記事タイトル:失権 


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お名前: 石川新太郎   
 所基通「51−16」は、事業所得の範疇のなかでの「必要経費」について
の国税庁見解ですが、本件の事案が、所法64条2項適用の可否の問題とする
と、これは譲渡所得の「収入金額→所得」と求償権との兼ね合いについての論
点提起ということが貴翰により判りました。
 所基通「51−16」のなかから有用な情報が得られるよう、かげながら応
援したいと存じますが、一実務家の頭では、これ以上の知恵がないことを残念
に思います。
[2002/03/28 12:14:47]

お名前: 江崎一恵   
>あれ?なぜ、法基通「14−3−12」でなく、所基通「51−16」なのか、
と思ったことです。

所法64条2項の適用を受けたいという目的です。

> わたしが、なにをいいたいかというと、おおざっぱな議論ですが、法人税法2
2条2項のなかの「無償」に関する諸規定振り、や、同法37条の無償供与は、本
来、創設的ものでなく、確認的なものとの、認識をもっております。
 この理解が是認されると、本件事案について、所得税の件も、法人税のそれも、
同一の線上で議論が出来ると考えます。

51−16、債務免除、との関係についてもう少し御説明いただけたらと思います。

>どうも、本件は、「経済的観測法」の典型例のようです。
>「法的基準説」を主張する、松沢智教授は、次のようにいう。

私の質問の目的が単純すぎて、呆れられたかもしれませんが、今回の問題との関連
性がございましたら、御解説をお願できましたらと思います。

>民法研究100年の重みと研究の奥深さを感ずる。

民法といえば、民事再生法178条では、再生債権についての免責規定がございま
すが、この免責された債権(債務)は自然債務として、(消滅しないで)残るとい
うような議論はございませんでしょうか?民法には自然債務の概念は今、無いとい
うことですが、しかし、民事再生法では免責されても、実体上は残るのではないか
という気がするのですが。
[2002/03/25 04:23:25]

お名前: 江崎一恵   
>配当率は15パーセントと決まった。Aの1000のうちの150は、仮に更生債権の届
け出をしていれば回収が実現したわけであり、いわば、このAの回収努力不存在との
関連で、貴翰の「回収可能性は考慮されないのでしょうか」との疑問を提しておら
れるのですね。
>Aとしては、更生債権の届出期限までに、届出をしなかったのであるから、その
届出期限の満了時をもって、本件B社に対する債権1000は、完全に回収されないこ
とが法律上も確定した。→この時点で必要経費の計上が出来るかどうか、が主要な
論点と考えます。これを本件通達は否定したのです。

法律上、債権が消滅するのは、認可が決定した時であるということですね。でも、
届け出をしなかったら、回収できないことは間違いないのですから、税務上はどち
らでもよいことにすべきではないでしょうか。(ここは「経済的合理性に沿って」
と表現してもよいのでしょうか?)

>2)あと一つは、先の150の問題です。Aが届出をするか否かは、個別的な事情も
あるとは思いますが、一般的には、手続の煩雑さを思ってしまって、届出手続を行
わないこととしょう、というケ−スが多いんでしょう。
この点について、回収努力不存在とか、相手に対する利益供与とかについては、会
社更生法の枠組みのなかでは、特に税法的配慮は行わない、というのが国税庁の態
度なのでしょう。私は、この判断を、現実の行政執行面では妥当と考えます。

この「この点について、回収努力不存在とか、相手に対する利益供与とかについて
は、会社更生法の枠組みのなかでは、特に税法的配慮は行わない、というのが国税
庁の態度なのでしょう」という箇所が、実は、私が一番問題としたいところです。
届出をしないことによる貸倒れ処理が、無条件で認められるのは(あるいは通常よ
り認められ易いのは)、「個別に債務免除を行うのではなく、会社更生法の枠組み
のなかで行われた」からではないかと私は思うのです。

例えば、和解による貸し金の切り捨てが、回収可能性を追求せず(相手にまだ資金
があっても)貸倒れ処理できるのは、裁判という枠組みの中で行われたからではな
いでしょうか。

ところで、実は、私の事例は更生手続ではなく民事再生の、それも物上保証人の求
償権を貸倒れにしたいのです。民事再生の場合は、届け出期間が経過しても、知れ
たる債権は失権せず、弁済の対象となります。貸倒れとする方法の一つは、債務免
除ですが、これが認められるかどうかは回収可能性が問われる訳ですが、再生計画
完了後には配当があるものを放棄したら、否認される理屈になります。
そんなとき51−16を見て、「利益供与を問題としないで貸倒れとなる場合があ
るんだ」「配当があるものを放棄しても認められるのは、更生手続という法的な手
続の中で行われるからではないだろうか。だったら、民事再生手続の中で行われた
免除も無条件に貸倒れを認めらて然るべきではないか」と思ったのです。

>ところで、私は先に、「私は、この判断を、現実の行政執行面では妥当と考えま
す。」と述べました。しかし、この見解は、租税法の学問的領域の中では、何の意
味もありません。当然、必要経費計上について、他方では、通達是認説に対置する
説として、何らかの制約措置をとるべきだとの見解が出なければなりません。

これは、常に貸倒れの検討(回収可能性の判断)をすべきだということですか?
[2002/03/25 04:21:19]

お名前: 江崎一恵   
>江崎さんの「求意見」を正確に把握出来ていなかったので、

とんでもございません。私は法学の知識がございませんので、せっかくの御教授の
意味が解らず、お返事に困っただけでございました。本日改めてゆっくり拝見して
少しだけわかりました。

>第1は、タイミングの問題

法人税のコンメンタールには「債権の消滅時期は、届け出期間の満了日ではなく、
認可の決定があった時である」とのみ書いてありますので、単純に時期の問題なの
かとも思ったのですが、やはり、それだけではなく、利益供与の問題もあったので
すね。

>第2の問題では、利益供与というか、贈与−被贈与者からみると、受贈の問
題です。ここで考えることは、二つあると思います。
(ア)法人の場合、よく「経済的合理性」という議論が出て、経済取引もこのこと
を指向しつつ経済活動が営まれるといわれております。この認識を個人事業者、換
言すると所得税法では、どの程度まで配慮すべきか、という問題です。

この点について、お返事する知識がございませんが、イメージ的には解るような気
が致します。よく「法人は経済人であるから」という理由で、例えば、親の土地に
無償で子供が自宅を建てても借地権課税が行われないようなものだと思います。
それで、更生債権を放棄したような場合の利益供与の判断についても、法人と個人
は異なる。たぶん、個人の方が貸倒れ処理できる可能性が高いということだと思わ
れます。
しかし、「経済的合理性」を求められる法人についても、個人と同じ通達内容であ
ることは如何なものでしょうか・・・そして、利益供与について全く触れていない
ような書き方であることは(やはり時点の問題だけで、貸倒れかどうかの判断は別
なのでしょうか?)

>(イ)次は、制度上の問題があります。法人税法37条(寄付金の損金不算入)
に相当する規定が、所得税法では見当たりません。

ここが全く解らないのですが、御説明いただけますと幸いです。
[2002/03/25 04:14:52]

お名前: 石川新太郎   
(承前)

 どうも、本件は、「経済的観測法」の典型例のようです。
経済的観測法の詳細な議論の為には、旧ドイツ租税調整法(1976年廃止)の制
定時まで遡ることになります。
 金子宏教授次のようにいっております。
「・・・、この規定(石川の注記 前記ドイツ調整法のこと)に現れている、租税
法律の解釈にあたってはその経済的意義を考慮しなければならないという考え方
は、一般に「経済的観察法」と呼ばれ、最初は、租税法の解釈は、その文言にとら
われることなく、その規律対象たる経済事象に適合するように行われなければなら
ない、という趣旨に解されてきた。(租税法 8版P115)」
 本件の150について、その経済事象をどう理解するのか。
 ただ、経済的観測法という観念は、既に過去の遺物というのが、一般的理解のよ
うです。
 「法的基準説」を主張する、松沢智教授は、次のようにいう。
 「その結果として、常に経済的合理性に基づいて行動すべきものとの虚像のもと
に、それを前提としてかかる所得概念を構成しようとするのが顕著であった。その
結果として巨視的に所得概念をとらえるため、租税実体法の対象たる私的取引も専
ら経済的にのみ考察しようとし、従って、法律視角よりは経済的基準から課税所得
概念を把握しようとする。( 租税実体法(増補版)はしがきP4)                               
 しかし、この説が全く現実に機能していないかというと、例えば、我々にとって
座右の書の一である、「コンメンタ−ル基本通達」 税務研究会刊 の基本通達
「2−2−16(前期損益修正)」の解説文に「・・むしろ経済的観測に重点を置
いて当期で・・}とあるように、その研究は今日的課題である。
 村井正教授は、その著「租税法」の第1編第3章の第3節や第4節でドイツの学
説を引用しつつ論じておられる。(全10ペ−ジ)我々実務家にとっては、難解で
あるが、学問的叙述に接することができる。

 民法の逐条評釈等を紐解くと、ほとんど全ての条文につき、先ず「司法判断」が
示され、これとは異なる学説があり、且つ、「多数説」と、それとは違う「少数
説」がある。民法研究100年の重みと研究の奥深さを感ずる。

 江崎さん論述の最後は、「おかしいところがありますでしょうか?」とあります
が、  貴見について、正しいとか、正しくないとか、を即断できる人はいないで
しょう。むしろ、人々が、その論理構造を是とするのか、または、別の見解を提示
してくる人がいるかでしょう。
その説が、学識者の支持を得れば、学説としての評価が得られるでしょう。
[2002/03/24 22:16:22]

お名前: 石川新太郎   
(承前)

 あらためて、あなたの問題意識を再確認してみたいと思います。
「更生手続に参加すれば(たぶん)確実に何パーセントかの配当が得られる
のに届け出なかったことによる損失は貸倒れではないと思うのですが・・・
債権の消滅による貸倒れには回収可能性は考慮されないのでしょうか?」
 このこととは別に、あとひとつ最初に、「あれ、・・」と思ったことがあります。
 なぜ、法基通「14−3−12」でなく、所基通「51−16」なのか、と思っ
たことです。法人税事案であれば、金額も多額なケ−スもあるでしょうし、回収可
能性の議論も現実味を帯びてきます。
 この点につき、学問上の興味をそそられました。
 あなたの、問題意識につき、つたない知識ですが学問上の位置づけについて、若
干ふれたいと思います。
 去る平成11年9月に開催された税務会計研究学会のシンポジウム「法人課税の
原点を見つめて」のなかで、成道秀雄教授は、断片的な表記になりますが、次のよ
うなことを言っております。
 「そういうことで、法人税法22条から、無償譲渡の規定をなくしていただい
て、企業会計のほうで、無償の譲渡について明確にしていただくということ
で、・・・。・・・企業会計原則で明らかにしていただくのです。・・・」(平1
2.9.11発行「税務会計研究第11号」第一法規出版 P187以降)
 →興味ある方は、正確に理解していただきたいので、この部分ほぼ2ペ−ジを読
んでいただきたい。
 私は、この見解は、法人税制の趣旨・目的について、理解されていない、という
印象を受けています。
 本来、税法は、課税事実の認定に当たり、無償譲渡とか、無償譲受とか、あるい
は無償供与等は、課税要件明確主義を持ち出すまでもなく、企業会計がどうであ
れ、本来、基本的に定めておかなければならない事項なのです。従って、仮に企業
会計原則にこのことが謳われていようと、いまいと、税法では、基本規定で明確に
しておくことが大切です。
 わたしが、なにをいいたいかというと、おおざっぱな議論ですが、法人税法22
条2項のなかの「無償」に関する諸規定振り、や、同法37条の無償供与は、本
来、創設的ものでなく、確認的なものとの、認識をもっております。
 この理解が是認されると、本件事案について、所得税の件も、法人税のそれも、
同一の線上で議論が出来ると考えます。
 次にまいります。
 この問題は、実は、税法領域と私法領域の交叉という租税法上最も困難な、ある
いは言葉を換えると、学問上、最も学問的議論にふさわしい問題の一つであり、そ
の端緒になると考えます。
                                               (つづく)
[2002/03/24 22:07:15]

お名前: 石川新太郎   
江崎さんの「求意見」を正確に把握出来ていなかったので、再度コメントします。
具体的には、次のことを論点提起しているのですね。
Aは、B社に対し売掛債権1000を所持していたところ、このたびB社は会社更生法
の適用を申請した。管財人が選任され、各種更生手続を経て、更生計画の認可決定
があった。配当率は15パーセントと決まった。Aの1000のうちの150は、仮に更生
債権の届け出をしていれば回収が実現したわけであり、いわば、このAの回収努力不
存在との関連で、貴翰の「回収可能性は考慮されないのでしょうか」との疑問を提
しておられるのですね。
私の意見を二つ述べます。
1)この通達発遣の主要な役割は次にあると考えます。
一般に更生手続の履践を時系列的にみると、
ア)ある時期に債権者に対し期限を定め更生債権の届出を求める。
イ)その後管財人より更生計画案の提出を求め、利害関係者の意見の聴取等の手続
が行われる。
ウ)以上を総合勘案し、更生が可能と判断すれば、裁判所は更生計画認可決定を行
う。

以上のような流れのなかで、税法の課税要件の充足は、いつかを考えてみたい。
Aとしては、更生債権の届出期限までに、届出をしなかったのであるから、その届
出期限の満了時をもって、本件B社に対する債権1000は、完全に回収されないこと
が法律上も確定した。
→この時点で必要経費の計上が出来るかどうか、が主要な論点と考えます。
これを本件通達は否定したのです。必要経費計上の許容は、その後、時の経過を経
てのちに決定される「認可決定」まで待たなければならないと言うことです。
この国税庁の示達については、おおいにその相当性を議論すべきことと私は考えて
います。
2)あと一つは、先の150の問題です。Aが届出をするか否かは、個別的な事情もあ
るとは思いますが、一般的には、手続の煩雑さを思ってしまって、届出手続を行わ
ないこととしょう、というケ−スが多いんでしょう。
この点について、回収努力不存在とか、相手に対する利益供与とかについては、会
社更生法の枠組みのなかでは、特に税法的配慮は行わない、というのが国税庁の態
度なのでしょう。私は、この判断を、現実の行政執行面では妥当と考えます。

ところで、私は先に、「私は、この判断を、現実の行政執行面では妥当と考えま
す。」と述べました。
しかし、この見解は、租税法の学問的領域の中では、何の意味もありません。
当然、必要経費計上について、他方では、通達是認説に対置する説として、何らか
の制約措置をとるべきだとの見解が出なければなりません。
                                                      (つづく)
[2002/03/24 21:58:34]

お名前: 江崎一恵   
>所基通51−11及び法基通9−6−1で法律的に債権が消滅した場合の4通り
の態様が列挙されていますが、これのどれもが、利害の相反する関係者間での債権
債務の消滅に対する税務の対応ですから、どんな場合においても、上記の通達のど
れかに該当すれば貸倒損失として認容されるということではないと思います。

>特に、債務免除通知などによる債権放棄については、事実認定や同族会社の行為
計算が問われるケースがあるでしょうね。更生債権等の免責等については、少額な
ケースでは届け出ないとうことは多くあることですから、問題にはならないと思い
ますが・・・届け出なかった場合その行為の背景が吟味されると思いますね。

51−11の4つのケースについては(も?)、逐条解説にあるように、無条件に
貸倒れになるのではなく、贈与とみなされるような場合はダメだということです
が、この51−16をぱっと見たとき、無条件に貸倒れ処理ができると勘違いした
のですが、そのようなことはないのでしょうか?

なぜ、法的に債権が消滅する場合の貸倒れを51−11の中にいれずに、51−1
6として単独で通達がつくられているのか、理由は、無条件で、何の疑問もなく貸
倒れ処理できるからではないのでしょうか。

そう考えるワケですが。更正手続という法律的手続の中で処理される(消滅する)
ものであれば、それが、「相手に対する利益の供与であり、回収可能性があるとし
ても」(普通はこの場合貸倒れになりませんね)、贈与とみなさないという考える
があるのではないのでしょうか。

所基通36−17は債務免除益の特例として、債務者が資力喪失の状態である時
は、積極的に課税しないとしてます。この場合の資力喪失は9条にいうような悲惨
な状態ではなく、他に所得があるような場合も適用があります。

それで、このような「債務超過の状態にある債務免除益について事業者に課税がな
い」という取扱いの裏返しとして、債権放棄した債権者も貸倒れの対象とすること
ができるのではないかということです。(少なくも、36−17の適用がある債務
者への債務免除は、これを行った債権者が貸倒れ処理できるということです)

このように、免除の意思、贈与の意思があっても、支払能力がないような債権者に
対するものは、貸倒れにできるのではないかということです。

さらに、もうひとつですが、届け出なかった理由が、請求を忘れた場合です。この
「失念」は免除の意思がないということで、贈与には該当しないのだと思います。

おかしいところがありますでしょうか?
[2002/03/23 18:09:16]

お名前: 小池 洋   
 会社更生法の規定をみてみると、

(更生債権等の免責等) 
第二百四十一条  更生計画認可の決定があつたときは、計画の定又はこの法律の規定によつて
認められた権利を除き、会社は、すべての更生債権及び更生担保権につきその責を免かれ、株主
の権利及び会社の財産の上に存した担保権は、すべて消滅する。

これに対応する 所基通51−16 は、 江崎一恵さんの記載しているところですが、法基通
はどうなっているかというと、

法基通14−3−12(非更生債権等の処理)
 債権法人が更生会社等に対して有する債権で指定された期限までに裁判所に届け出なかったた
め更生債権とされなかつたものについては、その金額を当該更生計画の認可決定のあつた日にお
いて貸倒れとすることができる。

法人税も所得税も扱いは同じですね。
所基通51−11及び法基通9−6−1で法律的に債権が消滅した場合の4通りの態様が列挙さ
れていますが、これのどれもが、利害の相反する関係者間での債権債務の消滅に対する税務の対
応ですから、どんな場合においても、上記の通達のどれかに該当すれば貸倒損失として認容され
るということではないと思います。

 特に、債務免除通知などによる債権放棄については、事実認定や同族会社の行為計算が問われ
るケースがあるでしょうね。更生債権等の免責等については、少額なケースでは届け出ないとう
ことは多くあることですから、問題にはならないと思いますが、多額とくに巨額なケースで届け
出なかった場合は、その行為の背景が吟味されると思いますね。
[2002/03/23 15:22:42]

お名前: 石川新太郎   
RE.失権
 この基本通達「51−16」は、同通達「51−11」の(1)で示した必
要経費算入時期について、いわば、想定外(規定外)の事例について、国税庁
としての解釈を示したものですね。
 私は、妥当なものと思っています。ただ、本通達は、「平成11課所4−
25」にて改正されているようですが、その内容をしっかり把握しないままこ
の通達をコメントすることは、失礼とは存じますがお許し下さい。
 この通達は、事業所得での売掛債権や、貸金業者の貸金が回収困難となった
場合等個人事業者の債権に係る更正計画認可決定の事例ですが、議論すべきこと
は、二つあると思います。
 第1は、タイミングの問題
 第二は、利益供与の問題  です。
 第1の問題では、次のように考えます。
 裁判所への届出未済の債権も、届出済債権のいずれの債権も、更正計画認可
決定により、その回収不能額は、法律上も明確に決まります。国税庁のタイミ
ングに関する判断は妥当なものです。
 第2の問題では、利益供与というか、贈与−被贈与者からみると、受贈の問
題です。
 ここで考えることは、二つあると思います。
 (ア)法人の場合、よく「経済的合理性」という議論が出て、経済取引もこ
のことを指向しつつ経済活動が営まれるといわれております。この認識を個人
事業者、換言すると所得税法では、どの程度まで配慮すべきか、という問題です。
 (イ)次は、制度上の問題があります。法人税法37条(寄付金の損金不算
入)に相当する規定が、所得税法では見当たりません。
 
 以上のような事情を課税庁当局が勘案して、上記通達を発遣したものと思わ
れます。
[2002年 3月21日 20時39分30秒]

お名前: 江崎一恵   
ご意見をお聞かせください

所基通51−16(更生手続の対象とされなかった更生債権の貸倒れ)
指定された期限までに裁判所に届け出たかつたため更生手続の対象とされなかつた
更生債権については、その金額をその更生計画の認可の決定のあつた日において貸
倒れとすることができる。

ですが、更生手続に参加すれば(たぶん)確実に何パーセントかの配当が得られる
のに届け出なかったことによる損失は貸倒れではないと思うのですが・・・
債権の消滅による貸倒れには回収可能性は考慮されないのでしょうか?

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