10MHzにQRVされてるアマチュア無線局にも当てはまると思います。

無線設備の緒元
周波数     10MHz
送信機出力  1kW
給電線損失  2dB
アンテナ利得  2.15dBi
アンテナ高   22m
アンテナ長   5m
電波型式    A1A(CW) J3E(SSB)
設置条件    敷地周辺に垣根があり
          そこまでは立ち入れる



  この場合の電力束密度は次の様にして求めます

 1.算出準備
  (1)対象となる無線局の緒元から、必要な値を算出
    ア.アンテナ入力電力P
      送信機出力から給電線損失2dBを差し引いた値は
     約632W
      さらに、この値に無線設備規則に規定されている*下表の換算比を乗じて求めた平均電力を
     用いることができる。
      この例では、用いられている電波型式はA1A,J3Eの2種類であるが、換算比の大きい方を用
     いて平均電力を求める。この場合は
     632Wx0.5=316W となる。

 
*電波の型式別空中線電力の換算比の表(無線設備規則別表3号から)
電 波 の 型 式 換  算  比
平均電力(pY) 先頭電力(pX)
A1A,A1B,A1C,A1D 0.5 1
J3E 0.16 1

    イ.アンテナ利得G
      絶対利得2.15dBiを電力比率に直すと
     102.15/10=1.64


  (2)次にこの周波数における基準値を求める
     対象となる無線局の周波数は10MHzであるので、(電波法施行規則第21条の3の
    別表第2号の2の2)電波の強度の値の表の3MHzを超え30MHz以下の周波数の欄となる。
     電力束密度の基準値はないため、電界強度の基準値を求めると
    基準値は824/fであるので、f=10を代入し
    82.4V/mとなる。
 
 2.電波の強度を算出
   上記1項(1)のア、イおよび(2)項の値を元にアンテナから最も近い点での電波の強度を
   基本算出式で求める。
   上図から三角形の斜辺の長さに相当する距離が最短距離となる(アンテナ直下が最短ではあるが、
  人が通常、通行し、集合するのは垣根の外側であり垣根の内側へは立ち入らない)
  
   告示では、算出地点において、地上2mまでの範囲の最大値を求めることとなっているが基本算出式
  で得られる電波の強度は、距離の自乗に反比例するから、アンテナにもっとも近い点が最大となる。
   従って、地上2mの位置の電波の強度を求める。
 算出地点が地上なので大地の反射係数を考慮して、周波数が10MHzなので
  反射係数=4を適用する。

  以上の値を基本算出式に代入して


       PG        316x1.64
    S=      xK=           x4 =0.0329mW/cu
      40πR     40xπx22.4

周波数が30MHz以下なので、求めた値を電界強度の値に換算すると
         E
     S=      =37.7H
        3770

変形して
    E=(3770xS)1/2 =(3770x0.0329)1/211.14「V/m」



 3.算出結果を基準値と比較
   基準値は、82.4V/mであるので算出結果は基準値を満たしており、この算出地点は基準に適合して
  いると判断され、これ以上の評価は不要となる。
   また、これはアンテナに最も近いところでの値であるので、他の場所でも当然基準を満たしておりこれよ
  り遠方での算出も必要ない。

   結果としてこの無線局の無線設備は基準値に適合していると判断できます。
算  出  例
 計算の結果、惜しくも基準値を超えている場合は、適合性確認のための手順に従って順次計算を行いどう
しても基準値に納まらない場合は、人が近寄れない様柵等の安全施設の設置、工事設計の変更等、基準
値以下となる様な方策を検討しなければなりません。