94.2倍の祝福

聖書箇所 [第2列王記2章1−9節]

 神さまにあって、信仰において祝福がたくさんあるんだと聞いても「ほんとかな?」と、中にはそのようにお考えになる方もいらっしゃるかも知れません。「私には、あんまりいいこと、起きてない!」とついぐちになってしまっているかも知れません。
 確かに落ち込んでしまうようなことが実際に起きます。白河チャペルは1994年の半ばに建築いたしましたが、こういう裏話があります。全くの見ず知らずの人から大金を請求され、私は支払う理由なしと無視した所、裁判に訴えられてしまいました。訴えられる前にも電話などで脅されました。私としてはいろいろと考えなければならないことが多い時期に、おまけに神さまのために働いているのに、とつい恨めしく思う日々でした。
 それにしても驚きでした。裁判所から出頭命令が来たのです。私としては初めての経験でもあり、おまけに何の罪もないのに犯罪者扱いだあーと思いました。弁護士も雇わず、私は法廷で自らペリー・メイスンを演じました。白河チャペルの建築を請け負った業者が債務を不履行したために、私にその分、支払うように請求して来たのです。とんだとばっちりでした。
 結局は私の弁明が認められて、事なきを得たのですが、全くの冷や汗ものでした。私にははじめこの試練の意味が分かりませんでした。交通費(新幹線代)一万円、自腹切ってこんな目に会わなければならないとは・・・。でもやがて分かりました。この件で業者は私に対して建築費の残金350万円を請求できなくなりました。私は一万円で350万円儲けたことになります(もちろん教会の得)。こうして私は今回の題名を「2倍の祝福」にしようか、「350倍の祝福」にしようかと迷いました。

 かわいいひよこが次々と殻を破って出てきました。しかしその中に一羽だけ毛色が違っているものがいました。だんだん大きくなって、ある日のこと、鷲が舞い降りてきて、「おまえはにわとりの子ではない。大空高く舞う鷲の子なんだ。さあ、飛んでごらん」。もうびっくり。周りを見回すとただ地面を蹴るだけのにわとりだけ、「まさか空を飛べるなんて」と思うばかり。「さあ、ほら、勇気をもって飛んでごらん」。励まされて、勇気を持って飛び上がってみたのです。「あー、飛べた!ほんとうだった!」と大空から鷲の子は叫びました。
 私はこう申し上げたいのです。ほんとうは、あなたにはたくさんの祝福が用意されている、あなたにはそれを獲得できる。今回のテキストには有名な預言者エリシャが登場いたします。紀元前9世紀の人です。北イスラエル王国をその活躍場としました。「2つの分け前」を先生エリヤに求め訴えていますが、これは2倍の祝福の意味です。彼の人生はこの訴えにそっておおいに祝福されたものとなりました。彼の生き方から学びましょう。

よく学ぶ

 佐藤さんは信仰篤い人で、どんな場合でも神さまは私を助けてくださると信じています。ある秋のことです。台風が来て、彼の住んでいる所一帯が、堤防が決壊して一面湖のようになってしまいました。避難命令が出され、役場からはトラックが迎えにやって来ました。でも佐藤さんはトラックよりも神さまを信頼していましたので、この親切を断わりました。水はますます増え床上浸水が始まったので、家の屋根に上がりました。その時ボートが助けようとやって来ました。でも佐藤さんはボートよりも神さまを信頼していましたので、この親切も断わりました。いよいよ家も流されそうになり、その時ヘリコプターがやって来て佐藤さんの前にロープを垂らしました。でも佐藤さんはヘリコプターよりも神さまを信頼していましたので、またまた断わりました。こうして彼は溺れて死んでしまいました。
 この話には後日談があります。死んで天国に行った佐藤さんは神さまについ文句を言ってしまいました。「私は神さまを信頼して待っていたのに、どうして助けに来てくださらなかったのですか」。神さまはこうお答えになりました。「私はお前の祈りを聞いて、トラックやらボートやらヘリコプターを用意したのに、全部無視した。今さら文句をいいなさんな」。
 もしあなたが周囲の人々やあらゆる出来ごとから常に積極的肯定的に学ぼうとするなら、あなたは謙虚であり、その報いとして祝福を受けるでしょう。エリヤは不思議にも竜巻によって天に挙げられて行きますが(1)、このときまでの10年間、エリシャは偉大な預言者エリヤ先生から決して離れず、すなわち尊敬、信頼、期待の気持ちを忘れず、あらゆる良いものを吸収しようと努めました。
 神さまはあなたを愛して、あなたの周囲にさまざまな出来事やら人々を配し、あなたの益となるように配慮してくださっています。どうか感受性豊かであってください。あなたはよく学ぶことを通して、祝福の世界へと入って行くのです。

先を見、たゆみなく進む

 あの有名なヘレン・ケラーを世に出した人はサリバン先生です。彼女の超人的な献身的な愛を描いたのが映画「奇跡の人」です。三重苦のヘレン・ケラーには手でものに触れる以外にものを学ぶ方法はありませんでした。
 ある日、サリバン先生は、「今日は、顔ってどんなものか教えてあげましょう」と言って、ヘレンの手を自分の顔に押し当てました。ヘレンはすぐに先生の顔つきを真似しました。サリバン先生はびっくりしました。なぜ?彼女が寂しい疲れた顔をしたからです。実はその頃、サリバン先生の疲れは頂点に達していました。しかしサリバン先生は「顔ってそんなものじゃあーない!」と叫びながら、自分の顔の表情を作り直してもう一度彼女に触らせました。
 確かに辛いときもあります。でもあきらめないで、先を見て進む者には勝利があります。エリヤ先生がこの世から去った後、エリシャは直ちに行動を起こしています。もちろん寂しい思いは強かったでしょう。でもそのような気持ちに負けないで彼はただ前へと進みます。ヨルダンの水を打ち、エリコに入ります。このときからエリコは新しい町に生まれ変わります。それまでの呪われた50年とは違った歴史を歩むようになります(13-22)。エリシャはエリヤの弟子たちから尊敬を勝ち取り、後継者と認められて行きます。先を見、たゆみなく進む者はこうして神さまから祝福されます。

勤勉に働く

 とても働き者のお百姓さんがおりました。やがて最後の時がやって来て、息子たちにこう言い残しました。「裏の畑に宝物を隠して置いたから探すように」。息子たちはお葬式を済ますと一生懸命に畑の隅々までを掘り起こし見つけようとしました。それでも何にも出て来ません。しかしその年は大変な収穫でした。息子たちは「勤勉の精神」こそ宝物であったと知りました。
 エリシャがエリヤ先生の目に止まったのは彼が一生懸命に働いているときでした。12くびきですから、24頭の牛がいます。彼は25頭目の牛になって、汗をたくさんかいていました。
 第1列王記19章19節をご覧ください。ダビデがイスラエルの王様になるべく預言者サムエルに任命されたのは羊飼いの仕事をまじめにしているときでした(第1サムエル16:11)。
 イエスさまが弟子たちを呼ばれたとき、弟子たちは網を持っていました。後にも先にも歴史上「ザ12弟子」とは彼らだけです。
 ところで真の勤勉さとはどのような特徴を持っているでしょうか。それは人へは向かわずに神さまに向かうものです。たとえばこういうことです。「私はこの奉仕をこれだけ長いこと続けているのに、あの人はまったくしようとしない!」と考えること、これは人へ向かっています。私は私、あなたはあなた、人は人です。それぞれが神さまの前で、神さまとともに生き働くべきです。どうか神さまとあなたとの間に何も挿入しないでください。中間に余計なものを入れるから祝福が減ります。あなたの手元にまで届きません。少なくとも途中で減退したり減衰したりするのです。神さまの前で神さまを意識して神さまのために働いてください。勤勉なあなたを神さまはおおいに祝福して下さいます。

謙遜でいる

 謙遜なものを主は祝福してくださいます。人は蒔いたものを結局は刈り取るものです。エリシャの持っている偉い性格の一つは他者を立てることでしょう。たとえばあの有名なナアマン将軍のことを思い出してください(第2列王記5:10?)。彼は有能な軍人でしたが、ライ病に罹っており、そのために将来には暗雲が漂っていました。この病気を直そうとエリシャのもとを訪ねました。しかし決してエリシャは自分を主役とも、まして神さまであるかのごとく考えたり、あるいは自分を前面に押し立ててはいません。主役は神さまであり、将軍であることを忘れません。結局は彼らの信仰が彼をいやしました。2人に共通する信仰はどんな信仰かというと謙遜の信仰です。

多少の忍耐が

 祝福の生活に一度入ると、悪循環ならぬ良循環が起きます。「何をしても栄える」(詩篇1:1)とありますように。しかしそのような循環に入るまでに多少の忍耐が必要です。「最後まで耐え忍ぶ者は救われます」(マタイ10:22)とあります。
 2匹のカエルが遊んでいました。はずみで牛乳の入った桶に落ち込んでしまいました。ほんとうに慌てました。そして飛び跳ねたりして出ようと何度も試みましたが、成功しません。一匹の方が「もうダメだ!」と言って諦め、溺れて死んでしまいました。でももう一匹は疲れ果てながらも諦めないで桶の淵に届こうとして何度も諦めないで続けていました。ふと気が付くとバターのようなものの上にいることに気が付きました。手足で牛乳をかき回していたので表面が固くなっていたのです。カエルは叫びました。「あーあ、続けていて良かった」。有名なアイルランドのお話でした。

 あなたの少しの忍耐を通して少なくとも2倍の祝福の生活へと入られるようにお祈りいたします。


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