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 021 ラブレボリューション  022 HIGH−POP  023 ろうきゅーぶ  024 熱中症には気を付けて  025 バニーガール  
 026 優しい朝の光に包まれて  027 第七女子会  028 天体観測  029 リーベルパウンド  030 サンザンヒーローズ


No.021 ラブレボリューション
始まりは突然に……
ポジティブ一郎「朝ご覧の皆さん、おはようございます。昼の皆さん、こんにちは。夜の皆さん、こんばんは」
ネガティブ三郎「ブスと言われて泣いてる皆さん、誰も慰めに来ないですよ。馬鹿な皆さん、バーカ」
ポジティブ一郎「三郎、謝りなさい」
ネガティブ三郎「謝ったりしたら勝ちを確認したブスと馬鹿が告訴してくるかもしれないじゃないか」
ポジティブ一郎「そうしたら司法試験を受けに俺達の町からブスと馬鹿がいなくなるだろ」
ネガティブ三郎「ブスと馬鹿がいない町なんてハズレのないガリガリ君じゃないか」
ポジティブ一郎「めでたいじゃないか」
ネガティブ三郎「よく考えて見てよ。どうせ当たりなんだから一個買うときに店員さんからもう一個貰うだろ」
ポジティブ一郎「わざわざ往復するのは面倒だからな」
ネガティブ三郎「まだわかんないの?お兄ちゃん」
ポジティブ一郎「三郎、わかったぞ」
ネガティブ三郎「そう、家に持ち帰ったガリガリ君は2個とも当たりなんだよ」
ポジティブ一郎「仕方ない。お店に行って交換してもらおう」
ネガティブ三郎「お兄ちゃんまだわからないの?」

悔しくて、寂しくて泣き出す三郎。
会場は10分間の沈黙に包まれた。

ポジティブ一郎「悪かった三郎。2個当たりを持って行ったら2個ガリガリ君が貰えるけど、それもどうせ当たりだから4個持って帰ることになるんだな」
ネガティブ三郎「その調子だよ、お兄ちゃん」
ポジティブ一郎「4個から8個。8個から16個。16個からいっぱい。いっぱいからすんごくいっぱい」
ネガティブ三郎「そうしたら僕はガリガリ君だけでお腹がいっぱい」
ポジティブ一郎「ご飯が食べられなくなる」
ネガティブ三郎「栄養が偏って、お腹だっておかしくなる。下痢でピーピー」
ポジティブ一郎「三郎、……お前まさか!」
ネガティブ三郎「そう、いずれは僕がガリガリ君になっちゃうんだよ」
ポジティブ一郎「たった60円で……」
ネガティブ三郎「始まりはいつも突然さ」
ポジティブ一郎「ガリガリ君なんて買っちゃだめだ。次郎みたいになりたいのか?」
ネガティブ三郎「お兄ちゃんは幸せ?」
ポジティブ一郎「え?」
ネガティブ三郎「僕がガリガリ君を買わなかったら僕以外の誰かが犠牲になる」
ポジティブ一郎「……」
ネガティブ三郎「他の誰かを傷つけてまで僕は幸せになんかなりたくない」
ポジティブ一郎「三郎、こんな言葉を聞いたことはないか?」
ネガティブ三郎「え?」
ポジティブ一郎「言葉の刃(やいば)に負けないように、心に麻酔をかける」
ネガティブ三郎「平井堅の『KISS OF LIFE』のAメロだね」

愛しくて切なくてキスをする一郎。
三郎はわかっていたかのように瞳を閉じていた。

ポジティブ一郎「漫才の途中だったな」
ネガティブ三郎「そうだったね」
ポジティブ一郎「じゃあ、俺が最後にボケるから最高のつっこみ頼むぜ」
ネガティブ三郎「任せてよ」
ポジティブ一郎「この前魅力的な女の子を見かけましてねー、その女の子に……」
ネガティブ三郎「好きなの?」
ポジティブ一郎「三郎、まだボケてな……」
ネガティブ三郎「僕だけを見ててよ」
ポジティブ一郎「三郎……」
ネガティブ三郎「好きだよ」
ポジティブ一郎「……うん」
ネガティブ三郎「お兄ちゃんは?」
ポジティブ一郎「…俺も……好き……だよ」

2011年
もはやボケとツッコミの漫才は終わった
これからは愛と愛
そこに笑いはない
でも少しだけ幸せな気持ちになる
少しだけ恋がしたくなる

あなたの愛しい人は誰ですか?

予選総合第39位(2回戦敗退) ラブレボリューション
審査員
点数
11 91  3 32 50 平均37.4
【審査員コメント】 
・「もはやボケとツッコミの漫才は終わった」とありますが、本当にこの漫才をもってしてボケ・ツッコミの漫才を終わらせようとして息巻いていたんだとすれば、それが一番面白かったです。
 もっと衝撃的なものじゃないと終わらせることはできないと思われます。
 確かに「そこに笑いはない」のは事実でしたが、少しだけ幸せになったわけでも、このネタがきっかけで恋をしたくなるわけでもなかったので、
 そういった意味でもこのネタは成功してないと思います。
  
・うわーどーしよこれ。初見では低い得点つけるつもりだったんですが、改めて読んだらこれ……どうしようもなくおもしろい。
 話の進み方が、間に挟まってくる言葉がおもしろい。そして次郎になにがあったんですか。
 なんか、このネタ全体が好きです。僕がBL的な展開が好きとかそういうの抜きで。
 おもしろかったです。
  
・漫才は愛の時代ですよ、天体観測さん!
  
・ネタ中の情報だけでは唐突な上、絵も浮かばず、薄っぺらいので、
 一郎と三郎のエピソードをもっと語ってほしかったです。そうすればより人の心を打ち砕くメッセージとなるでしょう。
 この物語は「幸せになる」よりも「優しくなれる」が正しいと思います。読み進めるたびに、優しい毛布に包まれていくような気分になりました。
 文章でこの雰囲気を表現できるのは凄いことだと思います。作者はとても心が清らかな人だと思います。
 それなのに、なんなんですかこの内容は。馬鹿じゃないですか。
 「瞳を閉じていた」でムチャクチャ笑いました。ボケの繋げ方に重みがあって、ダイレクトに心に届きます。
 だからもう少し長く書いてほいかったです。もっと物語を深めてほしかったです。それが一番の不満です。
  
・センスのある言葉遣いも多く、面白げのあるやりとりでした。だからこそ、もう少し長く見ていたかったです。
 特に、ドラマチックな脚色をするのであれば、今のままだとちょっと稚拙かなぁ、と。もう少し壮大に描いて欲しいです。
 あるいは、途中までドラマチックと見せかけて、別の滑稽な展開に持っていってしまうのもアリだと思います。
 そういう意味で、この作品はやや未完成だったのかなぁ、と。



No.022 HIGH−POP
括弧(type-C)
2人:(どうもHIGH−POPですと言いたげな顔で出てくる)

小沢:(深々と頭を下げる)

伊上:(深々と頭を下げつつちょっと困った顔をして考える)

小沢:(最初の方見えなくて困るが、困っているとわかったのでどうしたのか尋ねる)

伊上:(笑顔)

小沢:(気持ちわるっ)

伊上:(なだめつつ、この前道で他人と肩がぶつかったことを説明する)

小沢:(多分また首の体操しながら歩いてたんだろうなぁと思いつつ共感してあげる)

伊上:(その時醤油をかけてあげればよかったのかなぁと思う)

小沢:(ソース派かもしれないと付け加える)

伊上:(そっかー)

小沢:(そうだねー)

伊上:(今度そういう場合があった時のために肩を鍛えたいアピール)

小沢:(軽くパンチしてもう十分丈夫だよアピール)

伊上:(笑顔)

小沢:(気持ちわるって顔しながらも謝罪を練習することを提案)

伊上:(賛同する)

小沢:(持ち場につくように促す)








2人:(2ステップだんだん)








2人:(肩がぶつかる)

小沢:(少し嫌そうな顔をして伊上を見る)

伊上:(大豆の発酵過程を楽しそうに眺める)

小沢:(刹那醤油作りをやめさせる)

伊上:(しぶしぶと立ち上がり、あらかじめ炒っておいた大豆を食べる)

小沢:(捨てる)

伊上:(あらかじめ甘くした小豆を食べながらどうすればいいか尋ねる)

小沢:(これは自分も好きなので一緒に食べながら軽く謝ることを提案する)

伊上:(べたべたの手でOKサインを作りながら激しくうなずく)

小沢:(べたべたの手を舐めまわしながら少し落ち着く注射を打ってあげる)

伊上:(持ち場につこうとする)

小沢:(歩き出す前に自分はケチャップ派だということをさりげなく伝える)








2人:(2ステップだんだん)








2人:(肩がぶつかる)

小沢:(少し顔をしかめて伊上の方を見る)

伊上:(KAGOME)

小沢:(余計なことを言わなければよかったと悔いる)

伊上:(ゴム生地だから伸びるK A G O M E)

小沢:(この短時間に作ったことを褒めつつ用途について聞く)

手(K  A  G伊上O  M  E)手

小沢:(伸ばしたいだけということを悟る)

伊上:(弾いてすごい勢いでどこかへ飛んで行く)

小沢:(ここぞとばかりに謝る練習に移行しようとする)

手(オ  タ伊上フ  ク)手

小沢:(弾いてすごい勢いでどこかへ飛ばす)

伊上:(しぶしぶ持ち場へつく)








2人:(2ステップだんだん)

小沢:(のはずが勢い余って1ステップ余計にだんしてしまう)

伊上:(ふふっ)

小沢:(少し落ち込む)

伊上:(軽やかにだんだんしてみせる)

小沢:(上手へ消えていく)

伊上:(だんだんだんだんだんだだんだ)








     \ベチン/
舞台袖│伊上(KAGOME)三三三│舞台袖








2人:(だんだん)









2人:(肩がぶつかる)

小沢:(3度目ということもあり苦悶の表情を浮かべながら伊上の方を見る)

伊上:(申し訳なさそうな顔をしながら小沢の方を見ている)

小沢:(肩を指さし痛いことをアピール)

伊上:(汁っ気をいっぱい含んだスポンジで濡らす)

小沢:(伊上の顔にへばりついているゴムをどかしてから肩に乗っているスポンジをどかす)

伊上:(自家製の味噌をアピール)

小沢:(含まれていた汁が味噌汁だったことを知り着ている服の廃棄処分を決める)

伊上:(少しなめてみるが予想以上に味噌の割合が強かった)

小沢:(どさくさまぎれに恨み辛みを込め足を踏む)

伊上:(口元を押さえながら上手の舞台袖へ走っていく)

小沢:(上手へ行き伊上の服の裾らしきものをつかむ)








 舞台袖│     小沢(K A │舞台袖







                 \ベチン/
 舞台袖│     小沢三三三三三│舞台袖








                 \ダンダン/
 舞台袖│     小沢     │舞台袖








 舞台袖│小沢))))      │舞台袖








 舞台袖│))          │舞台袖








\ダンダン/
 舞台袖│            │舞台袖






        (K
          AG
            OM
 舞台袖│         E)ミ│舞台袖







         OME)三ミ
        G    
     (KA
 舞台袖│三三三三(オタフク)  │舞台袖









 \ベチン/            \ベチン/
 舞台袖│彡          三│舞台袖










 舞台袖│((小沢    伊上))│舞台袖















2人:(手に持っていたトマトジュースを飲み干し、気持ち悪い笑顔を)


2人:(にこっ!)

予選総合第30位(2回戦敗退) HIGH−POP
審査員
点数
54 33 22 30 80 平均43.8
【審査員コメント】 
・このテイストで一本貫いたことがまず良かったと思います。
 ただ括弧内の言葉でやりとりする、もしくは後半のうまく言い表せないやりとり(舞台袖のやつ)という目新しさが先行して面白さが伴わなかったというのも事実でした。
 形式の目新しさに加え、面白さが上積みされていかないと完成形に達したとは言えないように思います。
 2ステップのくだりは毎回面白かったです。
  
・・括弧書きだけなのに、括弧の中で普通に会話してる
 ・AAになってる部分がイマイチわからない
 状況が伝わらないままで進んでいって混乱しました。突然のKAGOMEはおもしろかったんですが、その後のKAGOMEの扱いもよくわからず……
 このネタで、括弧書き縛りだからおもしろい、ってとこが見いだせませんでした。
  
・頑張って作ってはるな、としか思えませんでした。
  
・まず一番疑問だったのが、二人は喋れないのでしょうか。それとも喋ってる様子を括弧書きに変換したのでしょうか。
 ジェスチャーで必死に相手に伝えようとする場面や、普通にコミュニケーションが成立してる場面が入り交じっていて、舞台の状況がサッパリ分かりませんでした。
 そこが不明になってしまえば、最早このネタはなんでもアリなのではないかという印象を持ってしまうので、どこかでルールを説明して欲しかったです。
 それと味噌だとか醤油だとか、単語だけで笑わせようとしてくるボケが多かったのが残念に思いました。
 せっかく面白い状況を作ったのですから、その状況を上手く活用したボケをしないと物足りないですし、もったいないと思います。
 単語のボケを多く出したいのなら、普通の漫才の形で書いた方が面白い筈です。
 とにかく自分で出した状況に自分が一番苦しめられてるなという印象が強かったです。もっと自分に優しいネタを書いてください。
 後、舞台状況のAAがいったい何が起こってるのか凄く分かり難かったので、もっと伝わりやすい表現を考えてください。
  
・文章では表現できないスキマを埋めてくれるようで爽快でした。
 個人的にはやり取りの滑稽さに大爆笑したので高得点を付けさせていただいたものの、正直なところ、よく分からないで読んでいた部分も多かったです。
 初っ端から「その時醤油を〜」というあまりにぶっ飛んだ話の展開、説明がなくて何の物体なのかよく分からないKAGOME・オタフク、…など、
 そのあたりは表現の仕方に改善の余地があるんじゃないかと思いました。素材自体は良いだけに勿体無いです。



No.023 ろうきゅーぶ
シャッター
長谷川:どうも、『ろうきゅーぶ』です。

 丸田:最近商店街がシャッター街になってるってのが多くなってますよね。なんでもみんな大型スーパーに行っちゃうとかで。

 小野:あぁ、うちの近くにもありますね。閉まっている店の半分は俺がボンドでくっつけたのが原因なんですけど。

 丸田:さらっと何してんの!?そしてそれをやられただけで閉店しちゃう店主のメンタルの弱さ!

 小野:確かにそういう商店街が増えてるかもしれませんね。対策を練って店に人の飛び込みを図った方がいいですね。

 丸田:呼び込みを図ってくれないか?客が来るたびに店内が破壊されそうだからさ。
    でも、呼び込むって言っても具体的にどうすればいいのかですよね。

 小野:一番手っ取り早いのはその店で魅力的な品物を売る事じゃないですかね。
    例えば新鮮なさんまが入ってるとか、活きのいいボールペンがあるとか。

 丸田:そんなもんあったらカッチカッチうるさいでしょうがね。でも目玉商品を置くのは効果がありますね。

 小野:あと奥さんとか売っちゃったらいいじゃないですか。

 丸田:「あと」で出す商品じゃないわ!その前に商品でもないわ!

 小野:中古だと価値が下がるからみんな使わないで置いておくんですよ。

 丸田:素敵な夫婦の営みを送らせてやれよ!このままだと跡継ぎいなくなってどのみち潰れるわ!

 小野:それからその商店街でフリーペーパーを作るとかどうですか。

 丸田:それはいいですね。店の特色とかも存分に紹介できますし。

 小野:それでフリーペーパーにクーポン券とかをつけておくんですよ。
    「青魚50円引き」とか「店に置いてある太鼓1回叩かせる」とか「妻」とか。

 丸田:ついにサービス的な扱いかよ!どんだけ別れたいんだその店主は!

 小野:小売なのにサービス業みたいなね。もみもみ。

 丸田:うるさいわ!奥さんの乳を揉むな!
    あと太鼓ってなんだ太鼓って!

 小野:太鼓はあれですよ、五穀豊穣を願う米屋が必ず店に置いてある太鼓ですよ。

 丸田:必ずしも無いわ!そんでそんな神様に直接関わってきそうな太鼓一般人に叩かせるなよ!

 小野:叩いたら米菓子もプレゼントしちゃいます。

 丸田:それ「どん」じゃねえか!その洒落た心要らねえよ米屋!

 小野:あとはね、接客も変えた方がいいと思うんですよ。

 丸田:ほお、接客を見直すんですね。それはどういう風にするんですか?

 小野:僕が考えているのはとにかく高級なお店の接客をすればいいと思っているんですけども、
    これは実際に見てもらった方がわかりやすいと思うんで私が接客してみせます。

 丸田:そうですか、じゃあ店を訪ねればいいんですね。



 丸田:こんにちはー。

 小野:いらっしゃいませこんにちは。肉屋「Poissons」へようこそ。

 丸田:あら、店名もおしゃれで。どこの言葉なんですか?

 小野:フランス語なんですよ。一目見て「これだ!」と思いまして。

 丸田:そうですか。ちなみになんて意味なんですか?

 小野:「魚」です。

 丸田:チョイスミスですね。早めに気づいていればよかったのに。

 小野:語感はよかったんですけどねー。

 丸田:語感で選んだとしたら昨今の馬鹿な親と変わらないよ。
    それより肉を買いたいんですけど。

 小野:でしたらこちらのコースメニューはいかがでしょうか?

 丸田:あら、なんか高級レストランみたいなメニューが出てきましたね。
    そのコースの内容を説明してもらえますか?

 小野:はい、まず前菜に羊肉。スープに鶏肉。ドリンクに蛙肉。

 丸田:全力で肉推してくるな!言葉の意味考えたことあるのかこの店主。

 小野:メインディッシュにサンチュの赤ワインかけ。

 丸田:取り替えろ!どういったおつもりでメインにその前までの総決算を出してきたのか聞かせてもらいたいわ。肉屋風情が。

 小野:デザートに牛脂のティラミス。

 丸田:コッテコテで締めさせるな!何口の不快感のピーク最後に持ってきてるんだよ!
    もうコースはいいですから、単品でなんかないんですか。

 小野:でしたらこちらのティラミスなんかがお勧めですよ。

 丸田:肉屋としての自覚を持てよお前は!
    
 小野:こちらセットメニューの中の1品として出してますけど、お客様に好評なのでお持ち帰りも実施しています。

 丸田:それ的な立ち位置の物はレジ横に置いておけ!勝手に気に入ったら取っていくから!

 小野:でしたらこちらの熊肉はいかがでしょうか。

 丸田:あー、そういう珍しい肉もあるんじゃないですか。よく考えたらさっきも蛙肉ドリンクで出そうとしてたし。
    じゃあそれ下さい。

 小野:ありがとうございます。それではお客様、こちらの棒をお持ちください。

 丸田:え?

 小野:それではこちらの太鼓を叩いてください!

 丸田:何のサービスだよ!どこの店にも太鼓あるなこの商店街!

 小野:こちらの太鼓で神様との意思疎通を図ってもらおうと

 丸田:その神聖な物品を一般人にたたかせる精神捨てろよ!
    ちょっと待っていったん止めよう!駄目だわ、肉屋として機能してないから!

 小野:そうかなー。じゃあ今度は普通の商店街の店風にやってみるから。また来て。

 丸田:反省会的なものを開いてからにしたいけど、構想があるうちにやった方がいいな!よしやれ!



 (ドーン ドーン)

 丸田:既に店の中で太鼓を叩いてやがる!まあ、入ってみるか。

 小野:いらっしゃい!(ドーン)

 丸田:一回その太鼓うるさいんで止めてください。ここは何屋ですか?

 小野:眼鏡屋です。

 丸田:あっ、神様祭るようなもの売ってなかった!じゃあ今の太鼓は何のために?

 小野:いやー、今年も神様にいいフレームが実るようにってね。五穀豊穣。

 丸田:五穀の中に入ってないわ!雑穀米の中に入ってるの見たことないし!

 小野:とにかく見ていってよ。いいフレームが入荷してるから。

 丸田:そこまで言うのなら見ていきますけど。どれどれ。

 小野:あっ、そうだそうだ。お客さん、商店街のフリーペーパー見てくれたかい?

 丸田:いや、見ていませんけど?

 小野:あらら、あのフリーペーパーにうちのクーポン券があったのになぁ。

 丸田:えっ、そうだったんですか?知らなかった。ちなみに何がサービスされるんですか?

 小野:眼鏡のレンズにイニシャルを掘ってオリジナルにするってサービスなんだけど

 丸田:使用できなくなるわ!そんなもんせめてフレームに掘ってやれよ!

 小野:どっちもやってるんだけどみんなフレームの方をお願いするからアピールしてるんだけどね。

 丸田:それは客が正しい!

 小野:(ドーン)

 丸田:えっ、いきなり太鼓叩いてどうしたんですか?

 小野:いや、ちょっと野良猫が店の中に入ってきそうだったんでね。

 丸田:神様への通信手段そんなことに使うな!さぞお怒りだろうよ!

 小野:まあ、細かいことは気にしちゃいけないよ。それより、この眼鏡なんかどうだい?

 丸田:ああ、なかなかいいですね。じゃあこれくださいよ。

 小野:毎度あり!じゃあサービスで妻もつけとくね!

 丸田:どさくさに紛れて寄越すな!一緒にいろいろ営んどけ!

 小野:お客さん今まで使ってた妻とかあったら引き取りますけど?

 丸田:そんなホイホイ手放さねえよ!消耗品感覚か!
    駄目だ!この商店街は絶対潰れる!

 小野:えー、でもいっぱい売りはあったでしょ?

 丸田:ほぼすべての店舗に太鼓が置いてあるってどんな売りだよ!イロモノすぎるわ!

 小野:でもこれだけ変わってたらどこかの雑誌に取り上げられて人が寄ってくるから。

 丸田:また都合のいい考えだけど。

 小野:それで俺も商店街の一員として店を開くんだ。「ボンド屋」をな!

 丸田:客ぐるみでシャッター街に戻す気かよ!いい加減にしろ!

長谷川:どうも、『ろうきゅーぶ』でした。

予選総合第24位(3回戦敗退) ろうきゅーぶ
審査員
点数
51 55 29 47 68 平均50.0
【審査員コメント】 
・長谷川の存在以外はいたってストレートな漫才だったのかなと思います。
 小野・丸田の漫才部分は前半の要素を後半に利用するなどうまーくできており、良い意味で普通の安定した漫才でした。
 メガネ屋のイニシャルのくだりが好きだったのですが、いきなりレンズに〜って入るよりはイニシャルを入れるとだけ言って、一旦丸田の相槌かなにかを挟みつつ、
 後からレンズなりフレームなりの情報を足していった方がよりわかりやすくなるように思います。
 (もちろん個人的な考えなので今のままでも充分だと思いますが・・・)
 また、長谷川の存在がこのネタを単なる正統派ならざるものにしている要素だと考えられるのですが、確かに「なんで最初と最後だけ
 何事もなかったように・・・」という面白さがあり、3人目の利用方法として面白かったです。
 ただやはりその一撃しか3人目の役割が無く、それ以外はほぼ2人の漫才としての印象で処理されるので、大きなプラス要素とはなりにくいのかなとも思います。
  
・明らかに狙ってるけど、長谷川さんのポジションおもしろい。
 ネタの内容で言うと、悪くないのは確かです。妻だったり太鼓だったり、要素要素の使い方が上手いです。
 けど、すごくあっさりしている……だからこそ長谷川が際立っておもしろかったりするんですけどね。
  
・長谷川の扱いに一番笑いました
  
・太鼓とボンドが凄く面白かったのですが、それ以外のボケはどこかで見たことあるようなものばかりで、笑えなかったです。
 設定が面白そうだったのにも関わらず、新鮮な味わいがあまり感じられませんでした。どれもこれも構成として不十分だったせいなのだと思います。
 なぜ肉屋でレストランみたく料理が食べれるのでしょうか、
 肉屋なのかレストランなのか定義をハッキリさせないと読み手が混乱して内容が頭に入ってこなくなるので、そこを自己完結させないでください。
 次にせっかく眼鏡屋という設定にしたのですから、眼鏡を取り入れたボケが少ないと印象もとても薄くなってしまいます。
 妻とかのボケに入るより、どんな眼鏡を売ってるかなどの展開に持っていって欲しかったです。
 ネタを書いた後にもう一度読み返してみて、「伝わりやすいか、活用されてない場所はないか」をもう一度考えてみてください。
 良い設定が作れるのですから、中身にもちゃんと目を向けないと勿体ないですよ。
 それと丸田さんのツッコミが全体的に長いですし言葉使いが不自然なので、もっと省略したほうが読みやすくなると思います。
  
・なんとなく決め手に欠けるネタではあるのですが……「太鼓」の使い方なんかにかなり興味を惹かれました。
 普通だったり常識はずれだったりはしてるのですが、何かと話題がリアルなんですよね。「フリーペーパーにクーポン券」とか。そういうところが好きです。
 その意味でも、肉屋・眼鏡屋での話の持って行き方はもう少しリアルを意識して欲しかったかなぁ、というところでもあります。



No.024 熱中症には気を付けて
子役
三枝:はいこんばんはー、熱中症には気をつけてです。

城辺:いやー、最近子役ブームじゃないですか。

三枝:あー、そうですね。

城辺:最近で言うと、「パスモのおきて」とか。

三枝:マルモだよ。パスモのルールは自動改札通ることぐらいだよ。

城辺:具体的に言うと、芦田愛菜ちゃんとか、大橋のぞみちゃん、こどもくん、店長くん。

三枝:後ろの2つバラけさせんな!「こどもくん」って子役の世界に大人いねえだろ。

城辺:まあとにかく今の世の中、金を稼ぐとしたら子役のプロデュースなわけだよ。

三枝:言い方が気にかかるけど、事実っちゃあ事実だわな。

城辺:だから、最強の子役を考えた。これに合致する子を連れて来れば、湯船を諭吉で埋められるんだよ。

三枝:ひどい例えだなおい。で、どういう子が最強の子役なんだ?

城辺:まずは性別だな。これは悩んだんだねー。男の子役もいいし、女の子役もいいなって。だから間を取って。

三枝:取るなよ!え、もう目覚めちゃってるの?!

城辺:まあねえ、どっちも出来るってのは魅力だよねえ。

三枝:目覚めてる時点でもう1パターンの役しか与えられないわ!

城辺:次は年齢だな。これは自称19歳364日。

三枝:ほぼ大人じゃんか!

城辺:子役法律のギリギリをかいくぐるんだ。

三枝:んな法律ねえよ。子役ってだいたい小学生、行けても中学生までだろう?

城辺:新ジャンル、原付で現場に行く子役。

三枝:恐怖を感じるわ。

城辺:フルフェイスヘルメットを外して一言、「おはようございます、今日もよろしくお願いいたします。」

三枝:19歳と364日だもんな!それぐらいの会話出来るよな!

城辺:これでまあ1番大事なところは決まったな。

三枝:大いに軸がブレてるよ。

城辺:次に、バラエティに出るかドラマに出るか、ドキュメンタリーの再現ドラマに出るかなんだけど、ここは普通にドラマに出す。

三枝:うん、その選択肢で正解だ。

城辺:ペットとの絡みは芦田先生がやってるし、幸楽でのいざこざはえなり先生がやってるからなあ。

三枝:後半は新人子役には手に負えない。

城辺:で、オレは藤岡藤巻と絡ませようかなと思ってる。

三枝:それは大橋のぞみちゃんに任せりゃいいんじゃないの?!

城辺:ダメか。

三枝:ダメだわ!そもそもその3人はアニメ関連だろ。

城辺:そっか、じゃあポニョ実写化する?

三枝:アニメから離れろや!

城辺:「わたくしポニョと申すものなのですが、宗介さん、あなたに…恋をしてしまいまして…」

三枝:なんで実写化したら一気に大人びたんだよ?!

城辺:「ポニョ…。ごめん、オレ赤いフォルムのものと付き合うと死んじゃう呪いがかかってるんだ…。」

三枝:実写化してもあの風貌変わんないのかよ!はたから見たらギャグだわ。

城辺:これぞ昼ドラだな。これぞ。

三枝:深夜のシュールドラマだよ。一部の層にだけ受けるやつだよ。

城辺:ちなみに最強の子役は、赤いフォルム担当です。

三枝:…え?!ていうか1人じゃねえの?!

城辺:実写ポニョはメインの肌色部分、赤い部分、そしてフルフェイスヘルメットの3パーツからなるんだ。

三枝:ヘルメット原付に置いてこいや!

城辺:…原付乗るときメット被ってないと捕まるだろ!?

三枝:ポニョがバイク乗るなよ!

城辺:とにかく、最強の子役の初仕事は赤い塗りたくりスタートだよね。

三枝:壮大な人生の出オチだよ。

城辺:このあと、このドラマの宣伝で色んな番組に出るじゃん?

三枝:実写ポニョは確定なんだな……まあ出るな。

城辺:トーク番組では赤く塗りたくられた時のエピソードで大盛り上がり。

三枝:…その盛り上がりは純粋な盛り上がりなのかね。

城辺:熱湯風呂では生着替えで危ういことに。

三枝:いつの時代の宣伝だよ!

城辺:まあ、こんな感じで話題になった実写ポニョは大盛り上がり。オレの家の湯船は英世で埋まるわけだ。

三枝:若干価値が下がってるの自分でも分かってるじゃん!

城辺:さあ、この条件に合う子供スカウトしに行こうぜ。

三枝:いねえよ!絶対にいねえよ!

城辺:えー、どこがだよ?

三枝:全部だよ!つーか、ノリがお笑いなんだよ。

城辺:…お笑い…そうか、まえだまえだに次ぐ子供芸人を見つけりゃいいんだ!これで湯船が100円で埋まる!

三枝:もういいよ!

予選総合第41位(2回戦敗退) 熱中症には気を付けて
審査員
点数
41 58 15 28 43 平均37.0
【審査員コメント】 
・うまく言えないのですが、良くも悪くもいたって普通の漫才という感じでした。
 無理に個性を付けようとして見るも無惨な作品になるよりだったら「普通」の方がよっぽど良いはずです。
 唯一個性的だとすればユニット名でしょうか(?)
 こういった正統派的なネタだと個性的なネタに比べ会話の拙さが無いことが前提となるように思うのですが、 このネタはそれをクリアし、違和感のないやりとりになっていました。
 後はどれだけしれっとインパクトのあるボケを詰められるかという部分に懸かってくるわけなのですが、その点から見ると飛び抜けて面白いボケというところまでは至らなかった気がします。
  
・大粒のボケが多いわりに、そんなに印象に残るネタじゃなかったなぁと……
 ボケをそっけなく流しすぎすぎてるように思います。そういうツッコミの在り方がないわけじゃないですけど、このネタの場合マイナスじゃないかと。
  
・巧い言い回しが出来てそうで実はボケが全く面白くなくぱっとしない。
  
・まず全てのボケを小出しにしてしまってる所が一番気になりました
 「新しい子役を作る」というキャラをどんどん積み重ねていく設定なのに、前に出したボケをバサバサ打ち消していってるのが、見てて気持ち悪かったです。
 男と女の中間→礼儀正しい挨拶→ポニョの赤フォルムだなんて、ボケに一切の関わりがないじゃないですか。
 同一人物なんですから、ちゃんと出した情報通りの人間になってください。男と女の中間で19歳であることを上手く活用したボケ作りをしてください。
 それと子役の話よりも無駄なドラマの話や身の上話などが多かったことも気に障りました。
 せっかく子役を作ったんですから、もっと子役を話に絡ませないと、子育てよりも仕事に興味を持つ親を見てるようで、変に物寂しい気分にされてしまいます。
 後先考えずにボケを出す前に、自分が散らかしてきたボケを一度積み重ねて見てください、そうすれば思いもしなかった発見がでてくる筈です。
 漫才の書き方はとても綺麗でした、このネタを書き直そうと考えても、どうか書き方だけは変えないでください。
  
・芸能ネタとしてあまり目新しいボケがなかったように思います。ポニョの部分なんかも頑張りは見えるのですがあまり面白くなかったです。
 自己満足ではなく「読み手の心に響く設定」を意識してネタを書いてみると、また違ってくるのではないでしょうか。



No.025 バニーガール
甲子園
爽雄 爽雄です。

陽子 陽子です!二人あわせて・・・

二人 バニーガールでーす!

陽子 よろしくお願いしま〜す!

爽雄 初の何とかグランプリなんで頑張っていきましょう。

陽子 いきなり大会名忘れるなよ!MM-1グランプリだから!

爽雄 いよいよ甲子園が開幕しましたね。

陽子 まあ夏の定番の行事ですから。

爽雄 各都道府県で予選があったんですけどいろいろなドラマがありましたね。例えば茨城の常総学院の木内監督が勇退されたりとか。

陽子 木内監督といえば『木内マジック』といわれる巧みな采配が持ち味でしたね。

爽雄 ボールを投げたら瞬時に消えている、バットを振ったら先端から花が咲く、ヘルメットの中からハトが飛び出すとか。

陽子 全部違う!マジックってそういう意味じゃないから!! 

爽雄 あと、ベンチから木内監督が消えたと思ったらアンパイアと入れ替わってるみたいな。

陽子 そうじゃなくて盗塁とかスクイズとか一見奇抜だけど相手の意表を突くような作戦のことなの!!

爽雄 そんな木内監督も最後の試合はマジックを封印して強気の采配をし、常総の得点を0点にするというマジックをしましたね。

陽子 マジックじゃねえよ!そういう作戦ってだけなの!

爽雄 結局、甲子園までのマジック2も消滅してしまいましたが、お疲れ様でした。

陽子 マジックの意味変わってるから!そんで、トーナメント形式だからマジックもなにもないと思うけどなあ。

爽雄 結局、茨城予選は常総に勝った藤代高校が甲子園に進んだので、木内監督の分も頑張ってほしいですね。

陽子 あんたが言ってもあんまり説得力無いけど。

爽雄 あと、広島大会では野球のルールの確認不足で試合が1時間中断って言う試合もありましたね。

陽子 そんなことあったんですか?

爽雄 交代違反の反則で、本来なら没収試合になってる反則だったらしいですよ。

陽子 交代違反とか細かいルールはなんだか野球知らない人は反則なのかどうかわからないですね・・・。

爽雄 でも、審判団がルールを理解していないのは駄目でしょう。1時間も審議するって問題ですね。

陽子 いくらなんでも確認に時間かかり過ぎですね。

爽雄 吹奏楽部の応援も大変ですよね。演奏を何周すればよいのやら。

陽子 え?中断の最中も演奏してたの!?

爽雄 最後は管楽器に唾液がつまり、打楽器のスティックは折れて、木内監督とアンパイアが入れ替わりました。

陽子 演奏頑張り過ぎだろ!そんで最後は関係ないし!!木内監督何やってるんですか!?

爽雄 応援はもちろん、観客の方も暑い中ずっと待たされてるわけですからたまったもんじゃないですよね。

陽子 確かにそうですね。1時間以上何もできないわけですから。

爽雄 いっそのことこの中断の間に地区の草野球でもつなぎでやらせればよかったんじゃないですか?

陽子 無理やりすぎるだろ!納得できるわけがない!

爽雄 で、その試合の最中でも誤審があって監督が抗議、試合が中断されます。

陽子 そこは大人になれよ!草野球なんだからそこまでマジになるなよ!

爽雄 仕方がないから草野球の中断中に近隣の少年野球を開始。

陽子 リトルリーグ!?もはやボールも軟式だし!

爽雄 少年野球なんてそこまで長引きませんからちょうど試合が終わったところで、先程の抗議も終了。

陽子 あ〜、良かった。これでやっと続きがみられる。

爽雄 で、結局さっきのタッチアップの判定は無効ということになりまして、試合再開です。

陽子 あれ?そんな判定でもめてたっけ?

爽雄 結局、14-6で桜ケ丘ファイターズが勝利。

陽子 それさっきの草野球の方かよ!?高校野球どこ行った!?

爽雄 アナウンス嬢が『本日の前試合日程が終了しました。』

陽子 いやいやいや、高校野球!メインイベント忘れるな!!

爽雄 会場に来た人としては2.5試合くらい見れたから満足なんじゃない?

陽子 絶対できないって!高校野球見に来たのに草野球とリトルリーグじゃ話にならないわ!

爽雄 まあ、地区予選は終わりましたが、甲子園本戦にも印象的なシーンってあるじゃないですか。

陽子 そうですね。例えば負けたチームが甲子園の土を持って帰るシーンとか印象的ですね。

爽雄 あれって1回戦だろうが決勝だろうが負けチームが持って帰ってますね。

陽子 まあ、そうですよ。

爽雄 ということは、48チームが負けて、全チーム登録18人が土を持って帰るとなると864人分の土が持ってかれるんですね。

陽子 そう考えると結構な量ですね。

爽雄 そうなると、大会最終日くらいになるとピッチャーマウンドが10cm位低くなってたりするんですかね?

陽子 それはない!何でわざわざピッチャーマウンドの土を持っていこうとするの!?

爽雄 そもそも、土を靴袋とかに入れるのも汚れるから良くないでしょ?

陽子 いや、野球やってる時点で汚れるもくそもない気が・・・。

爽雄 だから、予め864人分の土をビニール袋とかに入れとけば大分スムーズに帰れますよ。

陽子 手間とか時間は気にしなくていいの!

爽雄 予備含めて900袋あったら安心ですね。

陽子 どうだっていいわ!とにかく、選手がその場で持って帰るからドラマチックなんでしょうが!

爽雄 じゃあ、もう土を持って帰るのやめて別の甲子園の物を持って帰ればいいんじゃない?

陽子 何を持ってくつもりよ?

爽雄 甲子園のホームベース、ラインカー、ビニールシート、電光掲示板、木内監督・・・どれも欲しいですね。

陽子 どれもやっちゃ駄目だろ!大体電光掲示板を持って帰って何に使うんだよ!?

爽雄 いいじゃないですか。常に自宅で『甲子園に、駐車場はありません。』の情報を見ることができますよ。

陽子 全く意味がないその情報!邪魔なだけだわ!

爽雄 あと、勝ちチームへの腹いせとして試合結果を改ざんして庭に置いとくとか。

陽子 陰湿!高校球児のやることじゃないから!!どさくさにまぎれて木内監督を持って帰るな!あの人甲子園の人ではないから!

爽雄 自宅でマジックを見られますよ?バットを振ったらハトが飛び出す、ヘルメットの中からアンパイアが出てくるとか。

陽子 だからそのマジックじゃないんだって!てかヘルメットから出てくるアンパイアってちっちゃすぎるだろ!

爽雄 違う、ヘルメットが物凄くでっかいの。

陽子 なんだっていいわ!人が入れるヘルメットってガリバー旅行記か!?

爽雄 いや・・・巨人は実際にはいないわけで・・・。

陽子 分かってるわそんなもん!そんな急に冷められても困るって!

爽雄 あ、そんなつまんないことを言われたら持って帰るのに一番適する物を思いつきましたよ。

陽子 そんなにまずかったのガリバー旅行記!?ロードショーしてるのに!

爽雄 あの件で審査員の方5人のうち4人がモニターを殴ってるよ。

陽子 やめて〜!そんなことしないで〜!!自分しか損しないから〜!

爽雄 まあ、結局土よりも持って帰った方がいいもの聞いて下さいよ。

陽子 じゃあ何を持って帰るの?

爽雄 甲子園の・・・思い出。

二人 ・・・。

爽雄 今ので残り一人もモニターしばいたね。

陽子 いいかげんにしろ!

二人 どうもありがとうございました。

予選総合第34位(2回戦敗退) バニーガール
審査員
点数
40 34 21 58 50 平均40.6
【審査員コメント】 
・毎回時事ネタを作り続けていること自体がまず自分にはできないことなので素晴らしいと思います。
 ですがやはり時事ネタという縛りのせいかボケが弱かったというのも否めませんでした。
 ボケが苦しくなったらもっといろんな話題からボケを集めていったほうが良かったかもしれません。
  
・ここまで見てきた中では、明らかにボケのパンチ不足、わりとありきたりなことがボケになってるように思います。
 テンドンは漫才の常套手段ではありますが、今回の木内監督、テンドンするにしてはそんなにおもしろくはない部分でした。
  
・木内監督を持って帰るって最良のボケに対するツッコミの対象が「電光掲示板」だったのが勿体ない。
  
・朝のバライティ番組とかで見たらすごく丁度良いネタだと思いました。
 甲子園を一切見たことが無い自分が読んでも凄く分かりやすいネタでした。どうやったらもっと伝わりやすくなるだろうということを重点的に考えたのでしょうね。
 なんだかニュースの原稿を読んでるような気分でした。優しい言葉使いで嫌味ったらしくもない文章だからでしょうか。読んでて気持ちよかったです。
 このネタの欠点と言えばボケがどうも少なく感じてしまうことですね。
 普通の漫才は全体の9割がボケという印象ですが、このネタの場合3割程度もないんじゃないでしょうか。
 説明をすることや掛け合いに文字を使いすぎてるのです。審判の所など8行くらい真面目に語り合っていて逆に驚かされました。
 木内監督などボケが全体的に面白かったのに、周りを包んでるこのフワフワした掛け合いに飲み込まれてしまってるのです、普通の漫才と逆のことが起きてるのです。
 だからインパクトに欠ける。他の面白い漫才とは一線を引いて見てしまうのです。
 ニュース番組を見ても山場を感じないように、面白さとは別の何かを持ったネタなんだと思いがけない認識をされてしまうのです。
 だから、説明を今よりもさらに、究極一行程度で語れるくらいにコンパクトにしてほしいです。
 そうすればボケのスペースにも余裕ができますし、「普通の面白いネタじゃないか」という印象を多く植え付けられると思います。
 方向性や文体は変えずに、このネタの雰囲気をもっと鍛えてください。説明上手に拍車が掛かれば、そこにインパクトが生まれる筈です。
  
・ボケ数が少ないのが気になりましたが、その割に木内監督関連や「予備含めて900袋」「駐車場はありません」といった特に面白いボケがいくつか見られました。
 良いボケがあって、話の進め方自体も上手いのですが……逆に自然すぎるのか、今大会ではインパクトに欠けてしまうのが惜しいところですね。
 もう少し「ボケ」中心に漫才を作ってみても良いのかもしれません。
 あと、最後の「審査員」のくだりがよく分からなかったです。我々の事なのか、別の審査員の方なのか。



No.026 優しい朝の光に包まれて
隠してたこと
木下:こんにちは〜、優しい朝の光に包まれてです
   宜しくお願いします

山田:大舞台なんで服も胸の所に大きく「DEATH METAL」と書いてあるTシャツでビシッと決めてきました

木下:大舞台で着るべきジャンルの服じゃないと思いますよ

山田:で、まぁこんな大舞台でこんな事急に言うのもなんなんですけどね
   僕あなたに結成当初…っていうか出会った当初からか、ずっと秘密にしてた事が有りまして

木下:…え、なんですか?

山田:その…僕あの…鳥羽一郎なんですよね

木下:……はい?鳥羽一郎って…あの?

山田:あのです

木下:いや、違いますよ。何言ってるんですか
   あなたは鳥羽一郎じゃないですから、ちゃんと漫才しますよ

山田:信じてもらえないのも無理はないです、でも鳥羽的にもそろそろ言うべきなんじゃないかって…

木下:じゃあ言わせてもらいますけどね、鳥羽一郎は「DEATH METAL」って書いてある服着ませんよ

山田:鳥羽だってデスしたい時も有りますから

木下:大体、鳥羽一郎が自分の事「鳥羽」って呼んでる所自体、見た事無いですよ
   それしてるの矢沢永吉くらいですからね

山田:いや、真の鳥羽、元祖鳥羽は…

木下:だからあなたは偽の鳥羽であり、鳥羽の二番煎じなんですって
   それでももし、あなたが鳥羽一郎であると主張するのであれば、ここで一曲歌って下さいよ
   真の鳥羽なら真の鳥羽の歌声を出せるはずでしょ

山田:分かりましたよ
   じゃあ聞いて下さい「サンクチュアリ」

木下:鳥羽にそんな引き出し存在してないんですよ
   
山田:「デビルスクラップ」

木下:ありません

山田:「死の館」

木下:ないですよ!!!
   なんでいちいちデス要素入れてくるんですか

山田:鳥羽、デス派だからね

木下:鳥羽、デス派じゃないですよ
   じゃあこっちから指定します、「兄弟船」歌って下さいよ

山田:あ、分かりました…
   では聞いて下さいデス鳥羽一郎で…

木下:余計なデスを混ぜないでください!
   
山田:えぇ……
   じゃあ歌います、鳥羽一郎で「兄弟船〜悪魔の海を越えて〜」

木下:だから、余計なデスを混ぜるなって言ってるでしょ!
   鳥羽はデス派じゃないんです!

山田:もう…
   じゃあ歌います「兄弟船」

木下:何が腑に落ちないんですかさっきから…

山田:Death sanctuary wow…♪

木下:今すぐ鳥羽一郎と兄弟船関係の人に謝って下さい
   「Death sanctuary wow…♪」じゃないですよ
   初っ端からデスぶち込んでこないでください

(お前も蝋人形にしてやろうか)

山田:すいません、本番中に申し訳ないんですけどちょっと電話が…

木下:着信音が!着信音が!
   鳥羽を名乗るならもっとデス趣味抑えましょうよ…

山田:もしもし、きっちゃん?
   うん、明日のシフトね、分かったー
   はーいまた今度ねはーい…
   …すいません、ちょっと北島三郎の方から電話が…

木下:相手北島三郎!?
   鳥羽一郎は北島三郎の事、恐らく「きっちゃん」なんて呼ばないですからね!?
   そもそもなんで鳥羽一郎と北島三郎がバイトしてるんですか!

山田:なんでって…生活の事とかありますし…

木下:そこそこ余裕でしょうに。
   大体どこで働いてるんですか?

山田:…ピザハットでデリバリー

木下:元気ですね二人とも!
   
山田:あ、すいません。急に話変えて申し訳ないんですけど今何時ですか?

木下:今ですか?え〜っと…8時まわりましたね

山田:しまったっ、未来人との交信の時間だ

木下:鳥羽にそんな状況ないですよ!
   鳥羽じゃなくてもですけど、なんで未来人との交信を持ってるんですか

山田:ピポポ…プペパ…

木下:鳥羽一郎はそんなに巧みにパ行を使いこなさないですよ!
   もう、何処からみても鳥羽一郎じゃないですから

山田:会話切っちゃって申し訳ないです
   で、今何処まで行きましたっけ

木下:あなたが鳥羽一郎ではないってところです

山田:だから鳥羽一郎なんですって!
   どうやったら信じてくれるかな…あ、じゃあちょっとスペース空けてもらっていいですか?

木下:なにするつもりですか?

山田:我が鳥羽一族に古くから伝わる奥義「鳥羽ファイヤー」をやりますので

木下:鳥羽一族にそんな奥義伝承されてませんよ!
   大体、鳥羽一郎って本名は木村嘉平だから鳥羽一族ではないですからね
   どう考えたって今の所、鳥羽である要素が無いんですって
   
山田:えぇ〜…そりゃ信じがたいことかもしれないですけどね…
   でも、いくら僕が未来から来たとはいえ…

木下:ごめんなさい、ストップストップ
   …今何とおっしゃいましたかあなた?

山田:…デストラクション

木下:いや、言ってないですってそんな事、隙あらばデス放り込むのやめて下さい
   あなたは未来から来てないですよ、大体あなたは鳥羽一郎なんですよね?

山田:えぇ、あの鳥羽一郎ですよ

木下:鳥羽一郎未来からやってこないですよ
   ってか何年後の未来なんですか

山田:70年後からですね

木下:鳥羽の限界をどこに見てるんですかあなたは
   
山田:そりゃ、鳥羽だって限界をむかえましたよ、大往生でしたよ
   そこから大体10年がたったころですか、とある組織に改造を受けまして

木下:え、この鳥羽改造されてるんですか

山田:トバイチロイドとして蘇ったわけですよ

木下:トバイチロイドってなんなんですか!!
   語感としてはしっくりきますけど、状況がとにかくしっくりこないんですよ!

山田:トバイチロイドに関して説明するんであれば…
   簡単に言えば機械の体を手に入れた、この僕鳥羽一郎の事ですよ

木下:70年後の未来で鳥羽一郎は機械の体で蘇ってるんですか!
   とりあえず聞きますけどトバイチロイドにはいかなる性能が有るんですか

山田:まず、右手はロケットです

木下:鳥羽一郎からロケットが発射されるんですか!世も末ですね

山田:左手からは物を急速に溶かすよく分からない成分が出てます

木下:鳥羽一郎、軍の最終兵器みたいになっちゃってるじゃないですか
   ってかそもそもの鳥羽一郎としての形どこ行ったんですか

山田:ちゃんと口から流れますよ、「デビルスクラップ」が

木下:もう、スクラップになってくださいよ!

山田:でも、緊急時には液体化するからつぶれることはできないんですよ

木下:鳥羽一郎が危険を液体化してかわすんですか。
   大体、未来で改造を受けた鳥羽一郎がこの現世に何の用なんですか?

山田:あぁ…その事も言わなきゃいけないですよね
   僕は現世の地球を守るためにやってきた、いわば最終戦士なんです

木下:鳥羽一郎が最終戦士として送られてくるんですか
   ちなみに敵に当たるのは、どのような化け物で?

山田:実はその敵に当たるのもまた僕、鳥羽一郎と同じように
   機械の体に改造された人間の一人なんですよ

木下:あぁ、それで悪さをしてるんですね
   
山田:えぇ、またこのノグチゴロイドが強敵で…

木下:おいおいこらこら、え?ノグチゴロイドってまさか…

山田:えぇ、野口五郎が機械の体に改造された様です

木下:なんで70年後の未来では演歌歌手を中心に、機械の体に改造していくんですか!!
   彼らにそんな潜在能力が有るとも思えませんし…ん?ちょっと待って下さいよ
   さっきあなた北島三郎と電話してましたよね?

山田:あぁ彼もまた「キタジマサブロイドβ」として改造されてます

木下:北島三郎はまだβ版なんですか!!!ってことはキタジマサブロイドβもまた送りこまれたってことですか?

山田:いや、今この時代にいる北島三郎はこの時代で改造を受けた北島三郎です
   やっぱりこの時代の科学ではβ版が限界で…

木下:この時代の北島三郎改造受けてるんですか!!?

山田:えぇ、この時代にいるジェロイドとかと話をつなげるために通信役を任せてるんです

木下:ジェロイドって…どうしても演歌からなんですね
   ってなんだかあなたのペースに飲み込まれちゃってますけど全部おかしいんですよ
   だんだん違和感なくなってきてる自分が悔しいですよ

山田:だからこれから、ノグチゴロイドを倒すための最終決戦に行ってきますね!

木下:もう、こんなの絶対鳥羽一郎じゃない!
   いい加減にして下さい

二人:どうも、ありがとうございました

予選総合第19位(準決勝敗退) 優しい朝の光に包まれて
審査員
点数
52 64 26 76 66 平均56.8
【審査員コメント】 
・前半は鳥羽一郎とデス関連のボケ一点張り、対照的に後半はいろいろ手を広げすぎで両極端だったように思います。
 前半はデス関連のボケが多いためか徐々にボケとしての驚きが薄れ、後半はイメージが固まらずボケにイマイチ入り込めませんでした。
 鳥羽一郎というチョイスの善し悪しについてははっきり判断できないのですが、具体的なイメージが沸きにくいという点が良くも悪くも作用していたような気がします。
 どうでもいいかもしれないですが、演歌歌手というくくりがあったのだとすれば野口五郎が若干微妙なラインにいるので
 はっきり区別できる人選をするか、逆にその微妙さを突くなどした方が良かったのかもしれません。
  
・サイクルバトルで見たときツボにハマったネタですねこれ。
 しかし今回、漫才になって読んでみると……ん、そうでもない?
 おそらく、漫才になってツッコミが丁寧語になってしまっているのが原因かな、と思います。
 ボケがぶっ飛んだことを言うのを突き放す感じが痛快であったので……
 ボケ、その発想自体がおもしろいことは確かなんですけどね。
  
・鳥羽一郎とデスを繋げた話をしたいのか、演歌歌手を架空のストーリーでいじり倒したいのか、
 やることなすこと中途半端
  
・鳥羽一郎しかボケが無いのに飽きずに笑わせてくれる技術が素晴らしいです。ボケの全てで笑いました。
 デス関連のボケが重なったかと思えば、それ全てを角度の変えた見せ方をしてくれて、最早快感を覚えました。兄弟船に入るまでの展開が特に大好きです。
 実は最強戦士だったという急展開でも、ツッコミ側の完璧な受け答えで違和感無く受け入れられました。非常に構成力が高い作品だと思います。
 後はボケがこんな鳥羽一郎はありえないという系統のものばかりだったので、
 もっと読み手に納得を促すような現実味を帯びたボケがあれば、このネタはもっと印象強いものになると思います。
  
・ホント「Death sanctuary wow…♪」じゃないですよww 吹きました。
 全体的に「鳥羽一郎とのギャップ」という軸があり、分かりやすくて面白かったのですが、もう一つ何か足りないような気がしました。
 後半にもう一展開(トバイチロイド)があるのは良かったものの、盛り上がりきれてないのが惜しいところです。



No.027 第七女子会
しりとり
一条「どうも、第七女子会ですー!」 

二階「よろしく」 

三田「お願い」 

四谷「しま」 

五島「す」 

一条「なんで台詞分けちゃったの!? ていうか配分おかしいわよね!? 五島さん、一文字だけで満足なの!?」 

二階「そんなことより一条ちゃん。今、世間では何が流行ってるか知ってるっすか?」 

一条「なによ突然。世間で何が流行ってるか? なでしこジャパンとかK‐POPとか?」 

二階「何を言ってるんすか! しりとりっすよ!」 

一条「流行ってんの!? 世間では、若者がのんきにしりとりしてんの!?」 

二階「だから我々も話題に乗っかって、しりとりをやってみるっす」 

一条「本当に話題になっているのかよく分からないけど……まあ、そんなに言うなら、やってみましょうか。
   それじゃあ、『しりとり』の『り』からね。ええと、じゃあ、『リンゴ』!」 

二階「『ゴキブリ』!」 

三田「『リンチ』」 

四谷「『蓄膿症』!」 

五島「『鬱病』!」 

一条「おおっ、早いわね。……ただ、あんたら、もうちょい言葉を選びなさい。えーと。う、う……『うる星やつら』!」 

二階「『ラムだっちゃ』!」 

三田「『ちゃんとうちのことだけを見てほしいのに、どうしてダーリンは色んな人に声をかけるのけ?』」 

四谷「『けっ、そんなもん決まっとるだろう』!」 

五島「『美しい女性がこの世には多すぎるからさ』!」 

一条「なんか『うる星やつら』のキャラクター・ラムちゃんとあたるの会話みたいになってる!?
   さ……さ、さ、『サスペンスドラマ』!」 

二階「『まさか……あなたが犯人だったなんて……』!」 

三田「『哲夫さんを最も尊敬していたのは、貴方だったのに……』」 

四谷「『憎かったのか? 殺してしまうほど』」 

五島「……『ドラクエのデータを……哲夫さんが消したんだ! だから、殺したんだ』」 

一条「完全に会話文になっちゃってる! ていうか殺しちゃう理由、軽っ! 最近のキレやすい若者、怖いよ!
   ええと、だ、ね。だ、だ……『だんご3兄弟』!」 

二階「『一番上は長男、長男』♪」 

一条「あ。『ん』がついちゃったねー」 

三田「『一番下は三男、三男』♪」 

一条「え、あれ? 『ん』ついたよね?」 

四谷「『あいだにはさまれ次男、次男』♪」 

一条「『ん』がついたっていうかコレ、歌ってるだけよね? しりとり成立してないわよね?」 

五島「『だんご3兄弟』♪」 

一条「あ。ついにワンフレーズ歌いきってしまったわ」 

二階・三田・四谷・五島「「「「…………」」」」 

一条「えっ、なんで『早くしなさいよ』みたいな目で見られてんの!? 続いてるの!? しりとり続いてるの!?
   わ、わかったわよ! ええと、い? い、い……『井川慶』!」 

二階「『今村猛』!」 

三田「『ルイス』」 

四谷「『杉内俊哉』!」 

五島「……『野球の投手』!」 

二階・三田・四谷「「「正解!」」」 

一条「勝手に連想クイズをするんじゃありません! ええと、『シュレディンガーの猫』!」 

二階「『この箱の中に、三田さんと、50%の確率で毒ガスが噴霧されるシャワーノズルを入れ、蓋をします』」 

三田「『すいません、許してください』」 

一条「確かにそれは許してくださいと言いたくなる!」 

四谷「『いいでしょう。あなたを入れるのはやめておきますよ』」 

一条「よかったね三田さん。やめてくれるって」 

五島「『四谷さんを、三田さんの代わりに箱の中に入れましょう』」 

四谷「えっ」 

一条「別の被害者が出るだけだ、これ!? う……う、『ウクライナ』!」 

二階「『南米あたりにある』?」 

一条「東ヨーロッパだよ! 全然違うよ!」 

三田「『ルイス・アドリアーノというサッカー選手がいる』?」 

一条「そうなんだ!? あたし、そんなウクライナ事情に詳しくないわよ!?」 

四谷「……『ルイスって、さっきも言わなかったか?』」 

一条「確かにさっきの投手のくだりでも言ってたけど、そんなに気にしなくてもいいでしょ!」 

五島「『カーレーサーに、ルイス・カール・デビッドソン・ハミルトンっていう選手がいるよね。ルイスっていっぱいいるんだね』」 

一条「別にそんなに珍しい名前じゃないから、そりゃいるでしょうよ! ていうかなんであんたら、そんなに知識豊富なのよ!?
   ええと、次は、ね、ね? ね……『猫』!」 

二階「『こっち来んな』!」 

一条「なんで!? 猫、かわいいじゃない!」 

三田「『馴れ馴れしいですね。近寄らないでください』」 

一条「なんでそんなに猫を嫌悪してるのよ!?」 

四谷「『犬派なんだよね』」 

一条「だからって猫を嫌わなくても!」 

五島「『ネギでも与えちゃおうかな』」 

一条「やめてあげて! 猫にネギ類は禁物よ! ええと、な……ね。『NANA』」 

二階「『ARIA』!」 

三田「『AKIRA』!」 

四谷「『Angel Beats!』!」 

五島「『School Days』!」 

一条「アルファベットで繋げちゃった!? しかも、なんかマイナーな漫画やアニメのタイトルまで使って……。
   つーか、あたしは、次は何で繋げればいいのよ? 『S』? それとも普通に戻して『ず』なの?」 

四谷「括弧閉じ、からじゃね?」 

一条「『」』!? 記号じゃん! てかそれ言い出したら今までのしりとり全面的に成立してないことになるわよ!?」 

二階「じゃあ、次は『School Days』の『ず』で」 

一条「ず、ね。ず、ず……『ずる休み』!」 

二階「『みんなでカラオケ』!」 

三田「『警ら中のお巡りさんに見つかった』」 

四谷「『他殺死体』!」 

五島「『隠蔽工作』!」 

一条「繋がってないわよね!? それらの語は、決して一つの物語になっているわけではないわよね!?
   ええと、く……く……『クライマックス』!」 

二階「『素敵な笑顔で場をなごませる、サブカル大好き乙女、二階小梅』!」 

三田「『眼鏡の奥の瞳がキラリと光る、完全無欠のクールビューティー、三田夏奈』」 

四谷「『泣く子も黙る豪放ギャル、だけど根っこは繊細な、四谷千秋』!」 

五島「『君のハートを狙い撃ち、男も女も僕のもの、五島冬馬』!」 

一条「えええっ、なんでこんな終盤でいきなり自己紹介しちゃったわけ!?」 

二階「ほらほら、一条ちゃんも」 

一条「え、え……ま、まるで……『まるで女神のような包容力、七女をまとめるチームリーダー、一条春香』!」 

二階・三田・四谷・五島「「「「…………」」」」 

一条「何、その冷めた目は!? あんたたちの自己紹介だって、大概だったでしょ! もう満足したでしょ、しりとりおしまい!」 

二階「いやいや。一度始めたしりとりは、ちゃんと最後まで続けないとダメっすよ」 

一条「最後までって……どうすればいいのよ。次のことばは……えっと、『か』?」 

二階・三田・四谷・五島「「「「『完』!」」」」 

一条「いいかげんにしなさい……」

予選総合第33位(2回戦敗退) 第七女子会
審査員
点数
52 54 21 21 60 平均41.6
【審査員コメント】 
・それっぽい真面目なグループがやればそれっぽい雰囲気のコントにもできそうな設定なのですが、ツッコミの明るさのせいか良い意味で気軽に読み進められるネタだったと思います。
 多少「面白い」より「キレイ」な印象に偏ってしまいそうですが、雰囲気がとっつきやすいせいかあまりそういった点も気にならなかった気がします。
 ただ、普通にしりとりをしようとする立場であるはずの一条がしりとりのスタートとして「井川慶」「シュレディンガーの猫」を選ぶ点については、
 ボケとは違う意味で笑ってしまったというか、苦しさを感じました。
 性質上そのフレーズを出さなければいけないのも承知なのですが、そこ以外の完成度が高いゆえに目についてしまいました。
 「「「」」」といった使い方も、個人的な感覚の問題ですが、ない方がむしろスッと入ってくるような気がします。
  
・五人漫才でこの読みやすさ、構成力すばらしい!
 「笑い」とは別のおもしろさを感じました。うる星やつらや自己紹介する下りは、実際に舞台でやってるとこ見たらおもしろいと思います(超新塾的な)。
 ただMM-1グランプリでの採点だとこのぐらいの点数かなぁ、と。
 一個言うとすれば、アルファベットでしりとりになってるところは、口に出して伝わらないという点で漫才として違和感を感じました。
  
・あぁ、色んなパターンできてはるな、ぐらいにしか思いませんでした。
  
・いや、そんなに細かいキャラ設定があるんでしたら、しりとりなんかやんないでもっとキャラを活かしたネタを書いてくださいよ。
 多人数漫才でしりとりをするという展開は、簡単に書ける上に、そこそこ形の取れた漫才になるという非常に便利な設定であると同時に、
 一人一人のキャラを悉く潰してしまうという恐ろしい欠点がある設定なのです。
 おそらく作者は自分が考えたキャラを存分に発揮したネタを書きたかったのでしょう。細かなキャラ設定に底知れない愛情を感じました。
 しかし、たとえばこのネタの登場人物を全員ただのサラリーマンに変えたとしても、出来上がるネタは殆ど変わらないと思います。そのくらいキャラの薄い漫才だと思いました。
 自分が書きたい表現を書いてくださいよ、楽な設定に逃げるのではなく、自分が望んだキャラクターでしか出来ない特殊な漫才を考えてください。
 そうでないと読み手も作者も不完全燃焼な気分にされて終わるだけだと思います。もっと脳内を解放してください。
 このような点が読んでる間ずっと気に障って、笑うことができませんでした。
  
・いろいろな発想でボケを繰り出せている、というのは素直に評価に値します。
 どれも大きくは外していないのがすごいなぁ、と。ただ、すごく面白いネタがあったかというとそれは微妙で、どのネタにも欠点みたいなのがあったような気がします。
 また、この作品全体で「コレ!」という要素がないのが気になりました。ネタの後ろの方にも繋がっていく天丼のようなボケ・設定があるとよかったように思います。



No.028 天体観測
催眠術
 翔:はいどーも! 天体観測です。よろしくお願いします

ミヤ:いよっしゃー! 元気出していきましょう! ツーアウトー!

 翔:なんでいきなり2回死んでいるんですか。でも元気有り余ってるみたいだし良い事ですね

   だんだん暑くなってきましたし、体調だけには気を付けていきましょう

ミヤ:ZZZ ZZZ

 翔:なんで寝てるんだよ! さっきまでピンピンしてたじゃねぇかよ! おい、起きろって

ミヤ:……はっ。落ち着いて、ハナペロン戦争はまだ始まったばかりよ

 翔:どんな夢見てたんだよ。おい、いきなりなんで寝てんだよ

ミヤ:……あっ、私寝てた? ごめんごめん。実は最近、催眠術にはまっているんだよね

 翔:催眠術? 「あなたはだんだん眠くなってく〜る」っていうやつ?

ミヤ:そうそう。毎日特訓してたら、最近すぐに眠れるようになったんだよね

 翔:お前が寝るのかよ! 普通は相手を眠らせるんじゃないの?

ミヤ:最初は私も眠らせようと努力したんだけど、ヌイグルミのヌーちゃんは全然眠ってはくれなかった……

 翔:そりゃヌイグルミだからな! ってかヌーちゃんて

ミヤ:だから今日はこの場を借りて催眠術の練習をしたいなって思うんだよヌー

 翔:語尾の気持ち悪さっ! まぁ、いいですよ。じゃあ術をかけてみてよ?

ミヤ:あなたはだんだん眠くなってく〜る。あなたはだんだん眠くなってく〜る。

   あなたはだんだん眠くなってく〜る。あなたはだんだん眠くなってく〜る。

 翔:…………うん

ミヤ:あなたはだんだん眠くなってく〜る。あなたはだんだん眠くなってく〜る。

   あなたはだんだん眠くなってく〜る。あなたはだんだん眠くなってく〜る。

 翔:少しはセリフ変えろよ! 全然オレ眠くならねーよ!

ミヤ:で、でもこのまま朝まで粘れば……

 翔:催眠術関係なく眠くなってくるわ! 大体普通の人間が普通に

   あなたはだんだん眠くなってく〜る。なんて言って相手は眠くなるのか?

ミヤ:ZZZ ZZZ

 翔:効果てき面かよ! 自分の才能が怖いわ! おい、起きろって

ミヤ:……はっ。撃ちなさいよ! 今しかチャンスはないわ! 私の身はどうなっても構わない! さぁ、撃ちなさい!

 翔:ハナペロン戦争の真っ最中だ! 

ミヤ:……あれ? また私寝てた?

 翔:うん、寝てた。このペースでいけばナマケモノよりも1日を眠って過ごすことになるね

ミヤ:どうにかして翔ちゃんを眠らせたいなぁ

 翔:無理だと思うよ、著しく才能を感じないもん

ミヤ:じゃあまずはクロロホルムを使って……

 翔:催眠術関係ないじゃん! 犯罪の匂いがするよ!

ミヤ:その後、クギと雨ガッパを用意して

 翔:睡眠すら関係ない!

ミヤ:そしてそのまま戦争に突入よ

 翔:ハナペロン戦争の話だった!? 武器がクギで防具が雨ガッパってほぼ無防備だよ!

ミヤ:違う違う。武器が雨ガッパで防具がクギ

 翔:ほぼ無防備から無防備へと変わった!

ミヤ:戦いに敗れたときはこう言うんですよ「我が生涯に一片の悔いなし」って

 翔:せめて身の回りに関しては後悔してほしかった! ってか催眠術の話はどこにいったんだよ!

ミヤ:呪文が悪いのかもね。「羊が一匹、羊が二匹」に変えてみようか

 翔:それ眠れない時に自己暗示でやるやつですけどね。まぁ、やってみてくださいよ

ミヤ:ラムが一匹、ラムが二匹……

 翔:おい、焼き肉バカ。オレ、腹減ってきちゃったよ

ミヤ:ラムが三匹。ビールが一杯

 翔:アルコール頼んでんじゃねぇ!

ミヤ:日本酒が二杯。ワインが三杯

 翔:おい、酒乱。お前、この前酔っぱらってポストに登ってるところ、職務質問受けたんだから

ミヤ:うるさい! シークレットよ!

 翔:大体目の前で「羊が一匹」なんて言っただけで眠るやつなんていないでしょうよ

ミヤ:ZZZ ZZZ

 翔:大体そんな予感はしたけども! おい、アホ

ミヤ:……はっ、こうなったら最終兵器よ。全兵士に次ぐ。雨ガッパとクギを捨て、ロケットランチャーを装備しなさい

 翔:最初からそっち使えよ! なんでクギと雨ガッパでいけると思ったんだよ!

ミヤ:……あれ? デジャヴ?

 翔:こういうのはデジャヴとは言わない。お前が単純過ぎるだけだ

ミヤ:おかしいなぁ。羊のせいかな?

 翔:羊がびっくりしてるぞ。こんな責任転嫁があるかって

ミヤ:やっぱ原点に返ってみよう! 

   あなたはだんだん眠くなってく〜る

 翔:無理だって。お前の胸がBカップになるくらい無理

ミヤ:あなたはヌンヌン眠くなってく〜る

 翔:ヌンヌンって! やっぱり気持ち悪っ!

ミヤ:あなたはテンテン眠くなってく〜る

 翔:テンテンってテンテンくんのこと!? あの全裸の天使の!?

ミヤ:あなたはチンチン眠くなってく〜る

 翔:バカかよ! もうお前は2度と催眠術に関わるな!

ミヤ:ちぇっ。せっかく催眠術が決まったら翔ちゃんに暗示かけようと思ったのになぁ

 翔:暗示?

ミヤ:うん。「あなたは目が覚めたら全裸で外に飛び出したくなる」って

 翔:このアマ、怖ぇぇよ! 危うくリアルテンテンくんになるとこだった!

ミヤ:まぁ、眠らなかったら元も子もない話なんだけどね

 翔:……ん? 待てよ? ねぇねぇミヤ

ミヤ:なに? フルチンくん

 翔:フリテンくんみたく言うなよ!

   あなたはだんだん眠くなってく〜る

ミヤ:ZZZ ZZZ

 翔:思ったとおりだぜ。さて、さっきは危うく全裸にさせられるところだったからな

   どんな仕返しをしてやろうか

ミヤ:むにゃむにゃ。かっとばせ、バティスター!

 翔:なんでここでの寝言が元ソフトバンクホークスの助っ人外国人なんだよ!   

   ハナペロン戦争の結末はどうなったんだ!

ミヤ:そのまま爆弾を持って向こうの国へ行ってこーい!

 翔:まさかの特攻隊だったか!

   まぁ、それはいいや。暗示暗示と。

   あなたは目が覚めたら客席の前でストリップダンスを始めてしまう〜

ミヤ:ZZZ ZZZ

   ざんねん ひんにゅう なので むりです

 翔:寝言で拒否された! しかもちょっとRPGっぽい!

ミヤ:ZZZ ZZZ

   誰が貧乳じゃああ! ミヤちゃんぱ〜んち!

 翔:ぐへあっ! 寝てても凶暴!

   ダメだ、手に負えないから起こそう。おい、起きてくれ!

ミヤ:(パチッ)

   あれ? なぜか目覚めすっきり

 翔:そりゃ、豪快に人を殴ったからな。

   もう催眠術なんてやめようぜ。良い事一つもないし

ミヤ:いや、私は今更催眠術をやめるわけにはいかないわ

 翔:どうして?

ミヤ:バティスタのその後が気になるからよ

 翔:ハナペロン戦争の結末は確かにオレも気になる……ってバカ! もういいよ!

二人:ありがとうございました!

予選総合第13位(準決勝敗退) 天体観測
審査員
点数
47 85 57 70 77 平均67.2
【審査員コメント】 
・ボケどうこうじゃなく二人のやりとりに読み手を納得させる何かがある気がします。
 ミヤちゃんぱ〜んちに対する待ってました感もあって、このコンビにしかできないネタになってるように感じました。
 ただ全体としてボケが弱い印象が強く、二人のやりとりだけではカバーできていなかったように思います。
  
・なーんでしょう、ぬぼーっと(?)してるようでいて、おもしろかったです。
 催眠術、っていう本筋自体のおもしろさというより、ハナペロンとかその他、細かいボケがグッときました。バティスタとか懐かしいなw
 その分中身がないとも言えて、読み終わって残る感じではなかったです。
  
・個性で押し切ってる感が否めないものの、
 伏線や天丼が狙い通りにはまりました。
  
・二人のキャラクターが完成されていて、とても読みやすかったです。舞台に立つ二人の図が安易に想像できました。
 言葉使いから行動まで、全てに気を使ってるなというのがよく伝わりました。難しい言葉を使用せず、ここまで綺麗な話の流れになるのが凄いです。
 ハナペロン戦争など独特なボケも満載で、淡々とした展開の割りには飽きずにサッパリと読むことができました。
 特にココがダメってのはないんですが、展開としての盛り上がりが不十分だったというのが不満に残りました。
 全体的に眠ったり眠らせようとしたり夢を語るだけだったので、ストーリーとしての山場が欠落していて、物足りなく感じました。
 催眠術ネタの山場は、やはり「洗脳」だと思います。眠らせるだけではなく、もっと相手を洗脳して動かす展開を多く見たかったです。
  
・すごく盛り上がってたわけじゃないのですが、全体として「いい漫才」という感じでした。
 ややキャラ芸頼りなところがあるので、そこが純粋なボケに置き換わってかつ面白ければ、というところでしょうか。



No.029 リーベルパウンド
生命力
氷谷:最近はマナーの悪い人が増えてるとよく聞きますよね。

古城:大した事件でもないのに警察を呼びつけるとかもう酷いよね。

氷谷:ゴキブリが出ただけで警察呼ぶとかもうね。

古城:そうですよ。

氷谷:ゴキブリを瀕死にしてしまった時に救急車呼ぶならアリですけどね。

古城:それも問題外だよ。
   ゴキブリ運び込まれてもてんやわんやになるだけだわ。

氷谷:死んでしまったゴキブリを霊柩車に乗せるのも可。

古城:それも不可だよ!

氷谷:虫類院家中五鬼居士。

古城:ゴキブリの戒名とかいいんだよ!
   ともかく酷いよね、警察を無理に呼びつけるの。   

氷谷:確かにそこまで来るともう警察の仕事じゃないですね。
   警察の仕事ってのは一日所長をしてるアイドルの写真を撮りまくる事ですからね。

古城:それこそ警察の仕事じゃないわ!
   警察の仕事ってのは犯罪の防止とかだろ。

氷谷:まぁ、それでなんですけども。
   最近実際に「これはマナー悪いな」っていうのに遭遇しまして。

古城:ほう。

氷谷:僕、この間カツアゲされたんですよ。

古城:それはマナーとは違うんじゃないか?

氷谷:まぁ、話は最後まで聞いて下さい。

古城:あぁ、早とちりして悪かったな。

氷谷:結構普段からそういう事に遭遇するんですけど。
   その日は順番待ちが出るくらい多くの人にカツアゲされましたね。

古城:順番待ちの出るカツアゲってなんだよ!

氷谷:たくさんの人に来て頂きましたけども。

古城:敬うような感じで言うな。仮にもカツアゲされてんだから。

氷谷:老若男女問わず来て頂きました。

古城:老若男女!?若い兄ちゃんだけかと思ってたわ。

氷谷:下は3歳から上は105歳まで。

古城:ナメられ過ぎだろ!
   いくらなんでも幼児や御老体にまでナメられんなよ!

氷谷:スシ、テンプラ、カツアーゲ。

古城:酷く日本文化を誤解している外国人も来た!

氷谷:まぁ、カツアゲとはジェンダーフリーですからね。

古城:だいぶいいキメ顔してるけど、そこ全然カッコ良く言う所じゃないからな。

氷谷:でも、憧れのプロ野球選手も来たんで良かったですけどもね。

古城:「良かったですけどもね。」じゃねぇよ!
   憧れの人にカツアゲされるとか夢が無さ過ぎる!

氷谷:高校時代の恩師にも来て頂きまして。

古城:さっきからお前は一体どんな感情でカツアゲされてたんだ!
   もうなんか聞いててこっちが切なくなってくるわ。

氷谷:恩師の教師院古山清助居士先生が。

古城:そしてなんでまた戒名なんだよ!死霊!?ホラー!?

氷谷:そして生き別れの兄も来てくれて。

古城:感動の再会のきっかけがカツアゲって!

氷谷:たくさん人が集まって、7駅先くらいまで行列が出来てたようで。

古城:7駅先とかどんだけ人集まってんだよ!

氷谷:「オラァ!金出さんかいオラァ!」
   あ、おばあちゃん。カツアゲは1人1日1万までと決まってるんでお引き取りお願いします。

古城:何スーパーのバーゲンみたいに条件付けてんだ!
   というか断れるんなら最初から全部断れ!

氷谷:で、その日は途中で予定が入ったんで「翌日7時からカツアゲの方再開します。」
   とアナウンスを入れまして。

古城:引き続かなくていいから!
   何がお前をそこまで駆り立てるんだ。

氷谷:そして翌日7時に再度オープンしたんですよ。
   でも、一人でお金を渡し続けるのも面倒臭いので自動で1万円を渡す機械を設置しました。

古城:そんな無駄な設備投資しなくていいんだよ!

氷谷:顔で個人個人を識別する機能が付いています。

古城:そして結構よさげな機械!

氷谷:これで教師院古山清助居士の顔もくっきり!

古城:心霊写真は推さなくてもいいから!

氷谷:写真が使えるか試し撮りで警察の方に撮ってもらったんですけど。
   一日所長やってるアイドルの肩の辺り…。

古城:それ蒸し返さなくていいんだよ!警察は職務を全うしろ!

氷谷:肩の辺りが…セクシー。

古城:心霊写真でもねぇ!
   ただお前の肩フェチが明らかになっただけじゃねえか!

氷谷:ともかく、この機械の導入により1人1日1万という規則は守られました!

古城:うん。まぁ、一番規則を守るべきなのはカツアゲしてる奴らだけどな!

氷谷:しかし、ここで問題が起こりました。

古城:なによ?

氷谷:僕はこの目ではっきり見たんです。強引に行列の間に割り込む輩を。

古城:そこはもうどうでもいいだろ!
   それよりカツアゲされまくってる状況をなんとかしろよ!

氷谷:5駅先で見かけたんですけど。

古城:なんて非常識な視覚!
   もはや別次元の生物だよ!
      
氷谷:割り込むなんてマナーがなってないですよ!

古城:今更マナーに戻ってくる!?
   正直もうあんまり興味ないんだけど!?

氷谷:最悪ですね!酷い!有り得ない!

古城:そこだけ集中砲火するな!
   割り込まれた事に辛いトラウマでもあるのか!?

氷谷:ホント並ぶのが面倒な人のためにちゃんとしたんですけどね。
   先ず、機械でカツアゲをする予約をして、その後人の少ない別口からお金を貰えるファストマネー機能というものを作ったんですけども。

古城:どんだけシステム作り込んでんだよ!
   そんなディズニーのファストパス的なモノまで作りやがって。

氷谷:いやーマナーがなってないですね。

古城:お前はもっとマナー以外の事を気にしろ!
   カツアゲにあったら先ず警察を呼ぶべきだろ。

氷谷:なんだかんだ言って古城さんもマナーがなってませんね。
   そんな警察を呼ぶような内容じゃないですって。

古城:ベストな選択だろ!いい加減にしろ。

予選総合第8位(準決勝敗退) リーベルパウンド
審査員
点数
89 88 57 70 76 平均76.0
【審査員コメント】 
・シンプルながらも、一つ一つのボケが想定していた範囲の外ををことごとく突いていくので飽きが無かったです。
 また、一台詞におけるボリュームが少ないことがかえって余計な情報をそぎ落としてボケの密度を上げているようにも感じられました。
  
・この話題ここまで広がるかぁ……見事です。
 圧巻、って言葉が一番似合うかと思います。
 ただ、「笑い」というよりは巧さのネタだと思いました。地味に戒名のボケが大好きです。
  
・決めるところでしっかり決めてきてるんですが、
 ボリューム的に物足りない気がします。
  
・カツアゲの行列の描写が面白すぎて、想像しただけで楽しめました。
 これでもかというほどボケの連射に快感に近いものを覚えました。面倒くさいから機械化したなど文明を感じさせるようなボケが多く、意表を突かされっぱなしでした。
 しかし打ちっ放しで後片付けをしないという印象が強いネタでもありました。
 憧れの野球選手だとか生き別れの兄上だとかアイドルを撮る警察だとか、火を一瞬だけ燃え上がらせる灯油のような役割のボケが多かったです
 展開に集中するだけでなく、自分が出した情報をもっと活かして欲しかったです。面白いのが描写だけでは、満足した気持ちになりません。
 登場人物をもっと複雑に絡ませて、かつ馬鹿馬鹿しい展開ができれば、このネタは格段に跳ね上がると思います。
  
・設定が素晴らしく斬新で面白かったのです。
 ただ、ちょっと展開し足りなかったように思います。後半、もう一つ二つ盛り上がりが欲しかったです。



No.030 サンザンヒーローズ
やはり漫才というのは如何に迅速にツカむことが出来るのかに懸かってるので、ここは出だしから全力で行きたいと思います
B:はいどうもサンザンヒーローズでひゅ

A:いやなにのっけから噛んでるんだよ

B:は?噛んでねーし

A:いやいや「サンザンヒーローズでひゅ」って、何かの空気が抜けたような噛み方したじゃねーか

B:知らねーし、脱力系漫才とかじゃあるまいし

A:脱力系への解釈にブレスが用いられることはねーよ

B:つーかほんと噛んでねーし。お前の耳が悪いんじゃねーの?

A:あぁ!?

B:あぁ!?

A:あぁん!?

B:あぁん!?

A:ああん!?

B:おおん!?

A:あん!?

B:おん!?

A:おん!!

B:おんおん!!

A:あおーん!!

B:わおおおおおん!!

A:うわおおおおおおおおおん!!!

B:んぅわおおおおおおぉぉぉおおぉおおおおん!!!!!

2人:ギャインギャインギャインフシャブリバシカラボブプリペードバライ・・・・・・・・



















B:まぁそういうわけでね、今日も漫才の方頑張って行こうと思いまじゅ

A:いや仕切り直そうとしてまた噛むとかよ

B:は?噛んだ覚えねーし

A:人の形をまとったニワトリかお前。「漫才頑張って行こうと思いまじゅ」って、何かお前が喋ってる横で俺が根性焼きやってるみたいな噛み方したじゃねーか

B:お前、俺が喋ってる横でタバコ押し付けたのか!

A:押し付けてねーよ。斬新すぎるだろネタの最中に焦げた臭い放つって漫才

B:とにかくな、そんな細かいこといちいち気にしてんじゃねーよ

A:あぁ!?

B:あぁ!?

A:んあぁ!?

B:んあぁ!?

A:んっ!

B:あっ!

A:ぁ!

B:!!

A:?!

B:はいっ!!

A:はっ!!
B:かっ!!
A:たっ!!
B:のっ!!

2人:し、お!!









(いつのまにか背景が荒波の日本海に変わっている)









B:というわけでね、再びMM−1で漫才させて頂く事になったんですけドミグラスソース

A:ずいぶんおいしそうな噛み方だなぁおい

B:おいしそうな噛み方ってなんだよ?意味わかんねーし

A:数種類の肉野菜をじっくり煮込んで旨みを凝縮させたソースが、さっきのお前の発言の語尾に付いちゃってたんだよ

B:なんだ、俺の発言の先端をハンバーグみたいに言いやがって

A:言った覚えねーよ。ドンキーも度肝抜かれるわ

B:ドンキーはもともとびっくりしてるだろーが。てかさっきから流れ止めんなよいちいち俺の足引っ張りやがって

A:あぁ!!?

B:あぁ!!?

A:あぁん!!?

B:あぁん!!?

A:んっ!

B:んんっ


A:んあっ///



B:あぁん///





A:あっ///あっ///あっ///あっ///






B:あっーーーーーーー///


















2人:(誇らしげな顔しながらティッシュで何かを拭き取る)












B:えー、さっきから一歩も前進してないんでね、そろそろネタの方に行きたいと思いまへぶしこぉっ!!

A:おいおい漫才中にクシャミとか

B:クシャミなんかしてねーし。体ピンピンしてるし。ピンピンってゆーかガクガクってゆーか

A:真逆の選択肢出てきてるじゃねーか。こんな大舞台でカゼひいてんじゃねーよ

B:横に病原菌が居たら誰でもカゼひくってんだ

A:あぁ!!?

B:あぁ!!?

A:あぁん!?

B:あぁん!?

A:あらぁ!?

B:あらら!?

A:あれぇ!?

B:れれぇ!?

A:おかしいなぁ!!

B:声が!!

A:遅れて!!

B:く!!!

A:る!!!

2人:YO!!!!!!!!!!!









(ボロボロになった人形を投げ捨てるいっこく堂を見かけたらお知らせください)











B:さぁというわけで中身ゼロのままお別れの時間が来てしまったわけですが

A:誰のせいだと思ってるんだよ

B:あぁ!!?

A:あぁ!!?

B:あぁん!!?

A:あぁん!!?

B:・・・っあぁ!?

A:・・・っあぁ!?

B:おあぁ!?

A:あたぁ!!

B:おわたぁ!!

A:あっちゃあ!!

B:ほわたぁ!!



A:ほーーーーーーーーーーーぅ・・・・・・・




B:わたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたた・・・・!


















2人:おわったあ!!!

予選総合第39位(2回戦敗退) サンザンヒーローズ
審査員
点数
59 59  8 12 49 平均37.4
【審査員コメント】 
・こんな自由なネタが来るとは予想してなかったので面食らいました。面白いというのもありましたがそれ以上に自由に楽しんでる感がありました。
 元ロッテの小宮山悟投手はチームが大量リードされてる試合でリリーフ登板した際、
 シェイクという独特の変化球や変化しない超スローボールを投げて打者を翻弄する(あるいは思い切り長打を打たれる)ことで
 真剣勝負とは別の、ファンサービス的な投球をすることがあるのですが、このネタを見てその小宮山投手を思い出しました。
  
・よー100行制限でこのネタやりましたなあ……
 タイトル→一回目噛む→二回目噛むとこまでおもしろかったです。
 デミグラスソースっていう噛み方にすごく違和感があった上、一番は何故に射精しちゃったんでしょう、ってことで。わざわざ射精する必要性を僕は感じませんでした。
  
・猪突猛進根性に惚れました
  
・伯方の塩とドミクラスソースがすごく面白かったです
 それ以外はすごく面白くなかったです
  
・発想自体は本当に悪くないと思うんですが、あまりにも「あぁん!?」とかが長すぎで手抜き感が漂っていたのはどうかと思います。
 もう少し不要な行を削って、その分新たに2〜3展開入れるだけでもより良いネタができたと思うだけに勿体無いです。
 個々のボケにも適当感は漂っているのですが、そこはむしろ「良さ」でもあるのかなぁ、と思いました。