<我が家の黒点病対策>

黒点病ほど薔薇を育てている人にとってやっかいな病気はありません。

まずほとんどの薔薇が罹りますし、いったん黒い点が葉に発病すると
もう元通りの緑の葉に戻すことはできません。

それどころか、葉が一枚も無くなり丸坊主状態になることもよくあります。

薔薇は黒点病に弱い!
でも、本当は強い。

黒点病が原因で枯れこむことは、まずありません。

坊主姿になっても枯れませんし、また逞しく復活して新芽を伸ばしてきます。
お願いですから、葉が全て落ちたから枯れたと処分してしまったり
あまりに短く剪定しないでやって下さい。<(_ _*)>


でも、葉をたくさん落とすと樹勢が落ちますので、秋の開花が遅れたり
花数が減ったりしますからできるだけ被害は最小限に防ぎたい。

温室内では黒点病の発生は皆無です。
でも雨に当たらない軒下管理の薔薇にも発生してきます。

黒点病の原因は、雨や風で病気の菌糸(カビの仲間)が
葉裏に付くことで感染する
ことが判ります。

黒点病に罹り易いか強いかは、品種の特性だと言えます。
イングリッシュローズはたいてい強いですし、
ミニ薔薇はたいてい弱いです。

初心者の方は、出来るだけ病気に強いと定評のある強健種を
選ばれると薔薇育てに自信が持てます。

逆にミニバラは手軽だからと買い求めて
花後にアッという間に丸裸・・・。
バラって難しいって嘆かないでください。

イングリッシュローズやツルバラなど、黒点病に罹りにくく
罹ってもビクともしないような強健種もあります。

私の農薬に対する考え方 
 薔薇は、特に春の一番花は誰でも綺麗に咲かせることが可能です。

でも6月以降の夏場や秋に四季咲きの薔薇を
一番花と同様に、数多く綺麗に咲かせるのは
なかなか一筋縄ではいきません。

特に温室で育てることを前提に作出されている切花種は
病害虫に弱い種類が多いです。
無農薬で綺麗に咲かせるのは至難の業です。

特別な強健種を除いては、
パラ育ては害虫と病気との闘いになります。

かろうじて咲いてる、花も葉もボロボロになって・・・では
あまりにも薔薇が可哀相。(;_;)

私はHPで我が家の薔薇のお写真をご紹介する場合、
その薔薇の一番綺麗な姿を残したくて努力しています。

薔薇だって、みじめな姿を見て欲しくはない、
美しく咲き誇る花壇の女王であってこその薔薇!
と思うからです。

私は今流行りの無農薬派ではありません。
農薬も必要最小限は使用します。

私は本業が医師ですので、薬物が毒になることは熟知しています。
かと言って、薬の副作用を恐れて
病気に対し手をこまねている訳にも行きません。

よくその薬を理解して、副作用は最小限に抑えながら
病気を治すことを求められます。

農薬も一緒で、いい加減な知識のまま使用すると
薔薇に対して効果がないだけではなくて
人体や環境にも悪影響が出ることもあります。

自己流に用いないでしっかりした知識のある人や
専門の本で学習すべきでしょう。

それでも、子供やペットに危険だからと、
農薬を毛嫌いして
ボロボロの薔薇に甘んじるのもまた薔薇虐待だと感じる限りです。

綺麗に咲かないじゃなくて、綺麗に咲けないんです。

露地栽培で、木酢液やニームだけで、黒点病を防ぐことは
元々罹りにくい強健種以外では無理だと断言できます。

無農薬を貫くのなら、他の手段
コマメに自分の手で害虫を取り除く、
風通しや日辺りなどの環境に妥協しない
もちろんマルチングは完璧に行う
などが必要でしょう。

1年中、温室栽培なら黒点病は防止できます。
その代わり、うどん粉病とハダニ、オンシツコナジラミとの
闘いが待ってます・・・。┐( -"-)┌ヤレヤレ

なお、ガラス温室内の殺虫には、農薬よりも家庭用の蚊取り線香や
キンチョールなどを殺虫剤として使用してます。

換気扇を止めて窓やドアを締めきって使用します。
蚊取り線香でも3時間程度で、スプレー式殺虫剤なら30分で
なまじ農薬より確実にアブラムシ・ハダニ・コナジラミ・夜盗虫
など皆殺しに出来るからです。

お子さんやペットのいる家の中では、
蚊取り線香やスプレー式殺虫剤、ダニパンチ、
ペットのノミ獲り首輪その他の防虫剤をご使用になりながら
薔薇にだけ無農薬とは、如何なものでしょうか・・・。


黒点病の予防にはマルチングと有効な薬が欠かせません。
土の表面に居る病原体が、雨や水遣りの時に葉裏に付かない
為にはマルチングといって株元を覆ってしまうことが効果的です。

また薬剤として、
市販のスプレー剤ではほとんど拡大予防効果は期待できません。


 マルチング剤としては、コガネムシ対策の欄でもご紹介した
コガネムシ産卵&雑草予防の不織布がお勧めです。
試してみたら、アメンダーやバークたい肥のマルチングより効果的でした。

毎年7月初めには葉がほとんと落ちしてまう種類のバラ達も
今年はほとんど出ていません。
 
 鉢植えにはスリット鉢の号数に合わせて6号からあります。
 
 幹が太い場合は、中央の切れ込みをハサミで広げて使用します。
完全に土と遮断されますので、水遣りの際に土から感染するのを
防ぎます。水は通しますが、夏場は布をめくってちゃんと土の中まで
濡れているかのチェックは必要です。ついでに布の裏に夜盗虫
やナメクジなどが潜んでいないかを確認した方がいいでしょう。
 
 ミニ種なんですが、7月初めの時点で全く黒点病は出ていません。
もちろん雑草防止の効果もあります。
 
 地植えの場合は、60cmの大きさがお勧めです。
株元の雑草を防ぐので、シュートの発生も良く一石二鳥です。

購入はこちら↓(スリット8号鉢サイズ)



他のサイズ(6号〜10号、さらに外径70cmまであり)は
こちらから。

  薬剤は「サプロール」
値段の高い農薬ですが、それだけの価値があると確信しています。
 1リットルの水に1ccを付属のスポイトで入れる。
(1000倍希釈が基本)

殺虫剤(オルトランなど)や殺ダニ剤(ダニ太郎など)
とは
混合可能ですが、殺菌剤同士は避ける方が無難です。

例えばオルトランを希釈率250倍で混入する場合は
同じ水に液状オルトラン4ccを追加します。
つまり1リットルの水にサプロール1ccとオルトラン4cc
をスポイトで入れればOK。

他に、撒いて直ぐに雨で流れないように展着剤のダイン
数滴混ぜる。

私は使う量も多いので、5リットルの電気式噴霧器を
使用してますが株が10株以下と少なければ
1リットルのスプレーで十分間に合います。

黒い点が既に出ている葉は全て取り去り、
残った葉の裏に丁寧に散布します。

病葉は取り去りますが、病気のまだ出ていない葉と
茎も傷がなく緑色していれば強剪定しなくても大丈夫です。

なお全ての農薬は、残った液や容器を洗った水を
絶対に下水に流さないようにして下さい
それらは、庭に撒くか、ベランダ園芸なら
鉢の土に撒いて下さい。

サプロールもダインもホームセンターの園芸売り場で
簡単に手に入りますが、一応ご紹介しておきます。


ご購入はこちら

サプロール



ダイン
(少量しか使用しないので小瓶で十分です)


黒点病は、 6月から9月までの主に蒸し暑い時期に発生します。
朝夕が涼しい5月はじめや10月以降は、
まず黒点病の新しい発生は見られませんので
春先や11月以降に葉に黒い点が出たからと言って
慌ててサプロールを使用する必要はないでしょう。

10度以下の寒さに当たると葉に黒い点が出たり黄変して
葉が落ちていくのは生理的な現象です。

涼しくなる9月半ば以降にまた目立ってくるのはうどん粉病です。
こちらも寒さで葉が落ちる前に活動を停止しますが、
加温中の温室内ではそのまま居座りますから困りものです。