記事タイトル：国破れて三部あり・藤山裁判長判決１０件
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お名前： 興銀事件判決、高裁で逆転
興銀事件について、東京高裁では、納税者を敗訴にする逆転判決を出したようです。
興銀側は判決を不服として最高裁に上告するようです。
----3/14 朝日新聞------------------------------------------------
住専不良債権損金算入できず、追徴課税は適法 興銀敗訴
日本興業銀行が、破たんした旧住宅金融専門会社（住専）の不良債権を放
棄し、損金計上したことを国税当局が認めず、法人税など約１４７０億円を
追徴課税（更正処分）された問題で、興銀側が課税処分の取り消しを求めた
訴訟の控訴審判決が１４日、東京高裁であった。村上敬一裁判長は「債権が
全額回収不能とはいえず、損金への算入はできない」と判断。課税処分を取
り消した一審・東京地裁判決を取り消し、興銀側の請求を棄却した。これに
より国税当局側の勝訴となった。
判決によると、興銀は９６年３月期決算で、設立母体として関与した日本
ハウジングローン（ＪＨＬ）への貸出金約３７６０億円を債権放棄して損金
に計上。この処理で赤字決算となり、法人税額をゼロ申告した。
訴訟では、不良債権が損失として確定していたかどうかが主な争点となっ
た。一審判決は「債権の回収は社会的通念上、不可能の状態だった」と判断
し、興銀側の請求を認めていた。(15:53)
----3/14 読売新聞------------------------------------------------
旧住専処理の法人税追加徴収で興銀が逆転敗訴
旧住専（住宅金融専門会社）向けの不良債権処理を巡り、東京国税局が不
良債権の無税償却を認めず、約１４８０億円を追徴課税（更正処分）したの
は違法だとして、旧住専の母体行だった日本興業銀行が更正処分取り消しを
求めた訴訟の控訴審が１４日、東京高裁であった。村上敬一裁判長は、国税
局敗訴の１審判決を取り消し、興銀側の訴えを退ける逆転判決を言い渡した。
１審・東京地裁は「旧住専への債権回収が可能かどうかは、社会通念に照
らして判断するのが相当だ」として、１９９６年３月期決算で興銀が旧住専
の日本ハウジングローンへの債権約３７６０億円を放棄し、税法上、法人税
がかからない無税償却として、会計処理したことを妥当だと認定。興銀側の
請求を全面的に認め、国税局側敗訴の判決を言い渡していた。
(3月14日15:41)
----3/15 日経新聞------------------------------------------------
住専向け債権放棄の追徴課税訴訟、興銀が逆転敗訴
旧住宅金融専門会社（住専）向け貸出債権を政府主導の処理策に沿って放
棄したのに、国税当局が損金（無税）扱いを認めず約1470億円を追徴課税
（更正処分）したのは不当として、日本興業銀行が処分取り消しを求めた訴
訟の控訴審判決が14日、東京高裁であった。村上敬一裁判長は追徴課税を取
り消した１審判決を取り消し、興銀側逆転敗訴の判決を言い渡した。
興銀側は判決を不服として上告する方針。
興銀は政府が住専処理策を閣議決定したのを受けて1996年3月、同行などが
母体行となって設立した旧住専、日本ハウジングローン（ＪＨＬ）向け債権
約3760億円を全額放棄し、同3月期に放棄額を損金に算入して税務申告した。
訴訟では、国税当局が損金算入を認めなかったことの是非が争われた。
判決理由で村上裁判長は「興銀が債権放棄した時点で、ＪＨＬには借入金
総額の約40％に当たる1兆円の資産が残っていたので、全額が回収不能だっ
たとはいえない」と指摘した。
[2002年 3月16日 18時26分50秒]
お名前： またまた藤山判決
住民訴訟で違法建築と判決されていた国立市の１４階建てマンションをめぐっ
て、今度はその建築主の業者が国立市と市長を相手に条例の無効と損害賠償を求
めて訴えていた訴訟で、藤山裁判長が業者勝訴の判決を出しました。
小池 洋
http://www.yomiuri.co.jp/00/20020214i204.htm
http://www.asahi.com/national/update/0214/017.html
----読売より---------------------------------------------------------
マンション条例訴訟、東京・国立市に賠償命令
東京都国立市の１４階建てマンション（高さ約４４メートル）を巡り、建築主
の「明和地所」（渋谷区）が同市と上原公子市長を相手取り、高さを２０メート
ル以下に制限した条例の無効確認と、４億円の賠償などを求めた訴訟の判決が１
４日、東京地裁であった。藤山雅行裁判長は「市は建築物の高さの規制を放置し
ていたのに、マンション建築計画を知ったとたん、計画を阻止しようと条例を制
定しており、行政の一貫性を欠いた」と述べ、市に４億円の支払いを命じた。条
例の無効確認の訴えについては訴訟の対象にならないとして却下したが、同社の
実質勝訴となった。
判決によると、同社は１９９９年夏から同市内の「大学通り」沿いに高層マン
ション建設を計画、翌年１月、都の建築確認通知を受けて着工した。これに対し、
市は急きょ、マンション建設地を含む地区について建物の高さを２０メートル以
下に制限する地区計画を作成し、同２月に条例を施行した。
判決は、市が建築計画を知って条例を制定した経緯をふまえ、「市は景観保持
を過大視して、原告が建築のためすでに多額の投資をしていた点を無視した。行
政としての怠慢を原告に転嫁するに等しい行為」と指摘。市長が市議会で「違法
建築」と発言した点についても、市民らに誤った認識を与え、同社の社会的信用
を傷つけたと認定し、それぞれの損害分として４億円の賠償を命じた。
同社はすでにマンションを完成させ、今月９日から、総戸数３４３戸のうち２
０２戸について、販売を開始している。
同マンションの高さ２０メートル超の部分を巡っては、住民側が建築差し止め
を求めた仮処分申請で、東京高裁は一昨年１２月、申請自体は棄却したが、違法
と判断（確定）。住民側が都の建築指導事務所を相手取り、この部分について建
築基準法に基づく是正命令を出さないのは違法と訴えた訴訟では、東京地裁が昨
年１２月、訴えを認める判決を出し（双方控訴）、いずれも実質的に違法との判
断が出ていた。
上原市長の話「条例が認められたのに、賠償を命じられたのは納得できない」
(2月14日13:19)
----朝日より---------------------------------------------------------
国立市に４億円の賠償命じる マンションの高さ制限訴訟
東京都国立市が景観を保つために条例などで特定地区内の建物の高さを２０
メートル以下に制限したことをめぐり、対象地区内に高さ４４メートルのマンシ
ョンを計画・建設した明和地所（東京都渋谷区）が市と上原公子市長を相手取っ
て、制限の無効確認や損害賠償を求めた裁判の判決が１４日、東京地裁であった。
藤山雅行裁判長は「景観保持を過大視するあまり、既存の権利者の利益を違法に
侵害した」と述べ、市に請求通り４億円の支払いを命じた。条例の無効確認の訴
えは、訴訟の対象にならないなどとして退けた。
問題となったのは、都市計画法に基づいて定められた地区計画と建築制限条例。
明和地所のマンション計画がきっかけで００年初めに制定された。
判決は良好な景観を保つことの望ましさを認めながらも、「景観のためならば
私有財産権の行使も制約される、との考えは一般的なものとはいえない」と指摘。
新たな規制によって既存の権利者にどんな影響が及ぶか慎重な検討が必要なのに、
市はそれを無視して高さ制限に踏み切ったと認定した。
そのうえで判決は、それまで問題の地区の高さ規制をしていなかったのに、建
設計画を知った途端に条例を制定した市の行為は、行政の一貫性を欠くと批判。
「自らの怠慢で生じた責任を、何の違法行為もしていない明和地所に転嫁するに
等しい。土地所有権の侵害で不法行為にあたる」と結論づけた。
さらに、上原市長が市議会の答弁で問題のマンションを「違法建築」と発言し
たことや、都知事に電気や水道の供給承諾を留保するよう働きかけたことも、明
和地所の社会的信用を棄損し、違法行為だったと判断。条例不適格の建築物とな
ったことで下落した価値３億５０００万円とあわせ、４億円の損害賠償を認めた。
明和地所は条例施行後も工事を進め、今月９日から分譲を始めている。
◇
上原公子・国立市長の話 これから判決文を詳しく分析するが、業者側の損害
賠償請求を全面的に認めるという、到底受け入れられない判断だ。私は市民の意
向を最大限踏まえて行政運営をしてきた。議会や市民と相談するが、控訴するこ
とになると思う。(11:44)
小見出： �Ｍ�価証券の取得価額の否認 の判決について品川芳宣教授の評釈
�Ｋ／誉如。硲隠押檻隠院檻械亜〕�価証券の取得価額の否認 の判決についてと同じ意味
をもつ評釈がありました。この判決を踏襲した福井地裁判決についてですが。
筑波大の品川芳宣教授がかいています。税務研究センターの「税研」９９号です。
株式払込という資本取引について、その払込額の一部を寄付金と認定することの是非
がテーマです。
寄付金の規定から、直ちに資本取引の否認、寄付金認定が可能か否か、あまり明快
とは思えなかった。１３２条の行為計算否認の規定の発動がなくて、こういう認定が
可能なのか、どうか疑問である。
節税スキームに目を奪われた、結論の先行はいただけない。
小池 洋
小見出： 興銀事件の賛否両論
�λ／誉如。硲隠魁檻娃魁檻娃押‘�本興業銀行事件・住専への貸倒処理 の判決については
賛成反対の評論がいくつか出ています。
この中に賛成としているものとして、
武田昌輔 税経通信 2001年6月号 税務事例2001年8月
河本一郎 商事法務 1593号
森厚治 金融法務事情 1607号
武藤佳昭 税経通信 2001年7月
横内龍三 税務弘報2001年9月号
大淵博義 税務事例 2001年11月号以下
反対としているものとして、
青柳達郎 税理vol44 no15
品川芳宣 税研2001年7月号 税経通信2001年8月号ほか
木村弘之亮 判例評論176号
秋山忠人 税務弘報2001年10月号
小池 洋
お名前： 小池 洋
�イ糧酬茲任蓮�敷地が貸家建付地には該当しないのに、小規模宅地の特例が適用できるとされ
たのはおかしくないだろうか、という疑問があった。定例会では、駐車場などの場合、権利金
の収受がなく、借り手の権利がうすいので、貸し地の減額はできないが、小規模宅地の減額は
できる。
土地の評価と事業継続の保護という視点の違いがあるので、矛盾はない、という意見があり、
みな納得したところである。
小池 洋
お名前： 小池 洋
�い糧酬茲蓮�著名な税理士がそのまた著名な息子の税理士にゴルフ会員権を贈与したとい
う事例のようで、そのゴルフ会員権の売却では、息子が支払った贈与後の名義変更料は取
得費にも譲渡費用にもならない、というを指摘を受けたが、それは法律がおかしいという
ことで訴訟に及んだようである。
たしかに、ここは法人税法と所得税法との違うところである。法人税法では、受贈資産
も事業供用のための付随費用は取得価額になる。所得税法では、贈与を無かったものとす
る扱いなので、贈与に伴う関連費用は考慮外になる。
注意点である！！
小池 洋
小見出： １０件の中身
�）／誉如。硲隠押檻娃后檻横后仝魎昂戚鵑虜�誤無効
棚卸資産としての土地を取得後１年以上経ってから、議事録を作成し、帳簿上、固定資
産に振り替え、固定資産の交換契約を締結したが、税務調査により否認され、重加算税を
賦課された。それで当事者双方は交換契約の錯誤無効として契約解除し、原告法人は更正
処分と重加算税の処分の取消を求めたが、契約解除による過年度損益修正損は契約解除年
の損金であり、当初の契約年の損益に遡及することはなく、重加算にもの影響はないと、
判示された。
�⊇蠧誓如。硲隠押檻隠院檻械亜＾篶永�減殺請求権者と取得費加算の特例
遺留分減殺請求権者が取得した財産を譲渡し、その申告にあたり租税特別措置法３９条
１項に規定する取得費加算の特例を適用したが、その譲渡日は、相続税申告書の提出期限
の翌日以後２年を経過していたため、適用不可として更正された。
原告は、遺留分減殺請求権者におけるこの特例の適用期間は「当該相続の開始があった
日の翌日」から「期限後申告書の提出期限の翌日以後２年を経過する日」までであると主
張したが、期限の終期の意義は一義的であり、法の文言から離れた解釈をすることはでき
ないと、判示された。
�Ｋ／誉如。硲隠押檻隠院檻械亜〕�価証券の取得価額の否認
原告から借入金のある債務超過の子会社の株主割当増資に際し、プレミアムを付した価
額で払い込み、子会社の新株を取得し、この増資払込金をもって子会社から貸付金の返済
を受け、後にこの株式を訴外非同族会社に低額譲渡して有価証券売却損を計上した。
判示内容は、次の通り。
１ 不自然・不合理な経済行為で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少さ
せる結果となると認められる。
２ 更正処分は帳簿書類に記載された事実自体を否認するものではないから、帳簿以上に
信憑力のある資料を摘示することまでは必要ではない。
３ 法施行令３８条１項一号において、払込みにより取得した有価証券の取得価額はその
払い込んだ金額とする旨の規定があるが、原告が子会社株式の新株取得価額を払込金額と
することはできず、本件子会社の１株当たりの払込金額は株式の額面価額とし、それを超
える金額は寄附金に該当する。
�そ蠧誓如。硲隠押檻隠押檻横院ー�贈者への名義変更料は取得費を構成するか
父から贈与を受けたゴルフ会員権の取得費には、父の当該資産の取得のために支払った
代金と取得するための付随費用が含まれるが、受贈者がこれを自己の名義に書き換えるた
めに支出した名義変更料は含まれない。
�チ蠡垣如。硲隠魁檻娃院檻械院…詑澤�物明け渡し寸前の相続開始
建物建て替え計画のために賃借人に建物を明け渡しを要求し、一定猶予期間の賃料免除
の上立ち退き料の支払いと立ち退きの和解成立後、賃借人の立ち退き前に相続が開始した
事例で、この貸家は一時貸しともいえる状態につき、その敷地は貸家建付地には該当しな
い、とされた。が、被相続人の事業の用に供されていた宅地等には該当し、小規模宅地の
特例が適用できるとされた。ただし、相続人は相続開始後８ヶ月で本件土地を売却した。
�λ／誉如。硲隠魁檻娃魁檻娃押‘�本興業銀行事件・住専への貸倒処理
平成８年３月末決算の時点では、債権放棄の通知を出していたわけでもなく、かつ政府
の住専処理策も成立していなかったのであるから、住専への貸付債権を貸倒処理する税法
要件はまだ整っていなかった、との当局主張を退けた。
�Ы蠧誓如。硲隠魁檻娃魁檻横検仝魎垢�売買か
（９億７０００万円の土地）と（７億９０００万円の土地プラス１億８０００万円の現
金）との交換契約と当局が認定した取引を、申告では（５億８０００万円の土地の売却）
と（４億円の土地の購入）との形式を採って行っていた。
選択した法形式を尊重すべきで、それによって課税洩れがおきてもやむをえない、との
判示でした。
��法人税 Ｈ１３−０５−２５ 東急不動産事件・超短期土地重課回避
時価の４５％での借地権の設定とか、違約金の約定とか、違和感の強い不動産売買契約
があり、結局違約金の支払いはなされ、さらに最後には底地の譲渡もなされ、途中の契約
や取引は終わってみれば全体の譲渡であったが、超短期土地の重課が回避された、と当局
に認定された。
違約金は、借地権の追加払いと判示されたが、当局主張の解除条件付きの対価減額の合
意とはみなされず、停止条件付きの対価増額の合意とみるべきものとされ、収益発生時期
は超短期土地重課期間の後となった。
��相続税 Ｈ１３−０５−２５ 認知判決確定後の更正の請求
従来の、納税者有利の税務執行取扱が、たまたま１人の相続人につき不利に作用する事
例が発生し、従来の法律の拡張的運用解釈の是非が問われてしまった。品川支部の我々の
研究会のメンバーである石井米吉さんが委任を受けていた審査事案で、いま高裁で係争中
で、まもなくは判決の予定である。
��法人税 Ｈ１３−１１−０９ 旺文社事件
旺文社事件については、１１／２６の「週刊税務通信」に記事があります。この記事に
よると、旺文社がオランダに法５１の現物出資で法人設立。その「現物」はテレビ朝日そ
の他の株式。その後テレビ朝日株はオランダの別法人に時価で譲渡（ただしオランダでは
企業間の株取引による譲渡益は非課税）し、さらに日本国内の法人に譲渡されて戻ってく
る。
９１年９月に現物出資（圧縮記帳）
９５年２月に増資（本件訴訟対象）
９６年７月にテレ朝株をオランダで転売
９６年９月にテレ朝株を日本子会社に転売
その後、日本子会社の株式をソフトバンクに転売
その間に起きたことは、テレビ朝日株の取得原価の膨張であるが、それに課税がともなっ
ていない。
こういう筋書きなのであるが、この筋書きは争点になっていない。原価を膨らましたこ
とこそ、租税回避そのもののはずなのに。
争点になっているのは、この租税回避を行う過程で、現物出資された法人に係る旺文社
の出資持分割合がその後の増資での第三者割当で著しく小さくなった、という点である。
疑問なのは、この第三者割当が全体の筋書きの中で絶対に行われなければならなかった
ことなのかどうか、である。もしかすると、（オランダでは企業間の株取引による譲渡益
は非課税）というところの意味が、この文字通りではないのかもしれない。
小池 洋
お名前： 小池 洋
品川租税法研究会 第７５回定例研究会 判例研究資料
「ＴＡＩＮＳ税法データベース」から東京地裁民事三部の「藤山雅行裁判長」の判決を検索し、
今回１０件のデータを探しました。平成１２年の判決は全部納税者敗訴で、平成１３年は全部納
税者勝訴です。たまたまそういう事例が連続しただけなのか、「藤山雅行裁判長」の中に何かな
変身をもたらす事情があったのか、いづれにせよ、いまこの「藤山雅行裁判長」は税務の世界で
は「時の人」であり、話題の人物です。
「国破れて三部あり」などという戯れ句が人気を博しています。税金裁判におけるこの特異な
事象をたんに大岡裁きとして拍手喝采を送るのではなく、その判決の中身を検証してみようとい
うのが、今回のテーマです。個人的には、１２年の判決にも、１３年の判決にも疑問を感ずると
ころがあります。諸兄姉におかれましては、いかが思われますか。
このテーマについての発言をどうぞ。
※半角カナは使用しないようにしてください。文字化けします。
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