Japanese Single音盤夜話

★クルーエル・シー/逃亡者の巻

◆解説:木崎義二

今年の1月の来日公演で爆発的に受けた4人組ギター・インストゥルメンタル・グループ"ベンチャーズ"が、
皆さんのご期待に応えてまたまた日本を訪問することになりました。
1962年5月に、ボビー・ヴィー達と共に来日(ドンとボブの2人)した時は、
日本でまだエレキ・ギターが今日のように普及していなかった時で、一部のファンに熱狂されただけでスゴスゴとアメリカに帰る、
といった有様でありましたが、最近のベンチャーズときたらまさに飛ぶ鳥を落とすいきおいです。

エレキ・ギターがフィーチャーされていなければ現代のロックは通用しない、という言葉と共に、
ベンチャーズの曲を聞かずして現代のロックとエレキ・ギターを語ることなかれ、とまでいわれているくらい。
確かに彼等がロック界に残した功績は、言葉ではいい現わせないほど計り知れない偉大なものです。
ベンチャーズ独特のリード、リズム、ベースのスリー・エレキ・ギターのアンサンブルは、
彼等が出現するまで、つまり、1960年までは存在しませんでした。
それまであったエレキ・ギターの曲といえば、リード1本か、それにサックスなどをからませたもので、
これが当たり前のロック・ナンバーであったわけです。

しかし、ベンチャーズの演奏は、それらの既成観念を見事打開して、自分達独特の新鮮なギター・サウンドを作り出してくれました。
歌中心のヒット・ソング・ファンの心をガッチリとらえちゃった理由も、そうした新鮮味にあったのでしょう。
この種の音楽の先駆者ベンチャーズは、過去におびただしいほど多くのアルバムを発表しております。
そして、そのどれもが一聴してベンチャーズと分かるほど、特徴ある演奏、サウンドをしております。
しかし、自作の曲以外ほとんどの曲は、他人の歌や演奏でヒットした今やスタンダード的名曲であることを注意して下さい。
これは、彼等が自分達のものとして演奏できるように、特別のアレンジをほどこしているもので、
早くいえば、彼等個人個人がいかにすぐれたアレンジャーであるかを教えてくれているのです。現在のメンバーは

ノーキー・エドワーズ(リード・ギター)
ドン・ウィルスン(リズム・ギター)
ボブ・ボーグル(ベース・ギター)
メル・テイラー(ドラムス)

■ クルーエル・シー

ビリー・J・クレイマーのバンド"ザ・ダコタス"はビリーとは別行動で独立したギター・コンボとしても活躍しておりますが、
この曲はそのダコタスのオリジナル作品で、イギリスでは1963年の7月に紹介されました。
作曲はメンバーの一人マイク・マックスフィールド。
ベンチャーズの演奏では昨年「急がば廻れ'64」のB面にセレクトされて紹介されました。(註:EP)
彼等のオリジナル演奏みたいなパンチのきいた好演です。(2'18")

■ 逃亡者

同名のTV映画(デヴィット・ジャンセン主演)やジョン・フォード製作、監督の同名映画とは無関係の曲。
犬の鳴き声をとり入れて"逃亡者"らしい感じをよくうた出した演奏です。(2'09")

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さて、ジャケットが2種類存在するわりには、今まで、そのことについて言及した文献に接していないのですが、
その違いは、曲タイトルの色と、ステージ写真の有無。

はて?無かったから付け足されたのか?あったけど小さくてわかりにくいから削除されたのか?
どちらとも解釈できる僕的ミステリーです。

前後の流れからすると、初版にステージ写真が無かった為、東芝のお偉いさんが、
「ど〜してベンチャーズの写真を入れないんじゃい!すぐに写真を入れなさ〜い!」ってことで大慌て。
しかし版下を変更するのは大変なので、止む無く、空いてるスペースに挿入した。な〜んてネ。
(ベンちゃん)