’08 清水みなと祭り

2008年8月2日、3日の両日に、イベントに協賛して清水港・日の出埠頭に入港した護衛艦を見に行ってきました。 
護衛艦はDD102はるさめとDD102むらさめの2艦で母港は横須賀です。メザシ係留のはるさめとむらさめ

1番電車に乗り、0720には現地着、昨年までは定刻にならないと埠頭のゲートが開かなかったのですが今年は既に開門していて自由に出入りできます。顔見知りになってしまった地本(自衛隊地方協力本部)のオジサンから「今年も来ましたねー」との挨拶を受け、下見をしました。今年は清水マリンターミナルの近くに係留しているので0800の艦旗掲揚はこの展望デッキから撮影しました。艦旗掲揚5分前艦旗掲揚5分前の更に前です。5分前には掲揚の姿勢を取ります。
「10秒前」「ヨーイ」「じかーん!」と共にラッパ君が代の吹奏、手空き総員上甲板の命令で整列した乗員も敬礼しています。
(枠付きの画像はクリックで大画面表示します)
艦旗掲揚

0900から一般公開が始まったので早速艦内へと・・・
まだ準備が整っていなかったせいか、はるさめの艦橋には艦隊編成表が掲示されていましたが、再度巡回した時にはもう片付けられていました。問題になりそうなニックネームは消しました。艦橋内には、日出・日没、月齢、満潮・干潮・潮位、および艦の残燃料等を記入するボードがあります。
ネザが燃料在庫量、反射で見えない部分のコクザが航空燃料在庫量は分かるとしても、セリザの生糧品在庫量に至ってはこの単語は一般の人には思い浮かびません。
艦隊編成表

天文暦

艦橋下部には神棚があり、さらに降りると艦長、副長および先任伍長の写真が掲示されていました。その横には服装を点検するための姿見があり、あろうことか撮影者のみっともない姿が映し出されてしまいました。

この先は飛行甲板に誘導されます。ここではSH60J(K?)が格納状態のまま展示されていて、展開状態を目にする機会が多いためこれはこれで新鮮です。
SH60J尾部 SH60J全景
ここで気になっていたエンジン洗浄について質問した所、丁寧に解説してくださいました。エアインテークの下にある「エンジン洗浄」の小さな扉を開けると給水口があり、エンジンを空転させた状態でここから水を供給するとコンブレッサーからタービン部まで塩分をきれいに洗浄し排気口から排水されるとのこと、機体は格納庫前にある噴霧口からのシャワーで洗浄することまで説明してくれました。1昨年の観艦式予行で乗艦した際、排気口から水が出ているところしか見えなかったためずっと疑問だったのですが、これでまた1つお利口になりました。
各種装備の内これはソーナーの受信部です。送信部はこの底の部分にありここからの反射を茶色の受信部1つ1つが受信して解析する事により精度を高めるとのことでした。
ソーナーの受信部

ここで当日入港した海上保安庁の「やしま」から搭載ヘリが発船していきましたが、発船直後高度を下げるという実にスリリングな展示で、これを視ていた海自飛行関係者は危険極まりないと評価していました。
やしまからのヘリ発船

はるさめはここまでで、次のむらさめは甲板から下の公開でしたが、操縦室と隊員食堂しか見せてくれず後ろ髪を引かれる思いで退艦しました。

午後のイベントは体験航海で1200受付開始で、乗艦券の申し込みに当選しなかった私はキャンセル待ちの列に並びました。1時間近く待った甲斐があって乗艦券を手にすることができ、むらさめにに乗っけてもらうことになりました。
1300まずはるさめの舫が解かれ出港します。

次がむらさめ、艫の舫が解かれ、最後に残った艦首の舫が放たれる直前に「出港用意」のラッパ、舫が放たれ陸と縁が切れた瞬間に艦首旗が下げられます。いつ見ても良い光景です。画像は艦首の3番舫を外した所で、地本の方が陸海空の区分なく協力しています。
もやい放てー
港を出るまでは航海士のリコメンドに従い航海長はコンパスとにらめっこでたびたび進路を変えていきます。
進路変更の方位確認

清水港を出たところで艦内見学をしました。今回は士官室が開放されていました。部屋に入ってすぐの所に、潮で色があせた艦旗がきれいに畳まれケースに入れられて飾ってあるのが印象的でした。
士官室の護衛艦旗
士官室入り口の右側士官室
次は艦の動力、操舵関係の中枢である操縦室です。
操縦室

再び艦橋に戻ります。先に出港したはるさめが左舷前方から近づき、艦同士の敬礼をしますが、先に発光信号でメッセージのやり取りをします。いよいよ近づくとブリッジトップにラッパ員が上り、「気をつけ」「敬礼」「かかれ」を、答礼を確認しながら順に吹奏します。
はるさめと発光通信
敬礼のラッパ吹奏 102はるさめと敬礼
護衛艦旗

これが終わったところで取り舵を取って反転し帰路につきますが、本艦が先に入港するため第1戦速(といっても15kt)に増速し、はるさめを追い抜きます。このとき再度発光信号のおまけが付きました。艦橋部分での白い○がそれです。
取り舵で反転発光通信

港に近づくと左舷後方には曳船が同航し、埠頭が見えると見張り員が携帯測距儀で埠頭との距離を逐一報告しています。いよいよ埠頭が近づくと艦長自らウィングに出てコンパスをにらみ描地との方位角を測りながら、速度、舵を指示します。
同航する曳船 艦長が直接操艦
ズボンの裾を靴下に入れ気合の入った姿の運用員がサンドレットを用意し、全部見張り員の号令の下、きれいな弧を描いて埠頭へ投擲しました。サンドレットの細索に続いて誘導索、舫索と繰り出され再び陸と繋がりました。埠頭に掲げてあるN旗が係留位置を示すものであることはわかっていましたが。N旗を両ウイングにあるジャイロの正横になるよう艦をもってくるのが正解であることを信号員に教えてもらいました。また現在半揚しているI旗はメザシ係留準備中で、準備完了で全揚することも併せおしえてもらいました。
画像中央はむらさめとはるさめの間に挟む防舷物で、横浜タイヤ製です。
サンドレット投擲
続いてはるさめが入港してきます。舫を取るためのサンドレット要員が待機しています。
はるさめ入港 はるさめ甲板員

朝と同じ位置に係留され体験航海は終了しました。
艦首から見た2艦
これはむらさめに搭載していた水上標的です。この標的にのぼりを立て、1000mの曳索で曳航し、他艦が砲撃するのですが、目標は標的自体でなくちょっとずらすのですものの、標的自体に当ててしまうこともたまにあるとか、また曳索の収容は人力なのでかなり大変ということも説明してくれました。
水上標的
さてお客さんが退艦すると真水の補給が始まりました。埠頭には給水栓があり、最初の水は捨て、ホースを連結して艦に水を取り込みます。
真水の補給準備 真水補給開始
また同時に電燈艦飾の準備が始まりました。タイタニックの1シーンではなく、艦首部の電燈の具合を確認している所です。マストの最上部から、艦尾まで張った誘導索に電燈策を引っ掛け、曳索でマストまで一気に展開するところなど見所は一杯あります。
艦首・電燈艦飾の準備
艫・電燈艦飾準備 艫・電燈艦飾索引けー

ここで私は日没まで一休みですが、非番の乗員は三々五々上陸していきます。制服制帽の時はきりっとしていたのが私服でたら〜りと変わるのが面白くて見物している私はかなりの変人?
上陸する人たち

さて日没の1848が近づいてきました。待機場所は艦尾です。「艦旗降下5分前」の号令で準備が始まり「10秒前」「ヨーイ・時間」で君が代のラッパと共に艦旗が降下・収納されます。これと同時に艦内灯が点けられるのですが、電燈艦飾も数秒点灯されました。
この後「巡検」「電燈艦飾」があるのですが、初日はここまでで撤退しました。
日没、艦旗降下 一瞬電燈艦飾点灯
艦旗はその場で畳む
また明日来ます。さようなら
夜景です

本日のちょっといい話
一般公開のとき、私の前を軽い障害を持った方がおられたのですが、ブリッジへ上るラッタルの所にいた案内の曹が2mほど後のやはり案内の士に、「○○士長!後続止め!」と令し、自らはラッタルの下部で安全確保の姿勢を取っていました。見学者がラッタルを上りきった所で、士長に停止を解除する旨令すると共に、私達に、しばらく停止させられたことへの協力に感謝する旨を述べられました。暑い日でしたが心はすがすがしくなりました。

さて2日目(また来たのかよ〜という地本のオジサンの呆れ顔)
本日は0730体験航海受付開始、0830出港とのことで、0800の艦旗掲揚はお客さんがたくさんいる中で行われました。民間人でも注目の敬礼をすればよいのに、とぐちを言っても始まりませんね。
艦旗掲揚 艦旗掲揚その2

受付終了の5分後、オバチャン5名がばたばたと駆けつけ乗っけてと言うもタラップはもう外される寸前、完全に後発航期で当然乗艦できませんでした。時間の大切さを分かってくれるといいんですが、たった5分くらいいいじゃんね〜と逆恨みしたのではないかと想像します。

本日は出港の様子を陸上から見学。艫の舫を放した瞬間です。
艫もやいレッコ
曳船に引かれ後進でむらさめから離れたはるさめは、面舵で右舷後進微速、左舷前進微速で回頭し出港していきます。
はるさめ出港

海保のやしまは満艦飾、0930からの一般公開で船内を一巡したのですが、ブリッジのトップに昔風の物体が!説明員に「マグネットコンパスですか?」とたずねた所、良くぞ質問してくれましたとばかり実に嬉しそうな顔で「はい、航海用具として設置が義務付けられておりまして」との答え。いくら電子化が進んでも、六分儀と共に原始的なものへの信頼は欠かせないもののようです。
やしまの満艦飾

ヘリ甲板にでたところでもう港外にむらさめの姿が見えたので即退船、錨地に駆けつけました。
むらさめ入港
サンドレット投擲を地上から見るのも中々いいです。
サンドレット投擲 はるさめからむらさめへサンドレット投擲

1200からは空自T7とT4の祝賀飛行がありました。マストを入れた構図が中々うまくいかず、こんなんで勘弁してください。
T7編隊飛行
T4編隊飛行 T4ローパス

1330から1500まで一般公開ですが祝賀飛行が終った、まだ時間前から長蛇の列。当日は1600出港のため1430で乗艦打ち切りとのことで、1410乗艦しました。昨日と同じ内容でしたが、今回違ったのはむらさめのヘリ格納庫内に「ミリメシ」が展示してあった事で、誰の発案か分かりませんが中々味な事をするわいと一人ほくそ笑みました。
一般公開を待つ行列
ミリメシの展示 ミリメシの展示その2

1450にやしまが国際信号旗UW1(あなたの協力を感謝する。ご安航を祈る)をマストに掲げ出港。はるさめ、むらさめとも回答旗・UWを掲揚していました。肉眼では見えなくなるまでやしまは掲揚していたようで、回答旗UWがしばらくの間全揚されていることでわかります。
UW1を揚げるやしま 回答するむらさめとはるさめ

1500には見学者は全て退艦し、出航の準備に取り掛かります。2日間のイベントを無事終了し、母港へ向かうとあって何かしら気合が入っているようです。1545まずはるさめが出港し時間通り1600むらさめの舫が解かれ出港しました。右舷は前進原速に変わりましたが直前まで後進微速だったためプロペラ後流で艦尾近くの海面が沸き立っています。回頭が終わり両舷前進微速が掛かったところで帽ふれがされ、今回のイベントは全て終了しました。また来年が楽しみです。
むらさめが母港へ向け出港 帽ふれ

本日のちょっといい話(ご本人にとっては大変だった話) 
1230頃、日陰にいた老齢のご婦人が突然倒れこみました。日陰でも風の通りが悪く熱中症でやられたと思われます。そばにいた人が近くの地本の方に通報、受けた方は直ちに艦の衛生員を呼びにやり、祭り本部へも連絡員を走らせました。
艦からは衛生員が毛布と保冷材を持って駆けつけ、地本さんが持ってきた冷えたPETボトルと共に身体を冷やします。祭り本部からは保健師が駆けつけ血圧を測ります。程なく祭り本部からの通報で救急車が駆けつけ無事搬送されました。

衛生員の方、地本の方、祭り本部の方の機敏な行動で大事に至らなかったと思います。ご苦労様でした。そしてありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

地本の○○士長さん2日間ごくろうさまでした
地本の○藤士長