー、ここはどこかなー。道に迷っちゃったみたいだなー。やはり幼女の空間把握能力には限界があるなー。

花笠:ハッハッハッ、私だ! 男前の婦警さんだぞ!

峰岸:何なんだこの街はー! 男前が次から次へと矢継ぎ早に繰り出されるー! オトちゃんの演技力の底が知れるなー!

花笠:おやおや、可愛い雛鳥よ、どうしたんだい! 八百屋に行って紙芝居を見たあと肉屋に行く途中で道に迷ってしまったのかい!

峰岸:何で全行程知ってんだよー! 家からずっとつけて来たのかよー! そして雛鳥言い出したこいつペドフィリアだ怖いよー!

花笠:私が肉屋に連れて行ってあげよう! さあ、このこども店長から購入したパトカーに乗り込むが良い!

峰岸:えーんえーん! もう小児性愛者を告白しているようなものじゃないかー!
   そのパトカー、エコカー減税と補助金使って買ったのかよー!
   こんな奴の車に乗ったら何されるかわかんないよー!

花笠:逮捕……されたいぞ!

峰岸:うるさいよ! この幼さで公僕の恐ろしさを身をもって知るとはなー!
   と、とにかく道順だけ教えてもらえれば行けるんでー! なるべく私にかかわらないでいただけますかー!

花笠:そうか! ならば、今来たところを引き返して、左に曲がるんだ。後はこの地図通りにすれば分かるぞ!

峰岸:わあ、ありがとうございます! 良かったー、異常者だけど男前の良い婦警さんだったー!

花笠:あ、ちょっと待つんだ! お嬢ちゃん可愛いから、プレゼントをあげるぞ!

峰岸:わあ、うれしいなー! でもこの幼女に会ったらプレゼントをしてしまうこの町のシステムは狂ってると思うぞー! 何だろう!

花笠:手錠だぞ!

峰岸:逮捕されたいアピール止めろよー! やはり異常者だったよー! わーん!
   そして何だこれー!
   カレーの材料の他にロウソク、ロープ、手錠が揃ってしまったじゃねえかー! こんな不健全な結果になるとは思わなんだー!
   おもちゃ屋さんに立ち寄ってしまうどころか、大人のおもちゃ屋さんに立ち寄ってしまったと思われるー!
   よく見たらロウソク赤いしなー! 両親の悲しむ顔が目に浮かぶー! わーん! って、もう止めだ止め!
   オトちゃん! 私もうはじめてのおつかい無理だよ!

花笠:ええっ、リタイアか峰岸!
   そうか、ならばおつかいを成功させて美味しいカレーを食べた後の、就寝前のシーンだけやりたいんだが……。

峰岸:またパジャおじゃ始めようとしてる! もういい加減にしろ!

二人:ありがとうございましたー!


X子:ありがとうございました。

Y美:浜田さん、いかがでしょうか?

 
・美しいネタ。

 キャラクターが口調とかだけでなく、
 ボケの内容と一貫して一致しているのも
 素晴らしい。


X子:おお!「美しい」「素晴らしい」とのコメントが出ましたね。

Y美:続きまして、BONBORIさんはいかがでしょう?

 
・あーもう、大学の図書館なんかで読むんじゃなかったー。笑いすぎて危うく追い出される所だったー。
 なんですかこのキャラクター。男前が三回連続で出てきたのに一切マンネリ感を感じさせないこのキャラクターはなんなんですか。
 花笠さんの完成度はもちろん、最後にいかがわしいアイテムだけが残るストーリー構成とか、花笠さんをかわして持ち上げるような峰岸さんのフォロー力とか、どの面から見てもハイクオリティな作品だと思います。
 「ややっ」と思ったのは、はじめてのおつかいの導入をもう少し早くしてほしかったのと、八百屋さんの所にもう一つくらいボケを入れてほしかったくらいですかね。けどそれらを差し引いても十分すぎるくらい面白かったです。


X子:なるほど…BONBORIさんの大学の図書館の方、すみませんでした!

Y美:それウチらが謝ることなのかな…
   では最後に六升さん、いかがでしょうか?

 
・奇遇ですね私もロリコンです。
 …………まぁ変態性癖の共鳴はさておき、本題に入る前にしっかりキャラクターの紹介が丁寧になされているのは、
 やはり盤石な面白さの土台を作れるので非常に良いですよね。
 男前とロリコンの2重レッテルでキャラクターを把握させて、
 かつそれに引きずられ過ぎずにむしろ意外に漠然とした枠であるコトを利用するかのように突飛な発言を引き出せているのがすごい。
 キャラを大きめの枠で掴んだままその中で十二分に自由行動させられているのが理解しやすさと意外性爆発力の両立を成功させている。
 あとから出てきたロリ峰岸さんもあらかじめ作ったロリコン大枠のオプションを際立たせるのが一目で分かるから飲み込みやすいし、
 長続きすると引いてしまいかねない変態性としつこいキャラのごり押し雰囲気を子供らしさで緩和するコトも出来ている。
 全体の空気感のバランスもかなり良かったです。
 非常に楽しみやすく、言葉選びも映える良いネタでした。
 それにしてもロリ岸さん美味しかったですモグモグー。


X子:おお、奇遇ね。私もロリコンよ!

Y美:えっ…





Y美:…さて、気を取り直してどんどん参りましょう。

X子:7組目はこの方たちです!


今大会で隆盛を極めたもの――「女性ユニット」。
百花繚乱の戦いの頂点に立つべく六大会ぶりにヒロインが舞い戻った。決勝に返り咲いた勢いは止まらない!
エントリーNo.032 「帰ってきた女帝」
KOYOMI
牛丼
睦月「めくれ笑いのカレンダー、」

如月「KOYOMIです。よろしくお願いします。」

睦月「というワケで、私は牛丼チェーンの価格戦争が許せません!」

如月「ネタ振りが乱暴ね。いきなりどうしたの?」

睦月「だって、牛丼屋の価格戦争ってさ、やれアッチが10円安くしたぞ、ならコッチは20円安くするぞ!とかさ。見苦しいじゃん。」

如月「アンタにとってはたかだか10円かもしれないけど、牛丼チェーン各社にとってはギリギリまで計算してやってるんだから。」

睦月「そうなんだろうけどさー。私、牛丼屋って行ったコトないからなんでソコまでするかイマイチピンとこないんだよね。」

如月「まぁ、確かに女性にとっては行きづらい場所ではあるかもね。」

睦月「でしょー?ソレに、牛丼食べに行って、『あ!肉食系女子がいるぞ!』って思われてもヤじゃん。」

如月「いやいや、そんなコト誰も思わないから。牛丼食べてるだけで肉食系なら人類皆肉食系だよ。」

睦月「ソレでお店に居る草食系男子が逃げるワケでしょ。葉っぱとかでカモフラージュしてさ。草食系装飾系男子。」

如月「百歩譲って逃げるとしても、葉っぱ付けたところでまったくイミ無いけどね。なんたって森じゃなくて街中なんだから。」

睦月「最終的には『女性恐い!』ってなって出家して、草食系装飾系僧職系男子。」

如月「もうソレは完全にアンタが『そうしょく』『そうしょく』言いたいだけでしょ。出家とか無理やりすぎるから。」

睦月「So Shock!」

如月「・・・ソレに関してはもう触れたくもないけど。」

睦月「ところで如月はさ、行ったコトあるの?牛丼屋。」

如月「行ったコトはあるよ。てか今どき行ったコトない人の方が珍しいと思うけど。」

睦月「そうなんだー。ならさ、色々教えてくんない?」

如月「色々教えられるほどは行ってないけど・・・。答えられる範囲でならいいよ。」

睦月「ありがとー!じゃあ早速注文の仕方なんだけどさ、ネットで注文して、自宅で食べて、丼をポストへ返却でいいんだっけ?」

如月「そんなレンタルビデオみたいな牛丼屋を私は知らない。
   仮にあったとしても客に丼をポストに突っ込むことを強要する神経が分からないよ。ちゃんとお店に行って食べなさい。」

睦月「お店にはどうやっていけばいいの?やっぱりベタに匍匐前進?キックボード?」

如月「どうしたらそれがベタになるのよ。公共交通機関なり徒歩なりで行きなさいよ。」

睦月「はーい。
   さて、徒歩でお店に着きました。どうやって注文したらいいの?」

如月「お店の形態もよるけど、直接店員さんに注文する場合と券売機なんかで買う場合があるかな。」

睦月「えっと・・・。つまり券売機で店員さんを買って直接注文するんだね?」

如月「なんで混ぜちゃったのかな。おかげで人身売買が行われちゃったじゃん。ちゃんと聞いてた?」

睦月「ごめんごめん。券売機で買うか、直接言うのね。分かった分かった。で、後は?」

如月「後は・・・、席に座って、運ばれてきたのを食べるくらいじゃない?」

睦月「えー、もう終わりー?なんか全然スタイリッシュじゃ無いー。
   もう、こんなんだから女性人気が出ないんだよ。もっと女性のハートをキャッチするようなシステムにしないと。」

如月「人身売買しようとする女性に女性人気って言われても説得力ないけども。
   でも、確かに女性をターゲットにする戦略は間違ってないかもね。で、具体的にはどうするのよ?」

睦月「まずはゆっくり出来るような環境づくりだよねー。席と席との間をゆったり取って、個人のスペースを確保してー、」

如月「回転率が命の牛丼屋には致命傷だね。」

睦月「んで、やっぱりテラス席とかも欲しいよねー。」

如月「通行人に牛丼臭を撒き散らしながら外で食べるのね。私にはとても出来ないわ。」

睦月「あとはやっぱり落ち着くBGMと飲み物だよね、コーヒーとか。コーヒーのサイズはもちろんショートとトールとグランデでね。」

如月「よし分かった。大人しくスタバ行こう。ね?」

睦月「そっかぁ・・・これじゃあ単なる牛丼を出すスタバだもんね。」

如月「まぁそうだよね。ただ、私は牛丼が出てくるスタバを『単なる』と言う言葉で括るのには抵抗あるけども。」

睦月「じゃあ、ならもっと個性を出さなきゃいけないのかな?」

如月「個性より先に見直してもらいたいコトがあるんだけど・・・。
   いい?『牛丼屋』なんだから。コーヒーとかよりソコを基盤に考えていかないと。」

睦月「牛丼・・・牛丼・・・・・・。そうか!牛だ!
   牛をテーマにしたテーマパークみたいにすればいいんじゃないかな!」

如月「わお、見事に小学生の発想だ。」

睦月「『ようこそ!東京ギュウニーランドへ!』」

如月「あぁ、よりによって一番怒られる場所選んじゃったかぁ。」

睦月「ギュウニーランドのキャストさんは全員牛の被り物を被ってて、語尾には『もぉ〜』って付けてるんだ。」

如月「なんというか。びっくりするほど安直ね。」

睦月「『さぁ、みんなこの魔法の牛さんのどんぶりを頼むんだもぉ〜!』」

如月「うわぁ、なんだか得体の知れないものを食べさせられようとしているんだけど。」

睦月「で、テーマパークって言ってるくらいだからイベントも作っていかないとね!やっぱりパレードとかかなー。」

如月「パレードって。コレまた発想が貧困すぎて可哀想になってくるよ。」

睦月「もちろんっ!なんとっ!・・・パレードの主役は牛でーす!」

如月「さもお待ちかねのように言ったけど、誰一人ワクワクしてなかったからね。だって読めたもの、アンタ単純だから。
   てかパレードって。牛丼屋の店内のどこにそんなスペースがあるのよ。」

睦月「スペースが無いかぁ・・・。じゃあ、別のイベントを考えないとだめかなー。」

如月「そもそも牛丼屋でイベントをやる必然性が皆無なんだってコトに気付いてくれるとありがたいんだけどなぁ。」

睦月「あ、そうだ!お寿司屋さんとかでやってるマグロの解体ショーみたいなのにしよう!同じ食べ物屋さんだし出来るでしょ。」

如月「解体ショーって・・・。イヤな予感しかしないよ。」

睦月「『今から牛の解体ショーはっじまるもぉ〜!』」

如月「悲しいくらい案の定だよ。そんな軽いノリで食事中にグロいモノを見せられたらどうしたらいいんだろうね。」

睦月「どう?この『東京ギュウニーランド』?」

如月「あのさ、牛丼屋って日本に何箇所あると思ってるの?コレだと人件費やら設備費やらかさんじゃうじゃん。」

睦月「じゃあどうしたらいいのさー。」

如月「牛丼屋ってさ、低価格を売りにしてるのよ。こんな案なんて実行出来るワケないじゃない。」

睦月「・・・そうか!逆転の発想だ!」

如月「逆転の発想っていうかもはやアンタのアタマのネジが一周してるけどね。で、どんなコト思いついたの?」

睦月「低価格を売りにしてる時点でその考えが古いんだよ。いっそのこと高級感を出して行った方がいいんだって。」

如月「コレまた安直だね・・・。お願いだから思い付きだけじゃなくてもうちょっと考えてから発言してちょうだいよ。」

睦月「いや、ちゃんと考えてるよー!
   まず、お店に入ると牛柄の燕尾服を着たお兄さんがお出迎え。」

如月「もう牛なのかツバメなのかワケわかんないけどね。そもそも牛柄の燕尾服って相当滑稽だし。」

睦月「内装は落ち着いたモダンな造りで。あ、いや、もぉ〜ダンな作りで。」

如月「何で言いなおしたのかな?腹立たしいんだけど。」

睦月「注文方法も券売機のボタンを押して選ぶんじゃなくて、
   券売機の代わりにずらっと人並ばせて、それぞれのメニューを対応した人から買うの。」

如月「ずらっと並ばせてって。人件費をドブに捨てるような暴挙だね。で、対応した人から買うってどういうコトよ?」

睦月「ソコはちゃんとさっきのお兄さんが説明してくれるよ。
   『並盛は私の弟である次男から、大盛は三男から、特盛は四男から券を買って下さいー!」

如月「さっきの『お兄さん』ってそういうコトだったの?一人で事足りるじゃない、何やってんのよ。家族自慢したいの?」

睦月「まぁ、今は分かりやすく並盛とかって言ったけど、この店ではそれぞれショート、トール、グランデって呼ぶんだけどね。」

如月「全然スタイリッシュじゃないよ。スタイリッシュの定義が揺らぐくらいスタイリッシュじゃないよ。」

睦月「で、席に案内されるんだけど、それぞれの席に1人ずつが担当さんが付いてくれるの。」

如月「私の想像では、もう店内が牛ツバメ兄弟が密集してて相当狭いんだけど、大丈夫?」

睦月「で、その担当さんに食券を渡して、しばらくしたらフットマンである長男が回収しに来て厨房に渡しに行くの。」

如月「二度手間どころの騒ぎじゃないよ。時間が勿体無さすぎるじゃない。」

睦月「いや、その待ち時間が楽しいんだって。担当の人と談笑して待つんだよ。牛トークに華を咲かせてさ。」

如月「何よ牛トークって。まったく興味湧かないんだけど。」

睦月「えー、楽しいよ?『牛ってのんびりしてて羨ましいですよねー』とか『いっぱい草食べますよねー」とか色々あるし。」

如月「コレまで中身が伴ってない『色々』って表現も珍しいよ。」

睦月「『あ、黒毛和牛の解体ショーが始まるみたいですよ!』とか。」

如月「あ、そのイベントの採用は確定事項なんだ。私があんなに止めたのに。」

睦月「で、しばらくしたら牛丼が運ばれて来るからサッと食べてサッと帰ると。」

如月「ソコだけは従来のスタイル貫くんだ。もうコンセプトが不安定すぎて訳がわかんないよ。」

睦月「まぁ、コレでカンペキでしょ!」

如月「だそうです。少しでも興味を持った経営者の方がいらっしゃったら睦月に連絡してやって下さい。
   連絡頂いた場合は私がただちに考えを改めるよう説得しに行きますんで。」

睦月「あー食べ物の話したらお腹すいてきちゃった。なんか食べに行かない?
   牛丼屋何ヶ所かの割引券あるけどどこがいーい?」

如月「待って待って待って。がっつり牛丼屋行ってるんじゃない、なんでウソついてたのよ。」

睦月「えー、だって・・・。さっき言った通り肉食系って思われるのがイヤだったんだもん・・・。」

如月「誰も思わないから安心して。」

睦月「So Shock!」

如月「それはもういいよ。いい加減にしなさい。」

睦月「以上、アナタを笑わす1年間。」

如月「KOYOMIでした。ありがとうございました。」


X子:ありがとうございました。

Y美:まず夏草さん、いかがでしょうか?

 
・草食系装飾系僧職系男子って強引すぎるのに何かすごい笑った。
 そのまま終盤まで、ニヤニヤするかしないかレベルの巧いやり取りが続いて、
 「牛ツバメ兄弟が密集してる」で噴火。大笑いした。
 
 昨今は女性の可愛らしさや萌えやドジっぷりを強調することしかできない漫才が非常に多いので
 女性らしさと面白いボケツッコミの両方を兼ね備えてるKOYOMIを見習ってほしいですね。


X子:おお、夏草さんが噴火してしまいましたね…

Y美:その言い方だとちょっと怒ってるみたいにも聞こえるわね…
   続きまして、六升さんはいかがでしょう?

 
・話の軸をすごく丁寧に追ってくれていて、とても読み心地良く面白いです。
 かなり基礎的なコトですが一番難しい部分の一つでもあるので、コレがしっかり読みやすく出来ているのは凄いです。
 結構ブッ飛んだ設定を何個か使っているのに、そこに対する導入にしっかり行数割いてキチンと惹き込んでくれるので、
 ネタの主題を見失わないままおかしな方向に進む会話を楽しむコトが出来る。
 説明がしっかりしていて、かつそれが説明臭くならないようにキャラクターを使えているのがとても好感です。
 奇抜なコトをやっている印象を持たせないまま異常な展開に導くのは、
 ノイズなく楽しみやすいネタ運びになるのでとても好印象。
 純粋な基礎力を一番感じたネタでした。


X子:「基礎力」。ほほう。

Y美:それでは最後にBONBORIさん、いかがでしょうか?

 
・漫才の形が完成されているため、特に変わったことをしていないのに印象を弱く感じさせないのが凄いと思いました。
 「よし分かった。大人しくスタバ行こう。ね?」までの流れがとても綺麗で面白かったです。そこからの話題の切り返し方もまた「うおお」となりました。
 ただそれでも展開の数が不足していると思います。例えば牛丼そのものにも何か仕掛けを用意するなど、まだまだ膨らませそうな場所はあるので、そいった所を限界まで張り詰めれば、より記憶に残る作品になると思います。


X子:なるほど。KOYOMIスタイルは確立されたものがあるわね。



Y美:さて、次へ参りましょう。

X子:8組目はこの方たちです!


誰よりも長く誰よりも険しい道を歩んできた不屈の開拓者。
前回二位に輝いた漫才の衝撃は記憶に新しい。さらに凄味を増した漫才を武器に歓喜の初制覇へいざ出陣!
エントリーNo.022 「眠くなるガムっぽい」
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物は回り、金の天下
前田:いやぁ、激おこぷんぷん丸ですよ
安正:今大会のNGワードです
前田:高校生に金をとられそうになりまして
安正:昨今珍しいタイプの不良ですね
前田:肩がぶつかったとかいって因縁をふっかけられたんですけど、シラをきってたんですね
安正:それはそれで中々の度胸ですね
前田:最終的に「お前頭おかしいんじゃねえのか?」と言われて「よく言われます」と答えたら皆どっかに行きました
安正:貴方には才能がある
前田:じゃあ時間余ったんであなたが不良に絡まれた時の練習でもしますか
安正:こんな体温低い導入ダメですよ
前田:何か不満が?
安正:雑な入り方もそうですけど、貴方が不良役やるんですよね?不良に絡まれた側がそんな役出来るんですか?
前田:当たり前じゃないですか。カツアゲコントなんてヘドが出るほど見てきてるんですから
安正:語弊しか無いですよ
前田:じゃあお互い端から歩いてきて、肩がぶつかって私が因縁をふっかけるという流れでお願いします
安正:はいはい



前田:(肩が無い)
安正:そんなボケ許されないですよ
前田:何か不満が?
安正:状況が分からなすぎますよ。なんで肩だけ無いんですか
前田:最近キャラクターを推す漫才流行ってるじゃないですか。だから「肩がLEGO」ってキャラで推していきたいんですよね
安正:じゃあ最初のカツアゲエピソードにもそのキャラ設定絡めてくださいよ。ただただ無駄ですよ
前田:分かりました、肩取りに戻るんでもう一回お願いします
安正:はいはい




(両者、肩がある)

(ダンッ)
前田:・・・ゥァッ
安正:小さい嗚咽が
前田:・・・ヶィァ、ョィヶ、ァォュ
安正:ちょっと
前田:(小さいサ)(小さいメ)(小さいジ)(小さいマ)
安正:そんな文字ないです
前田:・・・ョィャ、ョィャ、ョィャ
安正:小さい祭りが
前田:(大きいシ)(小さいヤ)(大きいモ)(大きいジ)
安正:シャモジっていいましょうよ
前田:ャンィフ、ォヮヴ、キョオォ
安正:さっきから棒立ちで何やってるんですか
前田:何か不満が?
安正:こんな不良いないですよ
前田:たまに小さい祭りで棒立ちになってる不良いるでしょう
安正:多分その子不良じゃないです
前田:じゃあ大きい葬式でホッピングする不良するんでもう一回お願いします
安正:それは確実に不良ですけども、肩がぶつかって因縁をふっかける不良で練習したいです。特にしたくは無いです




(両者、肩があり、ホッピングをしていない)

(ダンッ)
前田:・・・おィ、てめェ
安正:おっ
前田:やッてくれるじャァ、ないですかァ
安正:おお、キャラクター推し
前田:いッてェなァ、こいつァ骨をやッちまッたかもしれねェなァ
安正:いいですよ、ちゃんとさっきのが前振りみたいになってます
前田:てめェ、わァかッてんだろゥなァ、ィよこせよゥ
安正:嫌ですよ肩ぶつかったくらいでお金なんて
前田:ォ米だァ
安正:まさかの食いしん坊キャラ追加
前田:食物繊維がァ、必要なんだよゥ
安正:カルシウムじゃないですかね
前田:食物繊維(しョくもつせんィ)がァ、必要(ひつョゥ)なんだよゥ
安正:わざわざフリガナを
前田:・・・ゥァッ
安正:あ、痛みがぶり返してきた
前田:・・・ヶィァ、ョィヶ、ァォュ
安正:これ本当に骨やっちゃってるんじゃないですかね
前田:(小さいサ)(小さいメ)(小さいジ)(小さいマ)
安正:なかなかないですよ、キャラが痛みに負けるって
前田:・・・ョィャ、ョィャ、ョィャ
安正:そして祭りで棒立ち
前田:・・・ョィャッ(小さいサ)ァ、ョィャッ(小さいサ)ァ、ョィャッ(小さいサ)ァ
安正:棒立ち祭りが盛り上がって来ましたよ
前田:・・・ォィ、(小さいソ)(小さいコ)(小さいノ)ヮ(小さいケ)ェ(小さいノ)ォ
安正:「そこの小さい若い奴」
前田:(大きいシ)(小さいヤ)(大きいモ)(大きいジ)もッてこォィ
安正:だから米だったんですね
前田:ォォ(大きいキ)ィ(大きいシ)(小さいヤ)(大きいモ)(大きいジ)もッてこォィ
安正:ヨネスケのやつだ
前田:ォィ、聞ィてんのかァ、(小さいサ)(小さいメ)(小さいジ)(小さいマ)ァ?
安正:知り合いだったしサメジマの謎が解けたし最初から名前で呼んであげてほしかっただろうし
前田:なんだァ?(小さいハ)(小さいン)(小さいコ)ゥする気かァ?
安正:「小さい反抗」ですかね。だんだん自分で作ったルール破り始めてる気がしますけども
前田:てめェ、なめてんのかァ?
安正:すごい普通の不良だ
前田:くらえェ、左肩ァ(LEGOを投げる)
安正:なんて斬新なショルダータックル
前田:左肩((中くらいのヒ)(中くらいのダ)(中くらいのリ)(中くらいのカ)(中くらいのタ))ァ
安正:こんな意味のないフリガナ初めてですよ
前田:LEGO((大きいL)(大きいE)(大きいG)(大きいO))
安正:もはやフリガナでもなんでもない
前田:ゥヮァ、(超大きいミ)(超大きいコ)(超大きいシ)だァ。ヮァッ(小さいシ)ョィ、ヮァッ(小さいシ)ョィ、ヮァッ(小さいシ)ョィ
安正:ちょっと
前田:何か不満が?
安正:頭おかしいんじゃないですか?
前田:よく言われます
安正:ダメだこりゃ


X子:ありがとうございました。

Y美:BONBORIさん、いかがでしょうか?

 
・ョィャョィャ
 一行目からもうメッチャ面白かったです。
 (肩が無い)って。なんでこれだけでこんなに面白いんですか。(肩が無い)って。どうやったらこんなワードが作れるんですか。
 普通ならマンネリ感を感じてしまう小文字の発言も、「これ本当に骨やっちゃってるんじゃないですかね」という応対などでいつまでも面白さを味わい続けられました。
 小文字という制限の中なのに、不良がどんな感じで言葉を吐いているのかが目に浮かぶのも凄いです。何気なくキャラクターが完成されています。
 後は小文字のボケがもう二つくらいあったら、ボリューム的にも何も問題ない作品が生まれると思います。


X子:そうよね、1行目から大変インパクトがあったわよね!激おこぷんぷん丸!!

Y美:それここでも重ねちゃうかぁ…
   続きまして、浜田さんはいかがでしょう?

 
・奇抜なアイデアを、見事に飼い慣らしたというか、使いこなしていて面白いです。
 フリガナも徹底してやっているのが素晴らしい。
 切れ味鋭いツッコミや、メタな発言をさらっと挟むあたり、作者の余裕が感じられる、いい意味で軽いネタです。


X子:作者の余裕。whitewhiteのネタは思い切りがあって良いわね。

Y美:それでは最後に夏草さん、いかがでしょうか?

 
・ォ米だァで大笑いした。狂気すら感じる。
 「短くて勿体ない」って書こうとしたら90行もあるのか。色んな意味で凄い。


X子:あれっ…ホントだ、90行もあるのね、このネタ…



Y美:さて、参りましょう。

X子:ラスト、9組目はこの方たちです!


初出場の第9回大会では無念の一回戦敗退。そこからこのコンビの快進撃がはじまった。
前回、準決勝進出に進出すると今大会は並み居る強豪を押しのけ決勝へ駒を進めた。もはや番狂わせではない。まぎれもない優勝候補の登場だ!
エントリーNo.034 「覚醒の革命家」
池田佐藤
ゲーム
佐藤:どうも池田佐藤です。よろしくお願いします。

池田:ときめきメゴリラル。

佐藤:え?

池田:ときめきメモリアルは女の子を攻略するゲームですが、ときめきメゴリラルはゴリラを攻略するゲームです。

佐藤:糞ゲーじゃねえか。

池田:まさに男の夢が詰まった一品ですね。

佐藤:スカスカだよ。

池田:憧れのゴリラと、あ〜んなことやこ〜んな子供が出来ちゃいます。

佐藤:一大事だよ。

池田:またゲーム中の選択肢によって、ゴリラの性格や容姿も変わっていきます。つまり、あなただけのゴリラになります。

佐藤:別にみんなのゴリラでいいけど。

池田:というわけで僕が考案した、ときめきメゴリラルのあふれる魅力をお教えします。

佐藤:あふれてるのは獣臭だろ。

池田:OP曲はパフュームです。

佐藤:やめとけよ。

池田:曲名は、ゴリリズム。

佐藤:いや繰り返したくねえよ。その衝動はまるで恋じゃねえよ。

池田:次に主人公ですけど、彼はどこにでもいそうな平凡な高校生で、ゴリラと人間のハーフです。

佐藤:とんでも野郎じゃねえか。どこにもいねえよ。オンリーワンだよ。

池田:名前は自分で決められます。自分の分身なので、本名がオススメです。

佐藤:何で自分の分身にゴリラの血が入ってんだよ。

池田:そして舞台はゴッゴリ県です。

佐藤:え?鳥取県?

池田:いえ、ゴッゴリ県です。

佐藤:お前ゴリラにとらわれ過ぎだろ。

池田:ゴッゴリ県ゴッゴリ市の高校で、主人公と五匹のヒロインによる甘く切ないゴリライフが繰り広げられるわけです。

佐藤:ゴリライフってなんだ。

池田:まず一匹目のヒロインは、幼馴染のゴリラです。

佐藤:ゴリラが馴染んでたまるか。

池田:いわゆる腐れ縁ですね。

佐藤:臭い縁だろ。獣臭がすごい。

池田:主人公の為に、いつもお弁当を作ってきてくれるんですよ。

佐藤:家庭的なゴリラだこと。

池田:ちょっぴり甘めの卵焼き。カラッと揚がったサクサクの唐揚げ。ツナ入りのほくほくポテトサラダ。ゴリラさんウィンナー。

佐藤:どう切り込み入れたらゴリラになるんだ。

池田:あ、名前の紹介がまだでしたね。彼女の名前はグレゴリオです。

佐藤:ゴリ子でいいだろ。

池田:二匹目のヒロインは、おとなしいゴリラです。

佐藤:ゴリラなら騒げよ。ウホウホしろよ。

池田:勉強が得意ですがスポーツは苦手な、引っ込み思案なゴリラです。名前はゴリレオ。

佐藤:理系だ。多分このゴリラ、理系だ。

池田:彼女は本を読むのが大好きで、図書委員です。

佐藤:知るか。バナナでも食ってろ。

池田:バイブルはノルウェイのゴリです。

佐藤:カタカナがいっぱいで何言ってるかわかんねえよ。

池田:ちなみに彼女は眼鏡ッゴリラですが

佐藤:眼鏡ッゴリラってなんだ。

池田:選択肢によってはコンタクトレンズにしてくれます。

佐藤:健気なゴリラだこと。

池田:三匹目のヒロインは、癖のあるゴリラです。

佐藤:癖ってかくせーんだよ。獣臭がすごい。

池田:彼女は自分が神だと信じています。

佐藤:思い上がりも甚だしいよ。

池田:彼女の名前はゴリスト。イエス・ゴリスト。

佐藤:全体的にノーだてめえは。

池田:ゴリストちゃんはゲーマーなんですけど、彼女を攻略するときだけミニゲームが出来るんですよ。

佐藤:へぇ。

池田:マリオゴリフっていう。

佐藤:ギリギリ聞いたことねえよ。

池田:ウホールインワンできたら風がいたずらしてるCGが手に入ります。

佐藤:ゴリラのパンチラいらねえよ。

池田:四匹目のヒロインは、帰国子女のゴリラです。

佐藤:いやここまで全員、名前的に外人だったよ。

池田:名前は、モハメド・ゴリ。

佐藤:蝶のように舞い、蜂のように刺すんか。

池田:彼女は日常会話でも、たまに英語が混ざってしまいます。謝るときも「アイムゴーリー」って。

佐藤:自己紹介じゃねえか。私はゴリだよって自己紹介じゃねえか。

池田:あと彼女は文房具にとり憑かれてます。

佐藤:何があったんだよ。

池田:まぁそれぐらい好きなんですけど、中でも一番好きな文房具が、スティックごり。

佐藤:もう、うんざりだ。ネクストバッターズサークルにずっとゴリラがいる。

池田:五匹目のヒロインは、ロリキャラです。

佐藤:ゴリキャラじゃねえのかよ。お前ここ絶好のゴリラポイントだっただろ。

池田:ふふっ、この幼児体型といちゃつくなんて……ちょっぴり犯罪の香りがしてきますね。

佐藤:してくるのは獣の香りだよ。獣臭がすごい。

池田:彼女の名前は、神田うほ。

佐藤:名前がロリくねえよ。何度も結婚式を挙げてそうだよ。

池田:ちなみに彼女は相撲が大好きなんですよ。

佐藤:ふぅん。

池田:好きな決まり手は、ごり切り。

佐藤:そりゃすげえや。

池田:というわけで、主人公と五匹のゴリラによる恋愛ゲームなわけです。もし発売されたら、佐藤さんもぜひ買って下さいね。機種はゴリキャスです。

佐藤:どうもありがとうございましたー。

池田:うほうほ。


X子:ありがとうございました。

Y美:ステーヴンV世さん、いかがでしょうか?

 
・これはね、僕とっても大好きなネタなんですよ…。
 不思議な魅力に囚われてしまって以来、この世界観の虜です。
 淡々と進んでいくのも物足りなさと言うよりテンポの良さという感じがし、ツッコミがどんな角度から飛んでくるか分からないこの感覚がたまらないです。
 「バイブルはノルウェイのゴリです」に対して「カタカナがいっぱいで何言ってるかわかんねえよ。」のツッコミを入れてくるズラし方が良いですよね。
 なんで急にそのボケが!?と思ってしまうような乱暴なボケもこの世界観の中だと面白くしか感じないわけで、とにかく大好きなネタです。
 技術をもってして作り込んでも出来ないこの作者にしか生み出せない世界観だと思います。


X子:そうね、池田佐藤ならではの世界観が確立されてきたわよね。

Y美:続きまして、夏草さんはいかがでしょう?

 
・やべぇわ。このブロックえげつない。
 なんだ「ネクストバッターズサークルにずっとゴリラがいる」って。
 多分俺が一生長文書き続けても出来ないツッコミ。
 第9回の頃と比べて飛躍のレベルを超越してる。
 スタンディングオベーション。


X子:これはなんと、夏草さんのスタンディングオベーションが出ましたよ!?

Y美:それではラスト、鬼ちゃんさん、いかがでしょうか?

 
・いい意味でネタに元気・覇気が無いと思いました。
 最近の上位に食い込んでくるネタって1つのセリフに2,3行費やしてるの多いんですが
 これは淡々としていてリラックスしている感じ。
 行数制限いっぱいにゆるやか、だけども破壊力のあるボケが鏤められていてとても感動しました。
 内容についてですが獣臭など本当に、テンドンとでも言うんでしょうか?
 ボケの使い回し方が上手いと思いました。
 ゴリラ1本でここまで笑いが取れるんですね。

 自分が理想とするネタです。こういうの書きたいなあ・・・


X子:おお、鬼ちゃんさんからも「こういうの書きたい」とのコメントが出ました。
   さぁ、結果も分からなくなってきましたよ!?


いよいよ、結果発表!!