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031 グルグル 032 バタフライマフィン 033 ガンバラナイズ 034 言霊連盟 035 ENDGREEN 036 さんさんごーごー


Rゲート
No.031 グルグル
いぇいいぇいいぇ〜〜〜〜〜い!!!!!!
鯖人:どうも!オカルト大好きサバト君です!
   二度の飯より黒魔術が大好き!
   え?三度の飯じゃないのかって?
   だって僕、朝ごはんは抜くタイプだからー!

   今日は魔法陣描いて悪魔を呼び出して漫才しちゃうぞ!
   漫才ができるなら魂と引き換えになっても構わないんだい!
   でもお客さんに被害がでちゃいけないからこの漫才は
   僕の部屋から生中継しちゃいまーす!

   さ、というわけでここに悪魔を呼び出せる
   魔法陣の書き方を示した本があります!
   どうやらオオカミの血をつけたトカゲのしっぽで
   描く必要があるそうです!

   その魔法陣を描いた床がこちら!
   ってもう描いてあるんか〜〜〜い!
   料理番組やないか〜〜〜い!

   ってなわけで!
   呪文唱えちゃいま〜〜〜〜す!

   ええ〜〜〜い!いっくぞ〜〜!

   エコエコアザラクエコエコアザラク
   光の届かぬ闇の底にうご

悪魔:ゴゴゴゴゴ
   フハハハハハハハ!
   我を呼んだのは貴様か!

鯖人:早ぇえー!早ぇえー!早ぇえーよー!!!!
   まだガンガン呪文唱えてただろ!
   ちゃんと唱え終わってから出て来いよ!

悪魔:貴様の願いはな

鯖人:待て待て待て〜!
   話を勝手に進めるな〜〜〜!
   こっちはちゃんと呪文唱えるとこからやりたいんだよ!
   一回魔法陣の向こうに帰れ!

悪魔:しかしせっかく出てきたのだから

鯖人:せっかくじゃね〜よ!
   お前は良くてもこっちの準備ができてないの!
   女の子といいムードになってから脱がせたいのに
   いきなり脱がれたら興ざめしちゃうことってあるじゃん!
   ない?え?ない?
   じゃあどっちでもいい!!!!
   ほら帰って帰って!

悪魔:ゴゴゴゴゴ

鯖人:ちゃんと帰っていった!
   悪魔のくせにものわかりがいい!
   いい奴いい奴!
   じゃ、もっかい呪文唱えちゃいま〜〜〜〜す!

   ええ〜〜〜い!いっくぞ〜〜!

   エコエコアザラクエコエコアザラク
   光の届かぬ闇の底にうごめく悪魔の魂よ
   サタンの名において我と契約しここに姿を現したまえ!

悪魔:ガチャ!
   フハハハハハハハ!
   我を呼んだのは貴様か!

鯖人:魔法陣から来てよ〜〜〜!
   なんでドアから来ちゃったんだよ〜〜!
   僕の母ちゃんびっくりしてなかった?
   って僕は実家の二階で悪魔呼び出してたんか〜〜〜い!

悪魔:貴様の願いはな

鯖人:せっかちせっかち〜!
   僕はちゃんと魔法陣から出てきた悪魔と話がしたいの!
   一回帰ってくださ〜〜〜い!

悪魔:ゴゴゴゴゴ、あ、ゴゴゴゴゴ、バタン

鯖人:いや魔法陣から帰ろうとしたけど
   ドアから入ってきたこと思い出してちゃんとドアから帰るな〜〜〜〜!
   悪魔のくせに律儀なやつ〜〜!
   じゃ、またまた呪文唱えちゃいますぞよ〜〜〜〜!

   ええ〜〜〜い!いっくぞ〜〜!

   エコエコアザラクエコエコアザラク
   光の届かぬ闇の底にうごめく悪魔の魂よ
   サタンの名において我と契約しここに姿を現したまえ!

悪魔:いってくるね?!
   ゴゴゴゴゴ
   フハハハハハハハ!
   我を呼んだのは貴様か!

鯖人:プライベートを見せるな〜〜〜〜!
   魔法陣の向こうでいってらっしゃいって言われてるじゃん!
   そういうプライベートは見せないでよ〜!

悪魔:貴様の願いはなんだ?

鯖人:君がちゃんと魔法陣から出てきてくれることだよ〜!

悪魔:承知した!

鯖人:ダメダメダメ〜〜〜!
   願いを叶えるために呼び出してるのに
   呼び出したことが願いを叶えてしまう
   パラドックスが起きちゃうじゃ〜〜〜ん!
   今のは願いにカウントしないで一回帰って下さ〜〜〜い!

悪魔:ゴゴゴゴゴ
   ただいま〜!

鯖人:だからプライベート見せるなって〜〜〜!
   でも!ああやって待ってくれている人がいる悪魔って
   なんだかんだきっといい奴なんだろうね!
   じゃ、じゅもとな(呪文を唱えるの略だよ!)
   いっちゃいま〜〜〜〜す!

   ええ〜〜〜い!いっくぞ〜〜!

   エコエコアザラクエコエコアザラク
   光の届かぬ闇の底にうごめく悪魔の魂よ
   サタンの名において我と契約しここに姿を現したまえ!

悪魔:グスングスン
   我を呼んだのは貴様か!

鯖人:何があったんだ〜〜〜〜!
   魔法陣の向こうで何が起こったんだ〜〜〜〜!
   僕はもう君が悪魔だけど律儀でいいやつだって知ってんだ!
   君を泣かせるやつは僕が許さないぞ!

悪魔:ありがとう、でも自分の力で乗り越えてみせるよ
   ゴゴゴゴゴ
   さっきの話だけどさ

鯖人:いい奴すぎてうまく周囲に甘えられない悪魔〜〜〜〜!
   もっと僕を頼ってくれていいのに〜〜〜!
   そして絶対に魔法陣の向こうで見送ってくれた人と
   トラブルになっている〜〜〜〜!
   僕が何回も呼出しちゃったからかな!?
   それだと申し訳ないな!

   でも!向こうの事情はどうあれ、
   こっちは悪魔呼び出して漫才したいんだから
   呼んじゃっていいよね!
   悪魔を呼び出そうとする人間なんて
   性根が腐ってるんだから仕方ないよね!

   じゅもとなだ〜〜〜い!
   ええ〜〜い!いっくぞ〜〜!

   エコエコアザラクエコエコアザラク
   光の届かぬ闇の底にうごめく悪魔の魂よ
   サタンの名において我と契約しここに姿を現したまえ!

悪魔:ゴゴゴゴゴ
   フハハハハハハハ!
   我を呼んだのは貴様か!

彼女:ゴゴゴゴゴ
   あなたが彼を呼び出しまくってるわけ!?

鯖人:彼女を連れてくるな〜〜〜!

彼女:ちょっと呼ぶなら呼ぶ!
   呼ばないなら呼ばないではっきりしてくれない?

悪魔:いやそれは俺の呼び出され方が悪かったんだから

鯖人:魔法陣の向こうでモメてくれ〜〜〜!
   ややこしいからいったん帰れ〜〜〜!

悪魔:ゴゴゴゴゴ

彼女:もう〜またそうやって逃げる〜!
   魔法陣一つでも先に彼女を通らせるとか
   もっとレディファーストの心を持ってほしいわ
   ねぇ、そう思わない?

鯖人:・・・・
   いや彼女だけ残るな〜〜〜!
   なんで悪魔の彼女と二人きりになんなきゃいけないんだ〜〜〜〜!

彼女:でもね、あの人ああ見えていい所もあるのよ
   日曜にはお弁当を作ってくれるし、
   一生懸命働いてくれるし、
   なにより、いつもアタシのことをかわいいって褒めてくれるのよ?

鯖人:・・・・
   これは何の時間だ〜〜〜!
   悪魔の彼女に悪魔の良い所を聞かされる時間
   ただの地獄じゃ〜〜〜〜ん!
   こりゃかなわん!早くじゅもとなだ〜!

   ええ〜〜い!いっくぞ〜〜!

   エコエコアザラクエコエコアザラク
   光の届かぬ闇の底にうごめく悪魔の魂よ
   サタンの名において我と契約しここに姿を現したまえ!

彼女:あ、ヤバ、こっち側で出てくる所を見るの初めてかも!

鯖人:いやドキドキすな〜〜〜〜!

悪魔:ゴゴゴゴゴ
   フハハハハハハハハ!
   俺の女に手を出してるのは貴様か!

鯖人:出してねーやーーーーーーい!
   そっちが勝手に彼女を置いていったんだろ!

彼女:そうよそうよ!
   ちゃんとアタシのこと、
   引っ張っていってくれなきゃダメじゃん!

悪魔:・・・そ
   ・・・そ
   ・・・それが彼氏に向かって言うことかーーーー!!!!!

鯖人:デレを見抜かんか〜〜〜〜〜い!!!
   普段はあたしがガミガミ言ってばかりだけど
   本当はもっと引っ張ってって欲しいと
   思っているデレを見抜かんか〜い!

悪魔:もうお前のことなど知らん!
   ゴゴゴゴゴ!

彼女:なんでわかってくれないのよ!
   ちょっと戻ってきなさいよ!

   エコエコアザラクエコエコアザラク
   光の届かぬ闇の底にうごめく悪魔の魂よ
   サタンの名において我と契約しここに姿を現したまえ!

鯖人:いや君が呼び出すんか〜〜〜〜〜〜い!!!!!

元彼:ゴゴゴゴゴ
   サ、サキュちゃん!

彼女:あっくん!

鯖人:いや元彼の悪魔呼んじゃうな〜〜〜〜〜〜!!!!!

元彼:俺さ、お前と別れてから気がついたんだ
   俺が本当に必要としてんの、サキュちゃんだってこと!

彼女:何よ今さら
   アタシはもう他の悪魔と付き合ってんだから!
   今の彼氏はアンタと違ってすっごくやさしいんだから!
   アンタと違って休みの日はアタシとの時間を大切にしてくれるし
   アンタと違ってアタシのこと褒めてくれるし
   アンタと違って・・・アタシが・・引っ張っていく方だし・・・

鯖人:引っ張って欲しい気持ちは
   元彼の影を追っていたからなんか〜〜〜い!
   気持ちは完全に元彼の方にあるやないか〜〜〜い!

元彼:俺とやりなおそうぜ?

彼女:でも・・・

鯖人:お!やばいやばい!これは悪魔を呼ばないと
   彼女が奪われちゃうぞ!
   じゅもとなじゅもとな!

   ええ〜〜い!いっくぞ〜〜!

   エコエコアザラクエコエコアザラク
   光の届かぬ闇の底にうごめく悪魔の魂よ
   サタンの名において我と契約しここに姿を現したまえ!

元彼:こっち向けよ!

彼女:んっちょっ!やめ!

悪魔:フハハハハハ
   迎えに来たよ!
   さあいこう!って彼女が唇奪われとったい!
   これはどういうことですと!?

鯖人:イエ〜!地獄タイミング〜〜〜〜!
   悪魔がびっくりして方言でちゃってる!
   出身が博多の悪魔〜〜〜!

彼女:違う違う!今の唇触れてないから!それに無理やりだったし!

元彼:サキュちゃんは黙ってて

悪魔:気安く名前を呼ぶなよ

元彼:うるせぇ、お前こそいつまでも彼氏ヅラしてんじゃねぇよ

悪魔:はあ!?何言ってやがる!
   サキュを捨てたやつがいまさらしゃしゃりでてくんじゃねぇ!
   死ね!ファイヤーレクイエム!

元彼:ふざけるな!サンダーエクストリーム!

彼女:やめてよ!アイスダイヤモンド!

鯖人:きっれー!!!!色の三原色だ!
   でも、これ、間違いなく僕死んじゃうよね!
   まだ死にたくないな〜!
   結局漫才もできてないしな!
   そうだ!魔法陣使えば逃げられるんじゃね!
   それ〜〜〜〜〜!

   ゴゴゴゴゴ

   ふう〜助かった、これが魔法陣の向こう側か〜
   へぇ〜、悪魔の奴、いい部屋住んでるんだな
   ん?こっちの部屋なんだろ?

   ガラガラガラ

司会:いやーこれは悪魔と元彼、かなり激しい戦いになってますね
   そろそろ止めに行きますか?

鯖人:モニタリングされてたんか〜〜〜〜い!
   アクマ観察バラエティ「モニタリング」で
   召喚先で彼女が元彼と良い雰囲気になってたら
   どういうリアクションとるか観察されてたんか〜〜〜い!

AD:ちょっとなんだお前は!収録の邪魔だぞ!

鯖人:やっべ〜!みつかっちゃった!

AD:死ね!カンペクライシス!

鯖人:ひゃー!ただカンペで殴るだけの術!!!!
   あ!あそこにも魔法陣がある!
   これで助かるかも!

   ゴゴゴゴゴ

   ふぅ〜、助かった、でもここどこだろう?

鯖子:早い!早い!早いよー!!!!
   まだガンガン呪文唱えてたじゃない!!
   ちゃんと唱え終わってから出て来てよ!

鯖人:うぉ〜〜〜〜〜!
   おそらく全てが逆になっている世界線の僕〜〜〜!
   ちょっと元の世界に戻れる魔法陣描きたいから
   オオカミの血ととかげのしっぽ貸してくれ!

鯖子:何言ってるの!魔法陣はオオカミの精液と
   とかげのおちんちんで描くんでしょ!

鯖人:卑猥な世界線だった〜〜〜〜!
   それでもいいから貸してくれ!

鯖子:そう思って描いていたものがこちらです!

鯖人:料理番組やないか〜〜〜〜い!
   ありがとう!別の世界線の僕〜〜〜!
   よ〜し、元の世界へ帰るぞ〜!
   それ〜〜〜〜!

   ゴゴゴゴゴ

   お!ここは間違いなく僕の部屋だ!

悪魔:お帰り!

鯖人:お!悪魔じゃん!
   彼女とは仲直りしたの?

悪魔:別れたよ、その方がお互いの為になるからね
   大丈夫、別にもうふっきれてるから!
   さ、漫才しよう!
   貴様の願いは悪魔を呼び出して漫才することなんだろ?

鯖人:悪魔・・・・

悪魔:さ、始めよう
   どーもー!悪魔と鯖人で鯖タンです!
   いやー最近僕彼女に振られちゃいましてね
   鯖人君、いい女の子紹介してくれない?
   
   理想はボンキュッボンのダイナマイトボディ!
   おっぱいが三つあるぐらいのね!
   ってそりゃおっぱいケルベロスじゃないか〜!

鯖人:もういいよ!

悪魔:早いな!
   まだ1ボケしかしてないだろ!
   これじゃ終われないよ!

鯖人:もういいんだ!

悪魔:どうしたんだ鯖人?

鯖人:僕の願いは漫才をすることじゃない
   悪魔に・・・
   いや・・・君に・・・
   いや・・・俺の友達に幸せな恋をしてもらうことだよ

悪魔:鯖人!
   ・・・ありがとう

鯖人:うん

悪魔:じゃ、引き換えに魂いただくね

鯖人:いやこの流れでもキッチリ願いと引き換えに魂奪うんか〜〜〜〜〜い!
   どっひゃ〜〜〜〜!
   死んできま〜〜〜〜す!
   ありがと〜〜ございました〜〜〜!


Rゲート
No.032 バタフライマフィン
一人暮らし
いるか:どうも、先ほども申し上げた通りバタフライマフィンです。

菜々子:申し上げてないよ!?みんな初耳だから!

いるか:(にやにや)

菜々子:何にやにやしてるのさ!きちんと漫才やろうよ!

いるか:ふふふ、そうね。

菜々子:大事な漫才を披露する場面だからね!”一番”を目指して頑張ろう!

いるか:一番・・・?

菜々子:いいじゃん!一番!頂上一緒に目指そうよ!

いるか:そうだね、私”完璧主義”だからしっかり漫才やってみせる!

菜々子:それは頼もしいね!それじゃあ頼もしいついでに1つ相談してみようかな!

いるか:相談?

菜々子:ゥチさ、最近一人暮らしを始めたんだけど、いろいろと困ってる事があるんだよね。

いるか:そうなんだ。

菜々子:いるかちゃんは一人暮らししてるみたいだからさ、一人暮らしの先輩としていろいろとアドバイスを聞きたいんだよね。

いるか:確かに私は一人暮らし、”何度も”経験してるからね。

菜々子:あんまり回数で表現するものでもないような気がするけど・・・

いるか:菜々子ちゃんは例えばどんな事で困ってるの?

菜々子:例えばまだ何にどれだけお金がかかるのかよくわかってないから、贅沢ができないんだよね。
    大好きなチョコレートもガマンの日々だよ・・・

いるか:それならチョコレートを半分に割って、半分だけ食べましょう!
    もう半分は食べない限りなくならないんだから、それをお部屋に飾って眺めて暮らせば完璧よ!

菜々子:やだよそんな変なインテリア!
    第一チョコレートは食べたいわけであって手元に残しておきたいわけじゃないんだよ!

いるか:そうなのね。

菜々子:他にもさ、実家にペットのネコちゃんがいたんだけど、新しいおうちがペット禁止で、たま〜にネコちゃんが恋しい時があるんだよね〜

いるか:そんな時はさ、近所の野良ネコちゃんに寂しい気持ちを癒してもらったらいいじゃない!

菜々子:まぁ、その辺歩いてれば野良ネコくらいはいるだろうけど・・・

いるか:菜々子ちゃんの大好きなチョコレートをいっぱい食べさせてあげて、餌付けも完璧よ!

菜々子:死んじゃうんだよ!ネコちゃんにチョコレートみたいな刺激物なんて与えたら!

いるか:でも、せっかく菜々子ちゃんはチョコレートが好きな所が良い所なんだしさ、好きなものは好きな子と共有したい気持ちって誰しもあるじゃない。

菜々子:していいものとダメなものがあるんだよ!
    お相撲観るのが好きな女性を土俵に上げないでしょ!?

いるか:???

菜々子:ピンと来ない例えをしちゃったのはゴメン!

いるか:他には困ってる事ないの?何回でも聞いてあげるから!

菜々子:しつこく繰り返さないよ!個数で言えばまだあるけどさ・・・
    ゥチ実家にスポーツバイクがあるんだけど、新しいおうちに駐輪場がなくて、趣味のサイクリングも引っ越してからあんまりできてないんだよね。

いるか:スポーツバイクってさ、たま〜に分解して専用のカバンに入れて持ち運んでる人を電車の中とかでも見かけるじゃない。
    菜々子ちゃんも自転車を分解して運んだらどうかな・・・?そのままおうちの中にしまっておけば場所も取らないだろうし。

菜々子:なるほどその手があった!ようやく完璧な意見を出してくれたよ!

いるか:「バラバラにしちゃえば一緒にいられる」 好きになった男性と一緒だから!

菜々子:一緒じゃないよ!さっきからさ、好きなものに対する愛情が全部歪んでない?
    1つ残らず愛情表現が怖いのよ!

いるか:そうかなぁ・・・?

菜々子:そうだよ!そんなんで学生時代とか友達いたの・・・?

いるか:いたわよ!高校時代なんて、入学式の日に学年中の人に片っ端から何度も話しかけて、ようやく見つけた私の事わかってくれそうな人と3年間仲良くしたから!

菜々子:執念が凄いよ!
    友達ってそんな必死になって作るもんじゃないじゃん!

いるか:でも、その子は私が頑張って友達になったからこそ、一緒にいて楽しかったの。
    遊ぶにしても勉強をするにしても、時間を忘れるくらい一緒に素敵な時間を共有したのよ。

菜々子:なんか重たいよ〜。それだけ友達を大事にするのも悪い事じゃないんだろうけどさ〜。

いるか:その子と一緒に勉強する時間があったからこそ、高校時代は成績優秀だったんだけどね。

菜々子:遊びも勉強も充実してたなんて、高校生の頃も完璧を目指してたんだ〜。

いるか:道徳と倫理の単位落としたの以外は完璧だったから!

菜々子:特に落としちゃダメな教科だよ!他が完璧でもそこが抜けてたらすべてがパァだからさ!

いるか:毎日無遅刻無欠席で、出席日数は皆勤賞だったのになぁ・・・

菜々子:出席率が完璧って事は純粋に中身の出来なさで落とされてるじゃん!ヤバすぎるって!
    てかさ、そんなに学生時代ずぅ〜っと一緒にいた友達なのにさ、ゥチその子の話初めて聞いたんだけど。

いるか:初めてじゃないんだけどなぁ〜

菜々子:ゥチがちゃんと覚えてないだけなのかなぁ〜・・・?

いるか:ずぅ〜っと一緒にいたって言っても、なにもその子との思い出が全部なわけでもないからさ。

菜々子:そんなもんかぁ〜。ちなみにその子さぁ、今も連絡とか取ったりするの?

いるか:その子は・・・、どうしちゃったんだっけかなぁ・・・

菜々子:なんで忘れられるのよ!子どもの頃熱中したおもちゃを現在しまってる場所を聞かれた時の返答だよそれは!

いるか:???

菜々子:さっきから例えがハマってないのはゴメン!

いるか:まぁでもさ、今の私には菜々子ちゃんがいるからいいのよ!

菜々子:感情無いの!?ゥチがいつかその子の立場になってしまう日が来るのが怖いんだけど・・・

いるか:大丈夫だよ!来ないようにするからさ!

菜々子:なんかもうその「さじ加減一つでどうにでもできます感」が怖いんだって!

いるか:菜々子ちゃんもその子も「チョコレートが好き」っていう共通点があるからさ、だから好きなんだよ。

菜々子:嫌な好かれ方だなぁ!なんか初めて言われた気がしないけどムッとするなぁ〜。
    てかさ、なんで一番仲良かった友達の事忘れちゃえるのさ!一番一緒にいる時間が長かったんでしょ?一番大事だったんでしょ!?

いるか:私の前であんまり「一番」「一番」って言うのやめて!
    少年院で「一番」と呼ばれていた頃を思い出すから!

菜々子:本っっっ当にヤバい子だったー!!

いるか:私実は、高校時代ちょっとだけ少年院にいた事もあったのよ・・・

菜々子:衝撃の過去だよ!

いるか:私もさすがにヤバいと思って、すぐに元の高校生活に戻ったんだけどね。

菜々子:何が怖いって、高校時代に学校の授業が皆勤賞だったのに少年院にいた事もあるっていう「つじつまの合ってない所」が一番怖いよ!

いるか:一番じゃないよ。

菜々子:あ、ごめん!「最も」!「最も」怖いよ!
    細かい言い回しのミスだけなのに、こんなんでいるかちゃんの逆鱗に触れでもして地獄みたいな目に遭ったりしたらやってらんないよ!

いるか:??? 地獄???

菜々子:なんでこんなシンプルな例えもピンと来てないのさ!?いつになったらピンとくる例えが言えるんだろう・・・。
    てかさ、ゥチせっかく悩み事を相談したのにいるかちゃんのヤバさが凄すぎて何にも解決してないよ!

いるか:ごめんごめん!  こんな私だけど、これからも一緒に漫才してくれる?

菜々子:いや、もういいよ!

いるか:嫌だ!終わりたくない!

菜々子:なに言ってるの!終わりのツッコミを入れたんだからこのネタはおしまいだよ。

いるか:終わらない!もっと菜々子ちゃんと漫才する!

菜々子:いるかちゃん・・・?今日なんかずっと変だよ?

いるか:そんな事ない!私、ずっと菜々子ちゃんと漫才がしたい!

(いるかの頭上の空間が裂け全てが空間の裂け目に飲み込まれていく)

菜々子:えっ!?なにこれ!?

いるか:菜々子ちゃん、もう一度漫才やろ?(にっこり)

菜々子:キャーッ!!

(全てが空間の裂け目に飲み込まれていく。菜々子も、いるかも、センターマイクも、舞台も、)





























(そしてこのネタを見ているあなたも・・・、)






























いるか:どうも、”先ほども申し上げた通り”バタフライマフィンです。

菜々子:申し上げてないよ!?みんな初耳だから!

いるか:(菜々子ちゃんと漫才を始める前まで時間を巻き戻してタイムリープを発生させる。これで私は菜々子ちゃんと一緒に永遠に漫才ができるのよ・・・)

菜々子:何にやにやしてるのさ!きちんと漫才やろうよ!

いるか:ふふふ、そうね。(ずっと一緒に漫才しようね、完璧に漫才できるまで、大好きなこの時間を共有しようね・・・)


予選総合第26位(2回戦敗退) バタフライマフィン
審査員
点数
64 57 46 72 50 55 得点57.33
【審査員コメント】
・みんなループ好きすぎません?やっぱループとギャルは嫌いな人いませんもんね。
 終始不穏で狂気を孕んだボケがたまりませんね。例えが全然ハマらないところも単純に面白かったです。
 ツカミのボケの真意がループに繋がってるオチも上手いですし、構成に並々ならぬこだわりを感じた秀作でした。
 ただ、ループオチのための伏線の仕込みにより単純にボケの種類が減ってしまっているように思えます。
 「”何度も”」「ゥチがちゃんと覚えてないだけ」などはループの示唆だけの役割で笑いにイマイチ繋がらない部分だったので
 「皆勤賞なのに少年院」のように、単体として成立しつつループをほのめかすようなボケがもっと欲しかったかなと。
 あと本当にこれはバタフライマフィンさんは悪くないんですが、今大会だと「ループしていること」自体がオチだと物足りなく感じてしまいました。
 唯一無二の恐怖感で差別化は出来ていたんですが、ループに加えて更なるギミックがあればなお盛り上がったかと。
   
・序盤からずっと伏線っぽい感じで、どこまで伏線でどこまでがボケなのか考えてしまうネタでした。
 結構すごいなーと思う部分もあるんですけど、伏線感丸出しだったのでもうちょっと巧みな回収を期待してしまいました。
   
・ちゃんと怖いな!!
 ネタ全体の構造とかバラシとかにお笑いを巻き込めていればかなりよかったと思います。
   
・終盤の急展開までのやり取りが生き生きとしていて面白かったです。
 とはいえ最後がこのネタの山場・見どころだと考えると、そういう意味ではあまりはまらなかったかもしれません。
   
・ネタ中に説明のない部分も含めて、序盤だけじゃなくてボケがタイムリープにリンクしているっていう仕掛けなんですかね?皆勤賞の世界、少年院の世界、別世界の菜々子と三年間仲良くした世界とか。
 だとしたら読み物として何度も読み直して楽しめる面はあるかもしれないですが、漫才としての面白みはあまり感じなかったですね。
 ボケにきっちりパンチ力があって、かつタイムリープの伏線であれば一番良かったんですが、あ、すみません、最も良かったんですが、なかなか評価が難しいですね。
   
・まさかのループもの…… なるほどとは思いつつ、もう一歩お笑い側に踏み込まれているとなお良かったですね。
 「例えが分かりにくい」がいまいち馴染んでないのも惜しかったです。
 

Rゲート
No.033 ガンバラナイズ
廃病院に行った話
小村:どうもガンバラナイズです!がんばっていきましょう!

五竹:幽霊といったら怖い話なんだけどさ、

小村:幽霊どっから出て来たんだよ!?それが怖えよ!!
   まあじゃあ怖い話するのな。

五竹:学生時代のことなんだけど、友達と4人で近くの廃病院に行こうって話になってな。
   俺、高橋、坂本、吉田の、通称仲良しクインテットでさ。

小村:クインテットなら一人足りてねえな!4はカルテットだよ!

五竹:で夜になってさ、集合場所の廃病院前に着いたんだけど、誰もいないだよ!

小村:現地集合なのな。集まってるかどうかはタイミングによると思うけどさ。

五竹:30分も早く来たのにだぞ!?

小村:だからだよ!!早いほど人いないシステムなんだよ!!

五竹:29分前になっても誰も来ず、28分前になっても誰も来ず、

小村:刻むね!?

五竹:27分前になっても誰も来ず、26分前になっても誰も来ず、

小村:いや刻むね!?よーいスタートからそんな刻むことなかなか無いよ!?

五竹:で結局集合時間に皆揃ったんだけどさ、

小村:急に進んだし普通に揃った!!開始4分の描写何だったんだよ!!

五竹:その日はそれで怖くなっちゃってさ、今日は入るの止めないかって話になって、

小村:何もしてねえだろ!!一人で早く来て勝手に疲れてんじゃねえよ!!

五竹:高橋も見たいテレビあるって言うし、

小村:録画しろ!

五竹:坂本も彼女の誕生日プレゼント考えたいって言うし、

小村:時間の合間で考えろ!

五竹:結局その日は解散したんだよ。

小村:いやなんでだよ!!意志薄いな!!

五竹:で次の日、リベンジに今日も廃病院に行こうってなってな。

小村:あれで解散したらさすがにな。

五竹:で廃病院前に着いたんだけどさ・・・誰もいないんだよ!

小村:いやだからタイミング次第なんだよ!!全員同時に来ないから待ち合わせてんだろ!!

五竹:30分も早く来たのにだぞ!?

小村:いや一緒!!一日前と一緒!!学んで!!

五竹:29分前になっても誰も来ず、28分前になっても誰も来ず、

小村:この刻みも一緒!!一日前の記憶がないのか!?

五竹:27分30秒前になっても誰も来ず、

小村:より刻んでんじゃねえよ!!

五竹:で結局集合時間に皆揃ったんだけどさ。

小村:だからなんで急に飛んで揃うんだよ!!開始直後の刻みスポット何なんだよ!!

五竹:もうそれで怖くなっちゃってさ、今日は入るの止めないかって話になって、

小村:だから昨日もそうだったよね!?免疫付いたよね!?

五竹:高橋も見たいテレビあるって言うし、

小村:高橋はテレビっ子なんだな!!?

五竹:坂本も彼女の誕生日プレゼント考えたいって言うし、

小村:昨日考える時間あっただろ!!坂本は優柔不断かな!!?

五竹:結局その日は解散したんだよ。

小村:突入しろよ!!全くおんなじ!!誰も学んでねえ!!

五竹:でまあ、そんな日が一ヵ月ほど続いてさ、

小村:いや続いたな!?1回で学習しなければ30回でも学習しねえんだな!?

五竹:「今日こそは!」と思ってさ、

小村:二日目に思えよ!!惰性で30回繰り返してんじゃねえよ!!

五竹:いつも通り集合場所に着いたんだけどさ・・・誰もいないんだよ!

小村:いつも通りだからじゃねえのかな!!?

五竹:10秒待っても!20秒待っても!30秒待っても!

小村:刻み力だけ上がってんじゃねえよ!!

五竹:30秒とゼロコンマ1秒待っても!!

小村:刻み力だけ上がってんじぇねえってんだよ!!

五竹:で結局集合時間に皆揃ったんだけどさ。

小村:いやだから急に飛んで何事もなく揃うシステム何なの!!

五竹:もうそれで怖くなっちゃってさ、今日は入るの止めないかって話になって、

小村:「今日こそは!」って何なんだろうな!!

五竹:高橋も見たいテレビあるって言うし、

小村:お前はもうテレビを持ち歩け!!

五竹:坂本も彼女の誕生日プレゼント考えたいって言うし、

小村:彼女誕生日いつだよ!!どれだけ前から考えてんだよ!!彼女幸せ者かよ!!

五竹:結局その日は解散したんだよ。

小村:そろそろ吉田の気持ち考えようか!!!1ヵ月健気に付き合ってくれてる吉田の気持ち考えようか!!!
   「今日こそは!」の力も微塵も発揮できてねえしよ!!

五竹:で、そんな日がまた半年ほど続いてさ、

小村:前に進めないなら「やめる」という選択肢は出ないものなのかな!!?

五竹:「今日こそは!」と思ってさ、

小村:さっきダメだったやつだよ!!「今日こそは!」含めて惰性になっちゃってんなあ!?

五竹:気合入れていつもより早く集合場所に着いたんだけどさ・・・誰もいないんだよ!

小村:よりいねえわな!!自然の摂理なんだよな!!

五竹:17秒待っても!34秒待っても!51秒待っても!

小村:急な17秒刻み何!?

五竹:68秒待っても!えーっと、85秒待っても!えー、97・・・102秒待っても!

小村:自分で持ち出したシステムに苦しんでんじゃねえよ!!

五竹:で結局集合時間に皆揃ったんだけどさ。

小村:安心の場面展観!

五竹:もうそれで怖くなっちゃってさ、今日は入るの止めないかって話になって、

小村:早く来た分よりそうなるわな!!

五竹:高橋も見たい録画あるって言うし、

小村:いや見たいテレビ無い日あった!?千載一遇の突入チャンスじゃねえか!!

五竹:坂本も彼女の来年の誕生日プレゼント考えたいって言うし、

小村:いや来年に移行してる!!まだまだ先だしこれは突入のチャンスだろ!!

五竹:吉田も熱が40℃あるって言うし、

小村:ここに来てのダークホース吉田!!いやもうすぐ帰れよ!!来る前から無理だろそれは!!

五竹:今日こそ突入しないかって話にもなりかけたんだけど、高橋がどうしてもってことで、結局その日は解散したんだよ。

小村:高橋お前じゃねえだろ!!!まず40℃超えがいて突入になりかけるなよ!!!今こそ即時解散だろ!!!

五竹:で、そんな日が何年か続いてさ、

小村:もう足踏みの量がえぐい!!!怖いパート全然突入しねえな!!!

五竹:「今日は無理だな!」と思ってさ、

小村:じゃあ無理なんじゃねえかな!!むしろそっちの方が行けるかもしれなかったりすんのかな!!?

五竹:でなんやかんや無理で結局その日は解散したんだよ。

小村:予想以上に普通に無理だった!!期待する暇すら与えてくれなかった!!

五竹:っていうのが昨日の話。

小村:え、昨日!?現在進行形で続いてんの!?

五竹:で今日もこの後廃病院行くんだ。

小村:じゃあ今日は突入できるといいな!!無理だろうけどな!!

五竹:今日こそ昔病気で亡くなった木下に会って、仲良しクインテットが皆揃うといいな・・・

小村:・・・え?

五竹:っていう・・・オチ、どうかなって・・・

小村:いや最後ちょっと怖い感出てたのにいい感じに終わるの下手かよ!!もう、いい加減にしろ!!

2人:どうもありがとうございました。


Rゲート
No.034 言霊連盟
医者
槍沢:はいどうもよろしくお願いします。言霊連盟です。

栃城:ちょっと相談がありまして。医者になりたいんですよね。

槍沢:お医者さんに?

栃城:でも、今から医学部を目指して勉強して……っていうのも難しいじゃないですか。

槍沢:まあ、時間はかかるでしょうね。

栃城:だから無免許で医者になろうかなと。

槍沢:どんな解決策だよ!

栃城:タイムマシンがあったらよかったんだけれどね。タイムマシンと無免許だったら絶対タイムマシン選んでるもん!

槍沢:どんな二択だよ。

栃城:そんなわけで無免許でなることにしたんですよ。

槍沢:なったとは言わないからな。

栃城:で、医者で一番大変なのって手術だと思うんですよ。
   相談っていうのは槍沢さんに練習台になってもらえないかってことでして。

槍沢:絶対に嫌だよ! 無免許の手術ってただの猟奇犯罪だからな!

栃城:別にメスとかは使いませんよ。

槍沢:手術なのに?

栃城:俺の言う手術は壷の中に水を入れて飲んでもらうことだから。

槍沢:インチキ療法じゃねえか!

栃城:いくら医者とはいえ、メス使って手術したら傷害罪とか下手すりゃ殺人になるわけでしょ。俺、罪犯したくないもん。

槍沢:別の罪犯しているよ! 身分査証とか薬事法とかそういう類いの罪業を!

栃城:いくら医者とはいえね。医者とはいえ。

槍沢:とはいえじゃねえんだよ。さっきから医者ぶるなよ。インチキな民間療法やってるだけだろ。

栃城:これからの時代、民泊もあるし医療も民間に任せるべきでしょ。

槍沢:一緒にするなよ。どうせ、この水を飲めばガンが治るとか言うんだろ?

栃城:いやいやいや……。ガンは治らない!

槍沢:わかってるんだよ!

栃城:水飲むだけでガンが治るわけないでしょ! そんな期待されても困るからね。

槍沢:期待じゃねえよ。危惧で言ってるんだよ。

栃城:そもそもガンは俺の担当ではないし。

槍沢:なんの担当でもないだろ。じゃあ、あなたなんの専門医になるつもりなんですか?

栃城:精神科だよ。

槍沢:マジでやめろ! 一番やっちゃいけない分野だろ!

栃城:免許はなくても医者であろうという精神があるんだから、これは精神科でしょ。

槍沢:そういう意味じゃねえよ精神科って! じゃあ、医者はみんな精神科だよ!

栃城:そこから始まって各々の道に進むんだろ。

槍沢:デフォルトのジョブじゃないんだよ!

栃城:それで今から手術の練習をさせてほしいんですよ。

槍沢:練習ってなにするんですか?

栃城:俺が壺から出した水を渡すからそれを飲んでほしいんだよ。

槍沢:水? ああ、わかったよ。飲むよ!

栃城:ありがとう!

槍沢:なぜならこの話を今すぐに終わらせたいからね!

栃城:「これから手術を始めます。この水を飲んでください」

槍沢:(おざなりに水を飲むマイム)「ゴクゴク」

栃城:よし! これで大丈夫だ!

槍沢:なにが不安だったんだよ! たかがこれだけのやり取りに!

栃城:ちゃんと俺の言葉を信じて飲んでくれるか不安だったんだよ。

槍沢:じゃあ、無意味だよ! そこをやりたくなくて適当にやったんだから!

栃城:どこにクリニックを開業しようかな。

槍沢:明るい未来図を描くな!

栃城:これからは精神科医として頑張るぞ!

槍沢:いい加減にしろよ! 勝手に精神科医を名乗るって……。
   どうせ、この水を飲めば心の病が治るとか言うんだろ!

栃城:いやいやいや……。心の病は治らない!

槍沢:だからわかってるんだよ! ただの水だからな!

栃城:言っておくがな、俺の水ではガンも治らないし心の病にも効果はない!

槍沢:じゃあ、なんになら効くんだよ。お前の医療行為は!

栃城:俺の水を飲むことで水分補給ができます!

槍沢:水素水と同じ医療効果!

栃城:水分が不足している人に飲ませる手術をしていくんだよ。

槍沢:手術とは言わないよ! じゃあ、熱中症になった人に飲ませるわけ?

栃城:熱中症だからといって、飲ませればいいってもんでもないよ。

槍沢:なんでだよ! 水分補給できるんだろ!

栃城:水分も大事だけれど、本当に熱中症になったら塩分も摂らないと。
   水だけたくさん飲んでも体内のバランス崩れちゃうから経口補水液とかを飲んだほうがいいんだよ。
   水だけ飲んで安心しちゃダメ!

槍沢:案外、ちゃんとしてんだな!

栃城:当然だろ! 医者なんだぞ!

槍沢:だから医者ぶるなよ!
   ていうか、水飲ませるにしても、壺ってなんだよ壺って! それひとつで恐ろしく胡散臭くなってるけれども。

栃城:ペットボトルでできたでっかい壺があるだろ?

槍沢:ねえよ! 素焼きのペットボトルとかねえだろ!

栃城:ペットボトルの壺を機械にセットするのよ。

槍沢:機械?

栃城:ああ、逆さにした壺を乗せて、蛇口にコップを押し当てたら水が出てくる専用の機械があるんだよ。

槍沢:ウォーターサーバーじゃねえかよ!

栃城:あれ、そんな名前なんだ!

槍沢:知らなかったのかよ!

栃城:とにかく、そのウォーターサーバーで水を配る医者になるわけですけれども。

槍沢:医者じゃないよ! ウォーターサーバーの試供の人だよ!

栃城:どこで開業しようかなと……。

槍沢:大きな電気屋さんの中でやれよ! ウォーターサーバーの試供の人なんだからさ!

栃城:なるほど! じゃあ、さっそく電気屋さんへ交渉に……。

槍沢:行くなよ! 医者ですなんて言っても門前払い食らうから!
   そもそもさ、なんで医者になりたいとか思ったの?

栃城:今日はさ、こうやって将来について相談させてもらっているけれど、普段はステージの上でお笑いやってるわけじゃん。

槍沢:今日もお笑いやりたかったよ。こんな変な相談じゃなくてな!

栃城:どういうお笑いがやりたいか考えたらさ、世界に通用するお笑いだなって思ってさ。
   だって、お笑いに国境ってないじゃん。もちろん言語とか文化の壁はあるよ。
   でも、人を楽しませたいって気持ちや楽しいって気持ちに国境はないわけだし。

槍沢:はあ……。

栃城:それで、国境のない笑いを作るには同じように国境のないものから学ぶべきだって考えてさ。
   で、国境ないものっていったら国境なき医師団だなって。

槍沢:なんでだよ! 国境のなさのジャンルが別だろ!

栃城:だから医者になりたいなって。

槍沢:はじめて見たよ連想ゲーム式の初心の忘れ方!

栃城:だから今後は医者として、世界各地の水道が整っていない地域にウォーターサーバーで綺麗な水を届けていこうかなと。

槍沢:あれ? 行動自体は間違ってない。

栃城:でも、俺一人でできることには限りがあるからそういう団体に募金していこうかなと。

槍沢:できる範囲で頑張っている! これで医者と名乗らなければ!

栃城:そうやって世界に少しずつ笑顔が増えるよう医者として頑張りたいんだよ!

槍沢:精神だけは尊い! 肩書きにこだわりさえしなければ応援できるのに!
   正しい行いをしているんだから間違った出発点に立つなよ!

栃城:……そうだよな。お前の言う通りだよな。

槍沢:ああ、考え直してくれましたか!

栃城:今からでもちゃんと勉強して医師免許を取り、ウォーターサーバーの試供の人になるよ!

槍沢:そこに医師免許は必要ないよ。いい加減にしろ!

二人:ありがとうございました。

予選総合第16位(準決勝敗退) 言霊連盟
審査員
点数
81 72 77 73 60 68 得点71.83
【審査員コメント】
・やっぱり言霊連盟さんのネタは作品として出来良すぎるなぁ。ちょっとした小説読んだ時の高揚感だもんなぁ。
 「医者になりたい」というスタートはベタなのにそこから無免許医→精神科→ウォーターサーバーと唯一無二の展開に心踊りました。
 なおかつ圧倒的な文章力のおかげで怒濤の展開にも振り落とされず、スムーズにオチまで辿り着けました。
 「ガンは治らない!」「デフォルトのジョブ」「大きな電気屋さんの中でやれ」などキラーフレーズも潤沢な素晴らしい作品でした。
 ただ、オチ前の尊い精神のところで少し落ち着いちゃったというか、フワッと終わってしまった印象を受けました。
 文章力構成力が段違いな分、もう1つ予想を裏切る急展開や伏線回収を期待しすぎてしまったかもしれません。
 後半に脳裏にこびりつくようなインパクトあるフレーズや展開があればなお作品としての魅力が倍増したかなと。
   
・槍沢さんってこんなやりとりがシンプルなネタ書く人だっけ!?とびっくりしました。
 シンプルながらも押さえるとこは押さえてていいネタだと思うんですが、これといった強みもなく、いいネタ止まりな感じもありました。
   
・ウォーターサーバーのあれ、壺って言われるとかなり壺ですね。気付かなかった。
 ちゃんとずっと面白かったです。
   
・流れるような会話で、隙のないネタでした。
 具体的にどこがどうというポイントが無く抽象的な感想になってしまうのですが、所謂山場のようなポイントがあればと思いました。
   
・話の展開、ウォーターサーバーに繋がっていく所に驚きを持てればよかったと思うのですが、伏線の貼り方、回収の仕方、序盤から会話の流れに違和感を覚えてしまうところがありました。
 そのあたりの違和感がなく最後まで行ってくれるとかなり気持ち良かったと思うので、もったいないなと思いました。
 栃城がもう少し初見の読者目線で引っ掛かりながら話を進めてくれると良いのではないかと思いました。
   
・医者というテーマに対してあんまり見たことのないボケが多くて良かったです。
 ちょっとツッコミがシンプルすぎる感があり、もっと面白さを増幅できそうだなぁという感触がありました。
 

Rゲート
No.035 ENDGREEN
マジック
武田:どうも、よろしくお願いします。
   まず最初に自己紹介しますと僕が武田完で隣にいるのが三浦碧。
   二人合わせてENDGREENです。よろしくお願いします。

三浦:ねえ、ねえ完君、完君。話があるんだけどさ! 私、今度マジックをやるんだ!

武田:マジック?

三浦:うん! 友達の結婚式の二次会で余興をやることになってね。

武田:なるほどね。

三浦:それで、うまくできるか不安だから本番でアシスタントをしてほしいんだ。

武田:アシスタント? それはかまわないけれど、碧ちゃんはどんなマジックをやるんだい?

三浦:コインを消すマジックをやるんだ。

武田:テーブルマジックなんだね。

三浦:そうなの! シンプルで地味に見えるけれど、だからこそ決まったときの鮮やかさはすごいからね。

武田:ちゃんと考えているんだね。

三浦:テーブルに置いたコインに布を被せて、指をならしてパッて取り上げたらコインがなくなっているって手順でやるんだ。

武田:なるほどね。……あれ? でもそれだと僕がアシスタントでいる必要がないんじゃないのかな?

三浦:必要だよ! 完君には一番重要なことをやってもらうから。

武田:一番重要? どんなことをすればいいんだい?

三浦:あのね、マジックって、右手を大きく動かしたりして注目させている間に左手でトリックを仕掛けているってよく言うでしょ。

武田:ミスディレクションと呼ばれるテクニックだね。

三浦:完君にはそのミスディレクションを手伝ってほしいの!

武田:というと?

三浦:完君が大型トラックで会場に突入して列席者の気をそらしている間に仕掛けを終わらせるんだ!

武田:碧ちゃん、それは陽動作戦。アクション映画とかで観る計略じゃないか。

三浦:じゃあ、あとで日時教えておくから当日はよろしくね!

武田:碧ちゃん。このレスポンス数で打ち合わせを終わりにするには無理難題が過ぎるよ。

三浦:不安でもあるの?

武田:不安じゃなくて確信として存在しているよ。
   トラックで突入だなんて危険きわまりないでしょ。

三浦:大丈夫だよ! ちゃんと人払いして突入してもいいスペース確保しておくし。

武田:碧ちゃん、存在しないよ。仮に無人だとしても突入していいスペースは存在しないからね。
   大型トラックが突入してくるんだよ。出席者はなんて言うと思う?

三浦:うわー! このトラック新郎新婦の写真でラッピングしてある!

武田:理想論が過ぎるよ碧ちゃん。
   広告用のトラックを特注している心憎さに気を配れる余裕は持てないよ。
   というか、特注したの?

三浦:うん! 宣伝用のラッピングできるトラックをレンタルしてね! 絶対喜んでくれると思って内緒にしてあるんだ!

武田:特注のトラックを用意する気遣いがあるなら、別のやりかたで気をそらしてくれないかな。トラック無駄にしちゃって申し訳ないけれど。

三浦:それなら大丈夫だよ! 突入させないならクラクションでオリーブの首飾り奏でてもらうから!

武田:楽器として用いるのかい? なんにせよトラックで突入以外のやりかたを考えてね。

三浦:じゃあ、爆発で気をそらせることにするね。

武田:どちらにせよ陽動作戦だね。
   混乱に乗じる以外の方法にしてほしいんだよ。
   爆発なんて起こされたら惨事にしかならないでしょ。

三浦:大丈夫だよ。爆発は爆発でも楽しめる爆発。花火を打ち上げるんだ!

武田:さっきと重複する問題点は後回しにして別方向から指摘していくね。
   碧ちゃん、花火を打ち上げるんだよね?

三浦:そう!

武田:その隙にテーブルのコインを消すんだね?

三浦:うん!

武田:負けちゃうよ。花火が相手じゃテーブルマジックの利点がすべて裏目に出てしまうよ。
   夜空を華麗に彩られたあとではコインの動向は気に止めてもらえないよ。

三浦:でも、私が観てきたマジシャンはいついかなる場所でも最高のパフォーマンスを見せてくれたよ。

武田:それはプロの技術と話術があるからだよ。
   どれだけホームだとしてもアマチュア相手に花火は分が悪すぎるよ。

三浦:大丈夫だよ!
   私のマジックが負けないようにアマチュアの花火師である完君に頼んでいるんだから!

武田:碧ちゃん、物騒な肩書きで呼ばないでね。
   そもそも存在するのかなアマチュアの花火師って?

三浦:だって完君、プロじゃないでしょ?

武田:かといってアマチュアですらないよ。そんな単純に二分できるものじゃないからね。
   で、さっきと重複することの一点目ね。僕に頼まれても困るよ。なぜなら素人なのだから。
   それから二点目。そんなことしたら会場が大惨事だよ。トラックで突っ込んだり、屋内で花火打ち上げたりしていい場所なんてないからね。

三浦:屋内? あれ、完君、屋内でやるって勘違いしてるの?

武田:え? だって結婚式の二次会ってレストランとかパーティ会場を貸しきってやるんじゃないの?

三浦:ああ、ごめん言ってなかったね。
   二次会は高層ビルの屋上にあるビアガーデンを貸しきってやるんだ。

武田:ええと、ちょっとってね碧ちゃん。最初に提案したときから屋上のビアガーデンを想定していたんだよね?

三浦:もちろん!

武田:じゃあ、どこからトラックを突入させるつもりだったんだい?

三浦:隣のビルの屋上から猛スピードで飛び込んでくればできるでしょ。

武田:絶対無理だよ。さっきの提案も100パーセント無理だったけれど、今度は数値化できないぐらい無理な話だよ。

三浦:あ、もしかして完君、大型の免許持ってないとか?

武田:そういう次元の問題じゃないよ。

三浦:じゃあ、トラックの教習所に通ってくれないかな?

武田:間に合わないよ。そもそもやらないけれど、やろうとしても間に合わないよ。
   免許を取れたところでビルの屋上から屋上まで飛び移るなんて一朝一夕で身に付く技量じゃないからね。

三浦:あ、そうだよね……。このアイディア全然ダメだよね。

武田:碧ちゃん、気づいてくれたんだね。

三浦:だって、結婚式の二次会で「消す」マジックは縁起が悪いもんね!

武田:論点はそこじゃないよ。まあ、でも碧ちゃんが考え直してくれるなら理由はなんでもいいや。

三浦:余興は別のマジックにするね!

武田:別のマジック?

三浦:うん。ひとセット52枚の普通のトランプの絵柄が、
   シャッフルしただけで全部ハートになってるマジックなんだ。

武田:ロマンチックなマジックだけれど、どうやって成功させる気だい?

三浦:トラックか花火で気をそらしている間にどうにかするよ!

武田:そこが一緒ならどんなマジックでも結論は一緒だよ。内部の構造に問題があるんだからね。

三浦:みんなが見惚れている間に(トランプを広げていろんなところから一枚ずつ抜いていくマイム)えーと……ハート、ハートって。

武田:単純作業なのかい? 考えているトリックって。

三浦:それで、13枚集まったら他に3パック買ってあるからそこから抜き出してハートだけのセットを作るんだ!

武田:そこは事前準備しておいてよくないかな?

三浦:でも、マジックやるときってタネも仕掛けもありませんって宣言するから、ちゃんと守らなきゃ!

武田:碧ちゃん、愚直がすぎるよ。定型の前口上に自縄自縛になる必要ないからね。
   とにかく、碧ちゃんには悪いけれど協力できないよ。

三浦:うーん……いいマジックなんだけれどなあ。
   じゃあ、今からシミュレーションしてみるから、
   それでいいマジックになるなって思ったら考え直してくれる?

武田:どんなに巧妙にプレゼンされても揺るぎようはないけれどね。それでもいいならやってみせてよ。

三浦:「ご紹介いただきました新婦の友人の三浦碧です。
    これからマジックでこのトランプの絵柄を全てハートに変えます!
    ですが、その前にもうひとつマジックを。今からこの場にトラックを出します!」

武田:プログラム組み込むのかい? トラックの突入を。

三浦:「タネも仕掛けもありません!」

武田:あるとしたら超人的なドライブテクニックと勇気だけだからね。

三浦:「見事、トラックの出現が成功したら私に大きな拍手を!」

武田:せめて手柄はドライバーのものにしようよ。

三浦:「では、トラックが出現したところで空をご覧ください! 大きな花火を出現させます」

武田:言いたいことたくさんあるから、箇条書きで伝えるね。
   まず、素人の花火をマジックの流れに組み込まないでね。
   なんでトラックとその代替案の花火の両方やることになってるのかな?
   最難関の移動は「では」の二文字で飛ばしていいものじゃないよ。
   突入が成功したとして、話の流れでは立て続けに花火をやっているけれど、少しは休ませてもらえないかな。僕にそんなタフさはないからね。

三浦:その方が盛り上がるもん!

武田:質疑と応答でここまで文字数に差が出るとはね。

三浦:「私は花火が出ている間にハートを揃えます!」

武田:碧ちゃん、宣言したら意味がないよ。

三浦:「トラックが突入しているときにある程度揃えたのでもうすぐです!」

武田:碧ちゃん、ミスディレクションこだわるのならもう少し手の内は伏せておこうよ。
   ダメだよ碧ちゃん。こんなマジックじゃ協力できないよ。

三浦:そんなあ……。私は友達のために完君と一緒にマジックがしたいのに!

武田:漫才でよくないかなあ? ずっと引っ掛かっていたんだけれどさ。

三浦:え? 漫才? いいの!?

武田:せっかく二人いるんだしさ。碧ちゃんの友達なら僕もそれなりに協力は惜しまないからね。

三浦:わかった! じゃあ、一緒に漫才やろ!
   私が「はいどうもー」ってステージに出ていくから、完君は隣のビルからトラックで突入して登場してね!

武田:碧ちゃん、いくら特注したからってトラックの活用にこだわるのやめようね。
   いい加減にしようか。

二人:ありがとうございました。

予選総合第13位(準決勝敗退) ENDGREEN
審査員
点数
89 66 71 70 81 80 得点76.17
得票1票
【審査員コメント】
・第21回MM-1のトレンドはループ&マジックですね。なんかファンタジーSF小説みたいな大会になってしまいましたが。
 今大会に限らず色んなマジックネタを見てきましたが、ミスディレクションに着目したネタは初めてかも。トラック突入からオチまで前のめりでした。
 特に素晴らしいのが碧ちゃんのキャラクターですよね。ボケがかなりブッ飛んでいるんですが、ちゃんと理論に筋が通っている。
 「スペース確保」「最高のパフォーマンス」などある程度の思考のプロセスが見えることで、ただの狂人で終わらずキャラに至高の深みが生まれていました。
 「あるとすれば超人的なドライブテクニックと勇気だけ」など武田のツッコミも抜群で、ENDGREENというコンビの相乗効果が綺麗に発揮されていました。
 これといった問題点は無いんですが、あえて言うなら前振りの長さが気になりましたかね。
 ボケを伝えやすくするために必須な説明パートなんですが、邪魔しない程度の小ボケを挟むのもアリかもしれません。
 そのさらっとした小ボケが後半大ボケとして回収されるとかのギミックがあれば、軽いボケとして終わらず必然性も出ます。
 とはいえ今の段階で口出しする必要ないくらい完成されている作品なのは間違いないです。これがPARTY NOISEでやりたいんだって。
   
・しっかりとした漫才でした。
 丁寧に進行している分、実際にはバカバカしい絵面なはずなのに
 インパクトに欠けているように感じました。
   
・面白かったです。ミスディレクションっていう題材いいですね。
 そういう意味でもトラックで終わってしまうのは少しもったいなかったかなと思います。
   
・今回、マジックがこんなに被るとは…。トラックにラッピングしてあるとか、細かいところも面白かったです。
 後半にもう少し盛り上がりが欲しいように感じました。
   
・ボケの中に次の展開のボケに繋がる要素を隠しながら話を進めていく、緻密な構成力を感じました。
 武田の方に南海キャンディーズの山里さんリスペクトをかなり感じました。比較することではないのですが、南海さんに比べてコンビバランスが悪い印象が少しありました。
 今の関係だと武田がもう少し三浦を制御出来てしまうのではないかと感じたので、三浦の暴走を武田が止められない説得力があればもっとバランスが良くなるのではないかと思いました。
   
・設定の斬新さとボケの面白さをうまく両立させてる感がありました。
 さすがに現実的に無理ありすぎるだろう、みたいなところが払拭されればより良かったです。
 

Rゲート
No.036 さんさんごーごー
バスガイド
雪野:はいどーも、男女コンビさんさんごーごーです!
   雪野優樹と花咲加恋の2人で頑張っていきたいと思いますけども。

花咲:ウチな、バスガイドはんをやってみたいんどすえ。

雪野:気持ちが京都に先走りすぎてませんか??普段あなたそんな口調じゃないでしょ。
   まぁ、バスガイドは良いんじゃないですか。

花咲:…じゃあ私が今からバスガイドやるので、雪野君は補助席に座っててください。

雪野:何で限定するんですか。まぁ乗客として見てますよ。





花咲:本日は京都観光バスをご利用くださいまして誠にありがとうございます。
   バスガイド・オブ・ジョイトイの花咲と申します。

雪野:なんでエロテロリスト気取りに京都を案内されなきゃならないんだよ。
   普通のバスガイドでお願いしますね?

花咲:皆さま、右手をご覧ください。

雪野:お、よくあるやつ。

花咲:お寺、です。

雪野:……うん??

花咲:さらに、右手の方をご覧ください。

雪野:いやいやいや。今通った寺の説明しろよ。寺なのは見りゃ分かるんだよ。

花咲:お寺です。

雪野:おい!!

花咲:さらに右手をご覧ください。民家です。

雪野:民家に関しては言及すら要らないよ!観光的に意味あるものの説明をしてくれよ。

花咲:この先右手側、寺、寺、民家、寺、民家。

雪野:流すな流すな!!意味のある寺をピックアップして説明して欲しいんだが!

花咲:寺、民家、民家、寺、民家、寺、寺、寺、寺。

雪野:あと、いくら京都とはいえ普通に寺多くない?最後4軒続いたぞ??
   ってか民家って寺の合間にあるものなの??

花咲:民家、民家、寺、寺の焼け跡、民家の焼け跡となっております。

雪野:急に焼け跡あった!?寺も民家も!?火事とかあったのかな…

花咲:続きまして、左手をご覧ください。
   ドン・キホーテが3店舗並んでおります。

雪野:そんなバカな!?
   こんな寺と民家だらけの街、道路隔てて反対側にドンキ3軒あるの!?

花咲:このドン・キホーテ、古くから「激安の殿堂」と呼ばれており庶民に親しまれ…

雪野:説明をするな!!バスガイドが観光地の説明のノリでドン・キホーテの説明をするんじゃないよ!

花咲:特にただいま通りましたうちの3店舗目「ドン・キホーテ京都ニュータウン店」は、
   平安時代から営業が続いている老舗で、昔から狭かったそうです。

雪野:そんなワケなさすぎない???
   ドンキが平安時代からあって、しかもニュータウン店なことある???

花咲:さらに左手をご覧ください。
   マツモトキヨシ、ダイソー、マツモトキヨシ、ダイソー、MEGAドン・キホーテ。

雪野:だから!!進行方向左側は何でそんなディスカウントストアだらけなの!?デカい版のドン・キホーテもあったし!

花咲:そしてその先、イオンモールの屋上にちょこんと乗っかってるのが、寺です。

雪野:寺!!申し訳程度に京都要素!!
   いやここ本当に京都なのか!?その寺は由緒正しいのか!?

花咲:ここでもう一度右手をご覧ください。
   寺、寺、民家、寺、寺、民家、寺、民家。

雪野:相変わらず右は寺と民家だらけだな…あといい加減そろそろ寺の説明が聞きたいんだけど…

花咲:寺、民家、民家、寺、民家、寺、寺、寺、寺。
   民家、民家、寺、寺の焼け跡、民家の焼け跡。

雪野:んん…!?いやちょっと待って!?
   寺4軒連続とか焼け跡のところ、さっきもあったような…

花咲:左手をご覧ください。
   ドン・キホーテ3店舗に、マツモトキヨシ、ダイソー、マツモトキヨシ、ダイソー、MEGAドン・キホーテ、イオンモール。

雪野:ほらほらほら!!これ絶対さっきと同じ場所でしょ!!何回同じところ回るつもりだよ!?
   あと京都って碁盤の目状の道路だから、いつの間にか曲がってるはずなんだよな…

花咲:右手をご覧ください。
   寺、寺、民家、寺、寺、民家、寺、民家。

雪野:あーもうなんとなく覚えてきて流し聞いちゃうな。
   ってか同じ場所の風景に言及する必要はあるのだろうか。せめてこの辺の左手側を知りたい。

花咲:寺、民家、民家、燃えてる寺、燃えてる民家、寺、寺、寺、寺。

雪野:んんんんんん!?ちょっとちょっと、今火事起きてなかった!?

花咲:民家、民家、寺、寺の焼け跡、民家の焼け跡。
   左手をご覧ください。
   ドン・キホーテ3店舗に、マツモトキヨシ、ダイソー、…

雪野:いやめっちゃ火事スルーしたけど…
   焼け跡のところとか意味深になってくるんだけど…

花咲:燃えてるマツモトキヨシ、燃えてるダイソー、MEGAドン・キホーテ、イオンモール。

雪野:いやディスカウントショップ群も燃え始めてた!!
   え、何これ、京都の街で同時多発火災起こりすぎじゃない!?

花咲:右手をご覧ください。
   寺、寺、民家、寺、寺、民家、

   !!!!ご注意ください!!バス急停止します!!

雪野:わっ!?急にどうした!?

花咲:ただいま安全確認をしております。しばらくお待ちくださいませ。

雪野:安全確認?まさか火事でも起こったのか?

花咲:(ドッカーーーーーン!)



   ……安全の確認が取れましたのでバス動きます。

雪野:いやいやいや!!!すごい爆発音したよ!?!?
   どこが安全なの!?これからが危険なんじゃないの!?

花咲:引き続き右手をご覧ください。
   燃え始めた寺、燃え始めた民家、寺、民家、民家。

雪野:いや燃えてる燃えてる!!明らかに今の爆発のせいで寺と民家が燃えてるよね!?

花咲:燃え尽きそうな寺、燃え尽きそうな民家。

雪野:さっき燃えてたところだ…もしかしてこの辺も爆発のせいなのでは…!?
   
花咲:寺、寺、寺、寺、民家、民家、寺、寺の焼け跡、民家の焼け跡。
   左手をご覧ください。
   ドン・キホーテ、ドン・キホーテ、ドン・キホーテ、マツモトキヨシ、ダイソー、
   燃えてるマツモトキヨシ、燃えてるダイソー、MEGAドン・キホーテ。

雪野:いや店も燃え始めてるんかい!!本当に大丈夫なのコレ!?消防車間に合ってる!?

花咲:ここで街の造りについて説明いたします。
   京都の街は、道が碁盤の目状になっており…

雪野:このタイミングで急に真っ当なガイドを始めた!?
   そしてなおさらこのバスはいつ直角に曲がってるんだ…

花咲:その道路形状を生かしまして、ただいま行われておりますように
   ボンバーマンのステージとして利用されていることがあります。

雪野:………はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?



   いやいやいや、え、どういうこと!?ボンバーマン??
   リアルタイムでこの京都の街でボンバーマン行われてるの!?

   バカじゃないの???

花咲:この先、ボンバーマンの爆弾を避けるため徐行などする場合がございます。
   あらかじめご了承ください。

雪野:実際もう起きてるとはいえ、なかなかご了承できないわ…
   ってか、爆弾で寺も民家も燃えちゃうのヤバすぎない??両方ともボンバーマンのステージで壊せる壁にでも相当してるの??

花咲:!!
   大変です!前後をボンバーマンらの放った爆弾に囲まれました!

雪野:言わんこっちゃない!!え、どうするんだよコレ!?

花咲:このままだとバスガス爆発、私ブスバスガイドになってしまいます!

雪野:早口言葉言ってる場合か!?ブス化じゃ済まないと思うよ!?

花咲:おっと…ここにちょうどイオンモールがありますね!
   駐車場に入って逃げ込みましょう!

雪野:まさかのジャストタイミング!!…ってことで良いのか!?

花咲:(遠巻きに強めのドッカーーン)

   助かりましたね!しかし残念、満車なので出なくてはなりません…

雪野:なんてこった…いや満車どうこうとか言ってる場合じゃない気がするけど…

花咲:駐車場から出るために一旦屋上を通ります。
   前方をご覧ください、寺が燃えております!

雪野:いやイオンモールの屋上の寺も燃えてるんかい!
   ボンバーマン、そんなところにまで来るのか…!?

花咲:さて先ほどの道路に戻りまして、右手をご覧ください!
   燃えてるMEGAドン・キホーテ、燃え尽きそうなダイソー、燃え尽きそうなマツモトキヨシ、
   燃えてるダイソー、燃えてるマツモトキヨシ。

雪野:案の定燃えまくってる!!この通りで爆発したばかりだもんな!
   あと右手にディスカウントショップ群があるってことは、さっきまでと逆に走ってる…?

花咲:燃えてるドン・キホーテ、燃えてるドン・キホーテ、燃えてるドン・キホーテ。

雪野:激安の殿堂が!?さすがに平安時代からってのはウソだろうけども激安の殿堂が!?

花咲:左手をご覧ください。
   民家の焼け跡、寺の焼け跡、燃えている寺、燃えている民家、燃えている民家。

雪野:あああもうみんな燃えちゃってるし!!

花咲:寺、寺、寺、寺。

雪野:いやそこの4軒並んだ寺は強いな!?爆弾置いても消えないタイプの壁なのか!?

花咲:燃え尽きちゃった民家、燃え尽きちゃった寺、燃えてる民家、燃えてる民家、燃えてる寺、
   燃えてる民家、燃えてる寺、燃えてる民家、燃えてる寺、燃えてる寺、燃えてる民家、燃えてる寺、燃えてる寺。

雪野:いやこの辺もう全滅じゃん!!
   こんな道を通ってて大丈夫なの!?周回の外には逃げ出せないの!?

花咲:これほど京都の街が燃え盛っているのは、応仁の乱以来と言われております。

雪野:急に冷静にバスガイドっぽい解説をねじ込んで来るな!!
   現在進行形で起きていることに対して「言われております」て!

花咲:右手をご覧ください。
   全体が燃えているイオンモール。

雪野:イオンモーーーール!!ついにイオンモールまで!!
   もう駐車場に逃げ込むこともできないのか…

花咲:おっと…そろそろタイムアップのようですね…

雪野:タイムアップって何だよ…

花咲:空から1個ずつぶぶ漬けが降ってきて、道を埋め尽くしています。

雪野:いやボンバーマンの最後1分くらいで壁が降ってきてステージが埋め尽くされるやつ!!
   実際にそんな状況になることあるんだね!?あってたまるか!!
   そしてぶぶ漬けて…!!!

花咲:京都においてぶぶ漬けというのは「帰れ」の意味であり…

雪野:だからこんな時に観光的な解説を始めるなって!!
   ボンバーマンたちに対しては上手く風刺が効いてるのかもしれないけど、僕たちはどうすれば良いんだ!!

花咲:こうなったら奥の手です、バスごと清水の舞台から飛び降りましょう!
   みなさま、捕まってください!

雪野:いや、いつ清水寺の境内に入り込んだんだよ!?その時点で暴走しすぎだろ!!



   ストップストップ。
   もう、何なんだよこのめちゃくちゃなバスツアーは!

花咲:次は車掌になって電車に巨大なウンチを落とされたいです!

雪野:いや今度は桃鉄かい!バーイ・ハドソン!!