BGMをオンにするとより世界観をお楽しみいただけます。
If you turn on the sound, you can enjoy worldview deeply.
2009年に発売されたアルバム『睡眠都市』で、大嶋啓之はひとつの世界観を提示した。
神経質なサウンドと虚無的な歌詞、茶太の無垢なウィスパーボイス、bermei.inazawaの緻密なミックス。3人だけで作ったアルバムは約4000枚を売り上げ、音楽の方向性として確かな手応えを得た。
それから10年。アニメ「アクセル・ワールド」、ゲーム「天穂のサクナヒメ」をはじめ多様な楽曲提供を手がけながら、大嶋は次のアルバムのイメージを模索し続けていた。キーワードは「都市と音楽」。『睡眠都市』で個に当てていた焦点を都市全体へと敷衍させ、さまざまな視点からひとつの街の光景を立体的に形作る。そんなアルバムを構想した。
2016年には先行トラックとして「舞い散る灰の」を発表。作曲家でボーカリストのkidlitを招き、頽廃美を追求したサウンド、異言語風に歌われるメロディ、生演奏の弦楽四重奏と、7分の曲に情報量を詰め込んだ楽曲を制作し、新作アルバムへの指標とした。
そして2020年、アルバムの制作に本格的に集中する。すべての作詞作曲を手がけつつミュージシャンやデザイナーの協力を仰ぎ、徐々に全容を具体化させていく。kidlitのボーカルは楽曲に繊細さと透明感を与え、独自のコーラスワークにより新たな彩りを加える。ときに濃密になりすぎるサウンドをbermei.inazawaがとりまとめ、楽曲をさらなるステージへと洗練させていく。Taiyo Yamamotoによるデザインと映像は、音楽だけでは伝えきれないイメージを明確に視覚化する。
『epitaph』と名付けられたこのアルバムで描かれるのは、高くそびえる塔、広大な市場、湾岸を走る軌道、埠頭に立つクレーン。誰もが知っている街でありながら、しかしそこには誰もいない。ただ記憶と記録だけが残っている。
その街にどんな物語を描くかは聴く者に委ねられている。ぜひ『epitaph』に触れて、その世界観を感じ取ってほしい。
01 | 都市と亡霊 |
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02 | 舞い散る灰の |
03 | 飛べない鳥のランドスケープ |
04 | 虚栄の市 |
05 | 水の中の永遠 |
06 | メトロニカが聞こえない |
07 | キリンは海の涯てを知るか |
08 | 灯台守に安息を |
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