予選Fブロック 審査フォームはこちら

 051 アイアンヘッズ  052 月影連盟  053 生涯探究  054 安物鬼(覆面付き)  055 嗚呼、愛しのジャパネシア帝国  
 056 ボルケーノ  057 俺の塩  058 たいまつぎょうれつ  059 ところてん  060 生姜焼きが大好きなユウスケ  
 061 八十八ではない


No.051 アイアンヘッズ
おもしろい話
NORI:どーもーアイアンヘッズです、よろしくお願いします!!ツッコミNORI(ノリ)と、ボケのIRON(アイアン)で漫才やってます!

IRON:じゃあ今からおもしろい話するわ。

NORI:いや、話題入るの急だなお前!

IRON:だって・・・漫才って、おもしろい話すればいいんだろ?

NORI:ざっくり言えばそうだけどさ・・・まあいいや、そのおもしろい話とやら聞かせてくださいよ。

IRON:これはな、アイドルの生脱ぎパンティが手に入るイベントに参加したときの話なんだが・・・

NORI:のっけから話題が最悪だわ!!

IRON:アイドルが出すクイズに答えて、正解した人のうち1人が、その時アイドルが穿いてるパンティをその場でもらえるというイベントでな。

NORI:いろいろ気になるけど、なんでお前そんなイベントに行ってるんだ。

IRON:そのときのクイズが、「今穿いてるパンティは何色でしょーか?」ってやつだったんだか・・・なんと!俺だけ正解したんだ。

NORI:内容はともかくとして、それはすごいな・・・で、何色だったんだ?もらったんだろ?

IRON:ああ、正解は・・・「穿いてない」だった!!

NORI:・・・じゃあお前パンティもらえてないじゃん!!

IRON:よし。どうもありがとうごz

NORI:いや待て待て!!・・・お前、なんで漫才終わろうとしてんだよ!!

IRON:だって、おもしろい話したし。

NORI:それだけだし、まず生脱ぎパンティの話しかしない漫才ってなんなんだよ!!

IRON:いや、だって考えてみろ・・・誰も騙していないし何も間違ったことはしてないのに、誰もパンティをもらえない状況になっている・・・
   ・・・なんか、哲学的なおもしろさを感じるだろ?

NORI:知らねえよ!!生脱ぎパンティでパラドックス語られても!!
   ・・・いや、このままじゃ終われねえよ。なんか、別な話ないの?

IRON:話なら一応あるが・・・

NORI:じゃあそれ話せよ。

IRON:この前、道端に生脱ぎパンティが落ちてたんだが・・・

NORI:オイ!!お前オイ!!・・・なんでお前、生脱ぎパンティの話題だけ充実してんの!?

IRON:仕方ないだろ、事実落ちてたんだから・・・

NORI:・・・まずその、「生脱ぎパンティが落ちてた」って表現もよくわかんねえよ!・・・落ちてたんなら、「生脱ぎ」とは言わないんじゃねえの?

IRON:それが「生脱ぎ」だったんだよ。前を歩いてた女性がな、おもむろにパンティを脱いで、地面に置いたんだ。

NORI:じゃあそれ落ちてたって言わねえよ!女性が地面に置いたんだよ!!・・・まず、その女性はなにをもってそんな行動をしたんだよ・・・

IRON:で、そんな落ちてるパンティを見たら・・・拾ってどうするか迷うだろ?

NORI:拾うの前提かよ!アクティブだなお前。

IRON:やっぱり拾ったものは警察に届けるべきだよな・・・

NORI:・・・いやそれもどうなんだよ!?警察にパンティ持ってっても、なんか別な案件で捕まりそうじゃね?

IRON:だが、その女性に「パンティ落としましたよ」って言うのもなんかアレだろ・・・?

NORI:それは確かにな、まあ落としたんじゃなくて置いたんだが・・・

IRON:そういう状況で、頭の中の天使と悪魔が戦うわけだ。

NORI:ああ、よくあるやつな。

IRON:天使「パンティはやっぱりスケスケピンクよ!」
   悪魔「いや、大人な紫も捨てがたい・・・」

NORI:何で悩んでんだよ!?なんで天使と悪魔がパンティ議論してんだ!!

IRON:いや、だってピンクと紫の2枚のパンティが落ちてるわけだし・・・

NORI:・・・え、パンティ2枚あんの!?

IRON:そう。だからさっき、ピンクと紫のパンティを両方とも脱いで・・・

NORI:最初2枚穿いてたのかよ!!で2枚とも脱ぐって・・・なんのこっちゃもう!!

IRON:でまあ、どちらを取るかも含めて、2時間悩んでたんだか・・・

NORI:悩みすぎだ!!時間の無駄遣いすぎるわ!

IRON:ついに意を決した俺は、2枚のパンティを手に取り・・・

NORI:結局2枚いくんだ!

IRON:そして、目の前にいたさっきの女性に声をかけた。

NORI:・・・さっきの女性まだいたの!?2時間経ったのに!?

IRON:2時間ずっと、こっち凝視してた。

NORI:めっちゃ反応待ってんな!!もう謎すぎるわコイツ!!

IRON:で、俺は2枚のパンティを見せながら女性にこう言ったわけだ。

NORI:ほう。

IRON:「あなたが落としたのはこのピンクのパンティですか?それともこの紫のパンティですか?」

NORI:・・・どうしてそうなった!!どうして2時間悩んだ挙句そういう返しになったんだよ!?

IRON:そしたら女性が「いいえ、赤のパンティです!!」

NORI:さっきの2枚アンタのだろうが!!なんで第三のパンティが登場した!!

IRON:そう言われたもんだから、俺はこう言い返した・・・「この嘘つきめ!!この2枚のパンティはワタシがもらってやる!!」

NORI:結局はお前がもらうのかよ!

IRON:と言って持って帰ろうとしたんだが・・・俺はあることに気が付いた。

NORI:なんだよ。

IRON:「・・・このパンティ、2時間経ったけど『生脱ぎ』と言えるのか・・・?」

NORI:・・・そこ!?そこ気にすんの!?

IRON:だってお前!・・・パンティは生脱ぎしかありえないだろ!?

NORI:その執着が怖ぇよ・・・

IRON:だがな、その女性がこう言ってくれた・・・「それなら、私が今穿いてる赤のパンティをあげましょう。」ってな。

NORI:・・・女性まだパンティ穿いてたの!?おま、ソイツ初期段階で3枚パンティ穿いてんじゃねぇか!!

IRON:まあそれで、無事に生脱ぎパンティがもらえた、という話だ。

NORI:・・・そうか。

IRON:よし。どうもありがとうg

NORI:終われるか!!・・・なんでお前、話し終わって自分で納得したら締めようとすんの!?

IRON:でも・・・いい話だっただろ?

NORI:・・・おもしろい話どこいったんだよ!!

IRON:だってよ、こんな人のぬくもりに触れたの、久々だぜ・・・

NORI:・・・お前が触れたぬくもりは生脱ぎパンティのだろうが!!
   違ぇよ、言いたいのは・・・漫才なんだからもっとまともな話を話せってことだよ!てかまず、漫才ってただおもしろい話をすればいいってわけじゃないからな。

IRON:そ、そうなのか!・・・つまりパンティだけに、漫才の意味を履き違えていたわけだな。

NORI:上手いこと言ったな!もういいよ。

IRON:で、また別な話があるんだが・・・

NORI:終わるの今だよ!!

2人:どうもありがとうございました!

予選総合第28位(2回戦敗退) アイアンヘッズ
審査員
点数
42 -- 10 73 54 平均44.75
【審査員コメント】 
・シチュエーションが2つのみで、最初の話が軽いジャブ的な意味を持っていたとすると、2つめの話がメインの割に弱かった気がします。
 漫才の長さの割にボケを読んだ気がそんなにしなかったというか、ここからどうなるのか待っているうちにネタそのものが終わってしまったかのような印象を受けました。
  
・あっさりしたネタですいません
  
・女性がパンツ3枚穿いてたってだけの話。10行で終わる。
  
・言葉遣いが巧みで、目の前に当時の状況が浮かぶほどの凄まじい文章力で展開したので、ただパンツパンツ言ってるだけのネタという印象がしませんでした。
 むしろここまでゴリ押しだと逆に清清しい気分になります。履いてたパンツを脱ぎ捨てるという動作に汚らしい感覚が一切沸いてきませんでした。
 すごく新鮮なボケ回しでした。女の自由奔放さが大好きです。
 それとNORIさんのツッコミは素晴らしいと思います。難解な状況を上手くなぎ払って笑わせるという技術が凄いです
 特に「なんで第三のパンティが登場した!」でガハガハ笑いました。唐突な展開を一気に理解させる言葉遣いで、素晴らしい掛け合いだと思いました。
 後はこの不可思議な状況に納得のいくような説明を加えてくれれば、構成の面でも文句無しになると思います。
 その状況に何かしらの動機を付けなければ、もう何でも有りじゃないのかという印象が強まってしまい、完成度が低くなってしまいます。
 実は女はさっき話したアイドルだったなど、上手い具合に纏めてストーリーも膨らましていけば、このネタはとんでもなく面白いものになると思います。
  
・面白いことは面白いと思うのですが、少々内容が薄いと言うか、もっと肉付けできそうな作品、という気がしました。
 オリジナルなネタのはずなのに何となく見たことがあるような感じがするのも、少々工夫し足りない部分があるからなのかもしれません。
 例えば「漫才終わる/終わらない」の話なんかも、上手く取り入れられてこそいますが、そのネタ自体は食傷気味だと思いました。



No.052 月影連盟
劣情は燃えているか? 淫欲は滾っているか? 据え膳喰わず老いて過去を憂うか?
咲野:夜もすがら、遁世して庵を結んだ体に鞭打つことなく、偶成の喜びを噛みしめ、
   坂口安吾の「堕落論」を読みふけり、宮本浩次の「生活」に耳を委ね、
   寺山修司の「書を捨てよ町へ出よう」を陰り暗き部屋で鑑賞し、
   しかし変わらぬ畢生を楽しみながら、お前は今、何を考えているのだ?
   何も考えておらぬのだろう、その穢れた魂で薄汚い部屋で、終世を真っ当するのか?
   或いは、西村賢太のように神に恵まれ、どうせ死ぬ身の一踊りが二踊りにも三踊りにもなるのか?

海堂:初っ端から負け犬の美学を語ってんじゃねぇよ10円ハゲ。南蛮漬けにするぞ。
   要するに何が云いたいわけ?

咲野:インフルエンザ明けのオナニーの気持ちよさは異常。

海堂:なんだこの落差。

咲野:体の底までへばり腐って、一週間、飲まず食わず抜かずの生活を送って、
   やがて回復して、真っ先にやることと云えばオナニーでしょう。
   HDDから一週間ぶりのオカズをピックアップし、かかる勃起を抑えつつ、
   これ! と決めた動画を再生した瞬間、社会の窓をぶち破って飛び出す我がムスコ!
   「ハロー、一週間ぶり!」と俺がにこやかに声をかけると、
   「挨拶とかええから、溜まりに溜まったおちんぽミルク早よ出しておくんなはれや」って云うわけですよ。

海堂:お前のちんぽこ関西棒かよ。

咲野:海堂さんもそんなこと云っちゃって、クラスに2,3人は下ネタの話を振ると苦笑いしながらツッコミ入れてくる、
   実はエロいくせに自称真面目キャラ(笑)でプライドが高くて空気の読めないむっつりすけべのクソゴミ虫童貞野郎がいますけどもね、
   そういうのじゃないんですか?

海堂:そのキャラにどんな恨みがあるんだよ。まぁ、確かに時たまうざすぎて蹴散らしたくなるけども。
   でも俺はそう云うキャラじゃないよ、現にこうしてフリチンで舞台に立ってるわけだし。


(女性客50人の内47人は海堂のちんぽこを見た途端雄叫びを上げて会場外に飛び出し往来で吐いてる、
 残ったのは海堂のちんぽこを食べたそうな表情でM字開脚してる立花里子、乃亜、紅音ほたる)


咲野:確かに、海堂さんはどちらかと云うと、クラスに4,5人は居た、
   日常生活の何でもないような単語をエロに結び付けるひょうきんな野球部のキャラって感じですよね。
   まぁそんなクソどうでもいいことは置いといて、実は私ちんぽこ占いが特技なんですよ。

海堂:もうちょっと脈絡のあること云い始めろよ。で、そのちんぽこ占いとやらは何を占うわけ?

咲野:例えば、あなたのちんぽこ、まるで生気のないようにぶらりと垂れ下がってるけども、
   「海堂の兄貴、客席で痴女が3人見つめとりますけぇ、勃たせてつかぁさい」云うてますよ。

海堂:俺のちんぽこ菅原文太かよ。(それが合図だったかのように海堂のちんぽこ※が仁王立ちになる)

  ※……以下「海ちん」

咲野:あぁ〜、勃ってきましたね。きてます。きてますよ。私のちんぽこ占いはそのちんぽこが云わんとしていることばかりでなく、
   そのちんぽこが昨夜どのように機能したかが透視できるようになっているのですよ。

海堂:全然嬉しくねぇシステムだな。

咲野:今から海ちんの昨夜の機能を透視します……見える、見えるぞぉ……。見えた!!

海堂:何が見えたんですか?

咲野:海堂さん、昨日スク水のコスプレ物でオナニーしていたところ、男優が女優のスク水を脱がすもんだから、
   「おぬし、それ、スク水のコスプレのAVだと云うのにもかかわらず、スク水を脱がして全裸でセックスしてはったら、
    スク水のコスプレAVとして成り立たぬではないですか! くごぽぽぽぽぽぽぽ」とか云ってたでしょう。

海堂:っ……!!


(羞恥の海堂を見て紅音ほたるが潮を噴き始め、それを浴びた不条理な男性客の半分が雄叫びを上げて会場外に飛び出して往来で吐いてる、
 残った半分は紅音ほたるの潮を浴びて興奮して漫才なんて聞きもしていない。人間なんてこんなもんである)


咲野:まぁ、海堂さんもそう恥ずかしがることも無いですよ、人間ってのは隠れたところで何やってるか分からないもんですからね。
   例えば私が高校生だった頃、みゆきちゃんと云うクラスの女の子を好きになってしまいましてね、
   黒髪ストレートロングで、清楚で、真面目で、おしとやかで、優しくて、虜になっちゃいまして、
   いけないことなんですけども、彼女をストーカーして、家を突き止めて、窓から家の中を覗いてみたんですよ。
   すると、一体全体どんな光景が広がっていたと思います?

海堂:(秘密を暴露された羞恥心でうずくまっているため聞こえていない)

咲野:なんと、どこの誰か分からない汚いジジイがみゆきさんとイチャイチャしてやがったんですよ!!
   全国の男性諸君!! こんなことを赦してもいいんでしょうか!!
   我々が汗水垂らして働いても一銭にもなりゃしねぇクソみたいな現代で、
   金に物を云わせたブルジョワクソ親父がピチピチの女子高生を抱いているんだ!!
   我々は今立ち向かわなければならない!! 立ち向かって、闘って、勝利して、
   今度は我々が金に物を云わせてピチピチの女子高生の乳を揉みまくるんだ!!!


(立花里子が「バリ受けるんだけどww」とか云ってる。乃亜はチョコボール向井に凄い体位で抱かれたあの日のことを思い出しながら自慰に耽ってる)


咲野:うおおお!! 女子高生の乳を揉む自分の姿を想像したら勃起してきた!!
   揉み揉み!! 揉み揉み!! ボヨンボヨン!! 滾る!! 滾る母乳、憂い深く乳を揉む俺!!
   いいねぇぇぇぇ凄くいいよおぉぉぉおぉぉぉ(左手は乳を揉むジェスチャーで右手はパンツの中)

海堂(賢者):(体操座りで上の空、今日はどうやら空気が澄んでいる)

咲野:おっぱいにまみれて、死にたいなああぁああああああぁぁぁぁぁあああぁぁぁ(右手のモノをパンツから出して高速扱き、今日の彼は滾っている)


(立花里子が「オナニーするくらいなら私が犯してあげるのに」とか云ってる、
 それに対し紅音ほたるは「ときにはオナニーも大事よ」と助言、自らもディルドを突っ込んでオナニーを始める、
 乃亜は完全に恍惚の表情でAV撮影以外での相互オナニーにもの言えぬ快感を覚えている、これは癖になりそうだ)

海堂:(天井を通して夕暮れの空が見える、夏の情景、The ピーズの「日が暮れても彼女と歩いてた」は名曲である)

咲野:うおおおぉぉぉああぁぁぁああああぁぁぁあああ(ドピュドピュドピュドピュドピュ)


(精子が凄い勢いで観客席に飛び散り、立花、紅音、乃亜の三者にかかる。
 観客は避難していた所為で無事に免れた、良い子の諸君、これが僥倖と云うものである)



咲野(賢者):はぁ……俺さ、何やってんだろ………

海堂(賢者):ひがくれてー かわをみてー……

咲野(賢者):こんな舞台の上でさ……おもくそオナニーしてさ……

海堂(賢者):はしのうえをー でんしゃがとおるー……

咲野(賢者):本物のAV女優に笑われてさ……

海堂(賢者):とりあえずー ぶらついてよー……

咲野(賢者):定職も就かねぇでぶらぶらして、くだらねぇと呟いて冷めたツラして歩いてさ……

海堂(賢者):さみーからよっぱらっていよー……

咲野(賢者):グラビアアイドルを喰いまくりたいなんて不純な動機で芸人なんて目指してさ、売れるわけねぇんだよ……

海堂(賢者):いーよな あいたかったよー……

咲野(賢者):こんなことになるならしっかりと勉強して、いい会社入って、ブルジョワになって、女子高生の乳揉んでりゃよかったよ……

海堂(賢者):ひがくーれーてーもーかのーじょーとー あるいてーたー……










立花(絶倫):ちょっwww何この賢者漫才www貴重な時間を使ってこんなもん作ってんじゃねぇよwww
       大体面白くねぇんだよお前らwww見てるうちらの気持ちにもなれってんだよwww
       こんなもん作ってねぇで良い女の子見つけてセックスしろwww若い時間は短ぇんだよwww



紅音(絶倫):イクゥゥゥゥゥゥ〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!

乃亜(絶倫):イクゥゥゥゥゥゥ〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!

予選総合第50位(1回戦敗退) 月影連盟
審査員
点数
27 28 -- 20 43 平均29.5
【審査員コメント】 
・今までのこのコンビの漫才とのギャップに不意を突かれました。 同じ型にとどまり続けまいという姿勢のようなものを感じました。
 感じましたが、全編を通して「面白かったか」と聞かれれば、面白いポイントを切り取ることはできませんでした。
  
・なんで今回ネタ中に射精する人多いんだろ……

 オナニーの後の虚無感を表現した作品、としてはすばらしい作品だと思います。
 ただ、ゲスさの方が先行していて、この作品で笑いを見いだすことは僕にはできませんでした……
  
・前回1位と2位のやる気のなさよ
  
・主張したいことはよく分かりました。後はこれを漫才にするだけです。主張だけで笑いが取れるとでも思ってるんですか。
  
・「海ちん」あるいは「人間なんてこんなもんである」のあたりまでは、下ネタながらも斬新なあるあるネタがあったりで期待が持てたのですが、
 以降は(まだ序盤にも関わらず)ただただ平面的で展開の薄いネタに留まっており、内容が読者の目に合うかどうかだけになっていたと思います。
 ラストの立花の台詞は、そもそも風刺としても的外れで、完全に蛇足だったように思います。

 前回準優勝だけあって、細かいところの表現は良いものも多いだけに、力の入れ方・抜き方をちょっと間違えていたのが惜しいです。
 結果として、他の「漫才じゃない」ネタにはあった漫才らしさ・面白さがこのネタからは抜け落ちていたように思います。



No.053 生涯探究
count-typeB
庄野:どうも生涯探究です。よろしくお願いします。

下村:よろしくお願いします。さあ頑張って漫才やっていきましょうか!(カチッ)

庄野:おおっ。下村がやる気が出てると俄然こっちも頑張れるわ!(カチッカチッ)
   というわけで漫才やっていくんですけども、(カチッ)
   舞台の上で死ねるぐらい頑張っていきたいですね。(カチッカチッ)


下村:いいですねぇそういう心掛けって(カチッカチッ)

庄野:な、下村ちょっと待て。さっきっからカチカチとなんかうるさいんだけど・・・

下村:ああ、マイクに時限爆弾しかけました。

庄野:はぁ!?

観客:!?

下村:だから、爆弾を、

庄野:いやいやいや、どういうことなんだよ!?観客だって騒然だぞ!

観客:(どよどよ、ざわざわ・・・)

下村:会場の皆さん!!落ち着いてください・・・
   この会場は核シェルターで出来てます!!

庄野:・・・いやいや持ち込んだらダメだから!!
   内部に持ち込んだら必然的に外が安全だよ!!

   (会場は2人を残し、すでにもぬけの殻)

庄野:早い!!皆さんの避難速度!

下村:というわけで会場に人がいないので現在、衛星生中継を敢行しました!

庄野:早い!!お前の順応速度!ってか順応どころか予定調和だな!!
   まさかの閑古鳥から凄い大がかりな舞台に成り上がった!

下村:現在全国のテレビがこちらをニュース中継してます!

庄野:あれ!?それ絶対爆弾がメインだよね!?
   ところでなんで爆弾が!?

下村:さっき庄野さんなんておっしゃいました?

庄野:え・・・えと『舞台の上で死ねるぐらい頑張っていきたいですね。』

下村:実行しましょう!!

庄野:いやいやいや!お前のやる気は漫才の方向には向いてなかったのかよ!
   それとあくまで例えだから!!真に受けるなよ、不器用!!とにかくすぐ逃げよ・・・!?

下村:ふふふ、そう簡単には脱出できませんよ。足元をご覧ください。



 (どぷり)



庄野:え!?足が床に浸かって抜けない!?っていうかどういう仕組みだよこれ!

下村:全て俺の友達の吉澤に頼みました。もうこれで逃げられませんよ。

庄野:吉澤ぁ!いいか今名前出てテレビ中継ってことは分かるな!?
   公開指名手配だかんな!!お前ももう逃げられないからな!


下村:(プルルル)あ、すいませんちょっと失礼しますね。
   (ガチャ)おい吉澤ぁ!俺まで浸らせてどうすんだよ!!あっ切れた!


庄野:墓穴掘ってるじゃねぇか!どうすんだよ!!このままだと!

下村:大丈夫です庄野さん!
   なにより吉澤に緊急用の装置を付けさせましたし。

庄野:その前に爆発物とか足固定するトラップとか作るのやめさせろよ!!

下村:このボタンを押せばこのマイクごと爆弾を空に飛ばします!!

庄野:おおそして空中で爆発させると!早くしろ!!

   (ポチッ、シュゴゴゴゴ・・・)

下村:「何時も2人の間で声を拾うのが好きだった・・・ありがとう」

庄野:いやそんなマイクの心の声とかアテレコしなくていいよ!!
   しかもなんだこの感動ラストシーンっぽさ!!

  (シュゴゴー!!!)

下村:マイクー!!!・・・マイクゥ・・・

庄野:そんなにドラマチックにしたいのかお前は!

   (ガン!)

下村:あ、落ちた。

庄野:あ、落ちたじゃねぇよ!!よく考えてみりゃ天井あるんだからそりゃぶつかるよな!!

下村:よっしゃ!今ので残りはコードだけになった!!

庄野:ありえねえよ!!なんであの行動で解体ができるようになってるんだよ!!
   でも、まぁ・・・これで終わりなんだよな。さぁ後はコードを。

下村:216本あります!

庄野:束すぎるわ!!しかもほとんど黄色だから見た目藁に包んだ納豆じゃねぇか!!
   おい、どうすんだよ!

下村:ちょっと待ってください。今爆弾を楽しそうに作ってたあの時の吉澤思い出すから。

庄野:あぁぶん殴りてぇ!お前の回想に入って共々ぶん殴りてぇ!!

下村:あっ、庄野さん思い出しましたよ!!このコード、デュラム・セモリナ100%ですよ!!

庄野:!?・・・ということはこのコード、パスタじゃねぇか!
   なんで爆弾の素材に良質な小麦使ってんだよ!


下村;こうすれば、3分の茹で時間と同時に爆発して湯切りが・・・

庄野:飛ばしすぎて炭になるわ!!そもそも茹でてねぇ!
   とにかく邪魔なパスタ取り除くぞ!


   (チュルチュルリュルン)



庄野:・・・なんだよパスタ取り除いたらあと2本かよ。赤と青、果たしてどっちが・・・

下村:青だ!青に違いない!!

庄野:お、もしかして吉澤の好きな色とか?

下村:いや、青田典子と玉置浩二結婚したでしょ。だから青(田)、安全(地帯)で。

庄野:お前の発想どうなってんだよ!!今までの流れのどこで玉置浩二、青田典子夫妻が関連してんだよ!

下村:まぁ落ち着いてください、制限時間は10秒あります。じっくり考えてから・・・

庄野:おい!!今とてつもないカミングアウトしたな!この時限爆弾もうそれしか時間ないの!?
   それとクイズみたいになってるけどこれ生死かかってるからね!俺は生を獲得したいから!!

下村:5、4、3、

庄野:くっそ!長々としゃべってる場合じゃなかった!もういい青を切る!(カチッ!)





  (・・・シュゴゴゴ!!)



庄野:・・・!?失敗?それともまたマイク!?






  (シュゴー!!!)















キャスター:「只今入ってきましたニュースをお伝えします。
       世界初の旅客型宇宙船が初の打ち上げに成功しました。
       それでは吉澤教授の会見です」


吉澤:「えーこのたびは・・・」






庄野:・・・え?

下村:全て、僕と吉澤のシナリオです。

庄野:・・・爆弾は?

下村:実はシナリオと言う爆弾発言で許してくれませんか?

庄野:・・・もういいや吹っ切れた!こうなったら宇宙でやろう!俺らが初の宇宙漫才師だ!!




   拝啓  母上殿
   いかがお過ごしでしょうか?私は今宇宙で漫才師として活躍しています。
   やはり宇宙と言うのは壮大です。その壮大さに圧倒されています。
   ツッコミを入れれば相方が飛んでいき半日つぶれ、お辞儀をすればその場でグルグル回り続ける始末。
   でも私はあきらめません。だって、

   相方とは良質なデュラム・セモリナでつながっているのだから・・・      敬具

 


下村:書いているとこ失礼ですけどどうやって送るつもりですか?

庄野:あ。

予選総合第14位(準決勝敗退) 生涯探究
審査員
点数
87 44 58 66 68 平均64.6
【審査員コメント】 
・タイプBの方が断然好きです。 漫才かどうかの危ういラインをまたいでる感じが良いです。
  
・うーん……これ、おもしろいのか……?
 展開はダイナミックではあったんですが……僕にはそれが「笑い」の要素になってるようには思えないです。
  
・216本のボケを、普段なら「多いわ!」って突っ込んでベタに終わらせるところを、
 全部黄色で見た目藁に包んだ納豆なんて云い方するもんだから面白い。
 宇宙でのボケツッコミを書いた手紙も斬新なんだけども、
 突き抜け感が不足気味。
  
・別の場所で見たのに比べると、コードがパスタや床のトラップなど見応えがある面白い展開が増えていたので、読んでて楽しめました。
 次から次へと繰り返される展開の裏切りが面白かったです。ハチャメチャな設定の割には文章がよく纏まっていました。
 二人の感情表現も分かりやすく、安易に舞台が想像できて、とても読みやすかったです。
 しかし、空を飛んだのが本当に空を飛んだだけだったんで、物足りなく思いました。
 飛ばした目的が不明でした。なぜ二度と地球に帰れなくなるまでして宇宙に行ったのでしょうか、宇宙で漫才をやるというのが目的なら、なぜ宇宙で漫才をやりたいと思ったんでしょうか。
 この重大な部位が何回読んでも分からなくて、ただただ呆然とオチを見過ごしてしまいました。積んできたものがグシャグシャになった気分です。
 どんな急展開でも理由を付けなければ、読み手を置いてけぼりにしてしまいます。動機の無い犯罪が難解なのと同じことです。
 空を飛んでから目的を語っても遅くはないんですから、全てにおいて理由があることを意識して書いてみてください。そうすればより多くの人に受け入れられる作品になると思います。
  
・マイクに爆弾で会場もぬけの殻、宇宙に飛び立ってしまう、など明らかに意外性があると言える展開はあるものの、
 今回多かった様々なぶっ飛びネタと比べると、このネタは良くも悪くも安定していたような印象でした。
 ドラマチックな展開は良いのですが、それゆえ漫才として見るとボケがやや少なく見えてしまうのが惜しいところです。ボケ数自体はそんなに少なくないはずなんですけどね…
 オチ(宇宙に行ってから)に関しては、もっとハチャメチャなこともできたような気がします。



No.054 安物鬼(覆面付き)
力自慢
鬼:頼む、俺を縛ってくれ。

禿:はいどうも安物鬼です。よろしくお願いします。

鬼:かなり太い糸で縛ってくれ。

禿:太かったら糸じゃなくてロープっていうんだよ!糸しかないのでそれで縛りますよ(グルグルグル巻き)
  はい、縛りました。糸でぐるぐる巻きです。

鬼:おりゃあああ(ブチブチブチィ)

禿:せっかく縛ったのに!!お前何がしたいんだよ!?

鬼:いや筋肉自慢と言いますか、マッスルさをアピールしたいんですよ。マッスリズム。

禿:だったらさっきも細い糸なんかでなくロープで縛られろや!!
  糸なんかじゃ力強さなんて全然伝わってこねえよ!

鬼:ロープは太いから締め付けられる面が広がって血行が悪くなる。
  結構血行が悪くなる。

禿:やかましいわ!!それじゃあ細くて丈夫なタコ糸で縛ってやろうか!

鬼:ちょっとちょっと、俺のことをボンレスハムと言いやがって。

禿:そこまでは言ってねえよ!!
  ただしょっぼい糸をブチブチしただけじゃ力自慢にはならねえってこと!

鬼:ていうかそういう形で力自慢したいわけじゃないんだよね。ごくフツーにしたいわけ。
  例えば街へピチピチのTシャツ着ていったとするじゃん?

禿:既に不自然。

鬼:そんでどこでもいいから、そうだなあ・・・交差点で信号待ちしてたとする。
  そしていきなりピチTがビリビリになる。どう?

禿:いや過程がまったくわからねえよ!!説明を。

鬼:よく映画やマンガでマッチョがTシャツ破いて登場するじゃん?あれをイメージしてもらえば。
  横断歩道待ちしている俺がちょっとリキんだせいでTシャツがビリビリに裂けるんだよ。

禿:よっぽど弱い生地のTシャツだったんだな。いやでもビリビリに裂けるなんてことはねえよ!!
  せいぜい脇とかビビッてほつれるくらいじゃねえの?

鬼:脇が破れるとかお前、今は手作りノースリーブの話をしているんじゃないぞ。

禿:わかってるよ!!わかったうえで最大限の考慮を加えた提案をしたってのに!!
  そうじゃなくてTシャツをごく自然にビリビリ破くことは実際に可能なのかって聞いてんだよ!!

鬼:そりゃ家で少しは切れ込みを入れるさ。

禿:このエセマッチョめ!!結局誰でも出来る方法じゃねえか!!

鬼:いや誰だってできることではないぞ。街へピチT着ていけるか?

禿:そっち!?羞恥心の問題かよ筋肉関係ねえ!!

鬼:横断歩道でTシャツをビリビリに裂いてそのまま落っことして道行く女性に「落としましたよ」って声かけられたらどうしよう。
  付き合っちゃうぞオイ。

禿:いや誰も気味悪がって拾わねえよ!!そして万が一に拾ってもらっても交際には至らねえわ!!

鬼:じゃあシチュエーションを変えて、洋服屋でSSサイズのTシャツを試着すんの。

禿:破く気マンマンじゃねえか!!

鬼:そして試着室でボロクソに裂いた後、女性店員を呼んで「すみませんボロキレになっちゃいました・・・」「いや気にしないでください」
  付き合っちゃうぞゥオイ!!

禿:まずは弁償だろうがよ!!ちょっと破けたくらいならまだしもボロクソに裂いたら悪意あるよ!警察呼ばれるぞ!

鬼:いや悪いのは俺じゃなく、俺の筋肉なんだ。

禿:制御するのはお前だよ!!
  ・・・なんかこう、もっと自然にできないの?

鬼:じゃあ視点を180°変えて、Tシャツじゃなくジーンズで行こう。

禿:2、3°しか変わってねえよ!!お前の中で力自慢=洋服を裂くっていう式でもあんの!?

鬼:下はジーンズ、上はアーミーベルトで街へ行くとする。

禿:ワイルドだけど明らかに変質者!!さっきよりも警察に捕まるの早そう!!
  アーミーベルト外せよ。

鬼:んじゃあジーンズのみで街へ行くことにしますか。

禿:アーミーベルト外したうえで何か着ろってんだ!!乳首丸見えだコノヤロウ!!

鬼:黒ずんだ乳首がたれぱんだみたいで可愛いだろう?

禿:また懐かしいものを!!・・・とにかく上にはTシャツ着ていけよ!

鬼:ピチT?

禿:ゆったりしたの着ろ!!てかずっと言おうと思ってたけどピチピチのTシャツをピチTって略するのなんか嫌!!

鬼:ピチT当たるよ。

禿:むしろハズレだ馬鹿野郎。

鬼:んでどこか街へくり出して、そうだなあ・・・交差点で信号待ちしてたとする。

禿:毎回毎回なんで交差点で服を破くんだよ!!なんか交差点に恨みあんのか!?

鬼:前、交差点で立ちションしてたら信号待ちの車に見られた。頭にくる!!

禿:100パーお前に過失があるよ!!そして見ちゃったほうも絶対頭に来てるよ!!
  そんで交差点で待っているときにどうやって自然と裂くわけ?

鬼:信号待ちしてるときにもトレーニングしなきゃいけないから自然と体を動かすわけよ。

禿:ならトレーニングウェアを着てこいって話だけども。

鬼:そのときに屈伸して尻のとこがビリビリ裂ける!どう?

禿:どう?じゃねえよ!!めちゃくちゃカッコ悪いよ!!
  日常でもたまに見かけるし自然だけど、自然の汚さがあるよ!!

鬼:コンボが決まれば下に穿いてるブリーフも裂ける!どう?どう?

禿:およそ不審者だったのが完全な不審者になるわ!!尻を露出させるんじゃねえよ!!

鬼:大丈夫、ブリーフの下にももひき穿いてる。

禿:逆じゃねえか!?タイツ類はパンツの上に穿けよ!!

鬼:まあ3コンボ決まればそれも関係なくなるわけだけども。どう?どう?どう?

禿:どう?を重ねるんじゃねえよ!!そしてどっちにせよジーンズ・パンツ・ももひきを破ったところでダサいマッチョアピールに変わりねえわ!!

鬼:んじゃあシチュエーションを変えて・・・洋服屋もといアメリカ屋でジーンズを試着したとする。

禿:そこは別に洋服屋でいいじゃねえか!!アメリカ屋は確かにジーンズがウリだけども!

鬼:そんでタイトジーンズを試着。

禿:やっぱ破く気マンマンなんだよな!!

鬼:試着室でボロクソに裂いた後、店員さんに「このダメージジーンズやっぱ要りません」

禿:バレるよ!!ボロボロのジーンズ見たら店員納得しねえよ!!もはやオーバーキルジーンズだよ!!

鬼:いや、オーバーを着る話ではなくてジーンズの話をしているんだが・・・

禿:わかってるよ!!ちょっとした抑揚をつけただけだってのに!!

鬼:そうだ、ジーンズを真っ二つに裂けばレッグウォーマーに。

禿:ならねえよ!!通気性悪ぃなオイ!!

鬼:うーん、やっぱり力自慢は難しいなあ・・・

禿:そんなの土建バイトとかすりゃいいだけじゃ。

鬼:そっか!・・・でも丈夫なツナギを裂くのはなかなか難しそう。

禿:そういうことじゃねえよ!!普通に力仕事をすれば力自慢にもなるんじゃねえかってことだよ!!

鬼:なるほどその手があったか盲点だった。

禿:盲点というかお前の視野が盲目的なんだよ!!
  結局今までのやりとり全部ふいになったじゃねえか。

鬼:服を裂かずに時間を割いたということで。

禿:うっせえ!うっせえ!もう結構!!


No.055 嗚呼、愛しのジャパネシア帝国
国の名物
マリア:皆の者、ご機嫌麗しゅう。
    ジャパネシア帝国、女帝・マリアンヌよ。

セーヒ:家来のセーヒです。
    よろしくお願いします。

マリア:突然だが、我がジャパネシア帝国には、国を代表するような名物がないと思わぬか?

セーヒ:確かにおっしゃる通りでございます。すぐに思い浮かびません。

マリア:だから昨日、ほとんど寝ずに国を代表するものを考えていたのよ。

セーヒ:寝ずに、ですか。いやはや、マリアンヌ様には頭が下がります。

マリア:6時間しか寝てないわよ。

セーヒ:すぐ頭を上げました。

マリア:じゃあ早速考えたものを言っていくわね。

セーヒ:お願いいたします。

マリア:まずは国を代表する産業よ。
    現在のところ、世界シェアで最高位なのは、新品の靴下を買ったときについてるちっさい金具のシェアで、4位よ。

セーヒ:そんな重箱の隅を突くような産業で国を支えてたんですね。
    しかも4位ですからね。

マリア:そこで、これからは、ブローチに安全ピンをつける産業で世界を目指そうと思う。

セーヒ:在宅ワークじゃないですか。一家のお母さんじゃないんですから。

マリア:私には国民という家族がいるのよ。

セーヒ:マリアンヌ様がその仕事するわけじゃないですよね。

マリア:そうだったわ。でも、私が決めたことだから今からこの産業で頑張るのよ。

セーヒ:国のトップなので私は逆らえません。

マリア:何よ。まるで、私が女帝じゃなかったら逆らってる、みたいな言い方。

セーヒ:察していただきありがとうございます。

マリア:・・・権力の真髄を見せてもいいのよ?

セーヒ:すみませんでした。

マリア:じゃあ、気を取り直して次の名物を発表するわよ。

セーヒ:お願いします。

マリア:次は名産品よ。
    今まで、我が国の名産品は税務署を見学したときに最後にもらえるボールペンだったのよ。

セーヒ:無料の名産品なんて初めて聞きました。なんでそんなものが。

マリア:金属の部分が全部純金で出来てるからよ。

セーヒ:税務署は何をしてるんですか。

マリア:金を管理してる税務署だからこそ、よ。

セーヒ:・・・何も聞いてないことにします。

マリア:で、我が国の新しい名産品はブローチよ。

セーヒ:否応にもそうなりますよね。国をあげてブローチ作り頑張るんですもん。

マリア:ん?何か文句でも?

セーヒ:国のトップが決めたことなので仕方ないです。

マリア:仕方ない、って。まるで私が女帝じゃなかったら殺してやる、みたいな言い方ね。

セーヒ:そこまで思ってないです。

マリア:・・・夜道には気をつけることね。

セーヒ:闇に葬られたくないです。

マリア:じゃあお前も名物を考えなさいよ。

セーヒ:でも、マリアンヌ様も考えてたのでは?

マリア:6時間も寝たら忘れるわ。

セーヒ:寝た時間よりも考えた時間だと思います。

マリア:それより早く提案しなさいよ。

セーヒ:えっと・・・じゃあ、塔とかどうでしょう。

マリア:そうね、いいじゃないの。

セーヒ:マリアンヌ塔、とかどうでしょう。

マリア:・・・そうやって、ご機嫌を取る作戦ね。

セーヒ:決してそんな考えでは・・・。

マリア:まぁ、仮にその名前でいいとして、高さはどのくらいするのか?

セーヒ:そうですね・・・何かの語呂合わせの数字とかどうでしょう。

マリア:確かに、日本という国では武蔵という地名から634mとしたらしいし。

セーヒ:その通りでございます。

マリア:では・・・ジャパネシアという名前から「108740m」というのはどうだ?

セーヒ:108kmもあるじゃないですか。

マリア:そうか・・・技術的に問題があるな。

セーヒ:技術が追いついたとして、時間がかかりすぎるので、完成するのは没後と思われます。

マリア:ちょうど祈念碑みたいな感じでいいではないか。

セーヒ:どうせなら生きてるうちがいいと思います。

マリア:では、「108740cm」ではどうか?

セーヒ:えー・・・1km超えますね。「ジャ」がだいぶ距離を稼いでますね。

マリア:いっそ「パネシア帝国」にするか?

セーヒ:塔メインに考えて国名変えるんですか。

マリア:あぁ、でもそうしたら87mくらいにしかならないからやめるか。

セーヒ:まぁ、その高さだと塔として名物になりませんもんね。

マリア:「ナパネシア帝国」にするか。

セーヒ:語呂合わせの高さにするのはやめましょうか。

マリア:お前が言ったくせに。

セーヒ:国名が変わるのは嫌ですから。

マリア:そうか。まぁ、それほど国を愛してるということだな。

セーヒ:そうです。

マリア:じゃあ他の名物を考えなさい。

セーヒ:かしこまりました。

マリア:あ、思いついたわ。

セーヒ:驚くほど早いですね。なんでしょうか?

マリア:湖だ。

セーヒ:人工の湖は聞いたことないですが。

マリア:名前は「ジャパーンネシア湖」だ。

セーヒ:ダジャレ言いたいだけじゃないですか。

マリア:面白いでしょ?

セーヒ:とっても面白いダジャレでございます。

マリア:もう一つダジャレが思い浮かんだんだけど。

セーヒ:ダジャレ主体で名物を考えないでくださいよ。

マリア:ベッドにジュースをこぼして、ベッドベッドになった。

セーヒ:ダジャレ要素しかないじゃないですか。

マリア:女帝ジョークよ。

セーヒ:女帝じゃなくても言えるジョークですけども。

マリア:それより、まだ2つしか名物がないじゃないの。
    ふざけてないで考えなさい。

セーヒ:腑に落ちませんが我慢します。

マリア:名物、何がいいかしら・・・。

セーヒ:・・・そうだ。マリアンヌ様自体が名物となってみては?

マリア:私が?

セーヒ:そうです。ダジャレも言えますし、こうやって漫才なんかもできますし。

マリア:漫才ができるのも、セーヒ、お前のおかげなのよ。
    そうよ、セーヒこそこの国が誇る「名物」なのよ!

セーヒ:なんと私にはもったいなきお言葉・・・。

マリア:よし、今からセーヒを名物にする計画を立てるわよ!

セーヒ:ありがとうございます。

マリア:まずは国民全体に知れ渡るようにしなくては。

セーヒ:そうでございますね。

マリア:そうだ。お前の生首を晒そう。

セーヒ:あ、やっぱり殺す気だ。

予選総合第31位(2回戦敗退) 嗚呼、愛しのジャパネシア帝国
審査員
点数
24 56 24 65 48 平均43.4
【審査員コメント】 
・ボケが基本的に女王と部下の関係性ありきになるのは仕方ないのですが、このネタはそれが笑いにつながっていかないところに問題があるのではないかと思います。
 全体的に「キャラがぶれてないなー」とは思うのですが、「面白い」に変換されませんでした。
 また、形式上後半に行くほど新鮮味が薄れ勢いが弱まって行くことも致し方ないことですが、今回はスタートからあまり読者の興味を
 惹けぬまま、その状態から徐々に印象が弱くなっていくような感じでした。
  
・ゆるーっとした漫才はボケが際立っておもしろくなりもしますが、今回はボケもゆるーっとしてました。
 ちっさい金具、税務署のボールペンっていうチョイスなどは好きなんですけど、ボケというより、ボケとボケの間に権力云々でごたごたしたあたりが悪い意味で「普通」な感じが。
 読んでいて心地よくはありました。
  
・「ツッコミ」ではなく「妥協」「説明」
  
・塔のために国名を変える所のボケがムチャクチャ馬鹿らしくて暫く爆笑しっぱなしでした。
 帝国のノープランさが全面的に面白くて、まるでおかしな童話を読んでるような気分になりました。楽しさで胸がいっぱいです。
 あまり慕ってない家来という設定も上手く活用されていて、上下関係をあまり感じさせなかったので、気持ち良く読めました。素晴らしいネタ構成です。
 しかしキャラが強い割には、虎視眈々と会話を繋げているだけなので、物足りなさを感じてしまいました。
 女帝はもっと権力を発揮しても良いと思います。家来に止められても無理矢理実行してみせるくらい立ち居地を有効に使って構わないんですから、大きな物語を作ってほしかったです。
 今回のネタのような雰囲気でも充分面白いのですが、もっと上を行く面白さを目指したいのなら、ネタの盛り上げ方に一工夫入れて強烈な展開を撒き散らすべきです。
  
・塔が○m、というくだりは面白かったのですが、以降終盤がダジャレボケぐらいしか無く、盛り上がりにかけていたと思います。
 キャラ芸を超えるボケをもっと見てみたかったです。ジャパネシア帝国自体の裏設定がもっと練られていれば、自然と良いボケが出たかも分かりません。



No.056 ボルケーノ
避難訓練
丘山: あーどうしよう。アイロンつけっぱなしで来ちゃったかもしれない。
    ということで俺、小学生にちゃんと避難訓練というものを教えたいから協力してくれない?

藤滝: アイロン消しに帰れよ!
    よく普通に続けられるな!?すげー心配だよ。

丘山: いや俺よくあることだから。これもう2年ぶり5回目くらい。

藤滝: 多いな!甲子園出場数かよ!学習しろよお前は!

丘山: とにかく俺のことはどうでもいいんだよ。
    そんなことより、学校が火事になった時子供たちがちゃんと逃げられるか心配なんだよ。

藤滝: …正直、そんなのお前が気にすることじゃないと思うけどな。

丘山: でも俺は心配なんだよ。
    1度でも子供たちが逃げ遅れるんじゃないかって考え出したらもうそのことばっか考えちゃって、
    ついアイロンもつけっぱなしになっちゃうんだよ。

藤滝: まず自分をなんとかしろよ!手元がおろそかになってんじゃねーか!

丘山: そこで小学生に火事の恐怖を知ってもらうために、
    リアリティが出る避難訓練を教えたいんだよ。だから一緒にやってくれない?

藤滝: …まぁとりあえず話してみてよ。拒否してもどーせ勝手にやり始めるだろうし。

丘山: 火事というのはこちらが嫌がってるのに勝手に始まるものだからな。

藤滝: うまくねぇよ。…で、リアリティが出るっていうのはどんな訓練を考えてんの?

丘山: それはね、まず、避難訓練の日を一切知らせず、普通に授業してたら突然「逃げろ」ってなるんだよ。

藤滝: あ〜、それはいいかもしれないね。

丘山: 「はい、じゃあこの問題分かるやつ手を挙げて。
     …誰もいないのか!?よーし、お前ら全員校庭に立ってろ。」

藤滝: どんな連れだし方だよ!突然そんなこと言われても子供ポカンとするだけだろ!
    そうじゃなくて、そういう場合まずはいつも通り授業を進めてるんだろ。

丘山: 「ここは約分して分母を6に揃えて…」

藤滝: そこに突然、火災を知らせるアナウンスが!

丘山: 『2XXX年、学校は核の炎に包まれた。』

藤滝: そんなんで始まるか!そこは給食室から火災が発生しましたとかそういうのだろ!

丘山: 『給食室から火災が発生しました。皆さんモグモグ落ち着いて校舎からモグモグ出て下さい。』

藤滝: 食ってんぞ!アナウンスの奴急いで給食室のもん食ってんぞ!
    で、火事だってわかったら、まず先生が言うんだよ。

丘山: みんな目をつぶって。やった人正直に手を挙げなさい。

藤滝: いきなり疑いから入るな!そんなことよりやるべきことがあるだろ!

丘山: 変な顔して薄目開けてる奴をあぶり出す。

藤滝: どんだけ犯人見つけてーんだよ!?そうじゃなくて子供たち逃がすんだろ!
    ハンカチで口を押さえて非常階段に向かってくださいって。

丘山: そう。みんな急いで逃げて、煙を吸わないでください。
    もし煙を吸ってしまうと、声が高くなってしまいますよ?

藤滝: もっと深刻な事態になるよ!それじゃむしろ吸いたくなっちゃうだろ!
    あと、急ぐのも大事だけど、避難の時に守らないといけない「お・か・し」ってあるだろ。

丘山: おとなしく・観念して・死を待つ。

藤滝: そんな絶望的なスローガンあるか!これから逃げるんだっつの。
    押さない・駆けない・喋らないだろ!

丘山: いや、でも俺のクラスでは確か「おかし」じゃなくて「おかしも」で、
    戻らないっていうのがあったような…。

藤滝: 確かにそういうのもあったりするね。それらを守って落ち着いて逃げるわけだ。

丘山: やっぱ俺のクラスは「おかしもち」で、近寄らないっていうのもあったような…。

藤滝: それもういいだろ別に。とにかく慎重に逃げるんだよ。

丘山: いや、やっぱり俺のクラスではJが出たらその回の間だけ3が最強で2が1番弱くなるっていう…。

藤滝: 大富豪の地方ルールの話なんかしてねーよ!
    つまりは、「我先に」じゃなく子供たちに順番を守らせて逃がすんだよ。

丘山: そう。慌てるとかえって遅れますよ。
    ほーら早く逃げないと、後ろから火の役をやってる田中先生もどんどん迫ってきてますよ。

藤滝: 何で火の役とかいんだよ!?
    リアリティ追求したのかしょぼくなったのか分からんぞ!?

丘山: タッチされた人は田中先生と交代で火の役をやってください。

藤滝: ただの校内鬼ごっこじゃねーか!小学生真剣身ゼロだよ絶対!
    火事は楽しいってインプットされるよ!

丘山: ちなみに田中先生にビームは効きません。全身バリアーしてます。

藤滝: 小学生向けの設定どうでもいいよ!遊びっぽさが増えたよ!

丘山: 一方そのころ校庭では
    「生徒がまだ中に!」
    「ダメです教頭!飛び込んではいけません!」

藤滝: どこにリアリティ追求してんだよ!?
    いらねーよそんな小芝居!そんなん見たら笑うよ小学生!

丘山: 「信じて待つんです!行っちゃだめです!…あっ!教頭!きょうとーう!!」

藤滝: 飛び込んだー!教頭飛び込んだ!訓練の何が彼をここまで駆り立てるんだ!?

丘山: さぁ、押したりしないでね。非常階段は危ないですよ。
    タバコ吸ってるヤンキーいますけど目合わせないでね。

藤滝: しれっと嫌な情報出た!っていうかこの状況はヤンキーも気まずいだろ!なんで小学校にいんだよ!?

丘山: タバコの煙は吸わないでくださいね。声が高くなります。

藤滝: ならねーよだから!お前にとって煙=ヘリウムか全部!

丘山: さぁ、そうこうしているうちに、
    校庭に出てきたクラスが次々と、演説したくてウズウズしてる校長の前に整列していく。

藤滝: ウズウズとか言わなくていいんだよ!
    …それで、みんなが揃ったらちゃんと全員いるか人数確認しないと。

丘山: せんせー。教頭先生がいません。

藤滝: 飛び込んだままじゃねーか!どんだけ小芝居に入り込んでんだよ!

丘山: 20分後、全員無事と分かった教頭がアフロになって戻ってきた。

藤滝: なんで頭焼けてんだよ!?訓練でどこ燃えてたんだ!?

丘山: 揃ったら校長の挨拶
    「えー、全員が揃うまで23分もかかりました。」

藤滝: 教頭のせいだよ!大半教頭のせいだよ!

丘山: 「1番早かった3年1組を見習いなさい。
     彼らはアナウンスが流れる前にはもう全員校庭に居て、余裕でドッヂボールまでやってましたよ。」

藤滝: 体育やってただろ!?全クラスのスタート揃えとけ!

丘山: で、最後に消防署の人に、消火器の使い方の実演をしてもらうわけよ。
    「皆さんこちらを見て下さい。ここで燃えている火を実際にこの消火器で消したいと思います。」

藤滝: あぁ。確かにそういうのやるよね。

丘山: 修行僧の方が歩き終わったら撒き始めます。

藤滝: なんで修行僧いんだよ!?裸足で火の上歩くやつだろ!?もっとふさわしい場所行け!

丘山: 「では実演します。安全ピンを抜いて、ホースの先端を持って、レバーを強く握って…。
     あ、間違えた。これ火炎放射器だ。」

藤滝: なんちゅうもんと間違えてんだよ!うっかり大惨事だろ!なんで持ってる!?

丘山: レバーを強く握り、火の根元を狙って、プシュウゥゥゥゥゥ!

藤滝: おぉ〜っ!

丘山: ではみんな、実演してくれた消防士さんに拍手。
    粉まみれの田中先生にも拍手。

藤滝: 火の役やらせてんじゃねー!ホンモノ焚いとけよ校庭なんだから!

丘山: 粉の上からでも修行僧に踏まれた跡が痛々しいですが。

藤滝: 何がしたかったんだよ修行僧!?ただ人踏んだだけじゃねーか!?

丘山: こうして訓練が終わったら、最後に放送室に行って、
    勝手に給食室のもん食った奴をボコボコにして終わり。

藤滝: 予定に組み込むな!確かに訓練に乗じて食ってたけど!?
    …っていうか全体的になんなんだよコレ!?

丘山: え?何が?

藤滝: お前が小学生にちゃんとした避難訓練を教えたいって言うからつきあったのに、
    全然まともな訓練できてねーじゃねーか!

丘山: え?だって今日は、俺がお前からの非難に耐える非難訓練だから。

藤滝: そういうことかい!もういいよ。


No.057 俺の塩
マッチ売りの少女
俺:俺です。

塩:塩です。

俺:俺の塩です。

塩:よろしくお願いします。

俺:時に思うんだが。

塩:何だ?

俺:マッチ売りの少女がムキムキだったらどうなると思う?

塩:唐突だな、唐突過ぎて外れる顎が無いな。

俺:どうなると思う?

塩:そうだな・・・「マッチいりませんかー?マッチいりませんかー?」とポージングしながら言うだろうね。

俺:それじゃあ売れないな。

塩:購買意欲は根っこから削がれるだろうな。

俺:すると雪が降ってくる。

塩:雪が降ってきたら体は?

俺:冷えてくる。

塩:だがビルドアップを始めたとしたら・・・?

俺:・・・暖まってくる。

塩:より鍛えられてゆく己の肉体、外気とは一線を画すように暖まってくる己の体温。

俺:至福の一時だろうな。

塩:だがここで問題が発生する。

俺:何だ?

塩:体がムキムキということは当然服装はボクサーパンツのみということだ。

俺:・・・ほう。

塩:つまり、折角ビルドアップで暖めていても服装のせいで結局体は冷え切ってしまうというわけだ。

俺:自然の摂理だな。

塩:売り物のマッチで暖を取ろうととするムキムキの少女。

俺:感動の名シーンだな。

塩:するとマッチの炎の輝きから幻影が見えてきた・・・。

俺:・・・グスッ。

塩:それはムキムキの少女が夢見ていた幸せな家庭・・・ではなく。

俺:まっ・・・まさか・・・!

塩:そう、

二人:プロテインだった。

俺:・・・うっ・・・ぐっ・・・ひっく・・・。

塩:・・・・・・・・・・・。

俺:何で・・・何でなんだよ・・・可愛そう過ぎるだろ・・・。

塩:・・・仕方の無いことなんだ。

俺:だって!だってだ!ムキムキの少女には罪は無い!ただプロテインで己の肉体美を追及したいだけなんだ!

塩:(ただただ黙って俯いている)

俺:それなのに・・・それなのに・・・。

塩:こうしてムキムキの少女は天に召されていった・・・筋肉を残して・・・。

俺:その筋肉はどうなるんだよ・・・?

塩:もちろん、孤筋肉院に行くだろう。

俺:・・・・・・・・・・。

塩:そこで先輩筋肉から苛めにあうだろうな。

俺:こんな世の中・・・狂ってる。

塩:だがな。

俺:・・・・・?

塩:苛められながらも筋肉は強く育ち、勉強して、恋もして、仕事をして・・・給料を貰うだろう。

俺:それって、つまり・・・?

塩:そう、買うだろう

二人:プロテインを。

俺:あ・・・ああ・・・天国で見てるか?ムキムキの少女。
  君の筋肉は夢をかなえたんだ。君の筋肉は、希望を捨てなかったんだ!

塩:こうして、肉体美を極めた筋肉はボディビルの大会で優勝し、いつしか肉体の神と呼ばれるようになりました。

俺:すごい・・・すごいよ筋肉!

塩:筋肉の部屋に飾られていた悲しそうな顔のムキムキの少女の写真は、
  優勝した瞬間笑顔だったそうです。めでたしめでたし。

俺:(パチパチパチパチ)ブラボー!

塩:いやいや、そんな。

俺:(パチパチパチパチ)天才!世界一!

塩:恥ずかしいって。

俺:(パチパチパチパチ)よっ!芥川賞作家!

塩:それはやめろ。

俺:あっごめん。

塩:一つ聞きたいことがある。

俺:何だ?

塩:何故マッチ売りの少女がムキムキだったら、などといきなり言い出したんだ?

俺:・・・わかった、教えよう。

塩:(ごくっ)

俺:それは・・・




  マッチョ売りの少女という言葉が浮かんだからさ!

塩:くっ・・・くだらねえ!

俺:と、ムキムキの筋肉のような引き締まったオチが出たところで。

塩:漫才は終わりです。

二人:どうもありがとうございました。

予選総合第16位(準決勝敗退) 俺の塩
審査員
点数
93 66  8 82 60 平均61.8
【審査員コメント】 
・先輩筋肉てなんすかw
 最初にマッチョ売りの少女って言ってしまったり、この設定を普通のボケツッコミでやったらここまで面白くはならなかったと思います。
 設定が見せ方によって2倍3倍に面白くなってると思いました。
 これが自然にできているのだとしても、意図的にそうしたのだとしても羨ましい限りです。
  
・バカなことやってるなあ。ツッコミなしでのこの展開の仕方は上手いなあと。
 この話題としてはこの分量でちょうどいいかもしれませんが、一本のネタとしたら物足りなさはかなり感じます。
  
・俺:マッチ売りの少女がムキムキだったらどうなると思う?
 塩:マッチョ売りの少女じゃねぇか
 2行で終了
  
・単直すぎて、くだらなすぎて、なのに大爆笑できるってどういうことですか。
 二人の会話のテンポが良すぎて、見ててとても気持ち良い気分になりました。否定的にならない世界ってこんなに平和なんですね。
 当たり前のように寒さでマッチョが死んで、当たり前のように筋肉が生き残る。何事も当たり前にしてしまうこの世界観が大好きです。飛び込みたいです。
 「筋肉はボディビルの大会で優勝した」で笑い死ぬかと思いました。そりゃそうだろ、だって筋肉が出たら優勝するに決まってるもん、肉体の神どころか筋肉そのものだもん。
 奇抜な設定に走ったと思えばその設定を何事も無く有効に活用するのが悔しいくらい巧みでした。対応力が非常に高いと思います。
 後は物語が終わってからが間延びした感じがしたので、もっと早く打ち切って、気持ちの良い終わらせ方にすれば、思いっきり満足感が得られる漫才になったと思います。
  
・これもう、一種のキャラ芸ですよね。しょーもないボケにわざとらしく近づいていく感じが面白かったです。
 素晴らしさは感じ取れたものの、ボリューム的にちょっと足りなかったというのが正直なところです。
 もう1〜2回、「プロティン」につなげる展開、あるいはそう見せかけたスカシ、みたいなのが入っていれば、さらにまた印象が違ったのではないでしょうか。



No.058 たいまつぎょうれつ
桃太郎
中武:どうも―!たいまつぎょうれつです!よろしくお願いしまーす。

坂田:頑張っていきましょう。実はですね、僕最近桃太郎にハマってるんですよ。

中武:そうなの?今時桃太郎にハマる大人もいないと思うけど。

坂田:そこでですね、僕が新しく桃太郎を作ってきたんですよ。
   この話を本にして大量に土に埋めて、500年後には僕が本当の桃太郎の作者として名を馳せるという計画がありましてね。
   そして本が当たり前のように売れて印税がっぽがっぽ。これで僕の老後も安泰ですよ。

中武:老後も何も、500年後にはお前死んでるからね!?その浅はかな計画が成功したとしても、金もらうのはお前の子孫だからね!?

坂田:いやあ、俺はどの子孫よりも生きながらえるから。フコイダン飲んでるからねフコイダン。

中武:ただの健康志向のおっさんだよお前は。まあいいや、その新しい桃太郎とやらを読んでみてよ。

坂田:では行きますよ。「桃太郎とワイシャツと私」

中武:平松愛理か!「私」は誰だよ「私」は!

坂田:「昔々、あるところに黒魔導師とバーサーカーが住んでいました。」

中武:うん、絶対日本国内じゃないよね!あるところって!

坂田:「黒魔導師は村人を生贄に」

中武:何かやばいもん生み出そうとしてるよね!?

坂田:「バーサーカーは川へ洗濯に行きました。」

中武:素直だなバーサーカー!絶対そこまで狂ってないだろこいつ!

坂田:「バーサーカーが川へ拝み洗いで洗濯をしていると、」

中武:丁寧な洗濯だよ。

坂田:「衣類を傷つけないやわらかいタイプのたわしで洗濯をしていると、」

中武:性根が良すぎだよ。

坂田:「シミにレモン汁をつけてトン、トン、トンと優しいリズムで叩いていると、」

中武:もうわかったよ!!バーサーカーの優しさは痛いほど伝わったから先へ進め!!

坂田:「川上から大きなジェイク・シマブクロがデンデケデンデデンデケデンデデンデケデンデ」

中武:なんでウクレレ奏者が流れてきてんだよ!!しかも軽快にリズムを奏でながら!!

坂田:「溺れました。」

中武:助けてやれよバーサーカー!!そこでかすかに本質出すなよ!!

坂田:「すると今度は、川上から大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこ。」

中武:うんうん、桃太郎さながらだね。

坂田:「浮きました。」

中武:何で!?

坂田:「桃はどんどんと上空に浮かび、最後には爆発してしまいました。
    バーサーカーの耳にはかすかに『悟空ーーーーーーーッ!!!』という声が聞こえたような気がしました。」

中武:クリリン!!絶対中にクリリンいただろ!!で、どっかにフリーザいるだろ!!

坂田:「バーサーカーがベンジンを片手に落ちない汚れと真剣に戦っていると、」

中武:もう少し周りを見ろバーサーカー!!何でそこだけ狂戦士気取りだ!!

坂田:「たんぽぽ農場を経営しているおっさんが、赤ん坊を抱えて話しかけてきました。」

中武:明日の光をつかめか!!なんで渡辺いっけいがしゃしゃり出てきてんだ!!

坂田:「おっさんは言いました。
   『うちじゃこの子は養っていけないんだ。本当は、たんぽぽ農場で育てたかったんだけど・・・。
    頼む、お前が育てていってくれ。お前ならできるはずだ。俺が育てた、お前なら・・・。』と。」

中武:バーサーカーたんぽぽ農場出身かよ!!更生したんだったらその肩書き早く外せ!!

坂田:「バーサーカーはこくりとうなずき、その赤ん坊を引き取りました。」

中武:ずいぶん重い赤ん坊の授かり方だなぁおい。

坂田:「バーサーカーが赤ん坊と洗濯物とウクレレを抱えて家に帰ると、」

中武:ちゃっかりジェイクのパクってんじゃねえか!!

坂田:「黒魔導師が深刻そうな顔をして座っていました。後ろでは暗黒神ゴルゴンがお茶を淹れています。」

中武:生み出したやつをさっそくパシらせてるよこいつ!!しかも高名そう!!

坂田:「黒魔導師は言いました。
   『あのさ、俺今簿記関係の職業訓練校通ってんじゃん?俺給付金の対象者だから毎月10万もらえるんだけど、それだけじゃ厳しいんだよね。
    だからさ、鬼ヶ島まで鬼退治に行ってきてくんない?』」

中武:さっきから背景が生々しいわ!!もうちょっと夢を持たせろ夢を!!てか黒魔導師も魔術あんならそれ使って稼げ!!

坂田:「『このゴルゴンにも働かせるからさ。な?』黒魔導師がそう言うと、ゴルゴンは嬉々として語りはじめました。
    『このチラシ見てくださいよ!!パーラーで時給1800円ですよ!?これは稼げますよ〜。やっぱり時代は登録派遣ですよねー。
     大体週2,3日くらいで一日3時間ってところで働きましょうかね。あ、ライトワークはだるいし時給安いから断りつつ。』」

中武:絶対高名じゃねえよこいつ!!暗黒と言えど神を騙るなお前は!!

坂田:「すると黒魔導師は、バーサーカーが抱いている赤ちゃんに気付きました。
   『あれ?なんだその赤ん坊・・・・・・あ、忘れてた!!今日「CRはじめて記念日」が新台入替で出る日じゃねえか!!
    よっしゃ、一儲けしてくるぜ!!』黒魔導師は嬉々としてパーラーへ向かいました。」

中武:死んでしまえこのゴミ魔導師!!しかもフジの5分番組が何でパチンコになってんだ!!

坂田:「一方のバーサーカーは、おんぶひもで赤ん坊を背負い、地図と通帳とハンコをカバンに入れ、作り置きのきび団子を腰につけました。」

中武:なんでだろう。バーサーカーの素朴な行動に泣けてくるんだけど。

坂田:「そして家を出る前にゴルゴンの方を見てみると、履歴書作成12枚目の挑戦に突入していました。」

中武:どんだけ履歴書書くの下手なんだよ暗黒神!!

坂田:「『あ〜〜〜〜っ、めんどくせぇ!!大体履歴書なんていらねえだろ!!訪問してやるからまず金よこせっての!!ギャハハ!!』
    そう叫ぶゴルゴンにテンプルに来たバーサーカーは、ウクレレをゴルゴンのケツにぶち込んでから家を後にしました。」

中武:うん、ジェイクには悪いけどその行動正解。

坂田:「バーサーカーはまっすぐな目を前に向けたまま、勇みの良い足取りで前を歩いていきます。
    もう自分のためだけに生きていくのではない。彼女には、守るものがあるのです。」

中武:・・・バーサーカーって女なの!?そりゃ女性らしい行動だったけどさ!!

坂田:「たまにデスビームが飛んで頬をかすめますが、まったくひるまずに歩き続けます。」

中武:まだどっかにフリーザいるだろ!!なんで隠密に行動してんだ!!

坂田:いや、ほらさ、著作権は鳥山先生にあるからさ、堂々と出せなくてさ・・・。

中武:いや、そもそも出す必要がねえからその気遣いいらねえよ!!
   言っとくけど、さっきから桃太郎の要素が微々たるもんしかねえからな!?ちゃんと『桃太郎』を話してくれ。

坂田:「すると、前の方から一匹の犬が歩いてきました。」

中武:そうそう。そういうのだよ。

坂田:「そして、歌いながら話しかけてきました。『もーもたろさん、ももたろさん、おこしにつけたきびだんご、ひとつわたしにくださいな♪』」

中武:いや間違ってるよ!バーサーカーだからねそいつ!

坂田:「すると、一人の男が割って入ってきました。
   『あー、ダメダメ!犬くん、君発声が全然なっていないよ!もっと腹から声を出して、のびやかに!』『は、はい!すみませんプロデューサー!』」

中武:音楽プロデューサー入ってきた!?何のレッスンしてんだよ道端で!!

坂田:「『いいかい?歌って言うのは最初からしっかり声が出ているかが重要なんだ!「もーもたろ」の部分でしっかり声量を出し、ビブラートを効かせる!そこが一番大事だ!』」

中武:まず名前を間違えてることを指摘しろ!!バーサーカーにとっちゃそこが一番大事だよ!!

坂田:「レッスンを続ける二人を背に、バーサーカーは再び歩みを進めました。」

中武:結局仲間にしないのかよ!!まあ、歌える犬なんて役に立たなそうだけどさ。

坂田:「すると今度は、前から猿が歩いてきました。」

中武:うんうん。

坂田:「猿は言いました。『タフの締め切りが間に合わない!頼む!短期でいいからアシスタントになってくれないか!?』」

中武:猿って猿渡哲也先生かよ!!間に合わないんだったら外歩いてないで机に向かえ!!

坂田:「『机に向かえ』という中武のアドバイスを受けて、猿渡先生は仕事場へ帰っていきました。」

中武:俺を物語に組み込むな!!読者の立場で物言いしたんだよ俺は!!

坂田:「バーサーカーは再び歩き始めました。すると、急に腰が痛くなりました。キジキジと、キジキジと痛くなりました。
    でもすぐに痛みは治まりました。そして再び歩き始めました。」

中武:待て待て!!まさかそれでキジが出たことにしたわけじゃねえだろうな!?

坂田:「朝丘雪路あさおかゆきじあさおかゆキジ。そして、再び歩き始めました。」

中武:だから扱いが粗雑を極めてんだよ!!キジが浮かばれねえよ!!

坂田:「すると今度はデスボールが頬をかすめました。デスボールはそのまま前を歩いてた桃太郎とワイシャツと私に直撃し吹っ飛びました。」

中武:タイトルの扱いすらおざなりじゃねえか!!フリーザの暴走の被害者かい桃太郎!!・・・そして「私」って誰じゃぁぁぁ!!

坂田:「そしてついにバーサーカーは鬼ヶ島にたどり着きました。」

中武:いよいよ終盤だね。

坂田:「バーサーカーは鬼退治申込書と宝物類受取証明書を握りしめて玄関をくぐりました。」

中武:何その書類!?

坂田:「そして、鬼の前に立ちはだかりました。すると鬼はこう話しかけました。
   『いらっしゃいませ。どういったご用件でしょうか?あ、鬼退治と宝の引き取りの方ですね。
    では書類の方を預からせていただきます。書類確認処理が済むまでそちらの方で腰かけてお待ちくださいませ。』」

中武:銀行か!!なんでそんな事務的な対応してんだ!!

坂田:「ところが鬼は、『ここでいきなり俺がボスであることをバラして相手をビビらせる・・・と。』と、
    退治要請者対応マニュアルを確認した後に、『俺がボスだぁ!!覚悟しろぉ!!』と叫びました。」

中武:マニュアル人間!!つまんねぇ人生歩んでる鬼だな!!

坂田:「すると、赤ん坊の体に大きな変化が起きました。
    急に体が膨れ上がり、筋肉がボコボコと飛び出し、目玉がラクロスのボールに変わり、口から大量の木村太郎プロマイドを吐き出し、ボスを精神的に追い詰めて退治しました。」

中武:お前の方がバーサーカーじゃねえか!!赤ん坊はもう少しマニュアル通りであれ!!

坂田:「こうしてボスを退治したバーサーカーは、たくさんの宝とマークXを手に入れて、帰路につきました。」

中武:地味にいい車手に入れてる!!

坂田:「道中、車の中でバーサーカーはこう思いました。たんぽぽ農園のおっさんに託されたこの子を大事にしようと。
    そして、安藤優子と境鶴丸のプロマイドを吐き続けてる愛しいこの子に、いい名前を付けてあげようと。」

中武:なんでそいつはスーパーニュースを網羅してんだ!!でもまあ、なんだかいい展開ですねぇ。

坂田:「そして、名前を決めたバーサーカーはゆっくりと寡黙だった口を開きました・・・。

   『・・・から揚げの試食狙っ太郎。』





    あまりのダサさに首と陰部がもげました。めでたしめでたし。」

中武:どんなオチだ!!お前はフコイダンの効き目むなしく昇・天ッ!!!!!

二人:どうもありがとうございました―。


No.059 ところてん
ファミレスの店員
T「はいどーもー!ところてんで〜す。よろしくお願いしま〜す。」

B「いや最近ファミリーレストランの店員をやってみたいと思うんだよね。」

T「そうなんだ。じゃあ俺が客やるから店員やれよ」

B「なんかすみませんね〜。わざわざ。」

T「いやいや〜そんなに気にするなよ。」

B「いや〜本当にありがとうございます。」

T「しつけえよ!なんでそんなに気を使ってんだよ!」

B「いや〜お客様は神様ですから〜。」

T「気がはええよ。でもお前は本当に気が使えていいやつだな〜。」

B「いらっしゃいませー。」

T「早いわ!俺をおいてくな!マラソン大会で共に走ろうと勧誘してくる親しい友人か!」

B「いらっしゃいませ〜。」

T「有無を言わせろ!普通は客がガチャってドア開けて入ってきてからだろ!」

B「なるほど!じゃあお願いします。」


T「ガチャ!」

B「お客さま〜。失礼ですが当店ドアは自動ドアになっております。」

T「え?」

B「お客様、今「ガチャ」と効果音を発せられましたが・・・?まさか口癖ですか?それとも難癖ですか?」

T「間違いなく難癖ではないわ!それにして失礼だな!お客様は神様だぞ!」

B「はッ!オーマイゴッド!オー私のお客様!」

T「バカにしてんのか!ちゃんとやれ!行くぞ!ウイーン」

B「自動ドアにしていただいてありがとうございます!」

T「いいから接客しろ!」

B「いらっしゃいませ〜。お顔立ち更には風貌、滲み出る器の小ささからして1名様でよろしいですね?」

T「よろしくないねえっ!だいぶ心がグロッキーだわ!ウイーン」

B「いらっしゃいませ〜。何名様ですか?」

T「一人です。」

B「じゃあこっちおいで!」

T「なんで急にタメ口なんだよ!」

B「ファミリーレストランに!ノンファミリーで来てるお前はもう正規の客じゃない!」

T「なんだよ!その自論は!そんな扱いうけたら更に心がグロッキーだわ!神様をけなすな!」

B「はっ!オーマイゴッド!イタリア語ではマンマミーア!」

T「知らねぇよ!完全に『私のお客様』に対するツッコミ用意してた
わ!ちゃんと接客しろ!」

B「いらっしゃいませ〜。何名様ですか?」

T「一人です。」

B「じゃあこちらへどうぞ」

B「お客様〜。こちらメニューになっております。」

T「はい。」

B「お決まりになられましたらこちらのボタンを押してください。」

T「あ、おすすめとかってあります?」

B「え?逆にあります?」

T「あるわけないだろ!ちゃんと接客してくれよ」

B「・・・」

T「なんで黙ってるんだよ!」

B「メニューを渡して、ボタンの説明も終わったのでお客さまのターンです。」

T「お客様のターンってなんだよ。そして何故オススメの件はなかったことになってるんだよ・・・。
もういいや!ハンバーグとご飯とフライドポテトにしよう。よしポチっと」

B「贈る言葉〜♪」

B「ん?お客様、お決まりでしょうか?」

T「何故贈る言葉なんだよ!」

B「さあ・・・?」

T「さあ?じゃねぇよ!てめえがボケたんだろうがてめえで収集つけろや!」

B「お客様メニューの方お決まりになられましたでしょうか?」

T「切り替えの速度が速すぎるだろ!えーっと。ハンバーグ、フライドポテト、ご飯で!」

B「お客様。それならハンバーグセットと注文していただいた方がお得ですよ!」

T「ハンバーグセットなんてあるの?」

B「はい。ライス、フライドポテトでハンバーグセットでございます。」

T「ハンバーグの姿が見当たらないけど!?」

B「安心してください。ハンバーグはライスのほうに・・・。」

T「含まれてるのか!?含まれていても問題あるぜ!?」

B「含まれていませんので。」

T「じゃあ不安はつのるばかりだ!含まれてもこまるけどな!」

B「あー!もうめんどうくさい!めんどうくさい!ハンバーグセット
にハンバーグは含まれています!!」

T「なんでお前が追い込まれてるんだよ!!で、ハンバーグセットにハンバーグは含まれているんだな?」

B「はい。そして、すべてを単品で頼まれるより50円安くなっております。
見た目から判断して、お客様の経済力ならセットのほうが・・・。」

T「バカにするな!!!それくらい払えるわ!頭にきた!単品で頼んでやる!」

B「了解しました。それとライスのほうはサイズが(並)(中)とございますが?」

T「選択肢ないのかよ!今はライスより選択肢をくれ!」

B「洗濯してくれ?」

T「お洗濯のほうじゃねえよ!お洗濯はお母さんに任せるわ!選択肢をくれって!」

B「ライスのサイズは『大』『中』『適量』とございます!」

T「やっと選択肢をくれたか!ただ、適量ってなんだよ!」

B「お客様の経済力に合わせてこちらでサイズを変えるというサービスです!」

T「なんじゃそりゃ!じゃあ俺の場合どうなるんだよ」

B「えーっと・・・お客様ですと、申し訳ございませんが・・・ライスの無になります!」

T「ライス食わせろ!!」

B「貧乏神様。落ち着いてください。」

T「神違いだ!お前に言われるほど貧乏じゃないわ!ライスは中で良い!」

B「お客様、背伸びはやめたほうが・・・。」

T「背伸びしてねえわ!かかとがしっかり地に着いた状態で注文してるわ!」

B「お客様の場合ですと・・・当店で食事をするより自宅のほうで親のすねをかじっていただいたほうが・・・。」

T「バカにしすぎだわ!!お前な、こんな接客じゃ絶対クレームくるぞ!対処できるのか?」

B「あたりまえでしょうが!!ファミレスの店員やりたいって言ってて、クレーム処理ができないわけないでしょうが!!

T「何でそんなにプライド傷付けられてるんだよ!で、出来るんだな?行くぞ!プルルルル〜。」

B「はい、もしもし、ファミリーレストラン朝赤龍でございます。」

T「そんな名前だったの!?」

B「はい当店、3年前から営業してます。老舗のファミリーレストラ
ン朝赤龍です。」

T「老舗じゃねえだろ!どっちかと言うと新参者じゃねえかよ!」

B「あべひろしか!」

T「黙ってろ!
で、本題なんですけど、この前、ファミリーレストラン朝赤龍で食事をしたんですけど
店員の接客がひどかったんですよ!!」

B「・・・・。」

T「何絶句してるんだよ!」

B「先ほど、お客様が黙れとおっしゃったので・・・。」

T「おまえは店員の鏡か!そこまで従わなくていいんだよ!で、接客が酷いんだよ!」

B「あ、今担当の者にかわりますので少々お待ちください。」

T「結局出来ないんじゃねえか!いい加減にしろ」

B「ありがとうございました〜(店員風に)」

T「もう普通でいいんだよ!」

B.T「ありがとうございました。」

予選総合第53位(1回戦敗退) ところてん
審査員
点数
23 49  4 17 39 平均26.4
【審査員コメント】 
・ファミレスという結構ありきたりな設定のなかでまあまあストレートに漫才していた割に、ボケが表面的なものに終始していた印象でした。
 ただツッコミが良い感じに笑える雰囲気を出しているというか、一生懸命ツッコミ頑張っているなーという面白さがありました。
 店員の失礼さに対する客のヒートアップ感がそのツッコミの一生懸命さによってうまく表れていたので、
 ツッコミに追いつくぐらい失礼な接客のボケ(単に失礼なだけでは笑えませんが)を出せればもっと良くなるのではないかと思います。
  
・前半ベッタベタですねえ……だいぶ傷食ぎみです。
 ライス無→貧乏神様あたりからはなかなかおもしろくなってきましたが、クレームのところも中途半端に終わってしまったなあ……とう感じでした。
 漫才らしい勢いがあるのはグッド。
  
・全然売れない漫才師が路上で頑張ってる画が浮かんだだけでした。
  
・実際の舞台で見たらそれなりに面白いと思いますが、文章で見たらクスリとも笑いませんでした。
 たぶんこれは動きや台詞の発し方などで笑いが取れる漫才だと思います。言ってしまえば勢いだけです。ボケはどれもがベタすぎて面白くなかったです。
 ツッコミもボケも無駄に長くて無駄に難しい言葉を使ってるので、演技臭さが目立っていて寒かったです。
 勢いで笑わせるのではなく、もっと考え抜かれた新鮮味のあるボケが並んだネタで笑わせてほしいです。
 文章であることを欠点にするのではなく、文章だからこそ面白いと思われる作品を考えて書いてください。
  
・悪くは無いのですが、今回3つあったファミレスネタの中では最もベタだったように思います。
 特に「何名様」→「一人」→(ひどい対応)、という流れはかなり食傷気味なので、ここばかりはもっと捻ったボケが欲しいところです。
 ひと通りレストランネタらしいものは作れていると思うので、
 個々のボケ以外に何か目を引くような要素を込められるようになるとさらに良くなると思います。



No.060 生姜焼きが大好きなユウスケ
ユウ君DIARY〜ユウ君がいる限り悪は栄えない!〜
ユウスケ:菌は菌でもサルモネラな菌はな〜んだ!

パパ  :サルモネラ菌

ユウスケ:正解!さすが思考のねじまがった大人はこういうのに強いね!

パパ  :いくらねじ曲がってても、答えまでは一直線だったよ
     というわけで、どうも、今僕の隣にいるちっこい子供が生姜焼きが大好きなユウスケ君です
     僕は、この子のパパです

ユウスケ:じゃあ第二問パパイヤ鈴木はパパイヤ鈴木でも…

パパ  :いったん止めようかユウ君
     問題の前提が自由すぎるよ
     そこからどう続けて行くんだい

ユウスケ:パパイヤ鈴木はパパイヤ鈴木でも鉄を連金したパパイヤ鈴木ってな〜んだ!

パパ  :え〜っと自由なのは前提だけじゃなかったのね
     で、ちなみに答えは?

ユウスケ:パパイヤ鉄木!!

パパ  :うん、理解の範疇はとうに超えちゃったね

ユウスケ:あ、パパイヤ鈴木と言えば夜這いって怖いと思うんだ!

パパ  :後でしっかりパパイヤ鈴木さんに謝ろうね
     え〜っと夜這いって言うか、夜の暗い道の事かな?言葉は選んで発しようね
     確かに悪い人とか出てくるもんね、だからユウ君も簡単に悪い人についていっちゃだめだよ

ユウスケ:尻軽ユウ君じゃないからね!ホイホイ騙されてついて行ったりはしないよ

パパ  :言葉を選んでの意味は全く伝わってないみたいだね
     じゃあ例えば、暗い夜道で怖い人に「アメあげるからおじさんについてきて」っていわれたらどうする?

ユウスケ:危ない事や悪い事をしないという書類に指紋を貰う

パパ  :…強力な物的証拠だね〜
     そっか、そこまでしなくていいからちゃんと断わってね、ほらどうやって言うの?

ユウスケ:まだ会ったばかりですので、今日は食事まで!

パパ  :あぁ〜、アメが無理で食事はOKの判断はどうしちゃったのって感じだね
     そうじゃないでしょ?結構です!って断るんだよ、分かった?

ユウスケ:うん、5割は!

パパ  :逆にどこが伝わったのか気になるくらいだね
     じゃあ覚えた事言ってみて

ユウスケ:けっこ!

パパ  :あ、ジャスト5割だったんだね驚いたよ
     逆に悪い人もびっくりするからそれはそれでありなのかな
     でも悪い人の中には力づくで連れて行こうとする人も居るからそういう時はどうしたらいいか分かる?

ユウスケ:背負い投げ!

パパ  :おぉ〜!出来るもんならやってみろ〜!
     ユウ君、相手は大人なんだから8歳の子供が背負い投げ出来るほど軽くないんだよ

ユウスケ:じゃあ、ドラゴンスクリューかDDT!

パパ  :背負い投げ無理だって言ってるのに良くそれが行けると思ったね
     んで、また技のチョイスもどうなのよ
     やっぱり体格差あるから立ち向かうのは無理があるかな〜

ユウスケ:ちっ…自分の力不足をここまで痛感するとは…
     ヘンリー老子の所へ行って修行をしなきゃ

パパ  :ユウ君、そんな少年漫画みたいな展開はユウ君の人生にはおそらく訪れてこないと思うよ
     だいたい誰なんだいヘンリー老子って

ユウスケ:筋骨隆々の画家だよ!

パパ  :体格を綺麗に持て余してるねその人は、というかユウ君は画家から何を学びとろうと思ったんだい

ユウスケ:DDT!

パパ  :あぁ〜、ヘンリー老子ワイルドだね
     いや、そうじゃないんだよユウ君
     悪い人に力づくで連れてかれそうになったら、大きな声で叫ぶ!で、近くの大人を呼ぶんだよ

ユウスケ:なるへそ〜

パパ  :ユウ君って本当に8歳だよね?

ユウスケ:あなたがそうであると言うのであればそうなんだろうな

パパ  :あれ、なんとなく距離感が出来てるなユウ君
     まぁいいか、じゃあ試しに大声で叫んでみようか

ユウスケ:貴乃花〜〜!!!!!!!もしくは若花田〜〜!!

パパ  :…まぁ強い事に変わりは無いんだろうけどさ、近くに貴乃花か若花田が居る確率は
     それはもう天文学的な確率だと思うよ
     そこは特定とかしないで、不特定多数の人々に呼びかければいいんだよ

ユウスケ:貴乃花部屋の力士〜〜!!

パパ  :うん、不特定の範囲もっと広げて行こうか
     結構近い所でちょっとだけ広げてもほとんど変わりはないからね

ユウスケ:相撲業界全般の人〜!!

パパ  :一歩ずつ着実に広がってるのはいいんだけどさ、相撲の枠から飛び出ようよ

ユウスケ:生命〜〜!!!!

パパ  :…飛び出た〜!
     ただ、生命〜〜!!!!で大人が来るか微妙な所だから
     だれか〜!!って叫ぼうね。分かった?

ユウスケ:1割は分かった!

パパ  :ん〜上の空だったのかな?
     っていうか逆に1割って何を覚えたのさ言ってみて?

ユウスケ:ドゥッ

パパ  :あ、「D」の発音だけね。納得したけどそこだけ分割して覚える方がよっぽど難しいと思うよ
     でも、ドゥッじゃあ、悪い人は逃げて行かないと思うから、ちゃんとだれか〜って、ほら言ってみて?

ユウスケ:誰か〜!!!パパイヤ鉄木に連れてかれる〜〜〜!!!

パパ  :あぁ、また出てきちゃったパパイヤ鉄木
     まぁ大人の耳に留まるとは思うけどさ、冗談だと思われて終わっちゃうからね

ユウスケ:実の父親に連れてかれる〜!!ぎゃーーー!!!

パパ  :あ、それ絶対家の近くで言っちゃだめだよ。パパ近所で信頼薄いんだから
     ユウ君、そんな事じゃ悪い人に危ない事されちゃうよ?

ユウスケ:現在進行形でされてるから大丈夫!

パパ  :……真面目に生きよう
     ユウ君、今みたいな対応だとビックリこそされると思うけど
     最終的には捕まっちゃうだろうからさ、ちゃんと…

ユウスケ:助けてー!!!誰かーー!!

パパ  :うん、それを待ってはいたんだけどさ。今言われちゃうとパパが変質者みたい…

ユウスケ:みたい?

パパ  :……ごめん
     ってなんで実の息子に謝ってるんだー!!
     ユウ君!今のうちはあんまり夜に外出を許してないからいいけど、例えばユウ君が中学生くらいになって
     弱反抗期になって夜外出したとしたらそれこそ悪いお兄さんだったりするかもしれないんだよ

ユウスケ:大丈夫!ユウ君タフマンだから

パパ  :時々時代を感じてしまうのは何故?8歳の我が子に時代を感じてしまうのは何故?
     じゃあ今からパパが悪いお兄さんやるからユウ君対応してみてよ

ユウスケ:年考えろ化けもん!!

パパ  :あれ〜?もう反抗期来ちゃってたのかな、それとも情緒不安定?
     とにかくやってみるよ
     おい!おまえ、金出せよ!

ユウスケ:じゃあ手続き済ませろよ!

パパ  :…わーお、さっきの書類申請の事かな?
     恐らく申請はしてくれないと思うから上手に受け流さないと
     …おい!お前金出せよ!

ユウスケ:持ってない!102円しかもってない!うちの父さんに頼んだって無駄だぞ!
     なぜなら父さんも金持ってないからな!辛いんだぞ!

パパ  :…気持ちの代弁ありがとー!!
     っだけど!それ言ってもしかたな……いや、案外ありかも知れないけどさ!
     「お前も色々大変なんだな…」ってなりそうだけどさ!

ユウスケ:理由分かるか!酒に消えるんだよ!

パパ  :あぁ〜同情の余地消えた

ユウスケ:最近は肝臓の為とはいってるけど、それこそお金が無いから…

パパ  :うん、リアルな話し続々だからその辺でやめとこうね
     パパだって自分への言い訳で必死なんだから

ユウスケ:でもパパ、もしくはパパテノン神殿

パパ  :パパで頼むよ。後者は何者なのよ

ユウスケ:男に生まれたからには戦わないと!

パパ  :良く言った!
     じゃあ何か習い事でもしておくかい?

ユウスケ:うん!ヘンリー老子に絵を習いに行く!

パパ  :…せめて、DDT習え〜
     そりゃ本職画家だからそうなるのかもしれないけどね、絵を習ってどう戦うのさ

ユウスケ:まず、絵を描くでしょ〜?それを売って金を稼ぐでしょ〜?で、そしたら内閣総理大臣になるでしょ〜?
     ほら!これなら負けない!

パパ  :あれ、緩やかに見える流れに一つ大きな段差が有るよユウ君
     金稼ぐ→内閣総理大臣ってそうとは限らないよ
     あと、勝つ手段が何日かまたいだ後の「権力」ってどうなのよ

ユウスケ:でさ、ヘンリー老子

パパ  :え、パパがヘンリー老子だったの!?初耳!
     パパの本職は画家でもないし、DDTも使えないよ!
     ユウ君はパパをなんだと思ってるんだい?

ユウスケ:変態!

パパ  :非常に分かりやすい結論が出たね
     実の息子に尊敬されるように頑張ろう


No.061 八十八ではない

米:どうも八十八じゃないです
寿:「八十八」と書いて「べいじゅ」ではないです
米:この間ですね、両耳をそぎ落とされそうになったんですよ
寿:無事で何よりです。何したらそんなことになるんですか
米:一週間程前なんですけども、道端で倒れてる猫を見つけたんですよ
寿:はいはい
米:たまたま近くに動物病院があったのですぐに駆け込んだんですが、容態はだんだん悪くなるばかりで
寿:あれまぁ
米:心拍数も次第に下がっていき、0になった瞬間に、こっちの方を向いて「お前の耳をそいでやる」と言って動かなくなりまして
寿:コメディの大会で何堂々とホラー話してくれてるんですか
米:その帰り道に野良猫をいっぱい見かけたんですけども、どれも怖くてですね
寿:最近の野良猫は凶暴ですからね
米:ええ、いつあの鋭い爪で両耳をそぎ落とされるか分からないもんです
寿:皆さんも気をつけてくださいね
米:クロネコヤマトのトラック見かけたんですけども、それすら怖くて
寿:それはあなたの思い込みでしょう
米:わかりませんよ。いつ何時サイドミラーが変形して鋭利なものとなり、人の両耳をそぎ落とすか分からない。そんな時代になってしまったんです
寿:そんなセガールもビックリな殺戮兵器を宅配業者が持ち合わせているわけがないでしょう
米:まぁ、その日は轢き逃げされるだけで済んだんですけども
寿:事が起こり始めているではないですか
米:気がついたら、両手両足を鎖につながれて、ベッドに横たわっていたんですね
寿:ホラーのベクトルが変わってまいりましたよ
米:酸液の唾を吐いて鎖はなんとか溶かせたんですけども
寿:だから貴方の足元からずっと湯気が立ってたんですか
米:そしたら部屋の中央にモニターが出てきましてね。両手両足を鎖につながれた男が映し出されたんですよ
寿:さっきの貴方と同じ状態ですね
米:右上にくるくる回っているアンテナのマークと、「LIVE!」って文字があったんで、リアルタイムだということが分かりまして
寿:結構しっかりしてますね
米:しばらくすると、その部屋にナイフを手に持った猫が4匹ぐらい入ってきたんですよ
寿:ほう
米:そして、男の皮膚を剥ぎ取りだしまして
寿:あわわわわわ
米:あらかた剥ぎ取り終わったら、その皮を何かの屋台に持っていってまして
寿:屋台?
米:よーく屋台の文字見たら、「マリオンクレープ」って書いてまして
寿:原宿の大人気クレープ店じゃないですか
米:そのときすぐ察しましたね、男の皮膚を生地にしてるんだって
寿:・・・いやいや、考えすぎでしょう
米:だって生地にホクロとかついてましたよ
寿:バニラビーンズですよ、バニラビーンズですよ
米:もちろん毛もびっしりついてましたよ
寿:ひじきですよ、ひじきですよ
米:バニラビーンズとひじきが一緒になってるクレープがあるもんですか
寿:原宿の大人気店ですよ。それぐらいの冒険はしますって
米:私もそんな風にも色々考えてたんですけども、その途中にモニターが移り変わりまして、違う男の人が映し出されたんですね
寿:その人も、ですか?
米:いや、ナイフを持った猫が出てくるところまでは同じなんですけども、今度は内臓を抉り取りはじめまして
寿:あわわわわわわわわわわ
米:で、今度はその内臓が「もつや」って書かれてる屋台に運び込まれまして
寿:・・・まさか
米:間違いないですね、モツの味噌煮込みにされてます
寿:そんな訳ないですって、そんな訳ないですって
米:現実を認めてください。私は見たんですよ
寿:ああ、モツ煮込みに関しては原型をとどめてることが少ないから言い訳が思いつかない
米:そしたらまた映像が移り変わりまして
寿:また違う男の人ですか?
米:いや、「森田一義アワー 笑っていいとも!」って字幕が
寿:12時になってたんですか。まぁ、見慣れた映像が出て一安心ってとこですかね
米:いいとも青年隊の二人が「お前の耳をソギソギウォッチング」♪って歌ってまして
寿:フジテレビは狂ってます
米:気味が悪かったんで、リモコンですぐチャンネル変えたんですね
寿:リモコンあったなら最初から使いましょうよ
米:でも無駄でしたね。槇原敬之が「ミミ、ミミ、ミミナンデス♪」って歌ってまして
寿:ああ、日本テレビまで
米:それに関してはちょっと楽しそうでしたけども
寿:まぁ多分、耳指差して「耳なんです」って言ってるだけでしょうからね
米:テレビ朝日に変えたら「みみが!スクランブル」、TBSに変えたら「みみおび!」NHKに変えたら「スタジオパークからこんにちは」
寿:さすが日本放送協会。ちょっと時間帯違いますけどもまあ目をつぶりましょう
米:そこで気づいたんですけども、どこも提供がクロネコヤマトだけだったんですよ
寿:轢き逃げはそういうことだったんですか
米:もう、急いでここから逃げようと思いまして、酸液の唾でドアを溶かしまして
寿:そんな特殊能力あるからクロネコヤマトに目をつけられるんですよ
米:部屋番号見たら「33そぎ」でした
寿:部屋数多すぎて数字とアルファベットじゃ足らなくなったんですかね
米:出口は分からなかったんですけど、とにかく走り出しまして
寿:クライマックスのかおりがプンプンしますね
米:見たくなかったんですけど、色んな部屋が見えまして。
  指を一本ずつ切り落とされて、パフェのトッピングにされてる部屋、
  太ももを切り落とされて、マンガに出てくる骨付き肉みたいにされてる部屋、
  眼球すりつぶされて、調味料や野菜を加えられて、ミキサーでかき混ぜられてガスパチョにされてる部屋
寿:最後すごい本格的ですね
米:猫たちがテーブル囲んでクレープとかガスパチョ食べてる部屋もありました
寿:フードコートみたいになってるじゃないですか
米:そこからなんやかんやあって家に辿り着いたんですけども
寿:豪快に大事な部分はしょりましたね。大脱出劇を期待していたのに
米:いや、もうそこからの記憶が何も無いんですよ
寿:まあ、確かにその前の映像が衝撃的でしたもんね
米:もうそれ以来クロネコヤマトがトラウマですね。今度からは佐川急便に頼みます
寿:宅急便としてはクロネコヤマトの方が優秀らしいですね
米:もう、あんなもの宅急便じゃないですね。ファッキュー便ですよ
寿:中指いっぱい入ってるんですかね
米:わぁ、グロいですね
寿:今更何を言ってるんですか
米:だってグロいものはグロいんですもの、しょうがないじゃないですか
寿:こっちはその言葉をずっと飲み込んでいたんですよ
米:まあ、そんな恐怖を体験したんで、今は癒しが欲しくてたまらないんですよ
寿:リラックスすることは大切ですからね。何かいまぶつ切り感が凄かったですけども
米:というわけで今日もペットの猫に癒してもらおうと思います
寿:そこはトラウマになってないんですか、もういいです
米:あ、センターマイク全部溶けちゃってる
寿:お疲れ様でした
2人:八十八じゃありませんでした

予選総合第22位(3回戦敗退) 八十八ではない
審査員
点数
11 83 35 68 75 平均54.4
【審査員コメント】 
・ボケが・・・ありましたか? 
 「八十八ではない」というコンビ名は面白く、あとは読む気が削がれていく一方の内容だったというのが正直な感想でした。
 何というか、こういう話が好きな人の集まる大会なら良い成績が残せるのではないかと。
 眼球すりつぶして云々聞かされた状態で笑えるためには相当面白いボケが必要だと思いますが、
 このネタに関しては単にボケが弱かったので、面白いけど気持ち悪いといったジレンマに陥ることもなく、単純に気持ち悪かったです。
 61組審査してきて最後にこんな後味悪い気持ちにさせられるとは思いませんでした。もしやそれが狙いでしょうか?
  
・いや、完全にwhitewhiteやん。なんで八十八なんですかなつかしい。
 おもしろかったです。だいぶ話題グロいですけども、この雰囲気かリアリティのなさか、そんなに気になりませんでした。で、間間のボケがじわじわくる。
 最後のいろんな部屋の描写はキツかったですけれども……
  
・ツカミとオチと、フジテレビは狂ってる以外は印象に残りませんでした。
 アングラ感を狙いすぎて乗り切れていない。
  
・いつも通りの構成方針かと思って読んだら、拉致やホラーやグロ図などいつもとは違う激しい展開が盛りだくさんだったんで、とても新鮮でした。
 そんな衝撃的な描写も、のほほんとした雰囲気で優しく包み込まれていて、気持ち悪さを感じませんでした。この雰囲気すごく便利。
 物を溶かす液が出せるという設定が地味に使い回されていたのが一番面白かったです。強烈なボケをサッラと差し出す技術がステキです。
 一つ大きく不満だったのが、あの施設が結局なんであったのかが不明だったことです。
 ネコが管理してるのか、クロネコヤマトの施設なのか、物語の重大な拠点が不明だと、モヤモヤした気持ちが引き継がれて、スッキリしません。
 一つが不明だと全てに疑問符を付けかねないネタなので、物語を上手く広げながら説明して欲しかったです。
 漫才の書き方は文句なしに綺麗でした。いつまでもこんな作風でいてください。
  
・whitewhiteにしてはやや饒舌な気もしましたが……だとしたら余計に八十八ではないような…

 グロいと言うことに目を瞑れば、なかなかのセンスのボケが多かったんじゃないかと思います。
 特に、寿さん(安正さん?)のツッコミフレーズが絶妙ですよね。時に読み手と同じことを思っていたり、時にトリビアみたいなのを言ってくれたり。
 それだけに、ただグロいだけ、というような部分が多く見られたのが惜しいですね。もう少し滑稽な方向に持っていってよかったんじゃないかと思います。