95.願望実現、ソロモンのやり方

聖書箇所 [第2歴代誌1章7-12節]

 あなたは、「あなたに何をあげようか。願え」と神さまから聞かれたとしたら何を希望なさるでしょうか。きっといろいろとお考えになることでしょう。「求めなさい。そうすれば与えられます」(7)とはあなたが信頼なさるイエスさまからのおことばです。ソロモンはお父さんのダビデ王とともにイスラエル王国の黄金時代を築いた人として大変有名です。彼の持つ財産はといえば数え切れない程と言うのです。彼は神さまから事実祝福されました。
 今回は彼のやり方を学びましょう。ストレートに「これこれをください」という手もありますが、遠回りに見えてもっとも祝福へ近いやり方です。それは心の態度です。神さまはソロモンの心を見て彼を財産的にも人間的にも祝福されました(11、12)。どんな心でしょうか。

正直に自分を紹介する心

 10節では彼は自分には優れた政治を行う力がないと告白しています。それは彼自身がうちに持つ罪の見にくさをも暗示しているでしょう。大義名分のもとに国民を利用する下心であるとか。
 以下は英国のある聖書学校におけるお話です。入学の時に、一人一人が立ってあかしやら恵みやら決意などを語りました。「私は神さまを愛しています、だから人々のために多くの犠牲を払う者でありたい」、「私は自分の人生を捧げます」などなど。まもなく親睦のためにピクニックに出かけました。ところがリーダーが樹林の中で道に迷ってしまいました。装備は軽く、お菓子程度の食料しか持ってなかったので、一同はパニックに陥ってしまいました。実はこれは最初から計画されたことでした。いざとなると私たちは人間性をあらわにするものですが、この訓練が終わったときには、自分の態度を振り返って互いに恥ずかしい思いをしたそうです。極言状態になるまでは私たちは澄ました顔をして、気取っているものです。芝居をしているものです。
 神さまは正直さを高く評価されます。あなたは恐れる必要はありません。ジキル博士の発明した薬(*)よりももっと優れた薬を神さまはお持ちです。救い主イエスさまの血潮です。あなたの中の罪は分離され、十字架という焼却炉で完全に焼かれてしまいます。安心して正直であってください。

神さまをパートナーとする心

 9節では『「私の父にしてくださった」ように私にも良くしてください』という意味のことを言っています。アブラハムの例を見ればよく分かるように聖書の保証する祝福は家族主義を舞台にしております(創世記17:1ー・・・祝福を受けるのは「アブラハム」ではありません。「アブラハムとその子孫」です。他に使徒16:31など。ここに割礼や幼児洗礼の根拠があります。自由意志の乱用は「近代の理性(神なき理性)」に起因します)。彼は父親がそうしたように神さまをパートナーにしますと告白しています。
 先日一人のクリスチャン青年に会いました。彼はとてもうれしそうで、ニコニコしていました。2か月前にグアム島の南端にある町に喫茶店を開いたばかりです。友人との間に株の持ち合いをし、彼の分は15%ということでした。彼の目にはパートナーへの信頼感が伺えました。
 もしあなたが天地の造り主なる全能の神さまをパートナーになさるならあなたには地上のいかなるものからも得られない平安が与えられるでしょう。それはたまには休養も取れることを意味しています。ときには人生においてふんばらなければならないとか、がんばらなければならないとか、という時があるものです。でも常時そのようにしているわけには行きません。たまには休養が必要です。
 ある人は落ち着いて休養できますが、そういう人は信頼できるパートナーを持っている人です。平安でない人を発見することはわりと容易にできます。詮索好きという顕著な特徴を持っています。「ねっ、どうしたの?」「どこへ行ってたの?」などなど。決して魅力的ではありません。愛から来るものではないからです。どうか、あなたは選ばれたと知ってください。神さまの子として選ばれたのです。子を愛さない親がいるでしょうか。親は子が寝ていても働いているものです。全能の神さまがパートナーであるなんて、これ以上の心強さがあるでしょうか。

夢を追いかける心

 ソロモンの夢は何だったでしょうか。10節にあります。良い政治をすることでした。すばらしいですね。私は夢を追いかけている人が大好きです。ロマンを持っている人のそばにいると共有できるうれしさがあります。もっともっとそばに近寄りたくなります。わくわくします。何ていうか、雰囲気がいいのです。アイディアもどんどん沸き上がってくる感じだし、エネルギーも感じられます。なんとも言えない雰囲気があります。おこぼれちょうだいができます。まるで砂糖に引き寄せられる蟻のような私です。正確に言うと彼はそれらを内側から発散しています。上を見てください。神さまはあなたにすてきな夢をあなたの内側に生まれさせるという形で与えてくださるでしょう。
 ところで注意していただきたいのは、ほんとうに「自分の夢」であるかどうか、あるいはほんとうに「神さまがあなたに用意してくださった夢」であるかどうかです。気をつけないと既製品の夢だったりします。既製品は体型(自分)に合わなかったりしますね。「結婚して幸せになる」というのはだいたいが既製品です。上を見てください。神さまはあなたにすてきな夢を与えてくださるでしょう。ほんとうの夢って、あなたをわくわくさせ、あなたを生かし、なおかつ他者を喜ばせるものです。それを神さまからいただいてください。

神さまを証人に立てる心

 人は決して一人では生きることができません。常に周囲のお世話になり、またそれを意識せざるを得ません。でもあまりにも人を意識しすぎると、それは偶像となり、それがあなたの人生を支配するようになります。あなたは人のことばを神さまのことばよりも上位に置きますか。たとえば人の張るレッテルくらい当てにならないものはないことを知ってください。
 トーマス・エジソンは7歳の時に、「頭が混乱している」という理由で学校から見限られました。アブラハム・リンカーンは、「4ヶ月しか学校へ行っていない割には優秀であるが、夢想家でときどき馬鹿げた質問をする」と言われました。アルバート・アインシュタインはようやく10歳になって簡単な読み書きができるようになりました。しかし「これ以上の事を彼に期待すべきではない」と言われました。
 あなたを祝福するのは天地の造り主なるお方、神さましかいらっしゃらないのです。給料も、健康も、家庭も、友人も、教会も、信仰も、すべての良いものは神さまから来ています。決して人にごまをする必要はありません。神さまがあなたを祝福してくださいます。神さまはあなたを愛していらっしゃいます。あなたの人生に神さまの豊かな祝福をお祈りいたします。


*英国の作家スティーブンソンが書いた小説『ジキル博士とハイド氏』(岩波文庫)に登場する人物。スティーブンソンはかねてより人間の2重人格をテーマにした作品を書きたいと思っていました。ある夜、このテーマに関する夢をかなり鮮明に見、それを材料にこの作品を完成させました。話は次のようです。医師であるジキル博士は、自分の性格の中から悪い部分を分離する薬を発明し、実際にそれを飲んで、悪の分身「ハイド氏」となります。いろいろと悪いことをしますが、再び薬を飲むと善い医師に戻ります。けれども何度もくり返すうちに、「ジキル博士」に戻れなくなり、ついには自殺します。
 今日、「ジキルとハイド」は2重人格者を意味する普通名詞となっています。1886年に出版、半年間で英国だけで6万部のベストセラー。

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