259  神はあなたを励ます

聖書箇所〔ローマ人への手紙8章30−39節〕

 あなたはスイスの女流作家ヨハンナ・スピーリをご存知でしょう。作品としては『(アルプスの少女)ハイジ』が有名です。山中に隠遁する老人に引き取られれた孤児ハイジをめぐっての素朴な人間愛が美しい大自然を舞台に描かれています。しかし彼女にはいくつもの苦難が襲ったことも忘れることはできません。与えられた息子ベルンハルトは29歳の若さで死に、その悲しみが原因で夫が7ヵ月後に亡くなります。このような彼女にとって励みとなったのが、祈りであり、通う教会でした。彼女は教会が好きでした。ほっとする場でありました。私たちは弱く、時に落ち込みを経験します。そのようなときに覚えていただきたいことを今回はお話しましょう。

神はあなたの側に立つ〔30.31-33〕

 神はあなたの味方ですよ。どんな場合でも。うれしいではありませんか。たとえあなたが不利な状況に陥っていたとしても、自らの責任で失敗をしてしまったとしても、お先真っ暗というような思いにとらわれてしまったとしても、神はあなたの味方です。もしこのことを知っていただくことができるなら、あなたの心はいつもリセットされ、新しい出発が可能です。リセット、なんという、すばらしいひびきでしょうか。ちょうどボーリングをしていて、第一投、でも両側にピンを一つずつ残してしまいました。さあ、あなたならどうします。二投目でスペアを取るのは至難の業、そうですね。でも簡単な解決策があります。リセットボタンを押すことです。きれいに並べ替えてくれます。あなたは新鮮な気持ちで再び、第一投!もちろんこれはたとえ。実際にボーリング場で実行すれば料金を取られますのでご注意。しかし信仰の世界ではこれがいとも簡単にできます。「義とされる」(30.33)という言い方が随所に見受けられます。これはどういう意味でしょうか。義認とも言いますが、確かに法廷用語であって難しい印象はありますが、その意味するところは「『あなたはよくやった!』と判定してもらった」ということです。もちろん神から。神から、ということが重要です。神から「よくやった!」と言われれば、いかなる人も異議をさしはさむことはできない(31.32)というのがこの段落における主張です。でも抵抗感があるのです、そのように言われたあなたには。「いろいろと私にも失敗やら罪やらがありますので、そう言われてもねえー」とお思いですか?しかしそのようにあなたを告発する人はあなただけですよ。だれもあなたを責めていないし、そうすることも許されてもいないのです。あなた自身の問題です。十字架を知ってください。十字架は廃棄物処理機です。あなたの失敗や罪はここで焼却されました。きれいさっぱり消えてしまいました。あなたのした良いことのみが神から評価されています。ハレルヤ!どうか、あなたは自分が神の子であることを信じてください。あなたの中のイエスさまがあなたの心の中でそのように語ってくださっていますよ。「あなたは神の子、心配しないで」と。ちょうど子どもが外出先から帰ってきて「ただいまーッ」、家の奥から「おかえりーッ」。お母さんは子どもを抱きしめます。あなたは今、神の胸に飛び込み、抱きしめられています。感謝!神はいつでもどんな場合でもあなたの味方です。

神はあなたを祝福する〔32〕

 あなたにはたくさんの良いものが愛の神から用意されています。神はあなたを祝福する方ですよ。どうか信じてください。信じたとおりになるのですから。ではあなたに神が用意してくださった最高の祝福とは何でしょうか。それは選ばれたこと!

 一人の老人が旅行しているときに、川に行く手をはばまれました。寒い時期でしたし、馬に乗せてもらうしかないと思いました。ちょうどそこへ馬に乗った人がやって来ました。でも老人は何も頼みませんでした。二番目に来た人にも、三番目に来た人にも。ついに五番目の人がやって来ました。老人はこう切り出します。「すみません。川向こうまで乗せて行ってくれませんか」相手は即座に「もちろん、どうぞ、どうぞ」と応じました。けれども老人に彼は質問をしたのです。「あなたの前をいままで何人もの人が通り過ぎて行きました。彼らに声をかけないで、私にだけ声をかえたのはなぜですか?」老人はこう答えました。「私はあなたの目を見てすぐに分かりました。あなたには愛がある!」

 ちなみにこの馬上の人はトマス・ジェファーソン。後にアメリカ独立宣言を起草し、第三代大統領になりました。

 頼まれるとは選ばれること。選ばれるには理由があります。何か大切なことをしてほしいのです。なんとすばらしいことではありませんか。神があなたに期待しておられます。その期待の中身はTPOにより変更はありますが、神から期待されることくらいわくわくさせられるものはないではありませんか。今、あなたは、子育て?仕事?どのような奉仕が待っていますか?何を学ぶことをしたらいいと思っていますか?選ばれた、意識を持って生活すると幸せになります。夫婦関係でもそうです。互いに「選んでもらった」という意識が大切です。「世には多くの男性がいるけれども、よくぞこの私を選んでくださった」、「世には多くの女性がいるけれども、よくぞこの私を選んでくださった」。まかり間違ってもこう考えてはいけません。「俺が拾ってやったんだ」
 謙虚さが必要です。謙虚さの条件は二つ。一つは何事にも所有権を主張しないこと。心も、体も、金銭も、家族もすべて神に所有権があります。ではあなたには何もないのでしょうか?あります。占有権と使用権です。要するに預かっているのです。大切に使わせていただくのです。所有権を主張するから、いろいろと思い通りにしたくて、もちろんその通りにはならないのでストレスが溜まります。本来自分のものではない、と思えば気も軽くなります。もう一つは人を裁かないこと。許しましょう。赦しましょう。だれも罪を犯します。だれも失敗をします。互いに寛容になり、もう一度のチャンスを与えるのが親切というものです。そうすればあなたにも与えられます。

神はあなたを勝利に導く〔37〕

 あなたは「圧倒的な勝利者となる」とあります。どういう意味でしょうか?それは「ハッピーエンド」になるという意味です。野球で言えばまだ9回を終わっていません。9回を終わってはじめて結果は判断できます。でも多くの人が2回とか3回で、たとえば5対2で負けていると「あーあ、もうだめだ!」と落ち込んでいます。まだ試合は終わってはいないのです。すべてのことは、すべてのものは上手に組合されて益となります。神は良い結果をあなたに保証してくださっています。あなたはこれを信じますか?もしこれを信じることができるなら、あなたはいつでも希望を持つことができます。夢を持つことができます。
 一人の青年が強盗を働いて無期懲役の刑を受けました。乱暴な人で刑務所の中でもたびたび暴力事件を起こし、そのたびに独房に入れられていました。その刑務所にクリスチャンがいて、彼にみことばを伝えました。「キリスト・イエスは罪人を救うためにこの世に来られた」(Tテモテ1:15)なぜかこのことばに惹かれた彼はほとんど寝ないで2週間で聖書を読破し、クリスチャンになる決心をしました。以来彼は変身し、穏やかな人柄に変貌しました。それが刑務所の中を変え、出所までに60人がイエスさまを信じ、その後、彼は牧師になり、結婚をしました。相手はお父さんもお兄さんも警察署長でした。彼の名前は中村謙三と言います。

どうか全能の神を信じてください。神には何でもおできになるのです。
 明治4年に一人の少年が横浜に船で到着しました。高校を出たての18歳でした。少しのお金と片道切符で日本の土を踏みました。まず湘南の海に行きこれからどうしようかと思案していたとき、きれいな貝(英語でシェル)が目に留まりました。これを加工してロンドンに送り、商売がスタートしました。この会社がやがてシェル石油に発展して行きました。彼はヤーウエを信じるユダヤ人でした。神はあなたにも同じようにその力を使ってくださいます。惜しげなく使ってくださいます。