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041 アンダーμンズ 042 メリースリー 043 神風とくやこうや 044 オールナイトスター 045 百鬼夜行
046 kissしてシクラメン 047 アッサムティーのほころび 048 こけまみれコオロギ 049 ワイトラック 050 飴細工が壊れた


No.041 アンダーμンズ
あったかハイムは待っていない
p「仕事だるーいよろしくお願いしますね?」
n「挨拶よりも先に疲労感!? あ、アンダーμンズですよろしくお願いしますね」
p「よし、帰ろうか?」
n「まだ5行も経ってないのにそんな決意を固めないで!」
p「帰った方がイイよ?」
n「諭すように言ってもダメ! 何故なら雰囲気に内容がともなっていないから!
  文脈上そっちがサボりたいだけなの明白だから!」
p「nちゃん顔色悪いよ? 帰ろ?」
n「仮病ならせめて自分の体調を使いなさいな!」
p「帰ってメイク直そ?」
n「顔色ってファンデーションの話だったの!?」
p「自宅以外に出してはいけないフェイスだよ? 帰ろ?」
n「門外不出を強要されるほど酷いの!?」
p「毛穴閉じよ?」
n「毛穴に言及するなー! 人の毛穴に言及するなー!」
p「まぁメイクの話は冗談だケド」
n「うぜぇ……」
p「それはともかく帰ろ? ポカリ飲んでエスタックイブ飲んで寝よ?」
n「顔色の話も冗談に含んで流せよ! 手厚いアドバイスとかいらんから!」
p「早く帰らないとダメな顔色してるよ? 超ホームシック顔だよ?」
n「それもうわたし精神の方の病じゃん!」
p「だから帰ろ? そしてエスタックイブ飲も?」
n「帰らないし病状が精神ならエスタックイブももう効かないわ!」
p「そんなコト言わないで信じよ? イブプロフェンに全てをゆだねよ?」
n「過度な期待を押しつけるのはイブプロフェンが可哀想だからやめなよ!
  あいつ場違いな任務課せられてるよ!」
p「でもあたしのおじさんはエスタックイブでガン治したって言ってたよ? きっと万能だよ?」
n「万能じゃないよ! それ完全に騙されてるよ!
  おじさん特有の良く分からない見栄にだまされてるよ!」
p「じゃあ、おじさんにちゃんと聴いてみよ? 帰ろ?」
n「そしてわたしはだまされないから帰らないよ!」
p「って言うかそもそもなんで帰らないの?」
n「仕事があって、病気が無くて、わたしが常識を持っているからだ!!」
p「と、思ってるケド現代人だから実は何かしらの病気はあるよ? 帰ろ?」
n「不安をあおる情報を駆使するな!」
p「さもなくば一生エスタックイブしか食べられない身体にするよ?」
n「ついに脅しが入った! とてもサイコな内容の脅しが入った!」
p「もしくはケツの穴にエスタックイブをねじ込むよ?」
n「怖っ! 急に直腸摂取の強要してきた! そーゆー薬じゃないのに」
p「ついには世界中のフリスクをエスタックイブとすりかえるよ?」
n「もはやこの話の目的もこの話が何の話だったかもこの話がスケールの大きい話なのか小さい話なのかも分からなくなった!」
p「じゃあ大事を取って帰ろ?」
n「でもその甘言には屈しないからな!」
p「こうなったらもう、病気になろう?」
n「またしても画期的にダメな提案してきやがった!」
p「ウィルスのこめられた棒をもったアタシに殴られよ?」
n「えらい漠然とした想像上の武器振りかざさないで!
  そんな雑な方法で病気になりたくない! 病気にはどんな方法でもなりたくないケド!」
p「主に粘膜を殴られよ?」
n「狙いは的確だけれども!」
p「病に倒れた悲劇のヒロインとして、家に帰ろ?」
n「ココまで雑にふざけたプロセスでそんな聞こえがイイだけの役柄に抜擢されてたまるか!」
p「いつ覚めるとも分からない眠りにつこ?」
n「舞台が自宅で、王子様が来ないから、断る!」
p「目覚めさせてくれるモノが来る可能性はあるかもだよ?」
n「自宅療養中に一体何が来るってんだよ!」
p「…………イブプロフェン?」
n「またエスタックイブかよ! せめてもっと王子っぽいのが来いよ!」
p「バファリンの方がよかった?」
n「確かにやさしさのアドバンテージは持ってるかもだケドそーゆーコトじゃない!」
p「イブプロフェンよりアセチルサリチル酸だったの?」
n「だからキャスト選択のミスはそれ以前の問題なんだよ!
  薬効成分の王子役にときめけるほどわたしは踏み外した人間じゃないんだよ!」
p「彼らの力ではnちゃんは目覚められないの?」
n「っていうかそもそも医薬品はむしろ眠くなるイメージだよ!」
p「ああ、じゃあ覚醒剤にしとけばいいのね?」
n「最悪のチョイスに至った!」
p「nちゃんは気分が悪くなったので自宅に帰って、覚醒剤によって目覚めます。
  このエピソードで帰ろ?」
n「そんな社会的な死亡フラグに満ちたエピソードで帰れない! 本当に体調が悪くても断るレベル!」
p「アタシなら帰るケド?」
n「逆にメンタルすごいな!」
p「毎日エスタックイブ飲んでるから?」
n「何その無意味なルーチンワーク!? 精神にイブプロフェン効かないって言ってるのに!」
p「でもなんか飲むとテンションがハイになるよ? なんでも出来そうな気がするよ?」
n「覚醒剤かよ! 思い込みプラシーボ効果が市販薬を覚醒剤にしちゃったのかよ!」
p「早く帰ってエスタックイブ飲みたいんだよ?」
n「家に帰りたいの禁断症状だったんだ!」
p「だから全国で手軽く打ってて欲しいんだよ?」
n「残念ながらいま店頭に並んでいるのはただのフリスクだ!」
p「って言うかもう本当に限界だからね? マジで帰ろ?」
n「その前に病院行け」

予選総合第48位(2回戦敗退) アンダーμンズ
審査員
点数
12 13 30 70 平均31.25
【審査員コメント】
・なんかガタガタしている文章の割には、ストーリーはちゃんと出来ていたので意外とスッキリ読めました。
 しかしnさんのツッコミのガタガタ感はさすがに気に障りました。「舞台が自宅で、王子様が来ないから、断る!」とかどう見ても飛躍しすぎです。
 pさんの帰りたい理由は最後で説明されるから良いとして、それに振り回されるnさんが、本当にただ振り回されるだけだったので、漫才としての完成度が低いです。
 二人の掛け合いをもっと増やしてください。一人では漫才は出来ないのですから、片方だけが目立ちすぎないように意識してください。
 それとボケが薬品関係の用語ばかりで飽きてしまったので、もっと色々なアングルからボケを盛り込んで欲しかったです。
  
・「ケド」の存在だけでバレる覆面。
 内容は私が医薬品の商品名の響きが好きだと言うだけのごり押し。
 妙に聴き心地が良い気がするのです。
  
・このくだり一つで一本作り上げた労力は認めたいところ。
 けれども、絶望的なほど面白くない。
 医薬品は眠くなるイメージだが、このネタも正直眠くなる。
  
・覆面ピッタピタでもはや輪郭が出ちゃってますな。
 面白い形の漫才で読んでいてクセになる部分は確かにありますね。
 読んでいる内に繰り返されるやり取りのリズムに乗せられている感覚がしました。
 ボケの内容としては、少し物足りない部分も感じましたが、こういう漫才もアリだなと思いました。
  
・結果的にまた六升さんの覆面にハマってしまったのですが、
 何と言うか、pさんのキャラと口調がすごく分かりやすくて統一感があったからなのか、ネタに入り込みやすかったです。
 正直な話、医薬品ボケについてはわりと気に留めて無かったりするのですが、
 「帰ろ?」に繋げる話のバリエーションの多さが一番楽しめた理由だと思います。
 もう少し引き込める書き方が出来れば、引き込める層は広くなるんじゃないかなぁ、と。



No.042 メリースリー
近況報告
ケイ:はいどうもー!メリースリーです!

キミ:よろしくお願いしまーす!

シン:しまーす。

ケイ:今日は私の近況報告をしまーす。

キミ:僕も近況報告をしまーす。

シン:興味ねえよって思った方、良心を持って聞いてあげてください。

ケイ:私は最近、ポトフを食べるのにハマっています!

シン:限りなく純朴な近況報告だな。

キミ:僕は最近、ポトフを煮込んでいる40代主婦の頭をかじりたいと思っています!

シン:はい、死んでほしいですね。

ケイ:ポトフのじゃがいもは潰して食べる派です!

シン:イチゴと勘違いしてらっしゃるのかな。

キミ:頭をかじる前に、顔だけで主婦をオトしてしまう派です!

シン:勘違いしてらっしゃるのかな。

ケイ:3日前は、動物園に行きました!

シン:一人でか?

ケイ:うん!

キミ:3日前は、市役所に行きました!

シン:一人でか?

キミ:お母さんとー!!

シン:どっちが哀れかは分かってますね、皆様。

ケイ:動物園で見たワオキツネザルがおいしそうでした!

シン:そこで食欲を優先するのはやめようか。

キミ:市役所の職員さんに14回怒られたけどずっとどや顔してました!

シン:人間やめようか。

ケイ:その日の夜は家でネタを考えてました!思いついた題材は「破滅の時」!

シン:何があった。お前に何があった。

キミ:その日の夜は家でネタを考えてました!思いついた題材は「もこもこ星の王子様」!

シン:逆だろ。普通逆だろ。キミ、貴様は、い、た、い。

ケイ:なぜかわからないけど、「サタン…サタン…」と呟きながら書くとよく書けました!

シン:そっちの世界に足踏み込んでる。気をしっかり持て。

キミ:なぜかわからないけど、うんこ漏らしながら書くと破壊力のあるボケが浮かびました!

シン:老後の世界にケツの穴突き出してる。ライフリーのリハビリパンツ持て。

ケイ:ネタを書き終わった後、ノートに般若の落書きが大量に書かれていました!気づかなかったなぁ♪

シン:屈託なく言わないで。しっかりして。

キミ:ネタを書き終わった後、そのまま寝ました!処理忘れてたなぁ〜〜〜〜〜〜♪♪♪

シン:あなたはマジでしっかりして。マジで。リアルに。楽屋で何度も言ってるけど。

ケイ:おとといは散歩しながらポータブルラジオでテレフォン人生相談を聞きました!

シン:おっさんの所業だよそれ。

キミ:おとといはパーソナリティの加藤諦三さんに相談に乗ってもらいました!

シン:出演しやがったこいつ。

ケイ:「勝村政信を見るとムラムラします。僕はどのような人生を歩めばいいのでしょう。」という相談をしながら、
   放送中にうんこを漏らして加藤さんに激怒されている相談者に、「憐み」を言う感情を抱きました!社会勉強になったなぁ!

キミ:………全部言われました!

シン:ホントにしっかりして。人の道を学んで。勝村さんに謝罪文送って。

ケイ:散歩をしたら汗をかいたので風呂に入りました!詳細を報告します!

シン:やめろやめろやめろ。恥じらいの鎧を身に纏え。

キミ:……ぼっ、僕の詳細を期待しないでよねっ!

シン:キンタマ持ち上げてスープレックスかけるぞ。

ケイ:まあ詳細は後でパンフレットにまとめておくとして。

シン:皆さん、この子は痴女じゃないんです。野生に近いだけなんです。

キミ:まあ詳細は後で原宿でイチモt

シン:こいつは変態です。

ケイ:昨日はとてもワクワクした事がありました!それを報告します!

シン:お、なんだろうか。

キミ:昨日はとても腹の立つ出来事がありました!それを報告するから俺だけ聞いときゃいいんだコラエー!!

シン:蝶野さんお引き取りください。

ケイ:実は私、昨日収録中の徹子の部屋に忍び込みました!

シン:何やってんの。何やってんの。何やってんの。

キミ:昨日天山がよぉ!!

シン:蝶野黙れ今緊急事態蝶野黙れ。

キミ:………。

ケイ:「黒柳さんのわき毛をお守りに入れると冷え性が治る」という言い伝えを信じて、単身乗り込みました!

シン:なんでそれを信じたのかな。なんで体質改善という方法を考えなかったのかな。

ケイ:しかし、クロテツのほかに強敵はもう一人いる。私はまず、その強敵を片付ける手段をとるしかなかった。

シン:なんで口調が変わったの。なんでクロテツって口に出したの。やめて。その江角マキコみたいな顔やめて。

ケイ:今日のゲストは左とん平。数々の業界人を闇に葬った別名「レフト・ブラックホール」。

シン:お前とん平をなんだと思ってんの。

ケイ:額に流れる汗。震える手。しかし、心臓は飛び跳ねるように動いてる。そうか、これが恐怖って奴か…。悪くない。

シン:……蝶野さん、なんか一言。

キミ:ライフネット生命入り損ねたオラエー!!

シン:うん、今となってはあなたの方が清々しい。

ケイ:さあ、私の命を懸けようかとばかりに、収録中のスタジオに飛び込む私。私が通った後に積み重なるスタッフの屍。

シン:テレビ朝日さんごめんなさい。

ケイ:そして、まずはとん平を仕留めようと首元に飛び掛かった。しかし、私はミスを犯していた。
   絶対危険領域に入り込んでしまったのだ。そう、とん平の、左に………!!

シン:明日何人の人に土下座しに行くんだろうなー。

ケイ:私を見ずに右手を私に向かって掲げるとん平。その瞬間、私の体は引き裂かれ、視力を奪われ、そのまま暗闇の異次元に放り込まれた…。

シン:俺今精神的にそんな感じなのよ。涙腺痛いからね今。

ケイ:しかし、私は手にしていたのだ。目的は達せずとも私の意地を示したい一心で勝ち取った、戦利品を………。




   それがこの、とん平のわき毛でーす!!

シン:ねえ、今までいた?漫才で縮れ毛提示したやつ。

ケイ:このとん平のわき毛を煎じて鼻の頭にこすり付けると、臭いらしいです!
   心沸き立つとん平臭!ヘイ♪チンして楽ちん食卓便!ヘイ♪

シン:すいません。勘弁してください。全部僕の責任です。

キミ:以上、僕らの近況報告でした。みんな、楽しんでくれたかな!?

ケイ:もっと詳しい近況は都内の公園のベンチでブツブツつぶやいているんで耳を済ませに来てください!

キミ:僕が代々木公園で、

ケイ:私が葛西臨海公園です!!

シン:耳のケアを十分行ってから聞いてあげてね。

ケイ:以上、メリースリーでした!

シン:ちょっと待って。そういやキミの腹の立つ話聞いてないな。興味ないけど。

キミ:俺?言っただろ蝶野さんが。

シン:え?………あのライフネットのマジなの?

キミ:………。

ケイ:ご清聴ありがとうございましたー!!(ハケる)

キミ:…………見積もりトライすら断られたー…れたー…れたー…。(ハケる)






シン:考えよう、答えはある。へーベルハウス。

予選総合第18位(準決勝敗退) メリースリー
審査員
点数
76 67 53 74 65 平均67.00
【審査員コメント】
・なんか新しい感覚のトリオ漫才だったです。二人の状況がヒートアップしたり混じりあったり、多方向へぶっ飛ぶ話の流れが見ていてとても面白かったです。
 それを受け止める役割のシンさんのツッコミもまた面白いです。「蝶野黙れ今緊急事態蝶野黙れ」など、最低限に押さえ込んだ的確な切り返しがあったからこそ、この作品は成立したんだと思います。
 だんだんぶっ壊れていくケイの姿も自然で面白かったです。そこの「何があった。お前に何があった」という返し方もまた凄い。
 キミさんに最後にもう一つ見せ場があったら完璧だったと思います。それにしても不思議な新鮮さを感じる作品でした。
  
・展開よりも字面を観ればイイのが序盤から分かりやすく、楽しみやすくて良いですね。
 しかし「普通逆だろ」の部分はその前の「お母さんとー!!」の印象が残っていたので、
 そんなにしっくり来なくて違和感が強く、惹き込まれ具合に大きな痛手を残していました。
 完全にキャラクター頼みと言うワケでもないので致命傷にまではなりませんが、
 そのネタ中のキャラの書き分けは必要な形式なのでネタの読みやすさにはそこそこ悪影響が出ます。
 言葉選びもネタ全体のギミック形式も面白かったですが、パーソナリティの不安定さがどうにも邪魔になっていた印象です。
 それから、前半からテンポの心地よさがとても楽しめる要素だったのですが、
 一度「キミ、貴様は、い、た、い」という完全にそれを崩しきってしまうモノがあったのがすごく残念。
 ハッキリと読み手のリズムに干渉する形で引きとめておいて、
 クリティカルな内容でも言葉選び表現でもない分かりきったコトを言われても、
 ネタの流れ速度の不和と違和感が残るだけですごくもやもやさせてしまう。
 そして後半は話の絡み合いがとても複雑になってきていて、
 その状況でも情報量は抑えられず読むのがすごく大変で気持ちが離れていってしまいました。
 内容的な盛り上がりがあるのは分かるのに、
 構成的な問題でそれがなかなか伝わりづらくなっていってしまっているのが、とてももどかしかったです。
  
・上のネタが酷かったのと、深夜のテンション相まって序盤はずっと笑ってた。
 ただ終盤、お前はダメだ。好き放題やりすぎだ。
 シンのツッコミは終始ぶれてなくて良かったけど、ボケがもはや処理し切れてない。
 けるべろさんが審査してたら「あー、あきませんわ。固有名詞を使うの、嫌いなんです」とか云われちゃうネタ。
 まぁでも楽しんでそうで何よりです。
  
・いやぁ、凄く楽しいネタですな。
 どっちのボケも単体で面白い上に、比較して更なる笑いにしているので単体以上のパワーになっていたと思います。
 散々黙らせた蝶野が一言コメントした際、確かに妙な平和感を感じるとともに大笑いしました。
  
・序盤はまあまあ面白くて読みやすかったのですが、後半は芸能ネタなどこのネタ固有の方向に寄り過ぎていたのが気になりました。
 特にオチ付近、もう少し分かりやすいボケツッコミの形になっていればなぁ…と思いました。



No.043 神風とくやこうや
休日の過ごし方
とくや:おばんです。神風とくやです。

こうや:神風こうやです。

二人:とくやこうやです。よろしくおねがいします!

とくや:あのさ、お前は、休日に何してる?

こうや:休みの日?・・・気配を消してます。

とくや:どこの忍者だよ!

こうや:せめて休みの日ぐらい、世間から忘れ去られようと・・・

とくや:どしてどしてどして!?何そのネガティブホリデーは?

こうや:いやさ、休日に何もしたくないからさ・・・

とくや:そういうこと?つまらない休日してるなあ。

こうや:・・・・・・・・・。

とくや:?

こうや:・・・・・・・・・。

とくや:・・・!気配消すな!!

こうや:え?

とくや:今は休日じゃない!!仕事中です!!

こうや:いやさ、ここで漫才してもつまらないから・・・

とくや:バカネガティブ!・・・駄目だ、お前ちゃんと休日を満喫しないと・・・

こうや:そうか?

とくや:そうだよ!

こうや:じゃあさ、どんな過ごし方があるの?

とくや:そうだな・・・・・・。

こうや:?

とくや:う〜ん・・・。

こうや:・・・!気配消すな!

とくや:消してない!お前のために考えてるの!

こうや:そうか・・・で、何かあった?

とくや:あのさ、ドライブとかは?

こうや:ドライブ?・・・車の免許持ってないし・・・

とくや:じゃあ取ろう!免許取ろう!

こうや:調理師の?

とくや:車の!今の話の展開の中で料理の項目あったか?

こうや:車の免許ね。でも教習も大変じゃない?

とくや:大変だけどさ、必要なことだろ。

こうや:ちょっとやってみよう。お前生徒役ね。

とくや:お前の免許だからお前生徒だろ!

こうや:じゃあ、お前教習車にひかれる人の役ね。

とくや:なぜ事故がおきる前提なんだ!

こうや:じゃあ、お前休日に気配消す人の役ね。

とくや:それ元々のお前だろ!

こうや:・・・・・・・・・。

とくや:今気配消すな!!車の免許取るの!俺先生役やるから!

こうや:ああ。・・・よろしくお願いします。

とくや:はい、よろしくお願いします。神風こうやさんですね。

こうや:いえ、ジョンソン牧本です。

とくや:お前は自分の役でいいんだよ!

こうや:だって、お前別人の役やるから・・・

とくや:そんな対抗心いらない!神風こうやでいいの!

こうや:はい、・・・よろしくお願いします。

とくや:こうやさんは、路上初めてということで・・・

こうや:いえ、前の免許の時に路上を・・・

とくや:その過去いらない!「前の免許」って、絶対一度どでかい道路交通法違反をしてる設定があるな!初めてにして!

こうや:・・・はい、仮免とるのに五年かかりまして・・・

とくや:ちょっとした苦労人だよ!「五年かかった」って、明らかに途中で一からやり直しているだろ!

こうや:ま、今日が初めての路上なんですけど・・・

とくや:じゃあ、今日はこの近辺を回ってみましょう。

こうや:はい、函館から、ニセコを通って富良野までですね。

とくや:明らかに近辺の範囲じゃない!何その北海道観光コース!路上教習の範疇を越えてるよ!教習所の近辺にして!

こうや:はい。

とくや:じゃあエンジンをかけましょう。

こうや:100円入れて・・・

とくや:バッテリーカー!?どこの遊園地だよ!自動車のエンジンをかけてください!

こうや:(ブルルルル・・・)

とくや:はい、じゃあ行きましょう。左折してください。

こうや:はい。(左折する)

とくや:ここ、右折してください。

こうや:はい。(右折する)

とくや:はい、じゃあここで一旦止まります。ハザードつけてください。

こうや:はい。(スイッチを押す)ワープします。

とくや:しねーよ!そんな機能自動車にないから!

こうや:え!?・・・じゃあ、波動砲は?

とくや:ねーよ!

こうや:自爆装置は?

とくや:ねーよ!

こうや:ジェネリックは?

とくや:薬だよ!・・・なぜそれが出た!?

こうや:・・・・・・・・・。

とくや:答えに困って気配消すな!!

こうや:だからドライブって嫌だ。

とくや:それはお前のおかしなさじ加減のせいだろ!

こうや:他なんかない?

とくや:他!?・・・じゃあ、釣りは?

こうや:釣り?

とくや:ああ。こうやって、竿を水の方にたらして、静かに魚がかかるのを待つんだよ。

こうや:こうやって(釣りをするフリ)・・・。

とくや:・・・・・・。

こうや:・・・・・・。

とくや:・・・・・・・・・。

こうや:・・・・・・・・・。

とくや:・・・!展開が遅いと思ったら、気配消してる!

こうや:これが、私の休日の過ごし方です。

とくや:じゃかーしい!もうやめんべ!

二人:とくやこうやでした。どうもありがとうございました!

予選総合第53位(1回戦敗退) 神風とくやこうや
審査員
点数
30 18 16 16 45 平均25.00
【審査員コメント】
・気配を消すボケは伝わりにくいですしテンポ悪くなりますし面白くないですので、最後まで引っ張り続けるのボケとしては不向きだということに作者は気づくべきでした。
 気配を消すとこ以外はテンポが良くて非常に読みやすかったんですが、やっぱり目を見張るようなボケが無かったのが辛かったです。
 淡々と進められる世界観にありふれたボケが積み重ねられて、物を食べた気にならなかったです。
 型はもう十分出来ているのですから、とっとと一段上のステップへ進むべきです。そうでないといつまでも読み手に弱い印象しか与えられません。
 それと毎回思うのですが、三点リーダを使いすぎなので、もう少し減らした方がよりスッキリした形になると思います。
  
・話の主軸が休日の過ごし方に落ちつこうとした矢先にドライブがメインになって置いてけぼりを食らわせられたり、
 『ハザード付けて下さい→ワープします→そんな機能自動車にないから!』みたいな、
 会話の応答が全くかみ合っていないのにそこに言及もしない部分がネタを読む意欲をそいでしまったりと、
 引っ掛かりや我に帰る要素があり過ぎてほとんどネタにのめり込めない。
 ココまでネタが戦略的に観えないと言うコト自体も読み手のテンションを落とす要因ですし、
 波動砲からのジェネリックなど、言葉の配置くらいでしかほとんど点を上げられないですコレは。
  
・読み終わって、はてどんなボケがあったかと考えた時に、気配を消していたボケしか浮かんでこない。
 「そうか?」「そうだよ!」のようなやり取りで行数を消費するのも勿体ない。
 「気配を消す」ボケを、漫才の展開が行き詰った対処法として扱ってるようにしか見えなかったので、
 単純にもっと万遍なくボケを入れて欲しいです。
  
・うーむ…これは単純にボケ一つ一つがハマりませんでした…。
 気配を消すタイミングなど上手い部分も感じるんですけど、申し訳ない事にあまり笑いにはつながって無かったかなと。
 ジェネリックは面白かったです。ボケが来るボケが来るとは思いつつもこのズラし方にはやられました。
  
・核となっていた「気配を消す」を中心に、伝わりづらい雰囲気系のボケが多かったのが痛手でした。
 全体的に描写やボケの掘り下げが浅くて単発的になっており、せっかく面白くなり得るボケでも空回り気味だったと思います。
 そんな中、「ジェネリック」は意表をついた言葉で面白かったです。



No.044 オールナイトスター
娘さんを下さい
夜影:どうも、オールナイトスターです。

星白:この前、彼女のお父さんに結婚のご挨拶にいったんですけど上手くいかなかったんですよ。
   で、その時の話をするので、何がいけなかったのか教えてください。

夜影:わかったよ。

星白:まず、お父さんが店長として働いているスーパーに行ったんですよ。

夜影:職場で話すんだ。普通は家で話さない?

星白:そして、二人きりで話すために、敢えてお父さんの前で万引きをしたんですよ。

夜影:いや、もうその時点でゲームオーバーだろ!

星白:何で!?

夜影:いや何でって聞くまでもないだろ!お父さんの中でのお前の好感度がガタ落ちするからだよ!

星白:そうかなぁ・・・そしてお父さんにスーパーの一室に連れて行かれ、チャンス到来です!

夜影:その状況をチャンスと捉えられるってある意味才能だわ!

星白:そして私は開口一番こう言いました
   「娘さんを私に下さい」とね。
   しかし断られてしまったんですよ!何でだよ!勝算は十分すぎるほどあったのに!

夜影:硝酸ぶっかけるぞ!どこに勝算があるんだよ!

星白:だって僕の家族と彼女の家族は昔からの付き合いで、昔は一緒に旅行に行ったりとかもしたんですよ。

夜影:その仲もお前が万引きをしたことで終わりそうだよ!

星白:で、「娘さんをくれないなら少なくとも盗んだ商品を下さい」って言ったんですよ。

夜影:鬼図々しいなお前!ちなみに何を盗んだんだよ!?

星白:雑誌と酒とコンドームです。

夜影:お父さんがかわいそうでならないよ!コンドーム盗むとかお前正気か!?

星白:お父さんにも同じようなことを言われましたよ。
   だからいってやりましたよ。
   「安心してくださいお父さん。このコンドームは、娘さんと使うものでは有りません」ってね。

夜影:お前シャブでもやってんのか!?
   万引き犯でその上浮気までしてる最悪の物件が結婚できるわけねえだろ!

星白:確かにお父さんは全然結婚を許してくれませんでした。
   だから私は言ったんです
   「娘さんとの結婚を許してくれるまで、私はここを一歩も動きません!」

夜影:お前万引き犯なのに何でそんな強気のスタンスで居られるんだよ!

星白:そうしたら、お父さんがこんな話を聞かせてくれたんですよ
   「23年前、あるところに一人の女性が居たんだ。
   彼女は若くして結婚したが旦那がいわゆる典型的な仕事人間でな、
   毎日毎日、仕事ばかりで家に帰ってくることが少なかったんだ。
   そんな旦那を持ったもんだから彼女、凄く欲求不満だったんだ。
   そして隣にある男が住んでいた。その男も早くに結婚したが、妻が妊娠し、入院してしまったんだ。そして孤独になった。
   その女性と男が禁断の愛に落ちるまで、そう長くはかからなかった
   そしてその後女性は妊娠し、子供を産んだんだ。
   その子供は旦那の子なのか、はたまた男との間にできた子なのかはわからない。
   この話の男というのは俺のこと・・・そしてその子供というのが・・・お前なんだ」

夜影:ソイツはソイツでとんだゲス野郎だな!

星白:私、その話聞いて、思わずこう言ってしまいました!
   「娘さんを私に下さい!」とね!

夜影:心が1mmも揺らがないのなお前!

星白:コーヒーのCMで本田翼ちゃんが「ブレんなよ!」って言ってたのを思い出しまして・・・

夜影:・・・なんちゅうショボい理由だよ!
   ってかどう考えても結婚は無理だろ!お前とその彼女さん異母兄弟かもしれないんだよ!?

星白:それでも個人的にはアリです!

夜影:お前のメンタル鬼強えのな!ってか個人的にはアリでも多分法律的にはナシじゃない!?

星白:私別に法律とかそういうのいいから

夜影:お前がどうとかじゃなくて法律は守らなきゃダメなの!
   流石あっさり万引きするだけのことはあるなお前!

星白:でね、もう一度私お願いしたんですよ。
   「娘さんを私に下さい!あと万引きした商品も下さい!」ってね。

夜影:いい加減商品のことは諦めろよ!せめて娘さん一本で勝負しろよ!

星白:でも断られたんですけど、私は諦めません。

夜影:いや諦めろよ!諦め時だよ!

星白:夜影さん!9回裏のツーアウトまで、俺は諦めない男ですよ!

夜影:いやコールドゲームだわこんなん!異常に早く勝負付いたわ!

星白:でね、「お願いします!娘さんと商品を下さい!特にコンドームがほしいです!」
   ってもう一度お願いしたんですよ!

夜影:お父さんは多分ダントツでコンドームをあげたくないんだよ!

星白:でも、残念ながらお父さんはコンドームスメさんをくれなかったんですよねぇ・・・

夜影:略すんじゃねえよ!彼女と避妊具をセットにするんじゃねえ!

星白:それで最後に「次に来たときは必ずコンドームスメさんをいただきますからね!」って言ったんですよ。

夜影:早く弁護士雇っとけよ!

星白:でね、部屋を出ようとしたとき、すれ違いに一人の男が部屋に入ってきたんですけど、その男が
   「娘さんとお付き合いさせていただいてるものです。お父さん、娘さんを下さい!」
   とか言い始めたんですよ!

夜影:彼女も最悪の物件だったのかよ!もういいぜ!

二人:どうもありがとうございました!

予選総合第36位(2回戦敗退) オールナイトスター
審査員
点数
16 70 51 27 63 平均45.40
【審査員コメント】
・娘さんをくださいのゴリ押しっぷりが、逆に気持ちよかったです。心が一ミリも揺れない星白さんが面白かったです。
 ただ全体的に異様に中身が薄く、展開が早くて唐突だったので、もっと悠長に書いてほしかったです。
 例えばお父さんの話とかも一行に纏めるんじゃなくて、もっと行数を分散させて面白おかしく語った方が良かったと思います。
 勢いは十分ありますから、その勢いを失わずにもっと長い道を走ってみてください。
  
・「そして、二人きりで話すために、敢えてお父さんの前で万引きをしたんですよ」の部分が目立たないケド本当に上手い。
 コレだけで説明しきったキャラクターのスタンスを最後まで貫ける展開力は相変わらずスゴイですねぇ。
 導入と展開のブレなさが素晴らしくてすごく読みやすかったです。
 長文部分も多少つっかかりはしましたが、割とスラスラ頭に入れられた方だと思います。
 あとはもうちょいボリューム欲しかったですかね。
 読みやすさはモチロン基本的には面白さを倍増させるものですが、
 内容のちょっとした短さでも目立たせてしまうと言う副作用も持っているのでそこを意識してもらえるとさらに良かったかなと。
  
・すげー綺麗に話がまとまってた若干感動すらしてしまったが、漫才としては可もなく不可もない。
 「彼女も最悪の物件だったのかよ!!」は、今大会で一番輝いてたツッコミだと思う。
 行数がまだまだ不足しているので展開をあれこれを増やしてほしいところです。
  
・コンパクトにスパっと決めてきた感じはあるんですけど、やはりコンパクトすぎますよね。
 せっかく面白いので、もっと長く見たいという欲がどうしてもやはり強くなってしまいました。
 コンドームスメは腹抱えて笑いました。彼女と避妊具セットっていう表現がいいですね。
  
・設定の一部はかなりツボでした。「敢えてお父さんの前で万引きをしたんですよ。」てw
 その他「私別に法律とかそういうのいいから」など、フレーズ面ではなかなか神がかっていたと思います。
 ただやはり、ネタのボリューム面が気になりました。
 話の流れが少々「ダイジェスト」っぽかったので、同じ内容を1.5倍ぐらいの行数かけてゆったり書くぐらいの方が自然かもしれません。
 あるいは例えば、「お父さんの前で万引き」してから「スーパーの一室に連れて行かれ」るまでの間なんかも、描写しようと思えば描写できそうに思いました。



No.045 百鬼夜行
バンドたち
岩清水:はいどうも、百鬼夜行だよ。

利根川:どうも、きゃりーはむっはふっです。

岩清水:肉まん食ってるときのきゃりーぱみゅぱみゅみたいな奴でてきましたけども。ボケが荒いわお前。

利根川:いやね、こないだミスチル師匠のライブを見に行きましてね。いやぁ、超良かったですよ。感動しました。

岩清水:マジか。何だよすげえうらやましいじゃねえか。ミスチルに師匠つけるのはおかしいけどな。
    やっぱ長年J−POP界のトップを走り続けてるバンドだからね。

利根川:いや、そっちのミスチルじゃないんだけどね。何言ってるのかしらこの子、やぁねぇ。

岩清水:なんだよそっちのミスチルじゃないって。やぁねぇってどこのマダムだよお前は。
    ミスチルっつったらMrChildrenの事であってそれ以外の何でもないでしょうよ?
    
利根川:いやミスチルっつったらおとぼけ曲芸師の三須川散夫師匠に決まってんじゃん。

岩清水:誰や!?ミスカワ チルオ、略してミスチル!?いやどこのおっさんだよ!
    大体なんだよおとぼけ曲芸師って!

利根川:バカ!キャリア30年の大先輩に向かってなんて口の聞き方をっ!
    ほんとに知らんのか?「わて、曲芸師やけど、出来る曲芸おまへんねん。マジで。いやマジで!」でお馴染み、三須川散夫師匠だぞ?

岩清水:おとぼけとかじゃなくてただただ芸がないだけじゃねえか!なんだそのコッテコテの関西弁は!
    何も出来ないことを開き直りつつ逆ギレて!キャリア30年で何やってんだよ!

利根川:そりゃあマギー一門で培った話術があるだろ。

岩清水:マギー一門やった!?てかなんで手品師のとこに曲芸師が弟子入りしてんだよ!

利根川:マギー司郎師匠の「君はなんでいつも玉乗りの練習をしてるの?」の一言に激昂して司郎師匠の耳を噛み千切ろうとして破門になっちゃったんだけどな。

岩清水:とんでもねえサイコ野郎じゃねえか!耳噛み千切ろうとするとかマイクタイソン以来だわ!
    マギー司郎師匠もとんだとばっちりだわ!

利根川:まぁ、曲芸は出来ずとも、ミスチル師匠の軽妙なトークに満員御礼のZEPP TOKYOは爆笑の渦に包まれてたわ。

岩清水:集客力すげぇな!しかもZEPPてまた芸暦30年のベテラン芸人がやるような会場じゃねえよ!

利根川:お前が知らないだけでミスチルと言えば三須川師匠だっていう人がそれだけいるって事だよ。

岩清水:そうなのかなぁ。別に俺は芸の出来ない曲芸師に興味わかんけどなぁ。

利根川:あとね、今度はファンモンも見に行く予定なんだよね。

岩清水:マジ?ファンモンって、あのファンモン?

利根川:あのファンモンもクソもファンモンはファンモンだろ。
    6月に解散すんじゃん?最後の公演はどうしても見たいからちょっと知り合いの伝手を使ってチケット取ったんだよ。

岩清水:えぇ!?マジかよ!確かに6月で解散だもんな、ファンモン。
    えーいいなー、俺も行きてえわ。

利根川:悪ぃな。一応チケット2枚あるんだけどね。
    一枚は俺ので、もう一枚はちょっと気になってるバイト先の女の子を誘ったんだ。
    彼女もファンモンのすげえファンらしくてさ。

岩清水:なんだよそれ。そんなんされたら絶対女の子喜ぶじゃん。

利根川:岩清水。俺、ライブ終わりにその子、抱こうと思っている。

岩清水:お、おぉ・・・。

利根川:岩清水。俺、ライブ終わったらその子、理性が保てなくくらい、めちゃくちゃに抱いてやろうと思っているよ。

岩清水:お、おぉ・・・。好きにすればいいと思うけど・・・。なんの所信表明だよ・・・。
    でもいいなぁ、ファンキーモンキーベイビーズの解散ライブ行きたいわぁ・・・。

利根川:ファンキーモンキーベイビーズ????????

岩清水:すごい数の疑問符でた!え!?ファンキーモンキーベイビーズの話じゃなくて?

利根川:俺が言ってるのはファンク亭モン吉一座の解散公演の話だけど・・・。

岩清水:いやだからどこの誰だよ!?何?ファンク亭モン吉!?落語家!?

利根川:ファンク亭モン吉さんだよ。沼津ケーブルテレビが生んだスーパースターだよ。知らん?

岩清水:知らんな!むしろなぜお前は知ってんだよ!
    静岡の一都市のケーブルテレビのスーパースターてどんだけ規模の小さいスターだよ!鈍い輝きだよ!18等星くらいだわ!

利根川:お前「ファンク亭モン吉のモーニングファンク!」とか
    「ファンク亭モン吉のお昼だファンク!」とか「ファンク亭モン吉の今宵もファンクDEナイト!」とか見た事ねぇの?

岩清水:ひとつも知わんわ!ファンクファンクうっせえな!

利根川:「金曜ファンクでしょう」は?

岩清水:だから知らんて!つーか北海道の方からの影響をもろに受けとるやん!
    また水曜じゃなくて金曜日にやってるところが腹立つわ!

利根川:そんなファンク亭モン吉が座長として、お気に入りのスタッフたちを集めて結成したのがファンク亭モン吉一座だよ。
    北は熱海から南は伊豆まで、全国各地飛び回って熱演を繰り広げていたんだけどね。

岩清水:熱海〜伊豆間は全国とは言わんわ!静岡の温泉地巡ってただけじゃん!

利根川:そしてこの度の解散公演で静岡を飛び出して、最初で最後の東京公演をZEPP TOKYOで行うんだ。

岩清水:またもや!?なんでお前の好きなマイナータレントはやたらとZEPPで催したがるんだよ!
    それこそ絶対キャパ埋まらねえだろ。

利根川:お前、ファンクさんが構想に3年を費やした大作、「ファンク亭モン吉のファンク忠臣蔵」馬鹿にしてんのか?

岩清水:馬鹿にせざるをおえんわ!ほんと何にでもファンクつけやがって!

利根川:最後のファンクさんの台詞が超カッコいいんだよ。
    「お前ら、今宵もファンクな時間をありがとな!そんじゃ、バーイ、モンキュ☆」っつって。

岩清水:おいおい、身震いするほどクソだせぇじゃねえかよ・・・。風邪引くわ・・・。
    ていうかもう別にそいつら解散せんでいいから勝手にずっとやってろよ・・・。

利根川:無理だよ。ファンクさん、次回の都知事選への立候補を表明したからさ。

岩清水:血迷ったな!泡沫候補もいいとこだろ!マック赤坂の再来だわ!

利根川:「猪瀬には任せてらんねぇわ」っだって。

岩清水:お前にはもっと任せられんけどな。何を根拠に受かると思ったんだよ・・・。

利根川:まぁ劇団は解散っつっても、今後は息子のファンク亭ピョン輔が引き継ぐんだけどな。

岩清水:うわぁ、息子もそんなんやってんのかよ・・・。世界一しょうも無い二世タレントやん・・・。
    つーかなにより可哀想なのがお前のバイト先の女の子だよ。今頃なんも知らんとウッキウキしとるんだろうなぁ・・・。
    いざ会場について目にするのは知らないおじさんたちによって繰り広げられる寸劇だもんな。俺だったらショックで脱臼するわ。

利根川:いやでもファンクさんはタワシで擦りまくった中村雅俊みたいな顔でなかなか男前だぜ?

岩清水:例えが微妙すぎてなんとも言いがたいわ!中村雅俊をタワシで擦りまくる状況がねぇだろ!
    なんかあれだな、お前が見に行くライブとか舞台、マイナーすぎて逆にちょっと興味出てきたわ。
    なんか他にないの?ライブ見に行く予定のバンドとか。

利根川:バンドねぇ。俺わりと皆が聴くようなのしか聴かないしなぁ。

岩清水:うん大丈夫。今までの方向性からいくとその言葉に全然信憑性持てないから。なんか最近気になるバンドとかねぇの?

利根川:うーん。敢えて挙げるなら、ポリネシアンカンフージェネレーションかな。割ともうメジャーだけどな。

岩清水:大丈夫、全っ然メジャーじゃねえから!何!?何つった!?ポリネシアン!?

利根川:ポリネシアンカンフージェネレーション、通称ポリカンな。

岩清水:何だよその灯油入れる容器みたいな名前の奴!?え?アジカンじゃなくて!?

利根川:・・・アジ・・・・カン・・・・・???????

岩清水:そっか知らないのな!?アジアンカンフージェネレーションの方は知らないのな!?

利根川:何だよそれ、パクられてんじゃん・・・!

岩清水:いやむしろそちら側の可能性が大だわ!アジカンは2000年初頭くらいから活動してっからね!

利根川:そうなの?ポリカンもちょうどそのくらい結成だから、なんだただの偶然か。

岩清水:どんだ偶然だよ!まさかのカンフージェネレーション被り!?この奇跡にお前はもうちょっとリアクションしろ!
    まぁそういう事ならそれでいいけど、何?そのポリカンだっけ?どんなバンドなん?

利根川:うん、ヴォーカル担当のポリネシア人のモアナを中心とするエモーショナルロックバンドだよ。

岩清水:あぁやっぱメンバーはポリネシアの人なのな。

利根川:ヴォーカルだけね。他のメンバーは全員日本人だよ。
    ギターのケンジ、ベースの健二、ドラムのKEN Gの4人組。

岩清水:ボーカル以外全部けんじじゃねぇか!ややこしいわ!そこ何とかすべきだろ!

利根川:ファンは呼ぶときは「健二ー!あっ、漢字の方のー!」とか、「KEN Gー!いや、お前じゃなくてなくて英語の方ー!」とか区別して呼んでるけどな。

岩清水:めんどくさっ!話聞く限り呼んだメンバーじゃない奴が反応しちゃってんじゃん。まぁファンがそれで良しとしてるんなら良いんだろうけどさ。
    んでそのポリカンとやらはどんな曲出してんの?俺全然聴いたことないんだけど。

利根川:マジか。知らないか?ポリネシアンカンフージェネレーションの大ヒット曲、「タロイモ大好き」。

岩清水:曲名えげつないな!!ポリネシアンの色が濃すぎるわ!!

利根川:ポリコンチャート12週連続1位だぜ?

岩清水:ポリコンなのな!?ポリネシアンのポリなのかな!?
    そりゃそうだよねオリコンな訳ねえよな!だって聴いた事無いもん!

利根川:その12週前の週は82位だったんだけど、その前は初登場から9週続けて1位だったからね。

岩清水:むしろその12週前の週に何があったか気になるわ!何その急落下からのV字回復!
    こうなってくると俄然聴きたいわぁ!「タロイモ大好き」聴きたいわぁ!

利根川:まぁ基本インストゥルメンタルなんだけどね。

岩清水:嘘だろ!?ボーカルいるのに!?

利根川:ていうかポリカン自体基本インストバンドだからね。

岩清水:いやじゃあボーカルいらんやん!!

利根川:モアナは常に歌えそうな隙を探ってるんだけど、他の面々はそうはさせまいと楽器を掻き鳴らしてるよ。

岩清水:なんだよ隙を探って歌おうとするボーカルって!聞いた事ねぇよ!

利根川:その時モアナ泣いてるような笑ってるような顔をしているよ。

岩清水:恐らく泣いとるんだわ!異国の人やから顔のアクが強すぎるだけだわ!

利根川:他にも「ラヴ フォー キャッサバ」とか、「マーク・ハントに憧れて」とかいい曲は山ほどあるよ。

岩清水:いや曲名はすごいパンチがあってそそられるんだけどね!キャッサバて十数年ぶりに聞いたわ!
いやぁ、見たいわぁ、ポリネシアンカンフージェネレーション見たいわぁ。モアナに会いたいわぁ!

利根川:会えるぜ?会おうと思えば何時でも。日本じゃまだまだバンドだけじゃ飯食えないからスタッフとしてバイトしてるからな、モアナ。

岩清水:えっ?スタッフとして・・・?まさか・・・!

利根川:そう!ZEPP TOKYOでな!

岩清水:出たぁ!本日3度目のZEPP!

利根川:いろんな人が集うね、ZEPP!

岩清水:才能の集う場所、ZEPP!

   2人:皆おいでよ、ZEPP TOKYO〜(裏声)♪

利根川:・・・ご静聴有難うございました。

岩清水:いや、何だこれ!長々喋って結局ZEPPの宣伝で終わっちゃったよ!もういいわ!

予選総合第13位(準決勝敗退) 百鬼夜行
審査員
点数
62 32 93 95 83 平均73.00
【審査員コメント】
・ファンク亭モン吉一座とか固有名詞でここまで笑わされたのは初めてです。
 ただポリカンの所はそれまでの二つと比べると、インパクトが薄かったんでもっとバランスよくボケを繋げてほしかったです。
 それとZEEPTOKYO以外のボケも後の話に組み合わせれば、より強い印象を残す凄い作品になっていたと思います。
  
・略語の解釈って言う題材は持って来れる単語の自由度が高くて、字面で見せるには映えづらいです。
 音さえ当てはめられれば何でも持って来られるので、クリティカルな言葉選びにほとんどなれない。
 その上で本来の正解と比肩するだけのしっくり感をひねり出せなければ単語そのものは上手くハマらないです。
 ネタを進める上での拠点となる単語がそんな理由で惹き込まれない仕様になっているので、
 続けざまにそのハマってない単語を引きずった設定や展開を積んだ所で威力は半減以下になります。
 結果的に終始ダラダラとした流れだったという印象が残るだけでした。
  
・せざるをおえんわ!→せざるを得んわ!
 満足なボケが万遍なく散りばめられていました。やっぱ違うわ。
 ポリコンチャートでもう撃沈。
 オチは投げやりすぎて脱臼した。
  
・発想もそうなんですけど、言い回しと単語単語の破壊力が凄いですね
 「マジで。いやマジで!」や「俺、ライブ終わったらその子、理性が保てなくくらい、めちゃくちゃに抱いてやろうと思っているよ。」など、何気ないくだりも
 一つ一つに破壊力を伴っていて、大ボケ部分の威力も高く、とにかく面白かったです。
 上げていくとキリがないので一番好きな単語を上げると「ポリコンチャート」ですね。
 ちなみになんですけどファンモンに「モン吉」さんはいまっせ。
  
・ツッコミの腕がありますね。ボケを面白くしていると思います。
 構成もしっかりしていた良かったのですが、ちょっとガチガチで分かりやすすぎるネタという気もしました。
 突拍子もないボケがもう少しあっても良かったと思います。



No.046 kissしてシクラメン
はじめてのよるにそなえて
峰岸:どーもー、kissしてシクラメンでーす!

花笠:ハッハッハッ、恋はやめられない止まらない……かっぱえびせんと一緒さ! 花笠オトコマエだ!

峰岸:冒頭から意味わかんないこと言うの止めてくれないかな! 惚れちゃうんですけど!
   まぁね、屈強な女の子連れてきちゃって申し訳ないんですけどね!

花笠:ところで峰岸よ、私は男前のロリコンなんだが、君は?

峰岸:何だその突如とした告白! よくそのテンションで聞けるね!? あのごめん私ロリコンじゃないんだ!

花笠:そうか。いやー、君は知らなかったかもしれんが、私はあらゆる子供が好きなんだ。
   こども店長が出ているCMの車はだいたい購入したくらい好きだぞ!

峰岸:TOYOTA車を!? 何その無理のある幼児愛好バイタリティ! 破産しそう!

花笠:そんな私が最も好きなテレビ番組があってね。それが、おかあさんといっしょの「パジャマでおじゃま」なんだ。

峰岸:やっべえリアルな奴来た! 幼い少年少女の公開生着替え番組じゃん!

花笠:そんな訳で、峰岸よ。私がテレビの前の人やるから、峰岸は可愛らしい雛鳥をやってくれないだろうか。

峰岸:嫌過ぎる!! 今までお願いされたコントの中で群を抜いて嫌だよ!
   私が着替え始めたらそれはもう漫才じゃなくてポルノじゃねーか! そして雛鳥とか言うなよ! 怖い!

花笠:頼む! ……私がこれ程まで頭を下げても嫌と言うのかい……?

峰岸:ねえ土下座と上目遣いやめて!? 妙な罪悪感湧いて来るから!
   いやいやオトちゃん? もっと他のコントないの?
   私、相方が例え性倒錯者でも仲良くして行きたいと思ってるし、ここはお互い歩み寄って行きたいなあ!

花笠:そうか、では二番目に好きなテレビ番組があるんだが……。
   しかし、これはあまりにも破廉恥で、私も赤面してしまうんだ……。

峰岸:え、そ、そうなの? まあ、とりあえず怒らないから言ってごらんよ。

花笠:………………「はじめてのおつかい」なんだ。

峰岸:……ん? 今なんて?

花笠:だ、だから……はじめての、おつかい、なんだ。

峰岸:はじめての、おつかい?

花笠:キャッ!

峰岸:マジで!?

花笠:キャッ! キャッ!

峰岸:……全然わっからねえ……!!

花笠:キャッ!

峰岸:おいキャラ崩壊やめろ! イライラする! いや、あれって普通に微笑ましい番組じゃないの?

花笠:いや、何も知らない懸命な雛鳥達をカメラが物陰から捉えているというシチュエーションがな……。
   ……おおう、鼻血が出てしまう……!

峰岸:シチュ萌えなんだね……。いや、そうだね……はじめてのおつかいコントなら、やっても良いかな。

花笠:山が動いただと……!?

峰岸:大袈裟だな! じゃあ私子供やるからオトちゃんはナレーションとかお願いね。スタート!

花笠:こんばんは、はじめてのおつかいです。今日、おつかいに挑戦するのは峰岸喜久子ちゃん。
   果たしてちゃんとおつかいを成功させることができるのでしょうか。

峰岸:よーし、ママからお使いを頼まれたぞー! 頑張って私も立派なお姉さんになるんだー!

花笠:さて、その前の晩の喜久子ちゃん、パジャマを一人で着れるかな?

峰岸:パジャマでおじゃま始まってんじゃねーか! すこぶる嫌だって言ったの忘れてるなさてはー!

花笠:D・V・D! D・V・D!

峰岸:何のコールだよー!? よくわかんないよ怖いよー!
   だからさー、もう昼間だからパジャマには着替えないよ私はー。お買い物にいくんだからね!

花笠:元気に家を出た喜久子ちゃん。はじめてのおつかい、出来るかな?

峰岸:カレーの材料を買いにいくんだー! まずは八百屋さんでお野菜を買うよー! すいませーん!

花笠:ハッハッハッ! 私だ、男前の八百屋さんだぞ!

峰岸:うわっ、凄い既視感のある八百屋さん出て来た!

花笠:ははあ、君がテレビ局の人が言ってた喜久子ちゃんだな!

峰岸:それ絶対本人に知られちゃいけない奴!
   あーでも私純粋な子供だから言ってる意味わかんないなー! 理解出来ないなー!

花笠:いらっしゃい! 何を買うんだい?

峰岸:えーっとねー、カレーの材料を買いに来たんだよー!

花笠:そうか! ならばこの木の棒と新聞紙はどうだい? 安いぞ!

峰岸:ゴミだなー! いくら純粋な私でも、流石にそんな物買わないぞー!

花笠:この火打ち石も安いぞ!

峰岸:ゴミだ……さてはうちの火の回り舐められてんなー!? うちにはIHクッキングヒーターあるんだよー!
   にんじんと玉ねぎとじゃがいもを下さいなー!

花笠:そうか、はいどうぞ! 大きいの選んでおいたぞ!

峰岸:わー、男前な八百屋さんありがとー! はい、じゃあこれお金です!

花笠:うむ! あ、そうそう! お嬢ちゃん可愛いから、袋の中にオマケ入れといたぞ!

峰岸:えっホントー! うわー、ありがとー! 何入ってんのかなー。

花笠:ロウソクだぞ!

峰岸:いらないなー! どうしてずっと火を扱う文化が無いと思われてんのかなー! まあ一応貰ってくけどねー!

花笠:あと来月の十日に放送するらしいぞ!

峰岸:おいその口閉じなー! 私にも幼いなりに理解力あるんだからなー! じゃあねー!
   さてと、次はお肉屋さんでお肉を買わないといけないなー!

花笠:ハッハッハッ! 私だ、男前の紙芝居屋さんだぞ!

峰岸:うわ、また見覚えのある人が出て来た! って、紙芝居屋さん?

花笠:ハッハッハッ! 私はな! 番組ディレクターに言われてやって来た仕掛け人だぞ!

峰岸:うわー壊滅的な自己紹介始めだしたよー!
   どんな穢れを知らない幼女でも、そろそろこのおつかいのカラクリが分かる頃だよー!

花笠:それでは紙芝居の始まり始まりー!

峰岸:あ、いえ、ちょっ、私急いでますんでー! そのー! お使いの最中なんでー!

花笠:ええっ、そんな! 見て行ってくれ! 頼む! ……これだけお願いしても、嫌なのか……!?

峰岸:ねえ土下座と上目遣いやめてー!
   なんで男前ってすぐ土下座すんのー!? それにしても大人に土下座される感覚がこんなに気持ちのいいこととはねー!
   もー分かったよー少しだけだからねー。

花笠:おやおや、喜久子ちゃん。まだおつかいの途中なのに紙芝居を見始めてしまいました。大丈夫かなー?

峰岸:大人の本気の土下座を見てしまったからねー! 平然とナレーション当てられてて何か腹立つ!

花笠:それでは、紙芝居の始まり始まりー。

峰岸:わーい! 早めに終わらせろよー!

花笠:『ぐりとぐらと殿』。

峰岸:……知らない話だ!!

花笠:むかしむかし、あるところにぐりとぐらと言う野ねずみの双子と、織田信長がいました。

峰岸:完全に場違いな武将がいるぞー!

花笠:信長は「光秀めー」とロープで縛り上げたぐりとぐらの首を刎ねました。めでたしめでたし。

峰岸:うわーん! 何てもの見せるんだよー! 明智光秀の仇名が禿げネズミとかどの幼女が分かんだよー!
   馬鹿野郎ー! 劇画調の紙芝居の馬鹿野郎ー!

花笠:さあ、おつかいの続きに行っておいで。

峰岸:早く終わった以上のメリットの無いクソストーリーだったなー! じゃあねー!

花笠:あっ、ちょっと待つんだ! お嬢ちゃん可愛いから、プレゼントをあげるよ!

峰岸:えっ本当! わーい、何くれるのかなーお菓子かなー。

花笠:ロープだぞ!

峰岸:トラウマ再びー! 縛られてたぐりとぐらの恐怖にゆがんだ顔が脳裏にフラッシュバックだよー!
   仕方ないなー、貰っていくよー。さてとー、お肉とカレールーを買って来ないとなー。

花笠:おやおや、喜久子ちゃん。そっちじゃありませんよー。大変です、喜久子ちゃん道に迷ってしまいました。

峰岸:あれー、ここはどこかなー。道に迷っちゃったみたいだなー。やはり幼女の空間把握能力には限界があるなー。

花笠:ハッハッハッ、私だ! 男前の婦警さんだぞ!

峰岸:何なんだこの街はー! 男前が次から次へと矢継ぎ早に繰り出されるー! オトちゃんの演技力の底が知れるなー!

花笠:おやおや、可愛い雛鳥よ、どうしたんだい! 八百屋に行って紙芝居を見たあと肉屋に行く途中で道に迷ってしまったのかい!

峰岸:何で全行程知ってんだよー! 家からずっとつけて来たのかよー! そして雛鳥言い出したこいつペドフィリアだ怖いよー!

花笠:私が肉屋に連れて行ってあげよう! さあ、このこども店長から購入したパトカーに乗り込むが良い!

峰岸:えーんえーん! もう小児性愛者を告白しているようなものじゃないかー!
   そのパトカー、エコカー減税と補助金使って買ったのかよー!
   こんな奴の車に乗ったら何されるかわかんないよー!

花笠:逮捕……されたいぞ!

峰岸:うるさいよ! この幼さで公僕の恐ろしさを身をもって知るとはなー!
   と、とにかく道順だけ教えてもらえれば行けるんでー! なるべく私にかかわらないでいただけますかー!

花笠:そうか! ならば、今来たところを引き返して、左に曲がるんだ。後はこの地図通りにすれば分かるぞ!

峰岸:わあ、ありがとうございます! 良かったー、異常者だけど男前の良い婦警さんだったー!

花笠:あ、ちょっと待つんだ! お嬢ちゃん可愛いから、プレゼントをあげるぞ!

峰岸:わあ、うれしいなー! でもこの幼女に会ったらプレゼントをしてしまうこの町のシステムは狂ってると思うぞー! 何だろう!

花笠:手錠だぞ!

峰岸:逮捕されたいアピール止めろよー! やはり異常者だったよー! わーん!
   そして何だこれー!
   カレーの材料の他にロウソク、ロープ、手錠が揃ってしまったじゃねえかー! こんな不健全な結果になるとは思わなんだー!
   おもちゃ屋さんに立ち寄ってしまうどころか、大人のおもちゃ屋さんに立ち寄ってしまったと思われるー!
   よく見たらロウソク赤いしなー! 両親の悲しむ顔が目に浮かぶー! わーん! って、もう止めだ止め!
   オトちゃん! 私もうはじめてのおつかい無理だよ!

花笠:ええっ、リタイアか峰岸!
   そうか、ならばおつかいを成功させて美味しいカレーを食べた後の、就寝前のシーンだけやりたいんだが……。

峰岸:またパジャおじゃ始めようとしてる! もういい加減にしろ!

二人:ありがとうございましたー!


No.047 アッサムティーのほころび
鈴江:なぜ落語をやらないのか? 大友:今じゃないでしょ!
大友:どうも、アッサムティーのほころびです。よろしくお願いします。

鈴江:よろしくお願いします。大友ちゃん。私やりたいことがあるんだよね。

大友:そうなの鈴江ちゃん。何?

鈴江:落語。

大友:あー、鈴江ちゃん、この大会の名前何だったっけ?

鈴江:魚醤をめでる会。

大友:鈴江ちゃん。この大会醤油職人が集まってるわけじゃないんだよ。
   MM−1ね。何をする大会ですか?

鈴江:若い漁師と、棟梁がすったもんだの末永田町に乗り込んで大会を開きます。

大友:支離滅裂も度が過ぎてるよ。あのね、漫才の大会でしょ。

鈴江:へーそうなんだー。

大友:鈴江ちゃん、仮にも前回出場者なんだから理解したうえでやってるはずだよね?
   それとも前回本当に魚醤愛者の会合だと思ってたの?

鈴江:とりあえず、座布団は1枚没収ですか?

大友:しません!なんで笑点の大喜利になって・・・
   あれ?落語の話になりそうなペースに。

鈴江:しましょう!やりましょう!Let's Ochinese!

大友:いや日本語がJapaneseだからって落語がそんな英訳はされないでしょ!オチニーズって!

鈴江:でもね漫才やってる身とはいえね、いろんなことにチャレンジすることで
   新しい視点でネタを考えられるきっかけになると思うけど。

大友:まぁ・・・そうかもしれないけど。

鈴江:Let's Ochinese!

大友:分かったわ。でも約束して!
   外国人に絶対にこの言葉教えないでね!!

鈴江:じゃあさっそく。

   (バタンとマイクを倒す)

大友:いや何してんの!?スタンドマイク倒さないで!

鈴江:女「おまえさん!だいじょうぶかい?」
   (扇子をあおぎ、手ぬぐいでマイクをフキフキ)

大友:マイクを使うのやめなさい!!ちゃんとマイムでやりなって!
   手ぬぐい巻きつけるからスタンドマイクがとりもちみたいになってるじゃないの!!
   これじゃあ完全にモノボケだよ!落語なんだから語りでなんとかしなさい!

鈴江:わかったやり直す。ちゃんと演目やる。
   男「ああ、今日も大漁大漁。やっぱこいつはいい相棒だな!」
   (トリモチっぽくなったスタンドマイクを持ちながら)

大友:さっきの話聞いてた?

鈴江:女「アタシはどうも、ナマコがだめでねぇ・・・あのうねうねがね・・・
     おう!漁師のダンナ!アンタは何が怖いんだ?」

大友:ああ、「まんじゅう怖い」かな?

鈴江:男「実は俺、漁師なのに魚醤が怖いんだよ。」

大友:ちょっと待ってそれはオチ選んじゃダメでしょ!塩分過剰摂取で死んじゃうよ!!

鈴江:じゃあ・・・
   男「オチニーズが怖いんだよ・・・」

大友:だからオチニーズってなんなのよ!!造語を一人歩きさせないで!

鈴江:男「オチニーズのこと考えたら気持ち悪くなってきた・・・ちょっと家で横になるよ」
   女「ふっふっふあいつオチニーズが嫌いなのか。」
   
   その夜・・・
   女「へっへっへこれだけ大量のオチニーズを手に入れたぞ・・・
     これを、ばらまいてと・・・タイマーセット」

大友:時限式!?

鈴江:男「ん?・・・なんだ?ひゃぁあああ!オチニーズだあぁぁぁ!!」
   女「フェッフェッフェッ!困ってる困ってる・・・
     
大友:だんだん笑い方がゲスくなってるわね。

鈴江:女:ん?なんか静かになったわ?
     (ガラリ)あれ?オチニーズがない!?」
   男「あれ?どうした?」
   女「アンタこそ!オチニーズが嫌いって・・・あっ!アンタだましたね!?
     本当にお前の嫌いなものなんなんだよ!!」
   男「ああ、ここらで永田町が怖い」

大友:は!?

鈴江:男「このオチニーズを使って永田町に激震を起こそう!
     一緒にやってくれるか?姉御棟梁?」
   女「・・・おもしろそうね」
   今MM−1が怖い。

大友:だからMM−1はそういう大会じゃないの!!

鈴江:MM−1もこれで新しい視点から大会を・・・

大友:見られないよ!漫才は漫才!!
   ・
   ・
   ・
   ちょっと鈴江ちゃん!?
   MM−1めちゃくちゃにして何か言うことないの!?

鈴江:ここらで大友ちゃんが怖い。

大友:・・・おあとがよろしいようで///

予選総合第55位(1回戦敗退) アッサムティーのほころび
審査員
点数
24 17 18 21 40 平均24.00
【審査員コメント】
・大会をめちゃくちゃにすることよりも、自分の文章がめちゃくちゃになっていないかということに心配してください。
 本編の落語の話があんまり面白くなかったので、とりあえずもっと面白い題材を芯にしてネタを構成してみたほうが良いと思います。
  
・流石にココまで置いてけぼりにする要素をふんだんに使われると、
 どんな印象よりも混乱が勝ってしまって楽しむ余裕が残らないです。
 最初に提示したボケのスタンスが落語をやりたいと言うモノなのがすごく微妙で、
 漫才の大会でそれをやろうとしていると言う発想は理解できないまま残るし、
 かと言ってそれを放棄して読み進めようと思えるほど漫才から遠いブッ飛んだモノを持ってきているワケでもなく、
 違和感の塊でしかない題材になっていたのではないかと。
 なのでそれを主軸として展開を作って行っても言葉選びの威力は半減、
 字面だけで面白さを演出するタイプはまだある程度機能していましたが、
 内容を理解して情景を思い浮かべさせるタイプはそれを行うだけの体力が残らずほとんど受け取れなかったです。
  
・とりあえず、短い。勿体ない。
 始終2人だけで盛り上がってる感じでした。
 オチニーズがあまりはまらないのに、オチニーズボケが大半を占めてるのは非常に痛い。
 並びも悪かったですね。
  
・んー、物凄く物足りないですね。
 この発想は好きなので、これで後2展開くらい見たかったです。
 ボケ自体もオチニーズを引っ張り過ぎて、バリエーション不足かなと思いました。
 時限式など面白いボケもあるので、もっといろんな角度からのボケと展開を見たかったです。
  
・「まんじゅう怖い」のオチを知らないとほとんど楽しめないようになっているのがすごく勿体ないです。
 短い上に、軸とした「オチニーズ」と「まんじゅう怖い」があまり笑いに繋がらなかったのが痛手でした。
 舞台上で落語をやる、など根柢の発想自体はすごく良いと思うので、あとはいかに読み手を巻通じる形で提供できるか、ですね。



No.048 こけまみれコオロギ
勝負は時の運
○どうもーこけまみれコオロギです。よろしくお願いします。

★はぁ、最近ついてへんわー。

○あれ、なんか最近ついてなそうやけどどうしたん?

★ハンバーグの最後の一口は落とすし、そろそろかなーって思ってもシャワーはまだ水やし、
 目覚まし時計を買ってへんから寝坊したし、あとはえーっと…足は遅いし、えーっと…

○もうええ、その程度のことを羅列するな。だいたいお前が悪い。

★絶対、運がないわ。完全に俺の神様お盆休みやわ。

○神が仏教の行事で休むなよ。

★あっ、そういえばお前ってビンゴ好き?

○ビンゴ?えらい急やな。
 まぁ、ドキドキするし好きかも。

★今からビンゴするんやけど、人数足りんからやらん?

○今から?漫才中やのに。
 何人集まっとるん?

★暫定では俺だけ。

○2人でやるんかい!ちなみにそのビンゴの景品は何?

★1等当選者にはなんと6月が2回!

○勝手に暦の概念を覆すなや。

★1等当選者は12月の後にもう1回6月をお楽しみ頂けます。

○年越えさせてくれ。
 それにせめて国民の休日がある月をくれ。

★ちなみに二等はカレー。

○落差っ。

★3等はインドカレー。

○本場もっと頑張れよ。

★4等はグアムシチュー。

○それは何?でもなんか1番魅力感じるわ。

★5等は絶対に1等が当たるビンゴカード。

○高確率で世間の謹賀新年ムードに乗り遅れるけどせっかくやからやるか。

★よっしゃ!じゃあ俺はビンゴする人するからお前はビンゴカードやってくれ。

○待て待て待て。

★ん、何?

○僕がビンゴカードそのものをやるん?

★もしかしてビンゴカードって知らん?

○番号が書いてあって、出た番号のところをあけるやつのことやろ?

★なんや、知っとるやん。じゃあよろしく。

○「じゃあよろしく」ちゃうわ!
 せめて、ビンゴカードそのものをやるってどういうことか説明してくれ。

★ビンゴカードみたいに体に数字を書いて、引いた番号のところを俺にぶち抜かれるだけ。

○えっ?お前にぶち抜かれるん?

★クッキーの型で。

○クッキーの型で!?

★最初に中心の心臓をハート型にぶち抜いたところからがスタート。

○心臓ぶち抜かれて始められるか。 

★こういう苦しいことを経験しとくと、その後の人生で辛いことがあっても乗り越えられるってもんよ。

○その状況で後の人生のこと考えれんわ。

★諦めたらそこで試合終了ですよ。

○心臓ぶち抜かれた時点で人生終了や。

★斬新な発想で良いと思ったのに。

○その斬新さを僕のモラルで抑え込んでやるわ。

★やめろ!そんなことして何になる!?

○死なずに済む!

★お前の命で俺の「ビンゴがしたい」という欲求を満たせたらそれで満足ちゃう?

○そんなしょうもない欲求の為に死ねるか!
 僕の母ちゃんは引いた番号のところをお前にぶち抜いてもらう為に僕を産んだんじゃない。

★おかんは関係ない。お前はお前の人生や。

○そうかもしれんけど、もっと他の役に立ち方あるやん。
 ボランティアで恵まれない子供たちを救う人とか。

★クリリンのことかーーー!!!

○いや、全くクリリン関係無いし、もしクリリンのことやったとしても褒めよ。

★クリリン、すごい!クリリン、ありがとう!

○いや、実際のクリリンは慈善活動をしてへんから。
 てか、そこまで言うならお前がビンゴカードしろや。

★まぁ俺の場合は体をぶち抜かれてもすぐ再生するしな。

○中盤辺りに出てくる倒し辛い敵か!お前の体どうなっとるん?

★IPS細胞で再生する。

○ちゃんとした原理あるんかい。言うとくけどあれそんなすぐ再生できんからな。

★そういえばお前のビンゴは流派どこ?

○そんなん無いわ。

★もしかして独学!?

○しいて言えば独学。

★俺の師匠は甲賀流ビンゴ第6代目家元やから。

○そんな代々受け継ぐこともないやろ。

★師匠の甲賀流奥義極真十文字抜きって有名ちゃう?

○全然知らんけど、ビンゴかどうか確認する係の人を困らせそうな技やな。

★師匠にはビンゴに関して叱られてばかりやったけど、厳しい中にも優しさがある心の広い人やったわ。

○ビンゴしてる時に叱ってくる時点でだいぶ心狭いけど。

★でも、あの夏の祭の日、旅に出たきり師匠は戻ってこない。
 今もどこかで最後まで呼ばれることのなかった「16」を探し求めてる。

○お前の師匠、諦め悪いな。

★師匠が旅に出てからというもの、俺はビンゴの修行に明け暮れた。

○修行でどうこうならんやろ。引いた数字に従え。

★出た出た、ビンゴは運ゲーとか言うやつ。

○それ麻雀強い人とかが言うセリフや。
 最初、運がどうこう言うてたやつに言われたくないわ。

★良いか、ビンゴはなとても奥が深い。
 集中力、判断力、決断力、読み合い、駆け引き。

○んーーー、ない!

★俺は来る日も来る日もビンゴカードの数字をひたすらあけ続けた。

○何事も基礎は大事!

★そして、今の俺が完成した。もはやビンゴで負ける気がしない。

○いや、ビンゴは勝ち負けないから。

★それなら努力を積み重ねてきた俺と才能でここまできたお前、どっちが強いかはっきりさせてやるわ。
 勝負や!

○僕はビンゴカード役!

★そんなん知るか!神よ、我に力を。

○やめろ!お前の神様はお盆休み!

★うるせー、この際ハンバーグの最後一口の分もついでにー!

○弟子も諦め悪い!

★くらえ!甲賀流秘奥義、「真ん中のFreeをあける」!

○うわー、すごい普通っぽい秘奥義で殺されるの嫌やー!

★あっ、クッキーの型忘れた。ついてへん。

○もうええわ。

予選総合第12位(準決勝敗退) こけまみれコオロギ
審査員
点数
79 56 85 74 73 平均73.40
【審査員コメント】
・たぶん今大会でこのオチが一番好きです。「引いた数字に従え」とかよくこんな面白い言葉出てくるなと思いました。
 よくこんなのほほんとした空気を保ったまま、えげつないボケをぶち込められますね。諦めの悪い師匠でメッチャ笑いました。
 人間をビンゴに見立ててぶち抜くという絵面がどうも想像できなかったので、そこをもっと明確に表記してくれれば、ケチの付けようのない作品になると思います。
  
・話の本筋がしっかりしていなくて読みづらいです。
 ブッ飛ばした単語を持ってきても、
 それがどれだけブッ飛んでいるかを観えるようにするための基準地点となるメインストーリーが漠然としていて、
 その面白さがが目立たず本来の威力になっていないような印象がありました。
 ビンゴと言う話題に対して束縛条件の緩い選択で言葉を持って来ているのもそれを助長していましたし。
 それでも埋もれ切らないである程度の機能をする字面的面白さを持つ単語組み合わせが作れているのは舌を巻きましたが、
 それがもっとのびのびと発動できる雰囲気づくりが出来ていたらいいのになというカンジでした。
  
・終始ニヤニヤしながら読んだ。この世界観は常に在り続けてほしい。
 不条理極まりないボケと正論ツッコミ。
 下手な人がやると悲惨なことになるんですが、
 書き方が巧いので心地良いです。
 途中でマニアックなあるあるを持ってくるのも好き。
  
・これは、僕のボキャブラリーでは言い表せない面白さがありますな。
 ボケてツッコんでという必要最低限のくだりだけでどんどん進んで行くのでテンポが良く、内容の奇抜さを受け入れさせるにもっとも丁度いい形だと思います。
 終盤のオチに向けての猛ダッシュの様なスピード感も僕は好きでした。
 ボケがあっちこっち色んな方向に飛んで行っても最終的にはちゃんと戻ってきてくれるので見失うことなく安心して読めました。
  
・今回も独特の世界観を楽しませていただきました。
 「んーーー、ない!」というツッコミとその前のボケのセットが特に面白かったです。
 全体的にはちょっと弱めに感じたのでこの点数ですが、今回もしっかり独特の味を出せていたと思います。
 あと、2人ビンゴなのに3等以降もあるのがちょっと気になりました。間違っているというほどではないのですが。



No.049 ワイトラック
冠婚葬祭
光:どうも、ワイトラックです。

影:よろしくお願いします。先日、僕の従姉の結婚式がありまして。

光:へぇー、そうなんだ。おめでたいことだね。

影:で、まぁ僕も行ってきたんですけれど、いやぁ柄にもなく感動してしまいましたね。

光:おっ、良いじゃん良いじゃん。やっぱ人の幸せを目の当たりにすると心がほっこりするもんだよ。

影:本当に凄く感動して……あ、話は変わるんですけど、うちの爺ちゃんが死にました。

光:えぇー!は、話の落差!

影:しかもこれ結婚式の前日ですよ。

光:タイミング最悪すぎるでしょ!

影:おいおい結婚式の前に葬式かぁ〜、なんて親族で言い合っていたんですけども。

光:君の身内随分呑気だね!

影:実際問題ね、爺ちゃんが死んだとなると、これ当然喪中になるんですよ。
    ただ結婚式の予約は既にしてある、と。だからもう、仕方ないからやっちゃえ、ってなって。

光:そ、それって大丈夫なのかな!何かこう、宗教的な問題とか色々…。

影:我々も悩んだんですが「挙式は西洋式だよ」という叔父の意見に満場一致で乗る事にしました。

光:そういう問題でも無い気がする!

影:そうは言っても、爺ちゃんも従姉の結婚式は楽しみにしてたんですよ。
    だから爺ちゃんの魂が留まる内に、って事で、恐らく爺ちゃんも分かってくれたと思います。

光:いや……まぁ、親族が納得しているんなら、私がどうこう言う筋合いは無いけど…。

影:とにかくもう明日には結婚式なんで、葬式の方は軽くパパッと済ませようと…

光:こら!流石にお爺さん納得しないでしょそれは!

影:死に装束も用意が出来なかったので、その辺にあったバスローブを使って。

光:ちょっと似てるけど駄目だよ!

影:通夜の方も時間が無さ過ぎる、との事で、とりあえず爺ちゃんを一晩寝かせて。

光:何でそんなカレーみたいな言い方を!

影:その後は来る結婚式に向けての打ち合わせをしたんですけれど…

光:お爺さん放ったらかしで!?結婚式もそりゃ大事だろうけど!

影:打ち合わせに時間がかかっちゃって、ほとんど徹夜になっちゃって。
    で、朝になって居間に行ったら、何かバスローブ来た御老体が横たわってて…

光:本当にそのまま放置してたのか!せめて布団に寝させるなりあるでしょう!

影:あの時は肝が冷えました。まぁ爺ちゃんは肝以外も冷え切ってるんですけれども。

光:やめなよそういう事言うの!

影:準備も終わっているので、早速結婚式に向かいまして…

光:だからお爺さん放ったらかしにしちゃ駄目だよ!

影:大丈夫です、ちゃんと式場に連れて行きました。

光:いや、それはそれでまずいでしょ色々と!

影:車に乗せるスペースが無かったので、仕方なくトランクに入れて。

光:場所と相まって最悪の選択だよそれ!

影:流石に式場に持っていくわけにもいかないのでね、とりあえずトランクに入れたままにしておきましたけど。

光:だからちょいちょい放置するのやめなって!

影:式場に入ると、もう殆どの人が集まってましたね。親戚は勿論、従姉の友人、学校の恩師、会社の同僚に上司など。

光:本当だったらそこにお爺さんも居たのにね…。こんなことになって、こんな扱いになるなんて…。

影:ただ一番驚いたのは、全く呼んだ覚えの無い人物が何食わぬ顔で席に座っていたことですかね。

光:え?何それ、何か怖いんだけど…。

影:呼んだ覚えが無い、と言うよりも、来れるはずの無い人物ですかね。
  信じられないかもしれませんが、恐らくあれは霊です。

光:……いや、ちょっとまって君…

影:完全に半透明でしたから間違いないです。見た目はごく普通の老人、と言った感じでしたかね。ただ服装はバスローブでした。

光:それもうお爺さんだよ、君の家の!律儀にバスローブ着ちゃってるし!

影:生前、あれだけ楽しみにしていた結婚式なので、化けてまで参加したい気持ちは分かります。
    しかし、我々としては、霊が参加している結婚式など気持ち悪くて仕方がないのもまた事実。

光:なんて事言うんだよ!扱いが酷すぎるでしょ!

影:確かにあんまりな扱いだったと思います。
  なので急遽、結婚式と同時に爺ちゃんの葬式もすることになって。

光:それで何か解決すんの!?結婚式と同時ってなんだ!

影:まず新郎新婦入場。BGMは結婚行進曲の代わりに般若心経。

光:葬式要素が強すぎ!嫌でしょお経バックに入場する新郎新婦!

影:どこに置けば良いか分からなかったので、一応新郎新婦の前に爺ちゃんを寝かせて。

光:完全に主役食っちゃったよ!言っちゃ悪いけど邪魔!

影:いよいよ式の開宴ですよ。ただその前に1分間の黙祷ね。

光:どんだけ盛り下がるオープニングなんだよ!

影:続きまして主賓の挨拶。代表で新婦のお父様が務めました。
  このお父様、僕にとっての叔父さんですが、爺ちゃんの実の息子なんですけれども。

光:その人は自分の父親の扱いについてどう思ってたんだろう…。

影:結婚生活に必要な「3つの袋」の話をしていましたね。
  「えー、3つの袋が大切などと言います。給料袋、胃袋、玉袋!違うか、ガハハ!」なんつって。

光:この状況でよくボケてきたな!

影:完全に滑ってましたけどね。空気が冷たかったです。

光:そりゃそうなるよ!空気読めてないにも程があるよね!

影:まぁ冷たいと言えば爺ちゃんも…

光:だからそういうの言わなくていいから!

影:その流れで喪主の挨拶に移りまして。

光:本当につつがなく進行しようとするね!感心すら覚えるよ。

影:喪主も先程と同じく叔父さんが務めて下さいました。

光:多分その人に任せちゃ駄目だと思うけど!

影:「生前、父がよく口にしておりました、人生に大切な3つの袋と言うものがあります」

光:何で滑ったネタを被せにきたんだよ!空気読めてないどころの話じゃないよもう!

影:「いえ、私は真面目です、被せるなんてそんな……、まぁコッチの方は普段は被ってますが、って違うか、ガハハ!」

光:いよいよ頭おかしいんじゃないのその人!

影:若干ですが、爺ちゃんの温度が上がったような気がしました。

光:霊も憤るほどのつまらなさ!

影:挨拶の後、叔父さんが急にぶっ倒れて会場が騒然としましたが…。

光:何が起きたんだよ!続々と問題起こすなその叔父さん!

影:爺ちゃんの周りに何となく黒いオーラが纏って見えたんですが、何か関係あるんでしょうかね。

光:呪い的な何かな気がしてならないよ!

影:さぁ、その後はいよいよケーキ入刀、同時に全員で焼香。

光:夫婦で初めての共同作業が台無し!

影:親族一体となった共同作業でもありますからね。

光:お焼香をそんな風に捉えた事無いけども!

影:メインイベントも無事終わりまして、ここからは祝宴の時間です。
    皆で乾杯!そして合掌!

光:テンションのアップダウンが物凄い!盛り上がるべきなのか厳かにするべきなのか!

影:この間に新郎新婦はお色直しですね。
    お色直しと言うか、まぁ喪服に着替えてもらったんですけども。

光:本格的に葬式に移行するのか!結婚式中止にした方が良かったでしょこれ!

影:勿論ご来賓の方々もお色直しをしまして、次は新郎新婦によるキャンドルサービスでした。
    キャンドルと、ついでに線香にもサービスしていただいて。

光:最早普通にロウソクだねそれは!線香サービスなんて言葉初めて聞いたよ!

影:ここで新婦からご両親への感謝の手紙、これには感動しましたね。
    「お父さん、お母さん、今まで育ててくれて本当に感謝しています」

光:あぁ、確かに定番だけど、そういうのには感動するよね。

影:「いつもわがままを聞いてくれたね、優しくしてくれてありがとう。大好きだったよ、お爺ちゃん」

光:ターゲット変わっちゃったよ!ある意味では今日一番の主役かもしれないけど!

影:さぁ、いよいよ式もフィナーレ、最後は盛大にライスシャワーですよ。

光:今まで散々だったから最後くらいは盛り上がろう!

影:まぁ米じゃなくて塩を撒いたんですけどね。

光:清めの塩か!最後まで葬式要素が勝っちゃったよ!

影:新婦の投げたブーケを追うと、爺ちゃんが微笑みながら昇って行くのが見えました。

光:何を綺麗に締めようとしてんだよ!

影:…爺ちゃん、喜んでくれたかな。

光:もういい加減にして!

影:ありがとうございました。


No.050 飴細工が壊れた
こんにちは
A:飴細工が壊れました。
B:よろしくお願いします。
A:僕は店員をやります。
B:僕は客をやります。

A:いらっしゃいませ。
B:すみません、ちょっとお尋ねしてもよろしいですか。
A:ああこれはおみやげのワニに噛まれたんですよ。
B:その傷に関する質問じゃないです。
A:ではなんでしょうか。
B:ここって森久美子のゴースト置いてますか。
A:ごめんなさい森久美子のゴーストは全部売れちゃったんですよ。
B:そうなんですか。
A:あ、もしかして、もうすぐクリスマスだから。
B:ええ、まぁ。
A:赤い服を着ているんですか。
B:いや違います。
A:血、ケガ、彫刻刀、図工の横田先生、えりんぎ昇竜拳。
B:連想ゲームですか。
A:チョモランマごっこです。
B:クリスマスに子どもにプレゼントしようと思ってたんですよ。
A:えっ何をプレゼントするんですか?グーフィーのルールブック?
B:森久美子のゴーストです。
A:あぁ、ようやく点と点が繋がりましたって顔を今からお見せします。
B:いいです別に。
A:でも森久美子のゴーストでかいから靴下に入りませんよ。
B:四次元靴下なら購入済みです。
A:用意周到なところ恐縮ですが、森久美子のゴーストは、もう。
B:売れちゃったんですよね。
A:僕が持ってる森久美子のゴーストでよければ差し上げましょうか。
B:幸せになれるタイツ履いてきてよかったです。
A:ちょっと汚れてますけど。
B:いいです、いいです、味があって。
A:バグとかありますけど。
B:それバージョンいくつですか。
A:5です。
B:このタイツ嘘ですね。
A:それはもしかして、いらないってことですか。
B:はい、最新の森久美子のゴーストがいいんです。
A:正直なあなたには金のシャボン玉をあげます。
B:割れちゃいましたよ?
A:それが多世界解釈です。
B:クリスマスまでに森久美子のゴーストって入荷しますか。
A:難しいですね。
B:そうですか。
A:あれは僕と印象派のおじさんが手を取り合わないと入荷しないんです。
B:それは難しいことなんですか。
A:もうおじさんは輪廻から外れてしまいました。
B:どういうことでしょうか。
A:最後に見た光景はおじさんがチューブタイプの肉まんを食べてるところです。
B:なにそれすごくおいしくなさそう。
A:それと僕が生まれたときお父さんキノの旅に夢中でした。
B:今どうして個人的なエピソードを言ったんですか。
A:あなたの意識が肉まんにいっている気がして。
B:戻ってきて欲しかったんですね。
A:僕一人で森久美子のゴーストつくれます。
B:急にどうしたんですか。
A:僕やれます。
B:おそらく今のあなたの目は新入社員と同じ目です。
A:右手で森久美子の概念をこねます。
B:小麦粉はここです。
A:ありがとうございますちっとも使いません。
B:ごめんなさい素人が攻めてしまいました。
A:今だから言いますけど僕の肩はグリム童話で出来てるんですよ。
B:集中して下さい概念がこぼれ落ちそうです。
A:落としても洗えば大丈夫です。
B:そういうところにも気を遣えるとまた違ってくると思います。
A:えっとそれでここをこうしてあ失敗しました。
B:流れるようにミスしましたね。
A:今から僕はあなたの操り人形になります。
B:そういう償いの仕方は嫌いです。
A:でももう森久美子の概念の在庫がありません。
B:困りましたね、そのミスは取り返しがつかないんですか?
A:ええ、先ほどの森久美子の概念はこの通り洋楽になってしまいました。
B:それ聞けるんですか?
A:ドクロのiPodがないと無理ですね。
B:残念です。
A:あと一歩なんですけどね森久美子のゴーストまで。
B:え、森久美子のゴーストの一歩手前は洋楽なんですか?
A:そんな気がしません?
B:急なポジティブやめてもらえますか。
A:僕の肩がどんでん返しで出来てれば完成できたはずです。
B:グリム童話の限界を初めて見ました。
A:ていうか向かいの店に普通に森久美子のゴースト置いてるんですけどね。
B:いい加減にしろ。

予選総合第51位(1回戦敗退) 飴細工が壊れた
審査員
点数
 0  3 52 25 53 平均26.60
【審査員コメント】
・相撲取りは野球場で相撲を取ることは出来ないじゃないですか。今そんな気持ちです。どんな物にも適材適所というものがあります。
 漫画にして販売してください。三冊は絶対に買います。
  
・まぁ理解できないモノは面白くないというのは大前提なワケですよ。
 ワケわかんないモノが面白いのはワケわかんないと言いながらなんとなく理解できる部分が存在するからです。
 理解する意識を持たなくても面白い字面とかも、無意識レベルで行われる軽めの理解によるしっくり感があるから。
 応答に噛み合いがなさ過ぎて、連想経路も伝わってこないのはまず面白いと言う現象に行きつかない。
 コレは調整点しかあげられないですね。
  
・ちょっと汚れてる森久美子のゴーストに味があるって何だよ。
 新入社員と同じ目とか、素人が攻めたとか、いちいち表現が面白い。
 オチは、こういう世界観なら「向かいは森久美子のゴースト屋なんですけどね」みたいな方が良かったかもしれないです。
 物足りないのは仕様ですね。
  
・この理不尽極まりないやり取りは嫌いではないのですが、世界観が理解できませんでした。
 「素人が攻めてしまいました」など、単体でも笑える部分はありましたが、全体の流れとして
 分かりづらいという感情が先行しました。
 しかしこの唯一無二の感覚は、何作か作っていくうちに一個バシっとハマる瞬間があるとゴボウ抜きなんてこともあるのかもしれません。
  
・意味不明系の割にはしっかりした構成で、個人的には読めば読むほどハマってしまったのですが、
 それにしても、もう少しだけ理解の追いつきやすいレベルになっていればなぁ…とは思いました。