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小見出： 自己株式の位置づけについて 名前：石川新太郎
自己株式の位置づけについて
１ 自己株式を所持している状態で会社が解散した場合、当該自己株式をどう
位置づけるのか→
まだ判然としない点もあるのですが、おそらく、残余財産の一部分配金と
同じ位置づけで、処理することになるのではないでしょうか。
２ 先に、法人税法施行令２２条に関連し、当該計算を、税務上の数値で計算
（税務計算で）するとの記述がありましたが、これは会社計算（商法会計）
をベースにして計算するものであり、ここでの自己株式の位置づけをもって、
租税会計での議論において、自己株式の資産性を否定できる根拠とはなりえ
ないものと理解しております。
[2002/08/22 15:38:02]
小見出： 思考の整理 その1 名前：小池 洋
政府税制調査会の公表議事録によると、「論点整理メモ」の確認時点で、
ある委員から
「金庫株のことについて全然触れてないのですけどね。来年の4月から金庫株
は処分可能になるわけですが、法務省令で、商法上はこれは資本取引という
ことになっておりますし、それから企業会計審議会でも、会計上も資本取引
として整理が進められているわけです。したがいまして、税制上でも、この
金庫株の取り扱いは資本取引として非課税であるということを明確にしてお
いていただけないかと思うのでございますが。」
という発言があり、その後の平成13年12月14日の「平成14年度の税制改正に
関する答申」の公表時に同時に発表された「主な意見」では、
「金庫株の処分については、商法上及び企業会計上も資本取引とする方向で
あることから、税制上も資本取引として非課税とすべきではないか。 」
という意見があった旨の発表になっている。
途中議事録では「金庫株の取り扱いは資本取引」といっているのに、まと
めの文書では「金庫株の処分については資本取引」となっている。
これは同じ意味なのであろうか。金庫株は取得も処分も資本取引といって
いる前者と金庫株の処分に限定して資本取引といっている後者というように
違いがあるようにも読める。
結果的には、金庫株取得に関連するみなし配当と金庫株処分に関連する処
分差額の資本取引視について法改正があったわけだが、肝心の金庫株そのも
のは「資本等」の概念には含まれないこととされており、したがって、金庫
株の取得は資本取引ではなく、またその処分も処分差額が無いときは資本取
引ではなく、処分差額が生ずるときのみ資本取引とされる。
ちなみに資本取引とは「法人の資本等の金額の増加又は減少を生ずる取引」
をいうのであるから。
[2002/08/19 01:15:32]
小見出： 自己株取引は資本取引でもない 名前：小池 洋
自己株式の取得取引は、税法上では、資本取引でもないんですね。
法人税法第２２条第５項では、「資本等取引とは、法人の資本等の金額の増加又は
減少を生ずる取引及び法人が行う私益又は剰余金の分配をいう」といっていますか
ら、法人税法における別段の定めは全部適用になる、ということですね。
そして、資本等の金額にも含まれない、ということになると、やっぱり、「自己
株式」の属性は、「資産」である、という石川新太郎 さんのテーゼが正しいとい
うことになるのでしょうか。
資産を移転したことによる金額の差額が譲渡損益ではなく、資本積立金になると
いうことを素直に受け入れられない以上、もうちょっと、もがかなければ精神の安
定が得られません。
[2002/08/16 15:56:41]
小見出： その他の資本という分類 名前：小池 洋
石川新太郎さんの「資本積立金は限定的である」という指摘は、蜂の一刺しの鋭さが
あって、私の「自己株式の属性は資本である」という主張の屋台骨をぐらつかせていま
す。
たしかに、別表５（１）の下段の「資本積立金」欄には、自己株式の価額を記載する
べきではありません。そこに記載されるのは、法人税法第二条第十七号に該当するもの
に限定されると理解すべきです。
ところで、自己株式は、法定資本金でもなく、資本積立金でもなく、利益積立金でも
ないとすると、残るは「資産」なのでしょうか。
考えられるのは、
� 〇饂�
�◆〇饂困隼駛椶涼羇嵎�
�� 資本であるが、法定資本金・資本積立金・利益積立金以外のもの
といったところです。
商法規則等においては、上記��が選択されている、といえそうです。それで、税法は
どうかというと、�，箸發い┐修Δ糞�定もあるが、同時にそれを自己否定するような規
定ぶりにもなっている。�△箸いΔ箸垢襪函�規定に一貫性がない、ということになる。
��については根拠となる規定はないが、これを否定する規定もなさそうである。
ただし、��だとすると、次の規定で暗礁に乗り上げる。残余財産の計算で自己株式を
まさか財産とカウントするわけにはいかないだろうから、資本等の金額のマイナス評価
勘定と位置づけるしかない。しかし、下記の規定はそういう位置づけをしていない。
でも、自己株式を無視すると清算所得は小さく計算されてしまう、という不都合が生じ
てしまう。
法人税法第九十三条（解散による清算所得の金額の計算）
内国普通法人等の解散による清算所得の金額は、その残余財産の価額
からその解散の時における資本等の金額と利益積立金額等との合計額
を控除した金額とする。
税法に限って考えた場合、自己株式取得という取引によって生じたのは、
�ー�己株式という資産の増加 なのか、
�⊆�己株式という名での資本の回収 なのか
そして、�△世箸靴燭蕁△修譴蓮∨…蟷駛楸癲∋駛楡冦�金、利益積立金、その他のい
づれに分類されるのか。
それが、「その他」だとしたら、その他という分類はどこから出て来るのか・・・・
・・・・・・・・・・・
[2002/08/16 11:04:51]
小見出： 自己株式は何処に消えた？ 名前：小池 洋
法２条１７号の資本積立金には自己株式を含むような規定になっていませんね。
法２条１７号(ロ)では、自己株式の譲渡差額のみ資本積立金に含まれるとの規定
です。当然、法２条１８号の利益積立金にも含まれません。
税務上の資本の部の金額は、法定資本金と資本積立金と利益積立金の合計と思う
のですが、自己株式はこのどれにも属さないのでしょうか。資本の部の項目ではな
いという意味なのでしょうか。
[2002/08/15 09:56:54]
小見出： 資本積立金は限定的である 名前：石川新太郎
商法会計と租税会計（課税所得論）との相互関係をどうとらえるかは、
いろいろな要素がからみあい、個別問題一つとっても、ただちにどちらが正し
いかを判定することは、困難のようであります。
本件について、一点のみ、私の論拠を箇条書きで記します。
Ａ）法２２条５項は、資本等取引についての定義規定です。
Ｂ）同項でいう、「資本等の金額」とは、法２条１６号に規定があり、
それは「資本金額」と「資本積立金額」との合計額と規定しています。
Ｃ）もういちど、２２条５項を読みますと、それは、「資本金」と「資本積立
金」に係る増加又は減少によって生ずる取引が資本等取引といっているの
です。
Ｄ）それでは、「資本積立金」は何かといいますと、それは、法２条１７号に
あり、同号の「イからヲ」の事由から「ワからラ」までの事由を差引いた
ものだといっております。
Ｅ）同号によると、増加項目は１２事由、減少項目は１０項目です。
Ｆ）私は、これを限定列挙と理解しております。
Ｇ）本件に関係あるのは、「ロ」のみのようであります。
Ｈ）「ロ」は、「譲渡対価の額」−「譲渡直前の帳簿価額」すなわち前例でい
う４００円です。
Ｉ）自己株式取得後の帳簿価額（例示８００円）は、別表５（１）の下段の
資本積立金欄には、記載されないものと理解しております。
[2002/08/14 20:11:23]
小見出： 「自己株式」の属性は、「資本」である 名前：小池 洋
石川新太郎さんの資産説へのアンチテーゼです。
【自己株式の本質的性格】
自己株式の本質的性格については、商法も証取法も会計原則も�〇饂裟發鮑�
り、会計理論として�∋駛楾欺�説が書籍の上にのみ存在していた。
平成13・６・29成立の「商法等の一部を改正する等の法律」で、商法が資産
説から資本控除説に立場を変えてから、証取法も会計原則も一気に同調して立
場を変えた。
会計理論についても、ほんの一部の学者に資産説に執着している人がいるよ
うであるが、すでに議論の決着もほゞついている。
【商法規則と財表規則の新表示】
商法施行規則 財務諸表等規則
I 資本金 １ 資本金
II 資本剰余金 ２ 資本剰余金
1.資本準備金 1 資本準備金
2.その他資本剰余金 2 その他資本剰余金
・自己株式処分差益 ・自己株式処分差益
III 利益剰余金 ３ 利益剰余金
1.利益準備金 1 利益準備金
2.任意積立金 2 任意積立金
3.当期未処分利益 3 当期未処分利益
IV 評価差額金 ４ その他有価証券評価差額金
V 自己株式 ５ 自己株式
【自己株式最下段表示の意味】
自己株式の表示が資本の部の最下段にあることの意味は、自己株式の取引が
資本取引であることについては選択の余地がないまでも、それが単純な増減資
取引なのか、利益処分取引を含んでいるのかが留保されていると、いうことで
ある。
留保されているという意味は、この処理が留保されているという意味と、こ
れを単純な増減資取引とみる考え方と利益処分取引を含んでいるとみる考え方
との議論も留保されているということである。
商法施行規則、財務諸表等規則では、自己株式処分差益のときは単純な増減
資取引となるが、自己株式処分差損のときはマイナス資本剰余金という概念は
ありえないということからマイナス部分は利益剰余金に表示される。自己株式
処分差益は資本剰余金だが、自己株式処分差損は利益処分ということなのであ
る。利益処分を受けるのは自己株の売主なのであろうが、利益処分が発生した
かどうかは自己株式を処分してみないとわからない、ということである。自己
株式を長期に保有した後での自己株式処分差損の発生では利益処分の受益者も
特定できないことになる。
【税法での自己株式取引の分類】
これに対して、税法では、公正なる会計慣行が変わったということを踏まえ、
自己株式取引を資本取引と位置づけし直し、市場性ある株式については単純な
増減資取引とし、市場性のない自己株式の取引については利益処分取引を含ん
だ取引とみるとの線引きをした。
自己株式処分差益差損については、税法の場合には、マイナス資本積立金と
いう概念があるので、「自己株式（いわゆる「金庫株」）の処分に伴って生ず
る譲渡益・譲渡損に相当する金額については、資本積立金額の増加・減少金額
とする」(平成14年度税制改正の大綱)ということで論理の一貫性は確保してい
る。
税法の場合には、自己株式の所属場所は処理の留保された場所ではなく、資
本積立金か利益積立金かいづれか明白である。
【税法でも自己株式は資本】
例えば株式を発行する発行会社が取得する自己株式一単位当たり仮に１，０
００円とすると、そのうちみなし配当部分が２００円とするならばその残額８
００円は資本等の金額に一致するもので、マイナス資本積立金という概念に含
まれるものである。
会計的には 「(借)自己株式 １，０００円」
と資本の部の末尾に表示されるが、税務上の解釈仕訳としては
「(借)自己株式 ８００円」
「(借)未処分利益 ２００円」
で、税務上の表示は別表5(1)利益積立金に 「自己株式 −２００円」
別表5(1)資本積立金に 「自己株式 −８００円」となる。
税法の立場でも、自己株式は資本そのものである。８００円を資産とみると
いう解釈は出てこない。
【自己株式の処分時は資本積立金の増減のみ】
次に本件株式を仮に１，２００円で売却した場合について検討してみたい。
１，２００−８００＝４００ この４００円は資本積立金を構成する。
商法では、
１，２００−１，０００＝２００ この２００円は資本剰余金を構成する。
税務上は、別表5(1)利益積立金の表示「自己株式 −２００円」は変わらず、
別表5(1)資本積立金の表示は「自己株式 ０円」となり、
「資本剰余金 ２００円」
「税務上の資本剰余金追加額 ２００円」となる。
【法人税法22条は自己株式資本説の根拠】
法人税法第22条（各事業年度の所得の金額の計算）で定める益金の額及び損
金の額は別段の定めがあるものを除き、資本等取引以外のものに係る収益の額、
原価・費用の額である。自己株式の取得・処分の取引は「一般に公正妥当と認
められる会計処理の基準」では資本取引であり、法人税法でも、同22条５項の
いう「資本等の金額の増加又は減少を生ずる取引」あるいは「利益又は剰余金
の分配」取引に該当する資本等取引である。
資本等取引によって資産が増減することはあるが、自己株取得によって減少
するする資産は現金預金等であり、その代償として取得したものは税法的には
マイナス資本等の金額（すなわち資本の回収）ということである。
自己株の取得・処分は公正なる会計慣行も法人税法も資本取引であり、資本
の回収・利益の分配・出資剰余金にかかる取引である。ここから、自己株式を
資産とみる考え方が出てくる余地はないのではなかろうか。
【自己株式は税務上の総資産を構成しない】
法人税法施行令第22条（株式等に係る負債の利子の額）に定める「総資産の
帳簿価額」は税務上の金額を意味しているが、ここでの「総資産」には自己株
式は含まれていない。自己株式は会計上資本の部に移されたが、税法はそれを
否認し、資産として扱うという別段の規定を置こうとはしていない。有価証券
評価差額金および土地再評価差額金は総資産に含めないとしていることと比べ
てその趣旨は明白である。
税法は公正なる会計慣行の変化をそのまま受け入れているのである。
【法人税法第61条の２の意味するもの】
自己株式を資産としているような規定もある。法人税法第61条の２（有価証
券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入）第５項では、自己株式の譲渡の場
合を規定している。ただし、自己株式の譲渡からは損益が出て来ないような規
定になっており、資産と見たとしても実際的意味がない、ということを明示す
る条文になっている。
【有価証券の取得価額の規定】
法人税法施行令第百十九条（有価証券の取得価額）では、購入した有価証券
の取得価額は「その購入の代価」とし、ただし、自己の株式の取得の場合のみ
なし配当に該当する場合には当該金額を減算した金額としている。すなわち、
取得資本等の金額か購入代価かいづれか低い金額をもって自己株式の取得価額
とするとしている。自己株式に付ける税法上の帳簿価格に関する規定であるが、
この規定をもって自己株式＝有価証券＝資産ということにはならない。この規
定は、自己株式が資産であっても、資本のマイナスであっても、どちらにも機
能するものだからである。
[2002/08/11 00:15:47]
小見出： 「自己株式」の属性は、「資産」である 名前：石川新太郎
企業の経営成果を把握する技法として会計実践（記帳実務）のなか
から簿記学が誕生してのち、幾多の変遷を経て、今日では、各国の
会計基準の調和化が大きなテ−マとなつている。
このような流れのなかで、複式簿記を構成する三つの要素「資産」・
「負債」・「資本」についての従来からの概念に大きな変革が生じ
ている。
その変革の一つに、資本の部の中に「有価証券に対する資本直入法
に基づく評価差額金」と「自己株式」がある。ここでは自己株式に
ついてふれてみたい。企業会計から発したこの意識改革は、すでに
商法会計においても全面的に適用が開始されている。企業会計の理
屈は、新株発行が資本取引であるならば、それの対極に位置する自
己株式の取得も資本取引となる。つまり資本の部の控除項目として
もよろしいのではないかと言う理論構成である。
この理論が法人税制のなかでは、どう位置づけられるのか。
結論を先に言おう。
私の見解は、商法規定が改正された後においても、従来の位置付と
同様に「資産」そのものである。と理解している。
ここで検討すべきことは、法人税法２２条各項特に４項と同法７４
条であり、それに各個別規定についてである。商法が資本の部の控
除項目としたことが、それを直ちに税法がそれを受け入れるべきか
どうか。私は否定的見解をもっている。
まず、個別規定である同法２４条１項と同法２条１８号のヲについ
て検討してみたい。その趣旨は、例えば株式を発行する発行会社が
取得する自己株式一単位当たり仮に１，０００円のうち、同規定所
定のみなし配当部分が２００円とするならばその残額８００円は、
税法の立場では、資産そのものである。これらの条項によって、
８００円を資産とはみないという解釈は出てこない。
次に同法２条１７号のロについて検討してみたい。このロの趣旨は、
本件株式を仮に１，２００円で売却した場合、１，２００−８００＝
４００円 この４００円が資本積立金を構成する、と言っているに
過ぎない。
１，２００円で売却する以前の状態は、商事貸借対照表の資本の部
の中に、「自己株式 −１，０００」と表示され、別表５（１）では、
翌期首利益積立金欄に「自己株式 −２００」との記載がなされる。
この段階の自己株式帳簿価額１，０００（税務面では、帳簿価額８００）は、
資産そのものである。
ここで、先にあげた条文について簡単にコメントしておく。
法２２条４項 この規定は、あくまでも法人税制という大きな枠組
みのなかでの会計処理基準についてうたったものであり、
法人税法の趣旨・枠組を超えてまで、「一般に公正妥当と
認められる会計処理基準」を税法が受け入れると言う
趣旨ではない。
（つまり、商法会計や企業会計基準をやみくもに税法
が受け入れるという趣旨ではない）
法７４条 この条文の主要な機能は、手続規定である。
[2002/08/03 19:38:37]
このテーマについての発言をどうぞ。
※半角カナは使用しないようにしてください。文字化けします。
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