390 主の日がやって来る

 ●聖書箇所 [ヨエル書]

 ヨエルはイスラエル南王国の預言者です。彼は警告を発しています。「もし、いまのままの生き方を続けるなら国は滅びる」と。事実彼の預言はその通りになり、紀元前586年にバビロンによって滅ぼされました。人々はノアの日のようでした。「まさかそんなことが……」。でもそんなことが実際に起きました。ところで旧約聖書の預言には一つの特徴があります。近未来を預言しつつ、重ねて遠未来を預言するというものです。ヨエルのもう一つの預言はすべての人にあてて、まもなく「主の日がやって来る、気をつけよ」というものです。ヨエル書から学びましょう。

歴史への見方

 歴史上起きる出来事は決して偶然の産物ではなく、それぞれ意味があります。このことを知っておきましょう。それは警告であり、予兆であり、そのまま神さまの親切です。赤信号の前の黄信号のようなものです。レッドカードの前のイエローカードのようなものです。
 ヨエルはいなごの襲来(1:4)を告げています。これは自然災害と戦争(2:4、25)をイメージしたものです。いなごの襲来をあなたはご覧になったことがおありでしょうか。私はテレビで見ました。アフリカが舞台でした。何100キロも空を大群で飛んで行くのです。私にはそれが、私のいつも知っている同じいなごには見えませんでした。でも同じものです。日中なのに真っ暗でした。そして彼らが去った後には食い尽くされた農作物のみじめな姿と農耕の機械のあらゆる隙間を埋めた彼らの死骸でした。私はもうその名前を忘れましたが、学者は彼らの体内に発生する特別な化学変化を指摘していました。まるで鳥のように、渡り鳥のように遠くまで飛ぶことができるのです。自然の持つ威力の前に人間はなんと無力なのでしょうか。
 この100年間で南極周辺の気温が2.5度C上昇していると報告されています。そのために南極では大規模な氷の崩壊が始まっています。1995年には淡路島の5倍、1998年には宮城県と同じ大きさの氷が流出しています。温暖化の影響です。南極の氷が全部溶けると海面は60メートル上昇すると言われております。50センチで世界人口の10%が住む場所を失います。1メートル(この場合、4.5度C上昇)上昇すると国土が消滅する国(モルジブなど)が出てきます。さらには食物の収穫量が大きく落ち込みます。国立環境研究所の調べでは気温が2.5度C上昇すると、冬小麦の生産量は南アジアで50ー60%、世界全体で13%減少、とうもろこしは中国で40%減少など。
 温暖化減少への貢献はまず二酸化炭素の排出を指摘しなければなりません。これは石油や石炭などの化石燃料を燃やすことによるものです。しかしフロンガスの排出も大きな問題です。最近皮膚癌が急増しています。オーストラリアでは18年間に7倍というスピードで増えています。これはオゾン層の破壊に伴って有害な紫外線の地球表面への到達量の増加が原因です。オゾン層は地球の上空20ー30キロメートルくらいのところに5キロメートルくらいの幅で広がっています。このオゾン層が人類を有害な紫外線から守ってくれます。もしオゾン層が全部無くなると人類はおろか地上のあらゆる生物は生きて行けません。オゾン層破壊の犯人はフロンガスです。1985年に南極でオゾンホールが発見されました。毎年広がりが大きくなっており、現在南極大陸の面積の2倍です。現在では代替オゾンが使われようとしていますが、たとえばHCFもCHFCも、それぞれ温暖化の力が二酸化炭素の4000倍、3000倍と、問題があります。忘れてならないことは今までに排出してしまったフロンガスの10%により、上記の面積で穴が開いているのであり、フロンガスの性質上15年もかかって上空へ到達するのですから、残りの90%がさらにホールを大きくして行きます。そのピークは2010年以降と予測されています。3分の2のオゾン層が失われると予想されています。いったいこれから私たちの地球環境はどうなるのでしょうか。ヨエルが2章15節で言っていることに謙虚に耳を傾けなければなりません。まず、神さまを知っていると自認する者たちが悔い改めることをしなければなりません。

日常生活への見方

 本質的には第一のポイントに含まれますが、もっと日常レベルで神さまのメッセージを捕らえることができます。日常において私たちが出会う出来事は嬉しいことと悲しいことの二つです。嬉しいことを経験したら、謙虚に感謝をしましょう。決して、当たり前だと思ってはいけません。
 南北戦争の頃、北軍最高司令官であるリンカーンのもとへ自分を売り込んで来たドイツ軍の軍人がいました。願いがかなって中尉に任官されました。そのとき嬉しかったのでしょう。とうとうと自分の家柄の良さを話しだしました。リンカーンはこう言いました。「どうか心配しないでください。あなたの家柄の良さがあなたの昇進や叙勲の障害になることはありません」。
 もう一つ。ジョナサン・スイフトは『ガリバー旅行記』の作者で、あなたもきっと子どもの頃にお読みになったと思います。彼は牧師をしていたことがあります。あるとき、一人の女性が「先生、私は鏡で私の顔を見ると、『なんという美しさ!』と思うのです、もうことばがありません。これは私の罪でしょうか」と言って来ました。彼はこう答えました。「いいえ、それはあなたの罪ではありません。それはあなたの誤解です」。決して高慢になってはいけません。試練の時はどうでしょうか。ぶつぶつ言いやすいのでしょう。悔い改めるべきときと知らなければなりません。
 28歳の女性の話をしましょう。彼女の母親はとても厳しい人で、彼女が学校の試験で90点取っても小言を言い、100点取っても「お前が100点ならだれも100点やろ」と言う人でした。しつけも厳しく小学校3年のときコーヒーをシーツにこぼしただけで、倒れるほど殴られました。母親は飲んだくれで働かない父親(自分の夫)を抱えて一生懸命に働いていましたし、彼女は母親には愛情を感じてはいました。やがて彼女は働きに出るようになりますが、すべての給料を母親に渡します。自由になるお金がなくて、「生きていても楽しくない」とつぶやくようになります。カウンセラーに相談すると、「全部をお母さんに渡す必要はないですよ」と言われますが、そのようには出来ないのです。やがて彼女は一つのことに気がつきます。母親への怒りが彼女の中にあることに。さらには自分への怒りも。カウンセラーに言われて、「それもそうだ」と理性的には納得できても、そのようには行動できません。そういう自分へのふがいなさへ怒りを感じていたのです。またそのような自分を育ててしまった母親への怒りがあったのです。
 私たちは自由だと自らを認識していながら、意外に自由ではないのです。幼児期にプログラムされて、ただそのプログラムの通りに動いていたりするのです。これではロボットではありませんか。でもイエス・キリストはあなたをいやしてくださいます。その傷を癒してくださいます。ここに真の悔い改めへの道があります。怒りはこのような場合には罪です。でも傷を抱えたままでは悔い改めることは難しいのです。癒しが先んじる必要があります。イエス・キリストを見上げてください。あなたはいやされ、あなたの人生は正しい方向へと向きを確実にします。嬉しいことはあなたの人生への応援歌。やがてやって来る、さばきの日である、主の日を乗り越えさせる、そして天国へあなたを進ませるエネルギー。試練もあなたの人生への応援歌。正しい方向へ進んでいるかをチェックできる機会。悔い改めることのできるチャンス。それは車のハンドルのようなものです。

みことばへの見方

 みことばは、その語られた通りに実現することを知って下さい。二つのことを覚えて下さい。一つは主の日は必ずやって来る、ということ。このときには二つのさばきがあります。一つ目は、天国か地獄か。二つ目は、天国に進んだとして、どんなレベルの生活が用意されるか。天国には報いが待っています、住むべき家が用意されていますが、はたして豪邸なのか、バラックなのか。もう一つ覚えておいてほしいことは、いま、あなたにはこのさばきに対して十分に備えができているかどうかということ。2章13節をおよみください。形式だけでなく、心のレベルにおいて真に神さまのみこころを行うことです。マタイの福音書7章21節、ヘブルへの手紙9章27節、ヨハネの黙示録20章12節をお読み下さい。あなたに質問します。あなたはどのようなお金の使い方をしていますか。あなたはどのような時間の使い方をしていますか。あなたはどのようなタレントの使い方をしていますか。あなたに与えられたものは神さまがあなたに預けられたものです。どのように使うかそれはあなたが決めることができます。でも大人であるならその結果にはあなたの責任があります。

 最近よく耳にするジョークにタイタニック号の救命ボートの話がある。
 国民性の違いを際立たせ、思わず笑いを誘う。救命ボートに全員は乗り切れず、女性や子供を助けるために何人かが犠牲にならなければならない極限状態における架空の話。船長が乗客を集めて状況を説明し、はじめに英国人に「貴方はジェントルマンだ」と言うと、彼は静かにボートを離れた。米国人には「貴方はヒーローになれる」と言うと、ガッツポーズで海に飛び込んだ。次にドイツ人に「これはルールなのだ」と言うと納得して従った。最後に日本人に「皆さんそうしていますよ」と言うと周りを見渡しながら慌てて飛び込んだ。(1999年11月29日『日本経済新聞』)

 主の日にはだれもがたった一人で主の前に立ちます。だれも弁護はできません。さて、以上のことは私たちには理性的には十分に理解できることです。でも真の理解が求められています。どのようにしてそれは可能でしょうか。2章28節以降にその秘密があります。28節と29節の預言は成就しました。使徒の働き2章16節ー21節を中心にお読み下さい。ペンテコステの出来事は聖霊さまがだれにも求めるものにはだれにでも平等に下ってくださり、満ちて下さり、圧倒的な人格的な力と共にすべての必要な助けをくださるのです。ですからヨエル書2章30、31節の主の日を落ち着いて迎えることができ、かつそのとき救われるのです(32)。聖霊さまが常にあなたに真実を、もっとも大切なことを教えるのです。