平成18年度観艦式

予行 体験航海

〜この海と君を守る〜


平成18年10月24日(火)天候:曇
本日と明日は有給休暇をとり、3年に1度の楽しみを味わうため京浜急行汐入駅から、 ヴェルニー公園に向かう。

房総沖に低気圧があるため風が強く白波が立っている。対岸の米軍基地側に停泊している潜水艦がまず眼に入ったが、観艦式参加艦艇であろうと推測する。強風のためハッチには風除けのカンバスシートが設置されているのが珍しい。
係留中のSS

吉倉桟橋には護衛艦が満艦飾で一般見学者を迎えている。見学すべく足を地方総監部に向け、入り口ゲートで金属探知機と持ち物検査を受けて施設内立ち入りを許可された。道路の要所には誘導員が配置されているが事務方も借り出されている。
吉浦桟橋
手前から、しまかぜ、いかづち、ちょうかい、たちかぜ、たかなみ、さわかぜ、ひえい、くらまが見える。この中でちょうかいが一般公開されていた。帰りにショップでサイドパイプと作業帽を購入!売店のおばちゃんに「この中ではこの帽子は被らないでくださいね」と念を押される。
作業帽とサイドパイプ

一旦ここを離れチェックインした後1920再びヴェルニー公園を訪れた。今度は電燈艦飾を見るためであるが、風は相変わらず強く人はほとんどいない。不審者と思われたくないため撮影後早々に撤収し明日に備えた。電燈艦飾

10月25日(水)
本日はいよいよ体験航海。乗艦場所の横須賀新港に向かうが、天候は思ったほどよくなく、時々小雨が降ってくる。これは2003年度の再来かと気をもむ。

0600受付口に到着、既に10名ほど先着者がおり、後続者も次々に列を作る。受付開始予定時刻は0700であったが、受付責任者の判断で0650には受付が開始された。さすがはNAVY、フレキシブルである。昨日の吉浦もそうであったがここでも金属探知機と持ち物検査を通過しないと艦には近づけない。ずいぶん厳重になったものである。手荷物検査
岸壁には外側からはるさめ、むらさめ、おおなみがメザシ繋留されており、私の乗艦指定のおおなみは並びからして最後の出港、最初の入港となることが確定。動いている時間が一番短いのは残念だが、早く電車に乗れて早く帰宅できるのはありがたいと納得する。
横須賀新港に停泊の自衛艦

朝に乗艦すると必ず占有する場所は、後甲板(おおなみの場合はヘリ甲板)これは0800の艦旗掲揚を見るためで、当直員が準備をする、「5分前」の号令、整列、よーい「時間」「揚げ」ラッパ君が代吹奏、という一連の儀式は何度見てもよいものである。
0800 艦旗掲揚 むらさめの艦旗

さてそうこうしているうちに一番外のはるさめが出港していく。次がむらさめで、定刻の0820もやいが解かれると同時に出港用意のラッパ、艦首旗の降下、その後静かに離れていく。次はいよいよ本艦、定刻の0840もやいが解かれ、乗員が左整列し注目の敬礼をする。この頃には雨雲はなくなり天候の心配はなくなり、やれやれである。
むささめ出港  おおなみ出港

程なく猿島を右に見て変針、浦賀水道に入る。前後には一般船を圧するような護衛艦!感動である。
浦賀水道通過

水道を通過すると艦隊は式の隊形を形成するため、追い抜き・追い抜かれが始まる。吉倉から出港したたかなみは、第1群の1番艦として同2番艦の本艦を追い抜くところ。この頃になると天候は完全に回復し、富士山を背景にすることができ、本艦を含んだ受閲部隊が、単縦陣を形成する。低気圧は未だ銚子沖にあるため昨日に続いて風は強く、所々に白波が立っているがうねりは全くない。
富士山を背景にした、たかなみ  単縦陣の形成

程なく受閲部隊の先頭である旗艦たちかぜが本艦右舷を追い抜く。この時P3Cと富士山も一緒に撮影することができ感激。
受閲部隊旗艦たちかぜ

そろそろ観閲の時刻も近づき、1直線の、かつ正しい方位のきれいな隊形をつくるため、受閲部隊第1群及び第2群が一斉回頭をする。過去体験した観艦式では、観閲部隊か観閲付属部隊かの「見る方」であったため「見てもらう方」のこういった動きは非常に新鮮にみえる。
一斉回頭

受閲部隊第5群の潜水艦隊4杯を本艦が追い抜く。秘匿性を増すため識別できるものは何もないが「SS598やえしお」と推測する。一方受閲部隊は観閲部隊と反航するため、回頭後1直線になるよう回頭点で、きれいに180度の回頭をする。画像は受閲部隊旗艦たちかぜ、後続の第1群1番艦たかなみで、艦長の操艦の腕が問われるところであろう。
潜水艦やえしお  受閲艦隊の回頭

受閲部隊が90度よーそろとなったところで、反航してくる観閲部隊が左舷に見えてくる。画像ではたちかぜの前方のかたまりがそれである。

300ヤード(約275m)で観閲部隊とすれ違う。海上では距離の目安となるものがないため100mを切っているように見える。画像は観閲艦くらま。本番では内閣総理大臣が艦橋に立つはず。イージス艦のちょうかい,ヘリ護衛艦おのひえい等が随伴艦として後続する。
観閲艦くらま

航空部隊の受閲の第1群としてSH60J(K)4機を先頭に、MH53E、TC90、US-1、P3C等がまた陸自からCH47J、空自からC130、F-2、F-15 がフライバイ
HS60J(K)の受閲 MH53E

CH47J

受閲第7群のミサイル高速艇が受閲している。
ミサイル艇の受閲

今回裏を覗けて興味深いものがあった。
航空部隊の受閲が行われている頃、展示訓練のための隊形変更がされるのである。航続する受閲第2群のさわかぜ、あさかぜ、しまかぜが、展示第1群の礼砲発射の位置につくため面舵をとったところである。
隊形
画像には受閲第3群のボフォース搭載艦、第4群の潜水艦、さらに第6群のしもきたまで望める。画像両端は反航する観閲部隊と観閲付属部隊である。
ボフォース搭載艦のゆうばり、ゆうべつ、いしかりはしまかぜの後について反転、潜水艦隊はこの後本艦を追い抜きざま左舷で面舵をとって反転し、展示の位置を占有した。
反転するSS
最後に本艦が反転し展示第3群のヘリ発艦の位置についた。これらの運動がわずかな時間に行われ展示の準備は整った。

展示第1群の礼砲発射、ただし距離があるため音は聞こえず煙のみ、続いてボフォース発射
ボフォース発射!  ボフォースの弾着

いよいよ展示第3群の本艦を含む3艦は面舵を取って風に立ちヘリ発艦、1番艦たかなみからの発艦、続いて本艦おおなみから
たかなみからのHS60発艦  おおなみからのHS60発艦

展示では潜水艦の潜航・浮上、補給艦による洋上補給が展示されるがヘリ発艦のため本体から離れる方向に向いていたためこれら撮影はパス。
ミサイル防御のIRデコイの発射は、射出直後はしょぼい花火のようであるが海上で長いこと火煙を放っておりデコイの名に恥じぬと納得。
続いて救難飛行艇US-1の着離水、徐々に速度を落とし最後はチョポンという感じで着水、数秒間波に揉まれた後スロットルを開いてあっという間に離水、2式大艇より数段パワーアップしているだけのことはある。後継機に期待が持てるところである。
デコイの発射  US-1離着水

次の展示はP3CによるIRフレア発射、これは先ほどのデコイと比べ迫力がある。
P3Cによるフレア投下

続いて同じくP3Cによる対潜爆弾の投下!(画像でぽちっと見えるのが爆弾)一呼吸おいてからの爆発は迫力満点。しかし本艦からは距離があるため爆発の衝撃は伝わらず残念!
 P3C対潜爆弾投下  対潜爆弾の爆発

以上でイベントはすべて終了。各艦はいっせいに帰路に変進する。画像はむらさめ、マストの速力標は原速を表示。
泊地に向かうむらさめ

展示のため離艦していたヘリが戻ってきて本艦の近くで派手なバンクの後着艦、旗甲板にいたため着艦の様子は見られなかったものの逆光での映像もまた良しとすべきか
本艦搭載ヘリのバンク  着艦

着艦後、海上低空を飛行したためにエンジンに吸い込んだ塩分を除去する入念な整備作業が行われたのを見れたのも今回の収穫。作業の途中ではエンジンの排気部分から水がしたたっていた。その後ローターを折りたたむのも初めて見ることができ、一人ほくそ笑む。ヘリ甲板での一連の作業終了後、ハンドレール、旗竿が人力で起こされ、旗竿に艦旗が再掲揚、同時にマストの艦旗が降下される。HS機首下方向かって左のグレーのポットはIRセンサ、これで感知するとレーザーで測距し、左舷のハンガからミサイル攻撃するとのこと。同右側の突起は艦とのデータリンクのアンテナ格納部で「データリンク中は2m以内に近寄るな」との警告表示あり、相当の出力があることが推測される。
着艦後の整備を終えたHS60  艦尾に再掲揚された艦旗

そうこうしているうちに艦は浦賀水道を通過する。画像は1番ブイと後続の護衛艦。
ちなみに狭水道通過の際は「航海保安配置に付け」が命ぜられ、艦首では錨鎖を固定している安全装備が解除され、ハンマーで留め金を外せばいつでも投錨できるように用意がされる。この作業を見るのも楽しみの一つ。(便乗者のたわごとであり、乗員の方にとっては重要な作業であるのは重々承知です)
浦賀水道通過

「描地まで5マイル」の号令が下され、出港時と反対に猿島を観ていよいよ入港である。埠頭には接岸位置を示すM旗が掲げられている。今まで席に座っていた艦長がブリッジ中央に立ち直接指示する。「両舷最微速」から「両舷停止」まで、最後はタグボートの助けを借りるが、もやいを取るためのサンドレッドが1つ2つと艦側から投擲され、これをもとにホーサーが出され、接岸と同時に艦首旗が掲揚されるまで、流れるように時間が過ぎていく。
艦長の俸給の半分は入港のため!と聞いたことがあるが、さもありなん、実にスマートな入港である。時刻は予定通りの1630ぴったり、M旗も艦橋正横!すべてに感服する。
着岸と同時に艦首旗掲揚

待つほどもなく誘導により円滑に下艦、もちろん艦首旗に敬礼すること、及び誘導の隊員の方々にお礼の言葉を忘れません。

おまけ!帰りには途中のお店で「海軍カレー」を買ったのは言うまでもありません。
横須賀名物海軍カレー
次回の3年後も乗れればいいな〜