*<サイトトップ> <総合目録> <総合名簿> <ジャンル別>

式部
shikibu

*大英博物館VOL.1 *大英博物館VOL.2 *付記(2001/8)

■関連■

*大島ミチル
*おおたか静流(フィーチャリング・ボーカルとして式部のアルバムに参加)

※画像もしくは「通販ページへ」をクリックするとAmazon.co.jpへ飛びます

大英博物館VOL.1
THE BRITISH MUSEUM T
オススメ☆☆☆
詳細リスト表示

1990年にポリスターより発売された、式部のファーストアルバム。NHKスペシャル「大英博物館」のオリジナルサウンドトラックVOL.1です。
式部というのは、篠崎正嗣さんと大島ミチルさんの作曲家コンビによるユニットです(大島さんはワーズワースの冒険の主題歌「シャ・リオン」の作曲をされた方です。そのほかにも多数ドラマや映画関係の音楽を担当されています。忙しいときには月に100曲くらい作曲されていたとか…!)。
私がこのアルバムに出あったのは、もうかれこれ10年近く前になります。自分で買ったものではなくて、借りてテープに録音したものをずっと所有しておりました。けれど年月が流れるにつれ、どうしてもやっぱりCDで欲しい、CDで聴きたいという気持ちがおさえられなくなり、購入しました。

NHK関係のサウンドトラックは、とにかくレベルの高いものが多いのですけれど、このアルバムは秀逸中の秀逸、名盤中の名盤です。「大英博物館」といっても、主にメソポタミアやエジプト、ギリシア、インド、アステカ、中国といったアジア地域からの収蔵品をとりあげた番組だったらしく、音楽もイギリス…ヨーロッパ…といったイメージよりは、アジアな雰囲気のほうが強い印象をうけます。しかしブックレットでは式部の音楽を、こんなふうな言葉で解説してあります。グランドミュージック、と。
まさしく、その言葉、ぴったりです。

式部の音楽は無国籍で土俗的で、でも洗練されていて聴きやすい。けれど強烈に個性的です。

まず、一曲目の「古歌」。番組の主題テーマでもあるこの曲、意味不明の…「よりぃーよりぃーよりぃいよりぃい」といった声で始まります。いまでは、あえて意味不明の造語をつかい無国籍感をだすとともに声も楽器のひとつとしてとらえる…といったような音楽のこころみは、そんなに珍しくもなくなったのですが、この当時は画期的なことでした。番組の制作スタッフのあいだでは、とにかくインパクトが強すぎるのでこの曲を番組につかうのはやめよう、といった意見も強かったようです。日本人がこれまで接したことのないタイプの音楽だから、戸惑ってしまうだろう…と。
「古歌」に関しては、その詩や歌声についても言及したくてたまらないのですが、それはいずれまた、おおたか静流さんのアルバムを紹介させていただくときに、たっぷり語らせていただきたいと思います。
このアルバムに収録されているボーカル曲は、とにかく壮絶に名曲揃いなので、のちに、おおたか静流さんのソロアルバムにも、ほとんど収録されているのです。ですから、「生命の神秘」に「母なる自然」。この二曲についても、おおたかさんのアルバムにて、またいずれ……。「大英博物館」は、ボーカル曲ばかりでなくインストゥルメンタルも素晴らしいので。
たとえば「歴史の中の女たち」。スキャットがとても綺麗でドラマティックです。歴史の波に翻弄されていった女性たちの悲劇や愛や…そういったものに思いをはせたくなる曲です。「偉大なる支配者」は大航海時代のイメージでつくられた曲だそうでして、たしかに船が大海原を新大陸めざして出航する…その旅立ちの雄姿のようなものが脳裏にうかんでくる、ダイナミックな曲です。夢や冒険の象徴…それが船だったわけですから、この曲もまた、冒険への憧れをかきたて、じっとしていられないような気分にさせてくれます。なにかをしなくちゃ…なにかをはじめなくちゃ…というアクティブな気分にさせてくれるのです。また「水の精霊を呼ぶ歌」は、本当に精霊を呼んでいるような…この音楽なら天にはたらきかけて雨を降らせるだろうな…といった感じがします。音楽にはそれだけの力があるんだ(自然を動かし、神を動かし、人の心を動かす)…ということを素直に信じたくなります。(この「水の精霊を呼ぶ歌」と「つばめ」は、大英博物館VOL.2ではボーカル曲としてアレンジされ、収録されます)
この「大英博物館」では、シンセも使われていますが、そのほか、ありとあらゆる楽器がつかわれています。なんともいえない温かみのある音色や、哀切ただよう忍び泣くような音色もあり、バラエティ豊かです。打楽器系も多く、私は打楽器のきざむリズムや音色が大好きなので、このアルバムを聴いていると気分が落ちついたり高揚したりします。
また、さすがはNHK。ブックレットも、大変に素晴らしく真面目に丁寧につくられています。なにせ、収録曲、一曲一曲に解説がついているのです。御本人たちのインタビューから書きおこした解説が。
そういった面でも、このアルバムはとにかく秀逸です。もう本当に文句無し!

♪通販ページへ

(2001年8月記)

→大島ミチル →おおたか静流 ↑上に戻る


大英博物館VOL.2
THE BRITISH MUSEUM U
詳細リスト表示

NHKスペシャル「大英博物館」のオリジナルサウンドトラックVOL.2です。「VOL.1」と比べると、やや、おとなしめな印象をうけます。「大英博物館」という番組自体、パートUは中国編だったらしく、だからか、中国風なアレンジの曲が増えたような気がします。中国を代表する楽器、二胡の音色が美しいです。バイオリンの音色に少し似ているかなあという気はしますが、独特の、叙情的な音色です。私の前世って中国人だったんじゃないかと疑いたくなるくらい、二胡の音色をきいていると、なつかしい気分になります。
まず、一曲目の「古歌」。チャイニーズバージョン。中国のお祭り風アレンジ…ということで、楽器もほとんど中国楽器で演奏されています。けれど不思議と、静かな感じがします。音が抑えられてるのかなあ…? テレビのBGMということで、あんまり派手にガチャガチャ大きな音にはできなかったのかもしれません。抑揚がなく各楽器の音量が揃えられてる…感じがするので、なんとなく、行儀のよい印象をうけます。この曲は、生で聴いてみたい気がします。ドラの音とかがドカーンとお腹にひびくような…そんな生の演奏で聴いてみたいです。
二胡の音色が堪能できるのは、「悲しき隊商」。なんともいえずに哀切がただよっています。「妖精たちの踊り」も、二胡が主役っぽいです。この曲はバイオリンが三味線っぽい弾かれかたをしていて、面白いです。
それからボーカル曲。
今回は、「つばめ」と「水の精霊を呼ぶ歌」がボーカル曲です。どちらも、「大英博物館VOL.1」ではインストで収録されてました。
「つばめ」は、もともと歌のイメージで作られていたということです。この詩は英語なんですが、日本語訳もついていて、そのどちらともが、おおたか静流さんの手によるものです。だから、どちらも素晴らしい。
「How do you know when seasons go / How do you know the way to be」の訳が、「再び舞い戻る時を見定めよ 己の道標を見据えよ」
なんです。おおたかさん…、日本語でまず詩を書いて、それから英訳してるのかなあ…? まず英語で書いて、それをこういう日本語に変換できるとしたら…すごいです。本当に。
それから「水の精霊を呼ぶ歌」。これはエノク語で歌われています。エノク語とは、17世紀の大数学者ジョン・ディー博士が天使から授かった言葉なんだそうです。歌詞の大意は「汚れたるものよ去れ! 偉大なる西方点の名前と文字により我は汝を召還する。『水の精霊よ』 700年ののち月桂樹は緑を取り戻さん」。なんだか、かっこいいですね。
この、天使の言葉、エノク語で作詞された方は、植松伸夫さんです。どんな方なんだろう…と、ちょっぴり調べてみたら、ファイナルファンタジーの音楽で有名な作曲家の先生で、びっくりしました。

ちなみにこの「大英博物館VOL.2」も、ブックレットが前回とつづいて全楽曲解説つきです。
今回の文章を書くにあたって、かなり参考にさせていただきました。

♪通販ページへ

(2001年8月記)

→大島ミチル →おおたか静流 ↑上に戻る


 付記

式部のアルバムは「大英博物館vol.1、2」のほかに、「穫 〜MINORI〜(大英博物館1,2より選曲したものと、新曲が数曲追加された、ベストアルバム)」「連歌(NHKスペシャル「ドキュメント太平洋戦争」のオリジナルサウンドトラック)」の2枚が発売されています。どちらも現在は入手困難。私も所有していないので、残念ながら詳細は不明です。(2001年8月)

 ↑上に戻る

<サイトトップ> <総合目録> <総合名簿> <ジャンル別>