予選Cブロック 審査フォームはこちら

021 ササキに願いを 022 whitewhite 023 一夜の幻影 024 血華美人は愛の華 025 世田谷ポンポロリン
026 あかつき 027 バーローパラダイス 028 エバーグリーン 029 お受験Boys 030 トリックル


No.021 ササキに願いを
モテたい
○:ササキに願いをです

2:よろしくお願いします

○:いきなりだけどさ、俺モテたいんだよね

☆:それはいいとして、2013年のプロ野球も開幕して、今日も各地で熱戦が繰り広げられてますよ

○:いいとするなよ!俺の話を聞けよ!

☆:って訳で、今日は僕が大好きな広島東洋カープについて、僕らの持ち時間いっぱい話そうかなと思います

○:やめようか。お客さんそこまでカープに興味ないと思うし
  そもそも今日漫才をやりに来たんだし。あと俺の話を聞けよ。俺モテたいんだよ

☆:じゃあ、カープに興味がないお客さんでも興味を持てるような話題で、漫才をやればいいんですよね

○:……。まあそれでいいわ

☆:ってことは、デイビーが清原にぶつけた後に清原を挑発して乱闘になりかけたことがあって、後にデイビーがオリックスで清原とチームメイトになったときに「清原?彼はまだ現役なのか?」と言った。
  って題材の漫才を今からやりましょうか

○:やらない。って言うかできない。
  つかデイビーとか久々に聞いたわ

☆:じゃあ、ブラウン監督が挨拶で「マーティーと呼んでくれ」って言って、嶋と会話するときに「マーティー」「嶋さん」って呼びあってた。
  って題材の漫才を今からやりましょうか

○:できねーよ
  つーか何だその広島ローカルニュースでしか取り上げられないような薄い薄いエピソードは

☆:じゃあ、ワトソン、ブラウワー、チュークといったシーズン途中に入団して特に可もなく不可もなく退団していった助っ人外国人について、語り合いましょうか

○:語り合わない。そもそもマニアックすぎるから。
  何人のカープファンが第二次山本政権末期にやって来た左の中継ぎワトソンを覚えてると思うんだよ

☆:詳しいですね

○:うるさい。つーかな、最低限みんなに分かる話題にしようぜ

☆:じゃあ、赤松と天谷のどっちが一番センターに相応しいのかを、今から次の組の自己紹介くらいまで議論しましょうか

○:いや、次の組の人達に迷惑だろ
  つーかな、「はいどーもー、よろしくお願いします」って言ってる横で
  「赤松はバッティングにムラがあるから下位で使いたいよね」「いやいや、天谷はレフトとライトは上手いけどセンターはちょっと怖いよ」みたいなこと言い合うって何の集団だよ

☆:語り合う気マンマンじゃないですか

○:うるさい。第一あの手の話題は結論が出たことがないんだからやらない。

☆:じゃあ、今年期待の若手選手の話をしましょうか

○:ああ、それならいいんじゃない?
  って良くないわ!俺がモテたいって話をしようって

☆:今年一番期待してるのは、丸選手ですね。
  同じ名前なのに僕の横にいるモテるのに必死な人とは大違いです

○:やかましい
  はい、もうカープの話はここで終わりにしよう

☆:昔、オリックスにニールって選手がいて

○:いやいやいやいや……。
  野球の話をやめろよ

☆:だってさっき、「カープの話はここで終わり」って言ったじゃないですか

○:察しろよ!野球の話はおしまい!
  つーかニールの話ってどんなだよ。
  下痢しながらホームラン打って、ホームインしたらトイレに駆け込んだってくらいしかエピソード知らねーわ

☆:詳しいですね

○:うるさい。とにかく、話を変えよう話を。
  ね、俺モテたいんだよ。だからクイズ番組に出て、頭いい所をアピールしたいんだよね

☆:あ、クイズ番組。なら僕が問題出しますよ

  人気アイドルグループAKB48。では、AKBって何の略?

○:秋葉原

☆:正解
  では、AKB48四枚目のアルバムのタイトル「1830m」は、AKBの劇場とどこの距離?

○:東京ドーム

☆:正解
  では、その東京ドームをかつて本拠地としていて、現在は北海道を本拠地にしているプロ野球チームはどこ?

○:日本ハム

☆:では、現在日本ハムの現役選手の中で、一番年齢の高い選手は誰?

○:稲葉

☆:残念ながら不正解です。
  答えは中嶋選手でした

○:あー、引っ掛けか
  そっか。そうだよな。一応今年も一軍選手登録はされたし

☆:山本昌投手もだけど、中嶋選手も生きる伝説ですよね

○:うんうん。山田久志に松坂にダルビッシュ。世代を越えたエースの球を受けて来たんだもんね……。
  って、野球の話すんなよ!

☆:わかりましたよ……。

  今の日本の総理大臣は?

○:安倍晋三

☆:わからないようなのでヒントを出します

○:いや、今答え言ったじゃん

☆:ヒントその1
  2002年ドラフト四順目で近鉄に入団。岩隈投手そっくりな投球フォームが話題になったピッチャーと同じ苗字です

○:いや、だから安倍さんでしょ

☆:ヒントその2

○:いや、だから

☆:2007年高校生ドラフト1位で広島に入団。左の内野手として東出2世との呼び声の高い選手と同じ苗字です

○:だから安倍さんだって言ってんじゃん

☆:……。最後のヒントです

○:安倍だよ安倍!あーべー!

☆:巨人の正捕手で四番、WBC日本代表にも選ばれた選手と同じ苗字です

○:だから安倍だって何回も言ってるだろ!

☆:なんなんですか。さっきからカリカリしてますけど

○:野球の話をやめろって

☆:今のはアレですか?
  ドカベンプロ野球編初期の、ロッテの伊良部投手が語尾に「〜千葉、〜ロッテ、〜マリーンズ 」って付けてたののオマージュですか?

○:あったけど! 「オレが伊良部秀輝だロッテ!!」とか言ってたわ
  でもあれ「罰金バッキンガム」並に寒いギャグだよな

☆:ちょっと○さん、あまり伝わらないアニメのネタを入れないでくださいよ

○:反省はするけど、野球ネタをブッ込み続けるお前には言われたくないわ

☆:まあ話は変わりますけど、○さんってどんな子がタイプなんですか?

○:本当に急に変わったな
  まずね、声が可愛い人
  あと、趣味が合う人
  最後に、俺らササキに願いをを応援してくれる人かな

☆:ああ……。
  横浜のウグイス嬢ですね

○:なんでそうなるんだよ!

☆:だって声が可愛いし、野球好きってことで趣味が合うし、横浜を応援してるってことは「ササキ」ってワードに反応して僕らを応援してくれますって

○:知らねーよ。最後のなんかこじつけすぎるし

☆:いや、横浜ファンの女性なんて、98年のメンバーの名前言えばイチコロですって

○:お前は横浜ファンを何だと思ってるんだよ

☆:あいつら負けが多すぎて、最近じゃ「マシンガン」って言葉を聞くと懐かしさのあまり、涙を流しますからね

○:馬鹿にしすぎだよ!
  つーか、カープもあんまり横浜を馬鹿にできないけどな。最後の優勝が1991年だぞ
  今二十歳の人が優勝を知らないって異常だぞ

☆:そうですよね……。
  今年こそは!って思ってたんですけど、始まってみればチャンスで打てない中軸に、柱以外がガタガタの中継ぎ……。
  よし、今から次の組のネタの終盤に伏線を回収する所まで議論しましょう

○:しないよ。次の組の人達に迷惑だろ
  つーかさ、ラストスパートかけて、どっかんどっかんウケてる横で「もっと補強しろよ」「 つーかオーナー変えろよ」みたいな話してるって何だよ
  広島の飲み屋か!
  いいから話を元に戻そう

☆:ミサイル問題で揺れる北朝鮮情勢の話でしたっけ?

○:してねーよ

☆:安倍総理が背番号96なのは、苦労してるからその語呂合わせだと思った って話でしたっけ

○:してねーよ。安倍総理の名前だけ出てきたけど。名前だけだけどな

☆:あ、僕が道行く人にミドリムシとアオムシを配って、受け取った人から殴られるバイトをしたい って話でしたっけ

○:してねーよ
  つーか何だそのバイト。どこで金が発生するんだよ

☆:何の話でしたっけ

○:俺がモテたいって話

☆:ああ、そうでしたそうでした。
  よし、じゃあ今から次の組の人達が「ありがとうございました」って言うまで真剣に語り合いましょうか

○:だから迷惑だよ!
  「もういいよ」「ありがとうございました」ってやってる横で、
  「やっぱ、結局モテるのは優しい男だよ」「いや、お前も彼女いないじゃん」みたいな話するって何だよ。ただの邪魔じゃん

☆:分かりました。じゃあ僕が今から結論を出します
  女の人はお金持ちが好きです。だからお金持ちになりましょう

○:いや、お金持ちって言ったってさ……。どうやってなるんだよ

☆:よし、今からバッティングセンターに行きましょう。
  目指せプロ野球選手!

○:やっぱり野球かい。もういいよ

2:ありがとうございました

予選総合第44位(2回戦敗退) ササキに願いを
審査員
点数
38 61  4 15 70 平均37.60
【審査員コメント】
・野球の話は何一つ分からなかったんですが、とにかく今までの作品の中では一番気合入ってんなってことは分かりました。
 何より、終始一つのテーマで貫き通したのが感動しました。元ネタは分からずとも、内容がブレなければ面白い雰囲気は伝わります。
 後は専門知識を持っていない人にも伝わるぐらい砕けた文章にしてくれれば、とりあえず言うことは無いと思います。
 ただ「僕が道行く人にミドリムシとアオムシを配って、受け取った人から殴られるバイトをしたい って話でしたっけ」は絶対に削った方が良いと思います。
  
・なかなか面白かったです。
 いつもより会話がすごくスムーズで、肩肘張ってない感が雰囲気的にプラスに働いています。
 野球情報は基本的に私分からないんですが、ほとんどの情報は理解しなくてもイイですよと言えていて、
 その上で着眼して理解して欲しい数少ない情報にパンピーでも知ってそうな有名なのを持って来てる情報選びが特に秀逸。
 内容としてボケの絶対数が少ないのがちょっと物足りない感じもしますが、
 全体構成の丁寧さ・しっかりした作り込みの読み心地と満足感はなかなかのモノです。
 爆笑だけが笑いじゃないコトを再認識できるような、いいネタですね。
  
・野球が好きなんですね。はい。
  
・会話の作りなどは非常に丁寧で、読み進めやすかったです。
 ですが、やはりこういったネタである以上本人らが言っていても「伝わりづらい」っていうのはどうしてもノイズになってしまいまして
 僕自身野球を知らないので、伝わらない前提の話だとしてもやはり笑いづらかったですね。
 「次の組の自己紹介くらいまで」というボケが面白かったのですが、それを引っ張ってくるあたりはやはり技術のある人なのだなぁと思います。
 専門的な話をしてしまう以上、読む側を離してしまうこともあるのですが、それでも必死で惹きつけようとしている辺りには好感を持ちました。
  
・面白かったです。野球好きという2人(または書き手自身)の特徴を上手く利用できていますね。
 ところどころ会話が拙い部分も残ってはいますが、統一感もあって非常に分かりやすいネタでした。
 今回は野球のマニアックなネタに頼っている部分が多く、それ以外のボケは比較的ベタだったり薄味だったりするのですが、
 万人ウケしやすい強いボケの軸さえ用意できれば、一気に上位も狙えるのではないでしょうか。



No.022 whitewhite
物は回り、金の天下
前田:いやぁ、激おこぷんぷん丸ですよ
安正:今大会のNGワードです
前田:高校生に金をとられそうになりまして
安正:昨今珍しいタイプの不良ですね
前田:肩がぶつかったとかいって因縁をふっかけられたんですけど、シラをきってたんですね
安正:それはそれで中々の度胸ですね
前田:最終的に「お前頭おかしいんじゃねえのか?」と言われて「よく言われます」と答えたら皆どっかに行きました
安正:貴方には才能がある
前田:じゃあ時間余ったんであなたが不良に絡まれた時の練習でもしますか
安正:こんな体温低い導入ダメですよ
前田:何か不満が?
安正:雑な入り方もそうですけど、貴方が不良役やるんですよね?不良に絡まれた側がそんな役出来るんですか?
前田:当たり前じゃないですか。カツアゲコントなんてヘドが出るほど見てきてるんですから
安正:語弊しか無いですよ
前田:じゃあお互い端から歩いてきて、肩がぶつかって私が因縁をふっかけるという流れでお願いします
安正:はいはい



前田:(肩が無い)
安正:そんなボケ許されないですよ
前田:何か不満が?
安正:状況が分からなすぎますよ。なんで肩だけ無いんですか
前田:最近キャラクターを推す漫才流行ってるじゃないですか。だから「肩がLEGO」ってキャラで推していきたいんですよね
安正:じゃあ最初のカツアゲエピソードにもそのキャラ設定絡めてくださいよ。ただただ無駄ですよ
前田:分かりました、肩取りに戻るんでもう一回お願いします
安正:はいはい




(両者、肩がある)

(ダンッ)
前田:・・・ゥァッ
安正:小さい嗚咽が
前田:・・・ヶィァ、ョィヶ、ァォュ
安正:ちょっと
前田:(小さいサ)(小さいメ)(小さいジ)(小さいマ)
安正:そんな文字ないです
前田:・・・ョィャ、ョィャ、ョィャ
安正:小さい祭りが
前田:(大きいシ)(小さいヤ)(大きいモ)(大きいジ)
安正:シャモジっていいましょうよ
前田:ャンィフ、ォヮヴ、キョオォ
安正:さっきから棒立ちで何やってるんですか
前田:何か不満が?
安正:こんな不良いないですよ
前田:たまに小さい祭りで棒立ちになってる不良いるでしょう
安正:多分その子不良じゃないです
前田:じゃあ大きい葬式でホッピングする不良するんでもう一回お願いします
安正:それは確実に不良ですけども、肩がぶつかって因縁をふっかける不良で練習したいです。特にしたくは無いです




(両者、肩があり、ホッピングをしていない)

(ダンッ)
前田:・・・おィ、てめェ
安正:おっ
前田:やッてくれるじャァ、ないですかァ
安正:おお、キャラクター推し
前田:いッてェなァ、こいつァ骨をやッちまッたかもしれねェなァ
安正:いいですよ、ちゃんとさっきのが前振りみたいになってます
前田:てめェ、わァかッてんだろゥなァ、ィよこせよゥ
安正:嫌ですよ肩ぶつかったくらいでお金なんて
前田:ォ米だァ
安正:まさかの食いしん坊キャラ追加
前田:食物繊維がァ、必要なんだよゥ
安正:カルシウムじゃないですかね
前田:食物繊維(しョくもつせんィ)がァ、必要(ひつョゥ)なんだよゥ
安正:わざわざフリガナを
前田:・・・ゥァッ
安正:あ、痛みがぶり返してきた
前田:・・・ヶィァ、ョィヶ、ァォュ
安正:これ本当に骨やっちゃってるんじゃないですかね
前田:(小さいサ)(小さいメ)(小さいジ)(小さいマ)
安正:なかなかないですよ、キャラが痛みに負けるって
前田:・・・ョィャ、ョィャ、ョィャ
安正:そして祭りで棒立ち
前田:・・・ョィャッ(小さいサ)ァ、ョィャッ(小さいサ)ァ、ョィャッ(小さいサ)ァ
安正:棒立ち祭りが盛り上がって来ましたよ
前田:・・・ォィ、(小さいソ)(小さいコ)(小さいノ)ヮ(小さいケ)ェ(小さいノ)ォ
安正:「そこの小さい若い奴」
前田:(大きいシ)(小さいヤ)(大きいモ)(大きいジ)もッてこォィ
安正:だから米だったんですね
前田:ォォ(大きいキ)ィ(大きいシ)(小さいヤ)(大きいモ)(大きいジ)もッてこォィ
安正:ヨネスケのやつだ
前田:ォィ、聞ィてんのかァ、(小さいサ)(小さいメ)(小さいジ)(小さいマ)ァ?
安正:知り合いだったしサメジマの謎が解けたし最初から名前で呼んであげてほしかっただろうし
前田:なんだァ?(小さいハ)(小さいン)(小さいコ)ゥする気かァ?
安正:「小さい反抗」ですかね。だんだん自分で作ったルール破り始めてる気がしますけども
前田:てめェ、なめてんのかァ?
安正:すごい普通の不良だ
前田:くらえェ、左肩ァ(LEGOを投げる)
安正:なんて斬新なショルダータックル
前田:左肩((中くらいのヒ)(中くらいのダ)(中くらいのリ)(中くらいのカ)(中くらいのタ))ァ
安正:こんな意味のないフリガナ初めてですよ
前田:LEGO((大きいL)(大きいE)(大きいG)(大きいO))
安正:もはやフリガナでもなんでもない
前田:ゥヮァ、(超大きいミ)(超大きいコ)(超大きいシ)だァ。ヮァッ(小さいシ)ョィ、ヮァッ(小さいシ)ョィ、ヮァッ(小さいシ)ョィ
安正:ちょっと
前田:何か不満が?
安正:頭おかしいんじゃないですか?
前田:よく言われます
安正:ダメだこりゃ


No.023 一夜の幻影
嗚呼、憧れのアメリカンドリーム
真中:もうすぐ母の日ですね。向井君は何かご母堂にプレゼントとかされますか?

向井:う〜ん、母の日ねえ……。あんまり金もねえしお袋が好きなお菓子でも買おうかなと思うけど。

真中:HAHAHAHA!!お菓子ですか!?これはおかしい!

   HEY!!みんなコイツは自分のママをチェリーパイで肥えさせて食肉として売るつもりだぞ!HAHAHAHA!!

向井:何だそのクソみてえなアメリカンジョークもどき!?そんなつもりはねえからもっと上等でヘルシーなモン贈るわ。そんでもって後で俺のお袋に全力で謝れ。

真中:貴方は自分を育ててくれたご母堂に対して愛情が足らないですね。僕はあんな父親よりも深く想っていますからね。

向井:愛情さえ篭ってれば別に何だって良いじゃねえかよ。そんでお前に重度のマザコン疑惑と家庭に暗い影が。

真中:良いですか?母というのは、子どもにとって心の拠り所であり、敬う対象であり、それはさながら神様のように崇め、母なる存在として君臨するべき存在なんですよ。

向井:後半危ない宗教混ざってる気がするけど大丈夫か。母なるとか母そのものだしな。お前のお袋スーパーのパートでレジやってる普通のオバハンだしな。

   ならお前はお袋さんに何あげるつもりだよ。

真中:僕ですか?アメリカですよ。

向井:…………はぃ?ぁあ、アメリカ行きの航空券か。たまには旅行でもして楽しんできなよ的な?そいつは豪儀だ。

真中:いやいやいや、何をご冗談を。アメリカそのものですよ。

向井:いやいやいや!!待て待て待て待て!!お前、国土そのものをお袋さんにやろうとしてるのか!?

真中:ええ。航空券如きじゃ僕の感謝の気持ちは伝えきれませんよ。

向井:ええとか軽く言うなよ!!たかだか母の日のプレゼントで世界の歴史動かすなよ!!

真中:何を言いますか。僕のお母さんへの気持ちはこの位じゃ済みませんよ。七つの海と六つの大陸より広く想ってるんですから。

向井:お前の愛が重いわこのマザコン野郎が!!地球丸ごとじゃ足りない位想うのはまだ見ぬ嫁にとっとけ。

真中:向井君もアメリカとまでは行かないまでも、ご母堂にイギリスとかフランスとかあげましょうよ。

向井:どうやってだよ!?俺は只のしがない一漫才師だぞ!?軽い気持ちで世界を分け与えられるワケねえだろが!

   ほんでお前のお袋、アメリカくれるって言われてどんな反応したんだ?

真中:「えぇ……っ!?母の日にアメリカ……?あぁ……。アメリカねぇ……。旅行券じゃ無くて国土ごと……!?

    (ウチの息子こんなん言うて大丈夫なのかしら……?)……まあ貰えるなら貰うとこうかしら。」

向井:案の定反応に困ってんじゃねえか!!貰う派目になったけど絶対貰っても嬉しくなさそう!!

   てかお前、どうやってアメリカ買う資金なんか用意するんだよ?

真中:そりゃ今の日本のアベノミクスによる景気好転に乗じて、株券を買って資金を軽く10倍くらいに増やしてそれをラスベガスのカジノに注ぎ込めば余裕ですよ。

向井:結末も過程もリアリティが無さ過ぎる!!絶対序盤の株券のネット購入に戸惑う辺りで頓挫しそう。

真中:仮に増やすの失敗して資金が足りなくなったら、ママに幾らか借りれば良いですし。

向井:それだと本末転倒じゃねえかクソボケ!!自立しろ自立。で貸してくれるって事はお前のお袋乗り気になったんだな!?

真中:でもまあアメリカは今途轍もない不景気ですしね。多分こっちの言い値で売ってくれるかも知れないですね。

向井:ヘタな発言してCIAにマークされても知らんぞ。お前如きに買われる程落ちぶれちゃいないからな。

真中:そんなこんなでオバマとのジャンケン大会に見事勝利し、5万ドル位で購入して、僕のマミーのモノになるワケですよ。

   それに伴って国の名前も「アメリマナカ」にしようかなと。

向井:クッソダセえ!!国名にお前の名字織り交ぜただけでここまでダサくなるとは!!んでご都合主義丸出しの買収劇よ。

真中:国名が何かハーフっぽくて良いじゃないですか。まあ名前だけじゃなくて実際に僕もアメリマナカ人と日本人のハーフになるんですけど。

向井:そうはならねえよ!!ハーフなのはお前の脳味噌のサイズだけで充分!!

   てか親父さんは一緒に住まねえのな。

真中:あぁん!?親父なんか住まわせるワケねぇだろ!?只でさえ一緒に住んですかどうかすら分からんかったのによお!

向井:何か触れちゃいけないスイッチを押してしまった様だ!今日のお前、情緒不安定気味で怖ぇよ。

   まあ国が手に入ったとしてだ、お前のお袋さんがトップになるワケだろ?政策はどうするんだ?

真中:ちゃんと考えてますよ。自慢の僕のマムですからね。指を一つ動かしただけで世界の流れが変わりますよ。

向井:そしたら普段の生活で世の中が右往左往じゃねえか!!そんで呼び方を徐々にアメリカンに寄せて来るんじゃねえ!!

真中:まあ指一つは嘘ですけどね。ただアゴ一つで家族全員思いのままに動かせますからね。その調子で国民を家族と同じ様に扱いたいって言ってましたね。

向井:とんでもねえカカア天下だな。でも家庭と国とじゃレベルがナイアガラの格差並みに違うんだぞ?

真中:大丈夫ですよ。なんせ国「家」って云う位ですからね。HAHAHAHA!!

向井:しょうもねえ!!三億人もの規模の家族とか想像付かねえ!!

真中:フィリピン人と出来てクソ親父がいなくなった今、僕等は新しい家族を得ようとしているッ……!!

向井:何やってんだよお前の親父!!でも家族って云ったってどう接するつもりなんだよ?

真中:まあ最初は継母と義理の息子の関係みたいに反発があるかもしれません。顔見てもシカトしたり、やけに態度が余所余所しかったり、反発デモやテロが起きたり。

向井:最後とんでもねえな!!でもそうなったら実際に起こりそうな辺りアメリカっぽい。

真中:そういった事が起きたらやっぱり厳しく叱る必要もある思うんですよ。今夜は晩御飯抜きとか一週間おやつ抜きとか、後は一ヶ月間ゲーム禁止とか。

向井:ヴェルタースオリジナル並みに甘ぇ罰だな!!お前の家庭と同じレベルで入れるんじゃないよ!!絶対に誰も遵守しねえから増えるぞきっと。

真中:これらを破ったら刑務所に投獄された後、マムに処刑されます。

向井:最初の段階でそうしておけよ七面倒臭ぇ!!そんで呼び方マムに統一するな!

真中:因みに刑罰はお尻ペンペンです。

向井:随分と可愛らしい罰だこと!!グランドキャニオン並みに激しい起伏が起きてる。

真中:マムのお尻ペンペンは一発食らうと国外に飛ばされます。

向井:嘘をつけこの野郎!!最早ブースターエンジンじゃねえか!

真中:いやあ、僕も何回か食らった事ありますがパスポート無いと帰れないのが辛かったですね。

向井:経験者いたよ。そのまま不法滞在して投獄されれば良かったのに。

真中:因みに僕の親父は何度もフィリピンに飛ばされ愛人と会ってましたコンチクショー!!性病移されろ!!

向井:上手いこと利用するんじゃねえよ!!お前のお袋がそんな性格だから愛人作ってんだよきっと。

真中:しかし北朝鮮がミサイルを発射したら、お返しにマムが犯罪者のお尻叩いて報復してやりますヨ〜!!HAHAHAHA!!

向井:親父罵るのとワンセットでクソみてえなアメリカンジョーク挟むのやめろ!!いや今のはジョークじゃ済まされねえ!!

真中:まあそんなこんなで国内外どちらも平和になった所で本当の家族としてアメリマナカが発足します。

向井:国家買収に引き続きまたしてもご都合主義だなオイ。

真中:例えばご飯なんですけど、家族ですからね。国民全員同じ場所に揃って一緒にご飯を食べたいと思います。

向井:どうやって!?それぞれの家庭で各々自由に食わせてやれよ!

真中:たかが三億人ちょいですよね。適当な州を二つか三つ程使って貰えれば、スペースは事足りますね。

向井:たかがメシ食うだけなのにクソ面倒臭ぇ上に規模がデカ過ぎる!!来るだけでも相当時間掛かるわ!!

真中:これを一日三回きっちりします。

向井:無茶苦茶言いやがる!!一日の大部分移動に費やすとか国家が滅茶苦茶になるわ!!

真中:来ない人はマムからお尻ペンペンの刑です。

向井:勘弁してやれよ!!押し付けられた上に押し出されるのは。

真中:でも、アメリカって貧困層が多いじゃないですか?だからそう云った人達に分けあいたいって気持ちですよ。

向井:なら食糧とか福祉とかで手厚くサービスすれば良いだろうが。絶対そう云った人達来れないぞ。そんで何を食わせるつもりだったんだ?

真中:納豆ご飯に生卵、漬け物それとクジラの刺身ですね。

向井:アメリカ人が敬遠するモノのオンパレード!!嫌がらせ以外の何物でもねえ!特にクジラはアラスカ以外じゃハンパなくやべえわ!

真中:好き嫌いしたら漏れなくお尻ペンペンの刑で北極海辺りに飛ばします。

向井:そこまで来たら最早脅迫じゃねえか!!折角出来た家族失くすぞ。

   俺の中の偏ったイメージだけどさ、ハンバーガーとかフライドチキンとか肉の方が良くねえか?

真中:何を言ってますか?そんなジャンクフード僕のマムが食べられるワケないじゃないですか。

向井:とんでもねえセルフィッシュだな!!お前のお袋が北極海に飛ばされてしまえよ。

真中:ファーストフード店は全部かっぱ寿司とスシローにします。これがホントのセルフィッシュですね。HAHAHAHAHA!!

向井:俺のツッコミをくだらねえアメリカンジョークに昇華させんじゃねえ!!売る魚でセルフィッシュとかやかましいわ!!

真中:フィリピーナと出来たあのクソ親父、生魚食って性病と一緒にじんましん出来ろ!!

向井:ワンセットで親父罵るのもやめろ!!この罵りに関しては無理矢理としか思えねえ!!

   そういやアメリカってバリバリの英語圏だろ。お前のお袋キチンと英語話せるのか?話せないとコミュニケーション取れないだろ。

真中:大丈夫ですよ。僕が徹夜で教えましたから。今じゃバッチシ「uh-huh」「me too」「oops」「really?」「yeah」が使えます。

向井:全部相槌じゃねえかよ!!ほんで徹夜しても小学生のボキャブラリーより数が少ないって。道は険しいな。

真中:まあ最悪の場合は、大統領クビになって暇してるオバマに通訳を任せましょう。

向井:何ちゅう無駄遣い!!怨まれて変な風に訳されても知らんぞ。

真中:でもオバマは日本語分からないと思うからマムとオバマの間に僕が通訳としてやりますよ。

向井:ならオバマ挟まねえで最初からお前がやれよ!!お前のお袋がトップになって欲しくないんだけど。

真中:いやいやいきなしそんな…。僕がトップだなんて。え〜、仕方ないですね。手始めにカリフォルニア知事になります。

向井:俺何も言ってないんだけど!!手始めとかいずれはトップになるつもりとかクソうぜえ。

真中:マナカリフォルニアです。HAHAHAHAHA!!

向井:ネーミングセンスの無さは既にアメリマナカで証明されてるからさて置くとしても、やっぱりこのリアクションのウザさには慣れねえ!!

真中:今頃クソ親父はフィリピーナにカリを……。

向井:やめろおおおおぉぉぉぉぉ!!!ここに来て最低の下ネタ言いやがって!!罵るのもどうかと思うけどな!!

真中:あ、心配しなくても知事しながら漫才は今まで通り続けますんで。州一つ位なら片手間でも余裕ですよね。

向井:たかが一つの州の面積の広さと人口の多さ舐めんなよ!?かのシュワちゃんだって俳優辞めて知事一本でやってたんだぞ!!

真中:残りの49は僕のマムがどうにかしてくれるハズです。パートも辞めない程度に頑張ってくれると思います。

向井:絶対無理!!政策のバカさ加減や英単語がロクに覚えられない地点で底が見えてるわ!!

   やっぱりな、お前やお前のお袋如きじゃアメリカをどうにかこうにかするのは無理だって。

真中:何ですって……?僕のマムは全知全能の女神様で、指一つ動かすだけで世界経済や太陽を自由自在に操り、一秒で世界を7周半回れるのに……!!

向井:完全に嘘じゃねえか!!そこまで来たら洗脳すら疑われるレベルだわ!!

真中:クソウ……。折角新しい家族が出来て、クソ親父がいなくなったマムに寂しい思いをさせないつもりのに……。

向井:多分自業自得だと思うけどな。まあでもお前のお袋さんを思う心は大事にして欲しいもんだな。

真中:そうですね。じゃあマムに新しい旦那様をあげようと思うんですけど。向井君、僕のマムと結婚して新しいお父さんになってくれませんか?

向井:絶対に嫌だ!!いい加減にしろ!!

予選総合第45位(2回戦敗退) 一夜の幻影
審査員
点数
10 21 40 56 54 平均36.20
【審査員コメント】
・漫才の構成は良く出来ていて、ボケツッコミの形も取れていて、テーマもそれなりに印象深い。
 なのになぜ一切笑える箇所が無かったのでしょうか。
 まず王様にするのが自分の母親だという所がいけなかったと思います。この場にいない第三者を、その人物がどういう人間なのかも詳しく説明しないで盛り上げるのは、さすがに無理を感じてしまいます。
 だから普通に真中さんがアメリカ乗っ取る話で良かったと思います。その方が説得力があります。作中で母の日を語るのは序盤の部分だけですし、「アメリカ侵略」と「母の日」はどうもミスマッチに感じて仕方ないです。
 乗っ取る国がアメリカだというのもこれまたスケールが大きすぎて逆にダメです。どうやっても面白くならない題材だと思います。
 今大会のXENOGLOSSIAさんのネタみたいに、乗っ取るのが相方のアパートぐらいなら、まだ自由に想像が出来て面白くなる要素はたくさんあるのですが、
 アメリカという既存の完成された国を相手にするのなら、莫大でありながらも限定された情報量の中から面白いワードを選ばなければなりません。
 今回このネタで選ばれたアメリカワードは全部面白くなかったです。国際事情だとかそんなの語られて面白かったら、ニュースを見るだけで大爆笑ですよ。
 HAHAHAHA!!というのも無闇に多用しない方がいいです。これは何でも面白くなる魔法の言葉ではないです。
 それと親父の話も別にいらなかったと思います。面白くないです。暗い話なのに真面目に語りすぎて、一切笑えなかったのでもっと内容に合った柔らかい文章にしてください。親父の話をするたびに真中さんのキャラがブレています。
 とりあえずこの作品は、設定の段階で笑えないのが分かります。それなりに上手い構成力が逆手になって、この文章に無駄に緊迫感を生んでしまっていることも大きなマイナスに繋がっています。
 一つネタが頭の中に思い浮かんだら、それをすぐ書くのではなく、その題材が果たして本当に面白いものになるのかということを考えてください。
 
 それとネタとして誰かを崇めるのは「ギャップ」というものが必要だと思うんですよ。「ええ!?こんな人を崇めちゃうの!」みたいな。
 自分一年計画という企画を昔やっていて、そこで司会者の倉前くんって子を、ずっと管理人を崇め続けるキャラにしたんですよ。
 それは従来の長文企画の司会者が、皆管理人のことがとにかく嫌いで罵りまくるキャラだったんで、なので「逆に管理人を崇め続ける司会者って面白くない?」って思い立って作ったキャラなんですよ。
 だから「母親を崇める」というのはなんか微妙なんですよ。親という存在は実際に崇めている人もいると思いますし、意外っていうくらいギャップを感じなくて面白味がないんですよ。
 同じようにネタとして崇めるのに向かない存在として「教師」とか「家族」などがいます。
 ネタ中で誰かを崇めるのは良いのですが、その人物が崇めたことで面白くなるのかということも考察してから作成してみてください。
  
・親父に対する敵意がブレなかったぶん、アメリカ政策の計画性の無さが浮き彫りになってしまって、
 「話の脱線よりも主軸の方がブレまくってた」印象を与えてしまったのが楽しむ上ですごく邪魔でした。
 また母親に感謝の意を伝えると言う熱量があるのは分かるけれど、そのバックグラウンドに説明がないと入り込めはしない。
 絶対的にも相対的にもそれが目立ってしまっていて、
 どうにも話の本筋を悪い意味でふわふわと足元の落ちつかないモノにしてしまっている。
 ストーリーの本編に戻る時の方が情報処理めんどくさくなってげんなりするっていうのは全体の印象に対しとてもマイナス。
 母親のキャラも安定して見えてなくて、呼び方マムに統一するなってツッコミありましたケド、
 コチラとしてはむしろなんで統一してくれてなかったかなと言う気分です。
 「全体的に何をしたいのか」がほとんど不明瞭で、一つ一つのくだりが上手く生きてこない感が非常にもったいなかったです。
 あとウェルダースオリジナルの部分はなんでヨーロッパのお菓子使ったんだろう?
 あの流れならフツーにアメリカンなお菓子採用で良かったんじゃないですかね……。
  
・規模がデカすぎるボケをやるだけの、構成力とツッコミがまだまだ足りていない。
 国家を我が家に置き換えるレベルの吹っ飛びボケはやりつくされているし、
 王道のボケツッコミ漫才でやるには食傷気味。
 要所要所に入る父親ボケは良かったと思うんですけど、
 「コンチクショー」とか入れずに終始冷めきった感じでやった方が良いんじゃないでしょうか。
  
・基礎部分がしっかりしてるので、このような特殊な設定でもブレることなくネタが一貫していて良かったです。
 ツッコミのセリフがやや乱暴気味なのは好みが分かれる部分ではあると思うのですが「ブースターエンジン」など勢いを感じるツッコミが好きなので僕的にはアリです。
 押しつけられて押し出されるとか上手いですよね。
 ボケ自体はお尻ペンペンを中心に高水準な物を的確に出せていたと思います。
 ですが、アメリカンジョークなど所々で引っ張るべきボケのチョイスを誤っていた部分があるように感じました。
 そして、フィリピアーナにカリをの下ネタ部分は完全に蛇足だったと思います。
 
  
・大当たりが無かったのが惜しいですが、1つ1つのフレーズのレベルはそれなりに高かったと思います。
 ただ、どの行もどの行もそれなりに悪くなくて、という状況がずっと続いていたので、
 もっとネタの緩急をつけることを意識しても良かったんじゃないかと思います。



No.024 血華美人は愛の華
恋なんて言わばエゴとエゴのシーソーゲーム
みるく:はいどーもー! キヨミ、みるく、翔太郎! 3人揃って血華美人は愛の華でーす!

キヨミ:よろしくお願いします。3人の力を合わせて頑張ります。

翔太郎:今日は3人ともお地蔵さんをバットでぶっ壊してから来ました。

キヨミ:事実無根です。そんな罰当たりな3人組ではございません。

みるく:えーと、見てもらったらわかる通り、私達は逆いきものがかり状態のトリオなんです!

キヨミ:わかりにくいよ。普通に男1:女2のトリオって言おうよ。

翔太郎:わかりやすく言うと、逆仲間由紀恵withダウンローズ状態のトリオです。

キヨミ:なおのことわかりにくいよ。正規の仲間由紀恵withダウンローズすら久っ々に聞いたよ。

みるく:そんなことよりそんなことより!今日は2人に聞いてほしいことがあるんだっちゃ!

翔太郎:お、なんだ?両親が性転換したか?

キヨミ:どんな話題想定してんの。シュール通り越して摩訶不思議だよ。

みるく:んー、当たらずとも遠からず!あのね、私の理想のデートの話なんだけど!

キヨミ:遠いよ。当たってないし遠すぎるよ、超ノーコンだよ。

みるく:やっぱり女の子ってさ、みんな素敵なデートと数え役満に憧れるじゃん?

キヨミ:前者だけだね。後者に憧れるのは雀荘に通ってる女の子だけだね。

翔太郎:マジで?俺は女子の憧れっつったらゴリラ退治だって聞いたけど。

キヨミ:どこのほら吹きに聞いちゃったのよ。リサーチ対象を誤り倒してるよ。

みるく:私もね、素敵な彼氏と素敵なデートをしてみたいの!
    デートして、プロポーズされて、なんやかんやあって、機械の体を手に入れたいの!

キヨミ:なんやかんやが気になるよ。確実に銀河鉄道に乗り込んじゃってるよ。

みるく:そんな理想のデートプランを考えてきたからさ!聞いてもらってもいい!?
    いいよね!?断られたら東尋坊から身を投げるけどいいよね!?(きらきら)

キヨミ:脅しじゃん。何その瞳輝かせながらの死にます宣言。
    いいよ、そのデートプランとやらを聞かせてよ。翔太郎もいいよね?

翔太郎:いいわけあるか貴様らの一族全員時空の狭間にぶち込んでやろうかこの鼻糞アナコンダ共。

キヨミ:   翔   太   郎   !   !   ?

みるく:ひゃー、断られちゃったかー。しょうがない、東尋坊行ってきまーす。永遠にさよならー。

キヨミ:早まらないで早まらないで!?こんなポップな自殺があるか!!
    どうしたの翔太郎、聞いたことない罵倒のオンパレードだったんだけど!?

翔太郎:デートの話とか聞いてらんねえよ貴様らの友人全員巨大カナブンの餌にしてやろうかこの耳糞ボロネーゼ共が。

キヨミ: ど う し ち ゃ っ た の ! ?
    さっきまで飄々とボケてた翔太郎はどこに行っちゃったの!?

翔太郎:俺はなぁ、つい最近付き合ってた彼女にフられてんだよ!
    「デート中ずっとナイフを舐め回してるのが生理的に受け付けない」って言われてな!

キヨミ:知らないよ!てかどんなクレイジーな状態でデートに望んでんのよ!

翔太郎:ずっとナイフ持ってたらいつゴリラが襲ってきても退治出来るだろ!

キヨミ:女子はゴリラ退治出来る男求めてないんだよ!女子の憧れ学び直してこい!

みるく:まぁでも、ゴリラを倒せない男より倒せる男の方がいいけどね。

キヨミ:みるくは黙ってようか!倒す倒さない以前にゴリラと戦うケースが有り得ないから!

翔太郎:だから俺は他人の理想のデートの話なんか聞きとうないの!
    どうせ聞くなら死んだ後の魂の行方の話とか聞きたいの!

キヨミ:それ寝る前に考えちゃって寝れなくなるやつじゃん!気が滅入るわ!
    どうする?みるく……翔太郎ったらデートの話題を親の仇ばりに恨んでるよ……?

みるく:私は別にいいけど、デートの話出来ないならネタ終わったあとすぐ死ぬよ。

キヨミ:うわーん、コイツら自分本位の権化だよー!舞台上にエゴが渦巻いてるよー!
    どうしてこんなことになっちゃったの、私は桃太郎とかあえてベタな漫才をやることで地肩を見せつけたかったのに……。

翔太郎:よし、じゃあ間をとってこうしよう。

キヨミ:折衷案があるの!?この2つのエゴに中間点があるの!?

翔太郎:みるくは理想のデートの話をすればいい。喉が張り裂けんばかりに話せばいい。
    ただし、俺はあらゆる人脈を駆使してお前のデートを邪魔します。

キヨミ:どういうこと!?よくわかんないよ、わかるのは翔太郎の器の小ささだけだよ!

翔太郎:そしてキヨミは桃太郎の話をすればいい。

キヨミ:しないよ!3人が噛み合ってなさすぎだよ、トリオの利点を生かしてなさすぎだよ!!

みるく:えーと、よくわかんないけど、私は理想のデートの話してもいいのね?死ななくていいのね?

翔太郎:ああ、思う存分話すといい。話せるもんならなぁフェッヘッヘッヘ……。

キヨミ:すげぇ、話がまとまったっぽいのに不安が全然解消されてない。

みるく:じゃあ話すねー!私の理想のデートはぁ、まず駅前で待ち合わせするとこからはーじまーるのー!

キヨミ:急にキャピキャピしだした!さっきまで東尋坊にダイビングしたがってたとは思えぬ生き生きっぷり!

みるく:みゅー、彼氏遅いなー。早くしないとスリーナインが行っちゃうよー。

キヨミ:漫才コントに入った!そんでもって機械の体になるつもりだ!なんやかんやだ!

みるく:あ、彼氏来た!おーい彼氏ー、メーテル、間違ったみーるくはここだよー!

翔太郎:と、その時!突如として現れた巨大コンドルがみるくの彼氏を連れ去った!

キヨミ:邪魔が来た!!だいぶファンタジーな邪魔が来た!!

翔太郎:フェッヘッヘ、お前の彼氏はこの巨大コンドル様が頂いたコンドル!

キヨミ:巨大コンドルが喋った!!アンタそいつを人脈だけで用意出来んの!?

翔太郎:フェッヘッヘ、このまま彼氏を時空の狭間にぶち込んでやるコンドル!ばっさばっさばっさ!!

みるく:みるくビーム!

翔太郎:ギャぁぁぁぁぁっ!!!ちゅどーん!!

キヨミ:何がどうなってるの!?何か色々あってコンドル爆発したんだけど!!

みるく:説明しよう!みるくビームとは、みるくが彼氏を守るために習得した熱光線である!

キヨミ:どんな設定よ!!機械の体になる以前に人間を超越しちゃってるじゃん!

翔太郎:うぎぎ……今回は失敗したでヤンスが、次こそ絶対邪魔してみせるでヤンスよ!すたこらさっさ!

キヨミ:なんかいた!なんか下っ端みたいな奴が去っていった!

みるく:そんでね、無事彼氏と合流したらね、ステキングなレストランに向かうの!

キヨミ:彼氏さっきコンドルと一緒に焼き払われてたけど大丈夫?

みるく:へー、ここがステキングなレストランかー!早速入ってみよう!カランコロンカラーン。

翔太郎:と、その時!なんとレストラン内部は凶悪なゴリラ10頭に制圧されていた!

キヨミ:邪魔がいちいち現実的じゃないんだけど!!動物をけしかけてばっかなんだけど!

翔太郎:ウホウホ、俺様は凶悪だから警察とかには倒せないウホ、俺様を倒せるのはずっとナイフを舐めてる男だけだウホ!

キヨミ:ゴリラが喋った!しかもコイツ邪魔のついでに自分の過去の失態を正当化するつもりだ!

翔太郎:ウホウホ、さぁどうするウホ!?何も出来ないなら貴様らを巨大カナブンの餌にしてやるウホ!バナナバナナバナナ!

みるく:みるくビーム!

翔太郎:ギャぁぁぁぁぁっ!!!ちゅどーん!!

キヨミ:みるくビーム強ぇなオイ!ゴリラ団なんて歯牙にもかけないね!

みるく:説明しよう!みるくビームはみるくの全身の汗腺という汗腺から照射されるのだ!

キヨミ:気持ち悪い!!私が彼氏だとしたらそんな彼女からは5秒でとんずらぶっこくよ!!

翔太郎:トホホ、また失敗でヤンス!でも次が本番でヤンスよ!
    全国の女子中高生のみんな、期待して待ってるでヤンス!すたこらさっさ!

キヨミ:そいつ誰なの!?さっきから作戦失敗後に顔を出すそいつは何者なの!?

みるく:そして食事を終えたら、夜景の見えるムーディな公園でキスをするの!キャーッ!

キヨミ:さっきからアンタの理想のデート像が全く見えてこないんだけどそれでいいの!?

みるく:今日は楽しかったね彼氏……ビーム熱くなかった……?ならいいけど……。
    え、目ぇつむるの……?……えっと、恥ずかしいけど……。
    ……彼氏なら、いいよ……うん、優しくしてね……?んー……。

翔太郎:と、その時!巨大バイクにまたがり鎧を纏った翔太郎が釘バットを振り回しながら突っ込んできた!

キヨミ:自ら来た!!今回の私は何だか翔太郎を応援したい気分だぞ!?

翔太郎:ヒャッハー!!この鎧はみるくビームを完全に防ぐ素材で出来ているのだー!!

キヨミ:みるくビーム対策も万全だ!コイツバカだけど学習能力はある!

翔太郎:ヒャッハー!!貴様らのキスシーンなんざこの俺様がNGシーンにしてやるぜー!!
    そしてこの武勇伝を持って帰り、彼女に復縁を迫るのだヒャーッハッハッハッハ―――――っ!!!

みるく:彼氏ビーム!!

翔太郎:ギャぁぁぁぁぁっ!!!ちゅどーん!!

キヨミ:彼氏もビーム放てたんかーい!!アンタらカップル揃って人間辞めてるやないかーい!!
    翔太郎本人が一番あっさりやられとるやないかーい!!リアクションに何の変化もないやないかーい!!
    そしてここにきて私のツッコミスタイルも急に変わっとるやないかーい!!

みるく:説明しよう!彼氏ビームを受けると、全ての嫉妬心から解放されるのだ!

翔太郎:俺が間違っていたよ……!!(きらきら)

キヨミ:改心してる!さっきまでヒャッハーだのフェッヘッヘだのゴリラ団だのほざいてたのに!

翔太郎:フられたからって他人の理想まで否定するなんて愚か者の所業だよな……。
    これからは自分を見つめ直し、新たな恋を探すよ……!!豊富すぎる人脈を生かすよ……!!(きらきら)

みるく:私もすぐ死にたがる癖を治すね……!!(きらきら)

キヨミ:あっれー……なんか置いてけぼりのままハッピーエンドを迎えつつあるんだけど……。
    まぁ、仲良くなったならいいか……よ、よーし、今から桃太郎読みまーす……。

翔太郎:そんなわけで、今から俺の理想の復縁を話すけどいいよな!
    いいよな!断られたら富士山火口にモトクロスバイクで突っ込むけどいいよな!

みるく:えー!?昔復縁関係で8針縫ったことのある私の前で理想の復縁の話なんて許さないよ!!
    そんなわけで私は翔太郎の話の邪魔をするから、キヨミちゃんは浦島太郎を話してて!

キヨミ:ついていけるかーい!!いいかげんにして!!

3 人:どーもありがとうございましたー!


No.025 世田谷ポンポロリン
北風小僧
安藤:はいどうも世田谷ポンポロリンですよろしくお願いします


ハム:のっぴきならねえな!!!のっぴきならねえ!!


安藤:いや突然どうしたどうした

ハム:なあ安藤!!俺は日本を今憂いてるんだ!!太郎をないがしろにしているこの日本に!!

安藤:あっこれフルスロットルで面倒くさいやつだわ

     いや何がどうないがしろなんだよ教えてくれよ

ハム:まずはこれを見てくれ!去年の男の子の名前ランキングだ!!

   1位 蓮 
   2位 颯太 
   3位 大翔 
   4位 大和 
   5位 ボンバイエ



安藤:5位なんだこれ

ハム:そう、もう昨今の日本人には「太郎」がついてないんだよ!おかしい!

安藤:いやせめてジャイアントで来いよフューチャリングの方向性間違えてんだよ

ハム:俺は日本人に思い出して欲しいんだ、小さい頃お母さんに聞かせてもらった童話の題名たちを

安藤:ああ確かに主人公の名前は太郎であるものが多いね

ハム:そうそう、ほんまにね、太郎さんばっかりなんですよ。桃太郎、力太郎、浦島太郎、ちんぽマラ太郎

安藤:オチがこってりし過ぎだろうが

ハム:あとちんぽマラ太郎

安藤:一番してはいけない上塗りしたぞお前

ハム:なあ安藤!!!太郎の力を!!!!復権しよう!!そう、新しい太郎話を作るんだよ安藤!!!
    全国のお母様がたが太郎と名づけたくなるような、そんな新しい太郎話を作るんだよ安藤!!!


安藤:お前の暑苦しさプロミネンスのそれだな
    えなに、とにかく新しいおとぎ話を作るってこと?知らねえよもう勝手にやっててくれよ

ハム:いやです!!安藤もやるです!!もうすでに原案は考えてきてあるです!!!
      題名:「疲れ太郎」


安藤:もう字面がネガティブだよ

ハム:むかしむかし、あるところに疲れ太郎がいました。今日も疲れ太郎は日課の腕立て伏せをする前から疲れていました

       「疲れたなあ、右手小指第二関節が、疲れたなあ」


安藤:こいつ疲れサンサーの精度どうなってんだよ

ハム:疲れ太郎がクタクタになりながら教会で寝そべっていると、後ろから誰かがやってきました。

安藤:えっ教会とかねじ込んでくんの、いや近代的に行くならそれでいいけど

ハム:ネロとパトラッシュです。

安藤:あっこいつ世界的名作に乗っかかる気だ

ハム:ネロは言いました、「パトラッシュ、疲れ太郎、僕ももう疲れたよ」

安藤:感動のシーンに一人ねじ込んでくんなよ!

ハム:疲れ太郎は答えました。「いや俺まだまだいけるし。なんならあと100回いけるし」

安藤:おこがましいわ!お前の腕立て伏せとネロの努力を天秤にかける事すらおこがましいわ

ハム:「ただちょっと今日は体がだるいだけだし、前日の晩飲み過ぎただけだし」

安藤:こいつ疲れ太郎の上にプー太郎じゃないのか!?大丈夫かこいつ!?

ハム:そうこうしていると、上から天使の羽が落ちてきました。

安藤:えっ羽?羽だけ?どういうこと?

ハム:佐藤ひろみちお兄さんも落ちてきました。

安藤:ラランランランドセルじゃねえか!!!ててんてん天使の羽じゃねえか!!!

ハム:ひろみちお兄さんのちんぽマラ太郎はボンバイエしていました。

安藤:汚ねえよ!!天丼が汚ねえよ!!!残飯レベルだよ!!

ハム:ひろみちお兄さんは言いました、

        「せっ、せすっ、せっ・・・背筋ピーーーーーーーーンンン!!!!!」

安藤:召されただろ!!!今お兄さん天に召されただろ!!!

ハム:完

安藤:ひろみちお兄さんこき下ろすだけこき下ろしてして終わったじゃねえか!

ハム:いや、心に染み渡りますね。

安藤:何一つ染みてねえよ。ゴビ砂漠だよ

ハム:なんだよこれもだめなんかよ!!じゃあわかった、今度は歴史も学べる教養的おとぎ話にしよう!

安藤:そういうのでいいんだよそういうので

ハム:じゃあ聞いてください、「どうだい明るくなっ太郎」

安藤:金燃やす気満々じゃねえか!

予選総合第35位(2回戦敗退) 世田谷ポンポロリン
審査員
点数
45 22 48 54 65 平均46.80
【審査員コメント】
・ボンバイエでいきなりスベりましたが、それ以降は面白かったです。
 「安藤:召されただろ!!!今お兄さん天に召されただろ!!!」このツッコミ今大会で一番笑ったかもしれません。「どうだい明るくなっ太郎」のオチも大好きです。
 後はもう一展開加えれば、より強い印象を残す作品になると思います。短くても完成されてるネタもありますが、このネタの場合はもっと長く続けた方が面白いです。
  
・語感がイイものを持ってこれている感がすごくあるのはプラスです。
 ですがボケの唐突さと、ツッコミの説明がしっくり来なくてそれをフォローしきれてないのが致命傷。
 奔放にやった割にボリュームも足りなくて結果的にただ「散らかった」印象しか残らなかったです。
 この短さで伏線回収をした所で「上手くまとめた感」には、あまり繋がりませんしね。
  
・もうなんだお前
  
・第一に抱いた感想としては「短っ!」っていう感じでした。
 面白いボケを面白く表現して面白く処理する圧倒的技術力があるのに非常にもったいなかったです。
 「パトラッシュ、疲れ太郎、僕ももう疲れたよ」とかめちゃくちゃ面白いです。
 それだけにこの題材でもっともっと膨らませて欲しかったです。
  
・短いんですが、その分しっかりと面白いボケが入っていて良かったです。
 個人的には、ネロとパトラッシュが出てきてからはラストまで、無駄のない展開だったなぁと感じました。
 一通り面白かったので、あとはやはり、もう少し長く見ていたかった、というのが率直な感想です。



No.026 あかつき
リードル・アイ
 水戸:アイドルになりたい。

 前橋:……急にどうしたの?

 水戸:アイドルになりたい。

宇都宮:なりたいのね?アイドルになりたいのねミトゴリくん。

 水戸:うん!

 前橋:なんか知ってるガソリンスタンドでこんな会話聞いた事ある。

宇都宮:そう…………でも昨日まであんなに
    「あたい、お師匠の演歌で天下とったるねん!」
    って声高に宣言してたのに、どうしてアイドルに?

 前橋:音楽性の違いパネェな。

 水戸:昨日ね、NHKのクローズアップ現代見てたの。

宇都宮:うんうん。

 水戸:そしたらね、コンコルドに乗った長山洋子が巨大化したトリンドル玲奈に突っ込んで英霊になったからアイドルっていいなぁって。

宇都宮:それは仕方ない。

 前橋:仕方なくなくね!? え?どこに納得する要素あったの!?

宇都宮:長山洋子は元々アイドル歌手だものねー。わかるわー。

 前橋:絶対着眼点そこじゃないよ!
    長山洋子は戦闘機乗らない!トリンドル玲奈はでっかくならない!
    そしてこんな番組をクローズアップ現代は放送しないッ!!

 水戸:だからね、アイドルになりたいんだけど、どうすればいいのかなぁ……?

宇都宮:だったら私に任せなさい。デビュー当時からFolder5に目をつけてた実績あるから。

 前橋:だいぶ不安な慧眼だよ。ワンピースのOPで一発当てただけで、3年で解散したグループじゃん。

 水戸:うわぁい!あたい、宇都宮プロデューサーの曲で天下とったるねん!

宇都宮:ふふふ、ありとあらゆるすんごいテを使ってトップアイドルにしてあげるわ…。

 前橋:どうしようこの暴走特急、どうレールを敷き直しても無視して突っ走るーわ。

 水戸:ねーねー、アイドルになるには何から始めたらいいの?

宇都宮:そうね。アイドルになるには、まず大塚美容外科で診てもらえばいいんじゃないかしら。

 前橋:ハナから裏口入学狙いかよ!最初くらい持ち前の素質で頑張ろうよ!

 水戸:声帯をジェロモデルにしてもらったよ。

 前橋:展開早ッ!

宇都宮:素晴らしい……キュートなルックスに日本人離れした歌声、今までいなかったアイドルの誕生よ。

 前橋:そら今までに声帯なんか整形した人いないし、モデルがアメリカ人だからね! …いやいやジェロモデルてオイ。

宇都宮:下準備が出来たら、次は事務所選びね。

 前橋:下準備て。…まあ事務所は大事だよね。そこで方向性とか売り込み方が大きく変わるし。

 水戸:事務所かぁ…………あたし北島音楽事務所しか知らないの…。

 前橋:さっきから演歌への未練たらたらじゃない!まだ戻れるよ!

宇都宮:大丈夫、事務所なんて知らなくたってなんとかなるから。

 水戸:そうなの?

宇都宮:原宿の竹下通りでも闊歩してればひょいひょい事務所からスカウトされるシステムだから安心しなさい。

 前橋:竹下通りにそんなシステム無いから!たしかにそういうデビューよく聞くけど!

宇都宮:あとお兄さんがいたらAKBとかハロプロに勝手に応募されてデビューできるシステムもあるからね。

 前橋:それたぶん男子専用ルートだよ!姉持ちのジャニーズとかジュノンボーイ出身がよく言うやつ!

 水戸:湯浅卓弁護士の事務所にスカウトされたよ!

 前橋:だから展開が早いっつーの!朝ドラの総集編並みに駆け足じゃないの!そして相変わらずのチョイスよ。

宇都宮:これで知性派アイドル路線が敷かれたわね。

 前橋:んなマトモなレール敷けるかぁ!声帯の時点でキワモノ路線しか残ってないよ。

 水戸:事務所に入れたけど、あたし上手くやっていけるかな……歌もダンスも債務整理も得意じゃないし……。

 前橋:債務整理できるアイドルとか天賦の才を持て余してるわ。

宇都宮:歌もダンスも要らないわ。
    芸能界には事務所のゴリ押しっていう能無しでも一流に成れるシステムがあるから安心しなさい。

 前橋:言葉の陰に敵意が見えるんだけど!主にオスカー方面に!オスカー方面に!

 水戸:ゴリ押しかぁ……うちの事務所にそんな力あるかなぁ…………。

宇都宮:なーに言ってんの。だって、法律事務所よ?

 水戸:そっか!

 前橋:……こわいよ!弁護士が本気出したらたぶん芸能界牛耳れるよ!

 水戸:でも、実力が伴わないのに売れたらアンチからの非難が恐いよ……。あたし親にも炎上させられた事ないのに…。

 前橋:うん、みんな無いから。

宇都宮:そこで弁護士のゴリ押しでしょ?

 水戸:そっか!

 前橋:弁護士の本気再び!軽はずみに悪口の一つも言えないよぉ…。

 水戸:商法抵触スレスレのCDセールス、法律を盾にアンチを徹底排除、
    スネに傷のあるライバル達を脅迫した結果、トップアイドルになれたよ!

 前橋:手口が真っ黒ってレベルじゃねえぞ!!

宇都宮:まさかこんな順風満帆なアイドル路線を歩むとは…………さすが私が手塩にかけた子だけあるわ。

 前橋:9割方弁護士のおかげだよ!宇都宮は何もしてねーわ。

 水戸:トップアイドルになったら、いっぱいお金がもらえるんだよね?

宇都宮:そうよ、ちゃんと事務所が脱税寸前まで節税してくれるわ。

 前橋:うわー最近の弁護士は税理士も兼ねてるのかすごいなー。

 水戸:でもなぁ…………そんな大金持ったら調子に乗って株や先物取引に手出して大損しないかなぁ…。

 前橋:獲らぬ狸の皮算用もほどほどにしなよ…。

宇都宮:大損?その時の債務整理でしょ?

 水戸:そっか!

 前橋:日本テレビさん、これを最強弁護士軍団って言うんですよ!!

 水戸:これで借金を恐れないでお買い物できるね!

宇都宮:そうよ、ファンが生活を犠牲にして貢いでくれたお金で遠慮なく浪費しなさい。

 前橋:そろそろ宇都宮は黙ろうか。さっきから火の粉飛び散らしまくりなんだわ。

 水戸:何買おうか悩んだけど、試しに金髪のお兄さんから違法じゃないお香を買ってみたよ!

 前橋:脱法ハーブゥーーー!!ダメー!似たようなヤツで潰れた芸能人いっぱいいるからぁー!!

宇都宮:あらあら、ダメじゃない。ちゃんと事務所通してから買わないと。

 前橋:事務所通したら買ってい…………まさか!!

 水戸:法律を改正して、正真正銘の合法なお香にしてもらったよ♪

 前橋:天下無敵かよ!!誰か湯浅弁護士の暴走を止めて!
    ん……てかさ、弁護士じゃ法律は変えられないんじゃないの?

宇都宮:言われてみればそうね……今の事務所じゃ活動にも限界が見えてきたところだし…。

 水戸:法廷でゲリラライブも飽きたからねー。

 前橋:おめーら無法者かよ。

宇都宮:よし、このあたりで政治家の事務所に移籍しましょう。

 前橋:「ア イ ド ル」はどこいったああぁぁーーー!!

 水戸:政治家かぁ…………あたしザ・グレート・サスケ先生しか知らないの…。

 前橋:ねえ、水戸の中のタレント名鑑どうなってんの?黒人演歌歌手に国内無資格弁護士に覆面岩手県議員て。

宇都宮:残念、その人もう議員辞めてメキシコ人と結婚してつけ麺屋を開店して閉店したから。

 前橋:サスケの補足情報要らないよ!!つけ麺屋に関してはムダもいいとこだよ!

 水戸:そっかぁ……じゃあもう法律は変えられないんだね……。

 前橋:そもそもアイドルは法律を変えられないし、変える必要も無いから。

宇都宮:政治家になれないならローマ法王になればいいじゃない。

 水戸:そっか!法の王なら法律をいっぱい変えられるね!

 前橋:色々と違ぁーう!!ローマ法王はその流れで出る職業違ぁーう!

宇都宮:偉大なる先人はこう言ったわ。「すべての道はローマに通ず」

 前橋:そういう意味じゃないからァー!ローマは世界の受け皿じゃないからァー!

 水戸:あたい、法王系アイドルになってファンと「サブちゃんの科学」って新興宗教を開祖したるねん!

宇都宮:その意気よ水戸。これからの時代、高齢者層から人気を博せば食いっぱぐれることはないわ。

 前橋:うーん、元の鞘に収まったような、余計ヘンな路線に走ったような……たぶん後者。

宇都宮:そうと決まれば善は急げ、早速アイドルへ偉大な一歩を踏み出すのよ!

 水戸:うん!

 前橋:結局この2人にとってのアイドルとはなんだったのかなぁ…最後までわかんなかったわ。

 水戸:とりあえず司法試験受けてくる。

 前橋:アイドルとはぁーーーーー!!


No.027 バーローパラダイス
ウルトラマンと怪獣
工藤:気になってることがあるんだ

服部:いきなりどうした

工藤:ウルトラマンってどうして3分間しか戦えないんだろうな

服部:そりゃあお前……スタミナ切れ

工藤:スタミナ皆無か! そんな体力の無いヒーローには憧れないなぁ

服部:3分間に全てを賭けてるんだって

工藤:ボクサーはその3分間を13ラウンドも戦うんだぜ

服部:う〜ん……じゃあウルトラマンはボクサー以下かもなぁ

工藤:男と男の真剣勝負に体格差なんて関係ないのさ

服部:さすがにウルトラマンとボクサーの体格差は考慮した方がいいんじゃないかな

   しかし、こうは考えられないだろうか?  

工藤:なんだ

服部:そりゃあお前……医者に3分以上の激しい運動を止められている

工藤:病気持ちか! 体の弱いヒーローには憧れないなぁ

服部:しかもイボ痔

工藤:ヒーローに似つかわしくない部位だなぁ

服部:もし3分以上戦ったらどうなるんだろうな?

工藤:お医者さんにすごく怒られる

服部:その画だけは見たくないな。じゃあウルトラマンは医者以下かもなぁ

工藤:男と男の真剣勝負は健康じゃないといけないのさ

服部:そうだね。ウルトラマンは大至急痔の手術をして欲しいね

   しかし、こうは考えられないだろうか?  

工藤:なんだ

服部:そりゃあお前……お母さんに会いたくなった

工藤:マザコンか! 甘えん坊のヒーローには憧れないなぁ

服部:しかもまだ仕送りをしてもらっている

工藤:ヒーローも薄給で大変だなぁ

服部:もし3分以上戦ったらどうなるんだろうな?

工藤:お母さんから心配で速達で手紙が来る

服部:お母さんもそろそろ甘やかさないで欲しいね。じゃあウルトラマンはお母さん以下かもなぁ

工藤:男と男の真剣勝負にも安らげる場所ってのは大事なものなのさ

服部:そうだね。オレもお盆には実家に帰るかなぁ

   しかし、こうは考えられないだろうか?  

工藤:なんだ

服部:そりゃあお前……見たいテレビがあったのを忘れていた

工藤:録画しとけよ! それはさすがに解決方法があるだろ

服部:違う違う。最近買ったばかりのブルーレイだから予約録画の方法がわからないんだって

工藤:それなら納得。でも機械に弱いヒーローには憧れないなぁ

服部:放送始まったのを確認してから録画ボタンを押さないと録画した気にならないタイプ

工藤:昭和だなぁ。いったい何の番組を楽しみにしてるんだろうね

服部:ためしてガッテン〜痔を治すために〜

工藤:やっぱり痔の事が気になるんだね

服部:ゲスト早見優 

工藤:絶対に見逃せないね。早見優が痔について語るなんてムラムラするね

服部:もし3分以上戦ったらどうなるんだろうな?

工藤:お母さんに録画撮ってもらったか電話する

服部:最初からそうすればよかったんじゃないかね

工藤:ダメだ。お母さんは機械に弱いので録画に失敗している

服部:なんてこった。お母さん特有のミスだな

工藤:烈火のごとく怒り出すウルトラマン

服部:思春期の中学生みたい

工藤:思春期の中学生ってお母さんに対してだけは強いからね

服部:でも本当はお母さんのこと好きなんだよね。オレ達はそのことを知っているよ 

工藤:というわけでどうしてウルトラマンが3分以上戦えないかを検討してきたが

服部:スタミナ・痔・お母さん・録画。どれもこれも重大な問題だな

工藤:実はもう一つ気になっていることがある

服部:なんだなんだ

工藤:どうして怪獣はウルトラマンのタイムリミットである3分間以内で戦おうとするのか

服部:なるほどなるほど。要は3分間逃げ回れば勝てるのになぜ真っ向勝負するのかって疑問だな

工藤:幼少時より気になっていた

服部:そりゃあお前……スポーツマン精神

工藤:正々堂々か! 爽やかなスポーツマンの怪獣には憧れるなぁ

服部:地球征服は紳士のスポーツだからね。時間もきっちりと守るよ 

工藤:地球征服=ゴルフと考えればいいのか

服部:ウルトラマンがビームとか出すのに対して怪獣はパンチとキックのみ

工藤:あくまでも素手で勝負か。実に正々堂々だね

服部:もし3分以上戦ったらどうなるんだろうな?

工藤:怪獣協会からイエローカードが出される

服部:警告か。2枚蓄積で次の戦いは出場停止だね

工藤:後はウルトラマンにお詫びの茶菓子を持っていく

服部:後腐れの無い関係性が続きそうだね。なんだか怪獣のことが好きになってきたなぁ

工藤:悪役なんて言われているけど本当の悪なんてのは自分自身に潜んでいるものなのさ

服部:ちょっと何言ってるのかよくわかんない  

   しかし、こうは考えられないだろうか?  

工藤:なんだ

服部:下痢気味

工藤:病弱か! 怪獣にも短期で決着をつけなきゃいけない理由があったんだな

服部:怪獣協会の上司から毎日毎日ウルトラマンを倒せってプレッシャーかけられているからね

工藤:精神的なものかぁ。とても大変だな。働くって大変なことなんだね

服部:もし3分以上戦ったらどうなるんだろうな?

工藤:こんなとこじゃ言えない位の大惨事

服部:想像するのも辛いよ

工藤:あと、協会関係者に一斉にツイッターで拡散される

服部:可哀想で仕方ない。同情したくなる。なんだか怪獣のことが好きになってきたなぁ 

工藤:オレも去年の冬にお腹が痛くなったんだけどトイレが見つからなくてな……

服部:これ以上何も言わなくてもいい。お前も辛かったんだな。とりあえずオレから3歩離れてくれ

   しかし、こうは考えられないだろうか?  

工藤:なんだ 

服部:お母さんから後回ししないでさっさとやっちゃいな! って怒られる

工藤:宿題か! というかまたお母さん出てきたな!

服部:お母さんは怪獣の性格をちゃんとわかっているからね。だって実の母なんだもん。お腹を痛めた子なんだもん

工藤:やだ、そういう話は泣いちゃうからやめて。オレ、感動話に弱いんだよ。なんだか怪獣のことが好きになってきたなぁ

服部:もし3分以上戦ったらどうなるんだろうな?

工藤:お小遣い没収

服部:これは辛いな。うんこ漏らすよりも辛い 

工藤:烈火のごとく怒り出す怪獣

服部:思春期の中学生みたい

工藤:思春期の中学生ってお母さんに対してだけは強いからね

服部:でも本当はお母さんのこと好きなんだよね。オレ達はそのことを知っているよ 

工藤:というわけでどうして怪獣が3分間以内で戦おうとするのか検討してきたが

服部:スポーツマンシップ・下痢・お母さん。どれもこれも重大な問題だな

工藤:でも一つだけ分かったことがあるよな

服部:あぁ。母の愛はウルトラマンよりも怪獣よりも強い、だろ?

工藤:その通り。皆も親孝行しろよな!

予選総合第47位(2回戦敗退) バーローパラダイス
審査員
点数
 8 28 18 38 68 平均32.00
【審査員コメント】
・なんかゴチャゴチャしてて読みにくかったです。
 ボケる人は一人にしてほしいです。Wボケをするなら二人ともボケ続けてほしいです。工藤さんが普通にツッコミを入れる所が凄く浮いていて、中途半端な気持ちになりました。
 相手のボケに乗っかるんでしたら常に乗っかり続けてください。そうでないと俺の塩さんみたいに相方のボケに賛同するのが当たり前みたいな世界観がいつまでも作成されません。
 ウルトラマンのボケもどこかで見たことがあるような物ばかりで面白くなかったので、もっとそれ単体で印象に残るくらいぶっ飛んだボケが欲しかったです。
 まず一回普通の漫才の形でネタを思い浮かべてください。そこからこのままの方が面白いのか、それとも何か手を加えたほうが面白いのかということを考えてください。
  
・一度わざわざ引きを作っておいてからフツーの発想を持ってきても、
 予測される隙を見せるコトになるのでどちらかと言うと逆効果なんじゃないかと。
 あからさまにインパクトのあるワードや展開を増やすか、
 ウルトラマンのバックグラウンドもうちょい掘り下げないとコレはなかなか入り込めないです。
 テンション上げずにゆっくりじわじわとした面白さを浸透させるには、
 まず一番最初にそーいったモノで「読み手を惹き込む」と言うハードルをこなさなきゃいけないワケで、
 その為の布石が無いままほとんどのくだりが素通りするように流れてしまった印象。
 別に持って来てる展開や言葉選び自体はそこまで悪くないですし情報も受け取りやすい形だと思うんですが、
 どうにもそれらが十分に力を発揮できるだけの意識に読み手を引きずり込めていないカンジです。
  
・ち ょ っ と く ら い 2 人 の キ ャ ラ を 生 か せ よ
  
・なんでしょう、このとにかく惜しい感じ。
 ずっと面白くなりそうな可能性を秘めたくだりが繰り出されているけど、それ以上先にちょっと届いてないというか。
 思春期の中学生のテンドンや、ゲスト早見優など単純に笑える部分もあったのですが、本編が凄く惜しい感じでした。
 淡々と同じリズムで繰り返されるネタであったので単発単発の威力不足かな、と思います。
  
・えっと…何か、何か面白かったです。
 ボケとしてみればベタなんてもんじゃないんですけど、
 2人のローテンション気味で淡々と続けられていく会話、ってだけで「何だこれww」ってなりました。
 ただ、やはりもっと明確にインパクトに強い何かがあるに越したことはないと思います。
 
 
 ただ一番の問題は、このネタの印象が「全然パラダイスじゃない」というところなのかもしれません。(適当)



No.028 エバーグリーン
頭屋
井島:どうもー!井島と杏奈とまさでエバーグリーンです!

まさ:突然なんですけど、僕ね、昔から服屋さんになりたかったんですよー。

井島:服屋?それだったら頭屋の方が良くない?

杏奈:そうね!私も頭屋の方がオシャレだと思う!

井島:そうだよね!頭屋の店員って絶対モテるんだろうなぁ!

杏奈:しかも格好いい人多いよね!頭屋の店員って!

まさ:盛り上がってるとこ悪いんだけどちょっと待って!・・・頭屋って何!?

井島:え!?頭屋知らないの!?いやいや冗談だろ?

まさ:本当だよ!本気だって!

井島:え・・・?まさかとは思うけどマジで知らないの・・・?

まさ:そうだよ!

井島:うわぁ・・・ないわー・・・

杏奈:え?今までどうやって生活してきたの・・・?

まさ:そこまで言われることかよ!だって街とか歩いてて頭屋なんて見たことねえよ!?

井島:マジで!?頭屋だよ!?人の頭を売ってる、あの頭屋だよ!?
   本当に見たことないの!?街中にあるよ!?

まさ:めっちゃグロいな頭屋!
   そんなのが街中にあるとかショッキングすぎるわ!

杏奈:でも安心して?
   頭って言っても頭蓋骨付近だけ売ってるわけじゃなくて首から上の部分を売ってるのよ?

まさ:・・・その話のどこで安心すりゃいいんだよ!
   人体の一部を売ってる時点で安心できないわ!
   大体さ、人の頭なんか買ってどうするの?

井島:・・・え?ゴメン、それ本気で聞いてる?

杏奈:何?おバカキャラになろうとしてんの?

まさ:ムカつくわお前ら!本気で聞いてるんだよこっちは!
   で、人の頭買ってどうするんだよ!

井島:いや、自分の首とくっつけるに決まってるでしょ!
   ってかお前だってやってるじゃん!

まさ:いや、人の頭と首は生まれたときからくっついてるもんだろ!

井島:お前・・・大丈夫か?

杏奈:ちょっと病院行った方がいいかもしれないわね。

まさ:お前らのほうこそ頭おかしいんじゃねえの!?
   ・・・今気づいたんだけどさ、お前ら、頭を買った後、それまでつけてた頭って・・・どうするの?

井島:取り外すけど、それがどうした?

まさ:「それがどうした?」じゃねえよぉ!
   え!?嘘だよな!?お前ら、俺をビビらせようとして変なこと言ってるだけだよな!?

井島:何言ってるの?別に変なことなんて言ってないじゃん。

杏奈:本当に大丈夫?

まさ:大丈夫じゃねえよ!この世界がホラーすぎることに気づいてしまったからねぇ!

井島:何が怖いんだよ。頭外すなんて普通のことだろ?

杏奈:生きてたら頭を外すことなんて何度もあることでしょうが。何そんなに驚いちゃってんの?

まさ:何度もあるわけねえだろ!第一頭を外したら死ぬからな!?

杏奈:何その考え方・・・もしかして、変な宗教とか入ってる!?

まさ:お前らこそ疑わしいよ!
   ってかさ、お前ら冗談で言ってるんだろ?なぁ?

井島:逆にお前こそ冗談だろ?本当は頭付けかえたことあるし頭屋も知ってるんだろ?

まさ:俺は本気だよ!ってかお前らに冗談呼ばわりされるのマジで腹立つわ!

杏奈:じゃあさ、学生のときどうしてたのよ!?
   学校行くとき学校指定頭を付けてなかったの!?

まさ:・・・え!?何だよ学校指定頭って!?

杏奈:制服の頭バージョンよ!生徒は学校では共通の頭をつけて暮らすのよ!
   もし違う頭付けてきたら風紀委員に怒られちゃうのよ!

まさ:そんなの知らねえし付けたこともねえよ!
   ・・・ってかさ、共通の頭ってことはさ、誰が誰だか区別付かなくね!?

井島:だから、友達の見た目を背の大きさとか手の大きさとか肌の色とかで覚えなきゃいけないんだよなぁ。
   アレは意外と大変なんだよなぁ・・・

杏奈:それはもう学校あるあるよね!

まさ:あるあるじゃねえよ!全然共感できねえよ!

杏奈:あと学校って言えばね、私憧れの先輩の卒業式の日に、先輩の学校指定頭の第二眼球貰っちゃったの。
   あれはいい思い出だったわ・・・

まさ:いや何で第二眼球貰うんだよ!第二ボタン貰う的な感覚かな!?
   ・・・そもそも第二眼球ってどこだよ!

杏奈:利き目じゃないほうの目のことを、最近の若者はそう呼ぶのよ。
   そして、卒業していく憧れの先輩からそれを貰うのが流行りなの。

まさ:そんな恐ろしい流行があったとは・・・いやいや!騙されちゃダメだ!こんな話が本当な訳がない!

井島:いやいい加減認めろよ!ってか何でこんなこともしらねえんだよ・・もしかしてテレビとかあまり見ない方?

まさ:結構見てるけど首が取れるシーンなんて金曜ロードショーのホラー映画ぐらいでしか見たことないよ!

井島:・・・ニュースとか見る?

まさ:そこそこ見るけど。

井島:じゃあさ、とある人気アイドルが酒に酔って公園で頭とって大暴れして公然わいせつで逮捕された事件覚えてない?
   あの「頭がなくて何が悪い!」って発言が有名になったヤツ。

まさ:それ頭取ったんじゃなくて裸になったアイドルじゃね!?「裸で何が悪い!」じゃね!?
   というより流石にいくら酒の力借りても頭外そうとはおもわねえだろ!
   ・・・ってか、頭取ると公然わいせつになるの!?

井島:え!?それも知らないの!?

杏奈:義務教育ちゃんと受けた!?

まさ:受けたわ!

杏奈:そういえば小さいころに映画とかのベッドシーンで、女優さんが頭を取り始めると
   親が「もう寝なさい!」とか言って焦ってたわよね!
   きっと子供にそういうエッチなの見せると悪影響を及ぼすとか思ったんでしょうね。

井島:あったあった!ってか、それもあるあるだよな!

まさ:ダメだ、全然ついていけない
   ・・・もしこいつらが本当にこんなことを言ってるとしたら、俺もうこの先、生きていけないわ・・・

井島:じゃあお前が立派なオシャレになれるように、俺らでここで頭屋がどんなものなのか再現しよう。

杏奈:それいいわね。そうしましょう。
   じゃあ私が店員やるから井島はお客さんやって。

井島:わかった。
   あ、こんなとこに頭屋さんがあるぞ。入ってみよう
   ウィーン

杏奈:いらっしゃいませ。今日はどのような頭をお探しですか?

井島:そうですねぇ・・・今日は夏物の頭なんか買っちゃおうかな。

杏奈:じゃあこちらの頭なんかどうでしょう・・・?

井島:お、良いですねぇ。

杏奈:今流行のアシンメトリーですよ。

井島:本当だ。いい具合に顔が歪んでますねえ。

まさ:アシンメトリーって顔が歪んでるってことかよ!確かに左右非対称だけども!

杏奈:しかも見てくださいこれ!頬に傷がついてるでしょう?

井島:あ!ダメージ加工されてるんですね!

まさ:何その嬉しくない加工!ただただ痛々しいよ!

井島:でもちょっとこの顔は濃すぎるかなぁ。これから夏なんでもうちょっとさっぱりした顔が良いかな。

杏奈:じゃあこちらなんかいかがですか?

井島:お、これいいですねぇ。

杏奈:こちらね、あの俳優の阿部寛さんもお買いになった商品なんですよ!

井島:え!?あぁ、確かに言われてみれば阿部寛っぽい・・・!

まさ:阿部寛の顔なんか売ってんの!?すげえな頭屋!
   ってか洋服とかじゃないんだから言われなくても一目見れば阿部寛だって気づくだろ普通!
   そんで何でさっぱりした顔が良いって言ってるのに阿部寛勧めるんだよ!何で濃い顔ゴリ押ししてくるんだよこの店員!

井島:これすごく良いんですけど、ちょっと体の肌の色とあってないなぁ・・・これの色違いってあります?
   あと、小顔に見られたいんでもうワンサイズ小さいのが良いんですけど。

まさ:そんでお前もその頭で良いのかよ!さっぱりした頭が良いんじゃねえのかよ!

城野:あぁ、ございますよ。こちらになりますね。

井島:じゃあこれ買います。いくらですか?

杏奈:180円です

まさ:頭って安いんだね!絶対もっと高いと思ってたわ!

井島:・・・どうだ、頭屋がどんなところか、何となく理解したか?

まさ:理解できるわけねえだろこんなカオス!

杏奈:え!?まだ理解できてないの!?アンタって本当、頭悪いわね。

井島:そんな悪い頭は取り替えてやる!えい!

(ポン!)

杏奈:あぁ!なんてこと!まさの頭が取れちゃった!隠さないと!

井島:皆さま!大変お見苦しいところをお見せしています!

まさ:うおおおおおお!!!頭が無くて、何が悪い!!!

3人:どうも、ありがとうございました。

予選総合第33位(2回戦敗退) エバーグリーン
審査員
点数
34 38 70 45 62 平均49.80
【審査員コメント】
・不気味な世界観が心にのしかかりました。
 ただ、結局服の要素を頭に変えただけだったので、もっと別の観点からのボケが見たかったです。
 例えば実際に頭を変えるシーンを取り入れてみたりとか、オチの伏線をもう少し細かいものにするとか、そういう要素があればもっと印象強くなったと思います。
 それと三人体制が雰囲気作りのためにしか使われていないのも勿体なかったので、もっと杏奈と井島の二人に役割を分担してほしかったです。
  
・「頭屋」の実態が分からないまま本編に入っている部分があるのは置いてけぼり感を作ってしまうので結構痛手。
 頭って日本語は意外に場所を特定できていなくて、首から上か額から上かでイメージが迷子になってる期間が、
 特に惹き込みが欲しい序盤部分で長めにとってありその段階で読み手とネタとの間に結構な距離を作ってしまう。
 そこまで字面だけに頼っているワケではなく異常なイメージが思い浮かんでいる方が面白いこの題材の場合はより問題になる。
 「頭屋」だとカツラ方向に行くのかなって強いイフルートも意識にずっと残ってしまって邪魔になるので、
 コレは「頭部屋」とかの方が表現としては良かったと思うんですよ。
 絵面的にもイメージを持つにはちょっと抵抗のあるグロいバックグラウンドが見えかねないので、
 もうちょいファンシーな要素足すとかデフォルメチックな表現にするとかそーゆー処理が欲しかったです。
 字面的なワードセンスよりも展開や状況を利用する場合はイメージ想起の楽さの重要度がとても上がりますから、
 そこを丁寧にやれているかどうかが一番のキーポイントになりますのでその安定性が出せれば、
 いいネタに飛躍させられたり、上質な話運びをたくさん作ったりできるようになるんじゃないかと。
  
・トリオネタで2人が共通の話題で盛り上がってるのは定石なんですが、設定がぶっ飛んでるので好印象。
 「頭がなくて何が悪い!」はオチでの天丼も含めて良いボケ。
 あと、さり気ないところでは「体と色があってないなぁ」ってのも徹底してて良い。
 中盤に時々入るまさのぼやき(「冗談で言ってるんだろ」「この先生きていきていけない」)等はリズムを崩すので、
 理不尽ながらもツッコミに徹底するキャラの方が良いと思います。
  
・少し冒頭の会話が長い様に感じましたので、もっとボケ二人が強引に次の話題に進めるくらいのスピード感があっていいと思います。
 まささんが頭屋に関して受け入れられない序盤の件を繰り返し過ぎて、次の話題に行くまでの時間が掛かり過ぎていました。
 その後は、第二眼球や「頭が無くて何が悪い!」などテンポ良く面白いボケを繰り出していたので良かったです。
 オチは急カーブ感もありますが、それよりもしっかり決めてきたなという印象で良かったと思います。
  
・1つの奇妙な設定を突き進めた形ですが、全体としてテーマに統一感がある、という意味では楽しめました。
 ただ、突飛な発想を軸とした漫才としてはありがちな展開・やり取りも多いように思いました。
 最後のコント部分は、せっかくの盛り上がりどころなので、もっとツッコミ(まさの発言)を入れてどんどん笑いどころを増やしてほしいところです。



No.029 お受験Boys
予備校に行こう
居間:初めまして、僕らお受験Boysと言います!
   MM-1グランプリ、出るからにはやっぱり優勝目指したいですね!
   いやらしい話ですけど、優勝して名誉をフル活用してのし上がりたいですね!

出所:おっと居間くん、開口一番に肉棒を露わにしたね!

居間:欲望だろ! 漫才の最初におちんちん出すとか前代未聞だろ!

出所:そんな事より、今日みたいに天気のいい日はお受験をしよう!

居間:そんな呑気なもんちゃうやろ。

出所:僕は今受験生なんだけども、東大に合格する為に日夜勉強を怠らないんだ。

居間:まぁ、目標に向かって一生懸命なのは良い事かもしれないけどさ・・・

出所:今年こそは合格しないと、流石に42浪中の身だからね。

居間:お前今年で還暦かい。 クソまみれの人生やないかい。

出所:今通っている予備校があるんだけども、居間くんもおいでよ。

居間:けなされてるのに無反応とは・・・

出所:今予備校に友達を招待すると、システム手帳と飴玉が貰えるんだ!

居間:前言撤回、お前の人生クソの足元にも及ばないじゃねぇか!

出所:さぁ、今すぐ羽田空港に向かおう!

居間:飛行機使うのかよ!?

出所:片道14時間かけて、海外まで行くよ。

居間:絶対効率悪いよ!

出所:だって、予備校に向かっている間も勉強したいだろう?
   そうなったら、まとまった勉強時間が欲しいんだよ。

居間:普通の人なら、近くの予備校に通う事でまとまった時間を確保するんだよ!

出所:それに海外だからね、英語は本場の英語を学ぶ事が出来るわけさ!

居間:他の教科捨ててるのかい?
   大学受験、それも東大となったら、英語だけ出来てもしょうがないだろ!

出所:大丈夫!世界史だって海外なら本場みたいなもんだし、あと僕算数得意だから!

居間:世界史をだいぶ軽んじて見てるな・・・
   それに算数じゃなくて数学な!

出所:そんなこんなで予備校の目の前に着きました。

居間:いつの間に!?
   飛行機に乗った記憶すらないんだけどなぁ・・・

出所:という訳で、遠路はるばる中国までやってきました。

居間:あ、英語圏じゃない!
   てか、片道14時間ってだいぶ遠回りしたな!?

出所:さぁ、早速予備校の中に入ってみよう! カランコロンカラン〜♪

居間:喫茶店のコントでよく見る導入だ。

出所:先生!友達を連れてきました。

鮫宮:あら、初めまして〜!
   出所くんのお友達ね!

居間:バリバリ最強日本人出てきたぞおい。

鮫宮:わたくし、我がおしりのあな予備校の校長の鮫宮アンナと申します。

居間:おしりのあな予備校の鮫宮アンナ!?
   たぶん絶対忘れないであろうネーミングが1度に2つも・・・!

鮫宮:それでは早速ですが、体験授業を受けて貰いましょう!

出所:はい! よろしくお願いします!

居間:お前に関しては体験も何もないだろ。

鮫宮:ちょうど私の授業が始まる時間なので、一緒に教室へ向かいましょう。

〜教室〜

鮫宮:ここが我が校自慢の教室です。
   この部屋だけで、東京ドーム6個分の広さがあるんですよ。

居間:広すぎるだろ! ウド鈴木のストライクゾーンかよ!
   生徒も僕ら2人だけじゃねぇか!

鮫宮:それでは早速ですけども、空の飛び方の授業を始めましょう!

居間:なんだそのトチ狂った授業は!?
   受験で使わないだろ!

鮫宮:使うじゃないか!
   電車の遅延で受験会場まで行けない場合に限り。

居間:いざとなった時の保険程度じゃねぇか!
   「場合に限り」って言っちゃってるし・・・

出所:いやぁ〜、時代の変化って凄いよね。
   僕が現役受験生だった頃は、空の飛び方の授業なんてなかったからね。

居間:現代でも無いんだよ!

出所:これがゆ鳥教育ってやつなのかな。

居間:お前ユーモアセンスも42浪中なのな。

鮫宮:確かにあの頃は無かったもんね〜。

出所:♪あの頃は〜

鮫宮:はっ!

(突如教室に和田アキ子乱入!)

和田アキ子:ハァッ!!

居間:webで続きが見られるやつだ。

和田アキ子:ハァッ!!(居間に指を差しながら)

居間:何でもいいけど人の事指差すな。

和田アキ子:webでは私が料理の腕前を存分に発揮して、森三中のソテー〜剛力彩芽のソースを添えて〜を作っています。

居間:なんだそのゴチバトルに出てきそうな料理名!?
   国分太一に面白注文されとけ!

(和田アキ子、アッコにおまかせの生放送があるので日本へ帰る。徒歩で)

居間:流石アッコさんの超人的なパワー!
   んで、空の飛び方の授業ってのは・・・

鮫宮:空の飛び方はですね、如何に清い心を持つかが大事です。
   かのピーターパンも、純粋な心を持っていたからこそ空を飛べたわけです。

居間:ピーターパンって架空の話だからな。

出所:えぇっ!? ピーターパンのおはなしって、作り話なの!?

居間:落ちつけ60歳。

出所:って事は、鼻フック船長も架空の人物・・・!?

居間:フック船長な。 なんだその面白罰ゲーム船長。

出所:そんな・・・ うそだ・・・
   ネバーランドではたくさんの子どもたちが楽しく暮らしているんじゃないのか・・・(膝から崩れ落ちる)

居間:こいつが空飛べないんだから、人間が空飛ぶなんて夢のまた夢だろ。

出所:僕も行きたかった・・・  ネバーランドへ・・・

居間:くどいようだがお前60歳だろうが。

出所:東大でいっぱい勉強して、ネバーランドを探す人になりたかった・・・

居間:それに関しては今思いついたろ。

出所:夢のないこんな世の中で、僕はこの先どうやって生きていけばいいんだ・・・



鮫宮:諦めてはいけませんよ。



出所:校長先生・・・。

鮫宮:あなたには夢を抱く純粋な心がある。
   その心を大事にすれば、願いは必ず叶いますよ。

出所:ママ・・・  いや、校長先生・・・。

居間:よりによって今間違えるなよ!
   よくやってしまいがちな間違いだけども。  そんでもってママて!

鮫宮:バサァ・・・(背中から翼が生える)

出所:えっ・・・!?

鮫宮:出所くん、今まで黙っていましたが、私は夢の世界からやってきた天使だったのです。

居間:突如として現れた超現実を、僕はどう受け止めたらいいのかしら・・・

鮫宮:出所くん。あなたには天使となり、人々に夢と希望を届ける才能があります。
   私と一緒に、夢の世界へ旅立ちましょう。

出所:・・・はい!

居間:出所・・・  お前、ホントに行っちゃうのか・・・?

出所:ああ、いろいろと振り回しちゃって悪かったね。
   僕、これからは大勢の人に夢と希望を届ける仕事を頑張ろうと思うよ。

居間:こんな時に普通の言葉しかかけられないのも悪いけどさ、・・・頑張れよ。

出所:うん!

鮫宮:さぁ、行きましょう。 夢の国までは飛行機で片道14時間。
   長い旅になりますよ。

居間:夢の国って日本なのかよ!?
   いや、ここが片道14時間かけてやってきた中国だって事もすっかり忘れかけてたわ!

出所:じゃあ、またどこかで会おうね!

(出所、鮫宮と共に旅立つ。)



居間:行っちゃったなぁ・・・











   ってか、僕は日本にどうやって帰ればいいんだよ!!

予選総合第30位(3回戦敗退) お受験Boys
審査員
点数
76 21 55 59 51 平均52.40
【審査員コメント】
・普通に飛行機で帰れば良いんじゃないですかね(白目)
 急に出てくる鮫宮がなんかメッチャ面白かったです。でも和田アキ子はいらないと思います。
 それと途中から漫才という枠組みから完全に逸脱していたので、もう少しテンションを押さえて展開して欲しかったです。最後に出所さんを帰還させれば、少なからずは漫才に食い込めたと思います。
 でも、なんか、上手く、言えないんですけど。この作品メッチャ好きです。
 まるで不良な女の子に惚れるメガネ中学生の気持ちのような、そんなドキドキ感がこの作品から漂ってきます。
 漫才としてはそんなに評価したくはないんですが、この危ういスレスレ感が変に魅力的に感じてしまいます。きっとただメチャクチャに構築された作品にはそんなものは感じないと思います。
 なので難しいのですが、この魅力を残したまま、少し漫才の形に近づけてみるか、さらに盛り付けるかすれば、この作品はさらにたまらず私の心を打ち抜く作品になったと思います。
  
・ちょっと情報量過多で読むの疲れますね。
 もう少し一つの状況・情報を丁寧に掘り下げるか、読もうと言う意識を刺激する読み心地の良い言葉を足したりして、
 「理解に必要な労力に対する面白さのコストパフォーマンス」上げられたら良かったのになぁと言う印象です。
 展開で面白さを出すには字面で面白さを出すよりも理解のために要求する労力が大きいですから、
 そこに対する工夫が足りないと自分の中の面白さがちゃんと読み手に伝わりづらくなります。
  
・ん、この書き方は面白い人の覆面か? と思わせて、
 否、やっぱりベタか。あれ、でもところどころ面白いぞ? みたいなネタでした。
 「ウド鈴木のストライクゾーンかよ!」のツッコミは、普通だと面白いんですけど、
 王道漫才の中で突然出てきたんで「お、おぉ……」となってしまいました。
 和田アキ子のくだりなんかは固有名詞×ベタで最悪かと思ったんですけど、
 「webで続きが見られるやつだ」と面白ツッコミしてる辺り抜かりないですね。
  
・序盤も序盤の方は少し灰汁が強く、どうなるのかと少し不安に感じる部分がありました。
 ありましたが、42浪からのターボがとんでもなかったです。
 話題の急展開具合も見失うことなく最後までやりきっていた感じが良かったです。
 ボケそのものも面白いんですけど、ツッコミの捻り方がとにかく素晴らしい。
 「鼻フック船長」自体はあまり新しいボケという感じはしないのですが「面白罰ゲーム船長」とツッコむから新鮮に笑えました。
 とにかく技術力の凄まじい方ですね。
  
・鮫宮アンナの登場時点ではそうでもなかったのですが、その次の
 「おしりのあな予備校の鮫宮アンナ!? たぶん絶対忘れないであろうネーミングが1度に2つも・・・!」
 という台詞のせいで「鮫宮アンナ」が忘れなくなりました。どうも、単純な主催者です。
 
 インパクトの強さもあり前半はそこそこ面白かったのですが、
 和田アキ子が出てきた辺りからは、さすがにフリーダム過ぎていたような気がします。
 特に終盤、感動系の展開にしすぎて、(描写としては面白いのですが)ボケることが忘れ去られていたのが残念です。
 「漫才大会だから」程度の理由ではありますが、ラストだけでも漫才っぽい展開に戻した方が締まりは良かったかなぁという気はします。



No.030 トリックル
迷子センター
黒岩:はいどうも、トリックルです。よろしくお願いします。
   最近子どもが欲しいんですよ。

霧雨:そうなんだ。じゃあ黒岩君の子どもは迷子になるから迷子センターの人やるから親として入ってきて。

黒岩:なんでなる前提で話進めているんだよ!?まあいいけど。

   た、助けてください。

霧雨:またですか店長。だから脱税の件は
   …お客様どうされました?

黒岩:聞き捨てならないこと聞いたわあ。
   迷子よりそっちの方が気になるわ!

霧雨:それでお客様どうされたのですか?

黒岩:ああ、実は息子が迷子になりまして。

霧雨:それはお困りで。それではこちらの番号札を受け取ってお待ちください。

黒岩:なんでそんなものがあるんだよ!?そんなに迷子が多いの?

霧雨:なんとあなたの子どもでちょうど1000人目です。おめでとうございます。

黒岩:嬉しくないわ!我が息子が迷子だって言ってるだろ。

霧雨:特賞としてウォッカとスピリタスをプレゼント。

黒岩:なんで強い酒をくれるんだよ!?飲んで忘れようってか!?飲めるか!
   早く息子を探して。誘拐っていう可能性もあるんだから。

霧雨:あんたの稼ぎからして誘拐されるわけないでしょww

黒岩:どういう意味だよ!それになに笑いながら言ってるんだよ!
   いいから探せよ!

霧雨:今探そうと思っていたのに。ああもう探す気無くした。

黒岩:なに子どもみたいなことを言ってんだよ。いいから聞けって。

霧雨:この後の御予定ある?

黒岩:息子のこと聞けや!なに口説こうとしているんだよ!?
   気持ち悪いわ。

霧雨:あれほど一気するべきではないって言ったのに。

黒岩:だから飲んでねえわ!てかスピリタスとか一気したら死ぬわ。
   とにかく息子の名前は明だから探して。

霧雨:分かりましたよ。それで少年Aは、

黒岩:なんか犯罪者みたいになってるよ!実名でいいから。

霧雨:では今日から私は黒岩明になります。

黒岩:ならなくていいよ!息子を探せ!

霧雨:黒岩さんの息子、ほくろになります。

黒岩:黒岩の息子だから「黒子」ってか!?
   なれるんだったら息子を探してからなってみな。

霧雨:それで明くんの年齢は?

黒岩:若干スルーされたような気がするが、3歳です。

霧雨:なるほど明くん、オス3歳。

黒岩:なに人の息子を動物扱いしているんだよ!
   第一動物の迷子やったらここよりも警察に知らせるわ。

霧雨:け、警察!?
   ひぃぃぃ、私は無罪です。

黒岩:脱税の影響が出てんじゃないかよ!警察の言葉が出ただけで怯えるのはヤバいわ!
   だから明は3歳です。

霧雨:それで明くんの服装は?

黒岩:白のシャツに青のズボンです。

霧雨:フッ。親に似てセンス悪っ。
   それで他には?

黒岩:……それとシャツの胸のところに

霧雨:ネームプレートが、

黒岩:体操服じゃないわ!目立つけど私服として子どもに着せるわけないだろ!
   胸のところにクマの絵がありました。

霧雨:胸にクマと。
   明くんとはいつはぐれたんですか?

黒岩:私が明をゲーセンで遊ばせていたんです。

霧雨:なるほど一葉で遊ばせていたと。

黒岩:…いや五千円札じゃないよ!ゲームセンター。
   てか五千円札をゲーセンて言う人滅多にいないからね。
   だいたい五千円札で遊ばすってどういうこと?

霧雨:なんか紙飛行機にして飛ばしたりとか。

黒岩:やめさせるわ!一刻も早く。
   それでちょっと目を離していたら見失ってしまって。

霧雨:今も人生の迷子になっているくせに。

黒岩:ちょっと待てや!なにさっきから毒舌はいてんだよ!喧嘩になるわ!
   いいからアナウンスして息子を探せよ。

霧雨:せっかく探す気でいたのに、そんなに言うんやったら自分で探せばいいでしょ!?

黒岩:探せや!なにここぞという時に子どもみたいな言い方して逃げようとしているんだよ!探して。

霧雨:大丈夫。今までの会話を大勢の人が聞いているので待ちましょう。

黒岩:なんでずっとマイクの電源をONにしているんだよ!?小学生の時たまに放送委員会の人が切り忘れて会話が筒抜けになることがあったけど。

霧雨:大丈夫。あなたのところだけ切っているから。

黒岩:悪意を感じるよ!変な誤解を招くだろ!
   ちゃんとアナウンスしてよ!

霧雨:分かったよ。
   ピンポンパンポン。15時より屋上にヒーローショーが、

黒岩:後にしろ!そんな情報よりも息子を探せ!

霧雨:落ち着いて。
   いいですか?男の子はヒーローが大好きなんですよ。それでヒーローショーがあると知れば、もしかしたら少年Aもそこに行くかもしれないというわけですよ。

黒岩:だから犯罪者じゃないって!待ち伏せみたいじゃん!
   でも一理あるかも。

霧雨:でしょ。だからマネーレンジャーのヒーローショーの宣伝を、

黒岩:ちょっと待って!なにマネーレンジャーって?

霧雨:最近多くの子どもが夢中になっていまして。その名も「1円を笑った者に対して1円で泣くように仕向ける戦隊マネーレンジャー。」

黒岩:長いしダサい!その戦隊人気なの!?

霧雨:はい。1円を笑った人がいたらその人の息子を誘拐したり、

黒岩:やってること犯罪じゃねえかよ!!そんなの放送したらすぐ教育委員会が動くよ!

霧雨:そしてマネーレンジャーの必殺技が紙幣を紙飛行機にして

黒岩:放送止めさせろ!悪い影響出てんじゃないかよ!
   後で息子にきっちり言い聞かせるとして、いいからアナウンスして。

霧雨:分かりました。
   ピンポンパンポン。お知らせをします。私と同じ服装をした、

黒岩:分かるか!ちゃんと伝えろよ!
   てかお前息子と同じ服装かよ!よく人のことを馬鹿にできたよな!
   大事なことを伝えろよ!

霧雨:先ほどほくろになりやがれと脅されました。

黒岩:止めろ!変な誤解を招くだろ!
   ちゃんとアナウンスやれよ!

霧雨:3歳くらいの体操服を着た明くんが今「宝石」と書かれたメモを持って走っています。

黒岩:なんか借り物競走みたいになってる!てかメモ持たせてないし宝石なんか誰が貸すんだよ!
   それに体操服じゃない!白シャツにクマ!ちゃんとやれよ。

霧雨:明くんが迷子になっております。服装は白シャツ胸のところにクマの爪痕。

黒岩:クマの絵!そんな恐ろしいTシャツじゃないわ!

霧雨:クマの絵がある白シャツに青いズボンを履いています。
   見かけた方は、1円を笑ったやつがいると大声で言ってください。

黒岩:止めろ!なにマネーレンジャーを呼ぼうとしているんだよ!もししたらただの犯罪者だよ!
   もう頭にきた。警察を呼ぶぞ!

霧雨:ひぃぃぃ。やめてください。身代金を要求しませんから警察は呼ばないで。

黒岩:誘拐していたのかよ!もういいわ!

二人:どうもありがとうございました。

予選総合第46位(2回戦敗退) トリックル
審査員
点数
43 18 50  7 56 平均34.80
【審査員コメント】
・なんか凄く面白くなってたんで感動して思わず80点くらい付けそうになりました。
 このヒートアップしていく漫才の形は凄く良かったと思います。二人の姿が簡単に思い浮かんで、頭の中で漫才が繰り広げられました。
 展開もなかなか練られていて、特に脱税とヒーローショーの設定が上手いこと活かされてたのと、黒岩さんのサラリとした毒舌が好きです。
 ただボケもう少し練ってほしかったです。5千円札とゲーセンとか無理矢理すぎますし、借り物競争も入れるタイミングが突然すぎる上に面白くありません。
 流れは凄く綺麗なんですよ、「小学生の時たまに放送委員会の人が切り忘れて会話が筒抜けになることがあったけど。」とかツッコミも面白いものがあるんですよ。
 ただ目立って面白くないボケが要所要所の印象を悪くしてしまっていて非常に邪魔です。だから面白いボケをもっと突き詰めてください。もう一つ上の段階に進むべきです。
  
・そもそものシチュエーションの説明が不足気味でイメージ湧きづらいです。
 字面だけで楽しませるのであればテンポ重視のためにそのまま突っ切ったりするのもアリなんですが、
 今回のはほとんどその口にされる「内容」がメインなので、イメージ不明瞭はやはり痛手。
 しかもその上で状況だけトバした展開が多いので、話が戻ってくるべき場所がどこだか分からなくなります。
 展開で見せるために出来るだけ丁寧にそれが思い浮かぶようにするか、
 さもなくば想像出来るかどうかなんて度外視な響きや組み合わせの言葉選びで場を持たせるか。
 そーゆー工夫がもっと欲しかったですね。
  
・作りが雑なのと、ボケが全体的にベタ。
 構成や終盤の天丼ラッシュが形になってるので、多少長文慣れしてきたんじゃないかと思います。
 2行目「じゃあ黒岩君の子どもは迷子になるから迷子センターの人やるから親として入ってきて」とのことですが、
 ツカミは非常に重要なので、日本語がメチャクチャだと読む気が削がれてしまいます。
 「そうなんだ。まぁ黒岩君の子どもはどうせ迷子になるだろうから、俺が迷子センターの人やるので親として入ってきて」
 みたいなほうが自然じゃないでしょうか。
  
・なんでしょう、トリックルさんはもっと上手に漫才をされていた印象があるのですが
 今回に関しては、会話の流れがあっちこっち行きすぎてまとまりが無かったように感じます。
 体操服を活用したボケの上手さや、ずっとマイクがONだったなど面白い部分もあるのですが
 とにかく荒い部分が目立っていました。
  
・「マイクの電源がON」「クマの痕跡」など、特に目を引くようなボケがいくつかあって良かったと思います。
 ただ、コント導入部が少々唐突過ぎる(「た、助けてください」の上はもう何行か空けてよいと思います)など、
 今回は書き方の拙いところがやや多めに出てしまっていたと思います。
 個性的なボケ作りをしようとしている努力の跡は見られるので、
 あとはいかに爆発力の高いボケを産み出し、どのように無理なく読み手にボケを伝えられるか、にかかっていると思います。