名探偵ポワロとマープル
『ABC殺人事件〜その1.ポワロへの挑戦状』
原作:アガサ・クリスティー 台本化:里沙
(4:2:1)or(3:2)
台詞比率が悪いので、ヘイスティングスとN、シャープ警部と刑事を被りにするのも有りです。その場合の比率は(3:2)になります。
エルキュール・ポワロ | ♂ | アガサ・クリスティーが生んだ名探偵。 ベルギー警察を退職後、ロンドンで私立探偵事務所を開いた。トレード・マークは、ポマードで固めた八の字型の口ひげ。 恰幅(かっぷく)のよい体型に似合わず、身のこなしは軽い。ユーモアがあり話もうまい、古きよき時代の紳士。 |
49 |
ヘイスティングス | ♂ | ポワロ探偵事務所の探偵助手。 原作ではポワロの古くからの友人だが、アニメでは20代の若者に設定。 体術が得意で、本人はポワロ以上に有名になるチャンスを狙っている。メイベルとコンビを組み、ポワロの手助けをしながら難事件を解決していく。 |
22 |
メイベル | ♀ | マープルの甥レイモンド・ウエストの娘。 好奇心にあふれ行動力もあわせ持ち、時には失敗もするが、いつも元気な16歳。当代一の女探偵をめざし、ポワロ探偵事務所のドアをたたいた。 オリバーと一緒に、あるときはポワロの新米助手として、またあるときは尊敬する大伯母を手助けしながら、探偵としての腕を磨いていく。 |
26 |
ミス・レモン | ♀ | ポワロの事務所の秘書。めがねを掛けた、冷たい感じのする女性だが、心根は優しい。行くところのないメイベルを自宅に泊める。 | 5 |
シャープ警部 | ♂ | スコットランド・ヤードの警部。ポワロの昔からの知人。 | 21 |
刑事 | ♂ | アンドーバーの事件担当者。 | 15 |
メアリー | ♀ | 被害者アリス・アッシャー夫人の姪。(ミス・レモンと被り推奨) | 12 |
N | 不問 | ナレーター | 24 |
* なお、台詞配分のため、アニメとは一部台詞のキャストが違っています。ご了承下さい。
001 | N | 1930年代。セント・メアリ・ミード村に郵便配達人の自転車が走っていた。 郵便配達人が止まったのは、綺麗な花の咲く庭がある、一軒の家。ミス・マープルの家の前だった。 花の水やりをしていたマープルに、配達人は手紙を渡すと、また自転車で走り出した。 |
メイベル | 『親愛なるマープル伯母様へ。 お元気ですか? メイベルより』 |
|
N | ロンドン。ホワイト・ヘイブンマンションのポアロの事務所。 | |
ポワロ | メイベル。この書類を日付順に並べ替えてください。 | |
メイベル | はい、判りました。 あ、ココアのお代わりですよね。 |
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ポワロ | ああ、ありがとう。 | |
N | そこに、郵便物がいくつか届けられる。 | |
ミス・レモン | ポワロさん、手紙です。 | |
ポワロ | うん、ありがとう。ん? これは…。 |
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010 | N | ポワロ宛の手紙。しかし、差出人がない。ポワロは封を切ると、中の手紙を読み出した。だが、一瞬にして顔色が変わる。 |
ヘイスティングス | ん?どうしました、ポワロさん。 | |
N | 側に居たヘイスティングスが怪訝そうに訪ねるが、ポワロは黙って彼に手紙を差し出した。 | |
ヘイスティングス | 『エルキュール・ポワロ殿。 あなたは自惚れているのではないかね。 A・B・C』 |
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メイベル | 何なの。どういうこと? | |
ヘイスティングス | 挑戦状みたいだな。 | |
ポワロ | 署名は、A・B・C。消印は? | |
ヘイスティングス | ロンドン西中央第一郵便区です。いたずらですかねぇ。 | |
ポワロ | ふぅむ…。 | |
N | スコットランド・ヤード。 ポワロは知人のシャープ警部に手紙を渡し、調べてもらっていた。 |
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020 | シャープ警部 | 念のために手紙の指紋は調べてみましたが、何も出ませんでした。 いたずらに決まっていますよ。こんなことにいちいち対応していたら大変だ。 スコットランド・ヤードにも似たような手紙はわんさと届きますからねぇ。 |
ポワロ | 何せ、嫌な予感がするものですから。 | |
シャープ警部 | いつもの感ですか? | |
ポワロ | いや、感ではありませんよ。 私の知識、経験が呟くのです。 |
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シャープ警部 | 21日にもアンドーバーで、大がかりな列車強盗でも起きると?(笑) | |
ポワロ | うーむ… | |
N | 数日後。 窓の外を眺めるポワロ。 外はいい天気で、恋人達が寄り添いながら河を眺めていたり、散歩をしている人が見える。何もない、平和な午後であった。 |
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ミス・レモン | メイベル、リチャードさん宛の請求書、出してくれた? | |
メイベル | はい、あれは一昨日の…あっ!?今日は6月21日だわ! | |
ミス・レモン | えっ? | |
030 | メイベル | 例の、A・B・Cからの手紙の! |
ミス・レモン | ああ……。 | |
ヘイスティングス | それでポワロさんは一日気分が沈んだままなんだよ。あんなの気にしてもしょうがないと思うんだけどなぁ。 | |
N | 次の日。 ポワロの事務所にシャープ警部が来ていた。 |
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シャープ警部 | ははは…。昨日は何にも起こりませんでしたねぇ。 いやあ、ポワロさんがあそこまで言うから、気になってアンドーバーの警察署に問い合わせしてみたんですよ。 |
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ポワロ | ほう? | |
シャープ警部 | 起こった事件は置き引きに喧嘩くらいでした。 はははは…。ま、気にしないことです。 |
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N | 次の瞬間、電話がけたたましく鳴り響いた。まるで何かが始まるかのように。 | |
ミス・レモン | はい。ポワロ探偵事務所です。…はい。はい、いらっしゃいます。 シャープ警部、お電話です。 |
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シャープ警部 | おう、ありがとう。 (電話を替わって)シャープだ。うん、うん…何!?アンドーバーで!? |
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040 | ポワロ | んっ!? |
ヘイスティングス メイベル |
……!? | |
シャープ警部 | うん…うん…。わかった! | |
ポワロ | 何か。 | |
シャープ警部 | アンドーバーで、たばこ屋を営む夫人が殺された。昨日のことです。 | |
メイベル | ええっ、6月21日に!? | |
ヘイスティングス | アンドーバーで殺人事件が!? | |
シャープ警部 | ポワロさん、あの手紙を持って私と一緒に来てください! | |
N | シャープ警部の要請を受け、ポワロ、ヘイスティングス、メイベルは警部と共に慌ただしく出かける。 ロンドン駅から列車に乗り、アンドーバーまで向かうのだ。 |
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ヘイスティングス | アンドーバーまでは2時間くらいですかね。 | |
050 | シャープ警部 | ああ。 |
ポワロ | これは、始まりにすぎません。 | |
メイベル | えっ…。 | |
N | ロンドンからアンドーバーまで、列車は走る。 アンドーバー警察署。担当の刑事がポワロ達を出迎え、事件の説明をしている。 |
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刑事 | 殺されたのはAlice Ascher(アリス・アッシャー)夫人、58歳。一人暮らしで、たばこや新聞を売る商いをしていました。死亡推定時刻は昨日の夕方です。 | |
ポワロ | それは検視の結果から? | |
刑事 | いえ、検視は今、ドクターがやっております。聞き込みの結果昨日の夕方5時半にたばこを買ったと証言する男が居ました。 また、6時過ぎに店に入ったが、誰もいないのですぐに出てきたという男も見つかっています。 |
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ヘイスティングス | となると犯行時間は5時半から6時過ぎの間ですね。 | |
シャープ警部 | 他に手がかりは? | |
刑事 | 実は、有力な容疑者が居ます。アッシャー夫人の、別居中の夫です。名前はフランツ・アッシャー。 飲んだくれのろくでなしで、最近までアッシャー夫人につきまとって小銭をせびっていたようです。 よく喧嘩しているのを近所の人が目撃しています。 殺してやるなどと叫んでいたこともあったようだと。 |
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060 | メイベル | 殺してやる!? |
ポワロ | 被害者の過去について、他に何か判っていますか? | |
刑事 | 被害者はハンプシャーの生まれです。娘の頃にロンドンに奉公に出てアッシャーと知り合い、結婚しました。 まあ、ああいった夫なので、戦争中はだいぶ辛い思いをしたんでしょう。 結局1922年に亭主から逃げ出すようにここに戻ってきたようです。 この街にただ一人の身寄りである姪が住んでいますから。 |
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N | ポワロが鼻を鳴らしたとき、若い警官が現れ、これから容疑者を取り調べると報告に来た。 会ってみるかとの言葉に、頷く。 別室で尋問を受けている男は、刑事に向かって文句を投げつけている。 酒焼けで真っ赤になった顔。粗野な物言い。フランツ・アッシャーとは、あまり上品とは縁がない人間のようであった。 自分の周りにポワロ達が居るのに気が付いた彼は、それまでの態度とは違って、卑屈な笑いを上げた。 だが、彼は何も知らないようで、酒臭い息を吐きながら、酔いが回ったのかつぶれていく。最後まで文句ばかりの男であった。 |
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刑事 | 酔いが醒めたところで、もう一度聞き出してみます。 | |
ポワロ | 犯行は金目当てですか。 | |
刑事 | そうではないようです。店の売り上げには手を付けていません。物色した後もありません。 ただ、時刻表がありましたね。 |
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ヘイスティングス | これがカウンターの上に?……鉄道の時刻表ですね。 | |
刑事 | はい、ABC時刻表です。 | |
メイベル | えっ…ABC?あの手紙の署名と一緒だわ! | |
070 | ヘイスティングス | そうだな。 |
メイベル | ポアロさん、これは…。 | |
刑事 | 指紋は出てきませんでした。 | |
N | ポワロとシャープ警部が唸ったところで、一人のドクターが部屋に入ってくる。 検視の結果が終わったのだ。 被害者は鈍器のようなもので後頭部を殴られ、即死だと言うことだった。 |
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メイベル ヘイスティングス |
…っ! | |
ポワロ | フランツ・アッシャーが犯人ではなさそうですね。 人は恐れている相手に無防備に後ろは見せないものですよ。 |
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N | そのポワロの言葉に、納得したようにメイベルは頷いた。 時間は過ぎ、午後2時20分。 |
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刑事 | では、現場にご案内します。 | |
ポワロ | いや、その前に。アッシャー夫人には一人だけ、身寄りが居ると? | |
刑事 | ええ、子供の居ないアッシャー夫人には姪が居るだけです。 | |
080 | ポワロ | その姪御さんのところに行きたいのですが。 |
刑事 | 判りました。 | |
N | 車は一路、アッシャー夫人の姪だという女性が働く屋敷の元へ走った。 面会したその女性は、どこかもの悲しそうな顔をした、純朴そうな女性であった。 |
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ポワロ | あなたが、メアリー・ドローワーさんですね? | |
メアリー | はい…。 | |
ポワロ | 少しだけ、おばさんのことを伺いたいのですが。 | |
メアリー | …本当に、ひどい話です。叔母は、あんな苦労ばかりして…挙げ句の果てにこんな…!あんまりです。 …いつも、私によくしてくれました。11の時に母に死なれて、叔母を頼っていったんです。 16になると奉公に出ましたけど、お休みの日には必ず叔母のところへ遊びに来ました。 |
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ポワロ | あなたは、おばさんのことがとても好きだったんですね。 | |
メアリー | ……くっ…うう…(泣) それが…それが…こんなことになるなんて…(泣) | |
ポワロ | 辛い気持ちは、お察しします。 ところで、フランツ・アッシャーのことですが。 |
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090 | メアリー | あの人は、最低の人です! |
ポワロ | よく訪ねて来ていたようですが? | |
メアリー | ええ。しょっちゅう喧嘩していました。飲んだくれですから、あの人は! | |
ポワロ | 「殺してやる!」と罵っていたとか。 | |
メアリー | ええ…嫌がらせにもほどがあります。 | |
ポワロ | 本気で言っていたのでしょうか? | |
メアリー | え?……そうですね…そう言われますと、本気で言っていたとは思えないです。 だって、おばさんが死んだら困るのはあの人ですから。 |
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メイベル | あの…アッシャー夫人に恨みを持っているような人は? | |
メアリー | そんな人、居るはずありません。 | |
ポワロ | 匿名の手紙を受け取ったことは? | |
100 | メアリー | ?どういう、ことでしょうか? |
ポワロ | 差出人の署名のない、もしくは、A・B・Cの署名のあるような。 | |
メアリー | ええ?…さあ?叔母はそのようなことは言ってませんでしたが…。 | |
ポワロ | メアリーさん、もし、また用事が出来たらこのお宅宛てに手紙を出しますから。 | |
メアリー | 私、もうすぐここを辞めるつもりです。叔母が居るから、この街に住んでいたんです。 その叔母がこんなことになってしまって…しばらくしたら、ロンドンに出るつもりです。 |
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ポワロ | では、そのときは住所を知らせてください。私の名刺を渡しておきます。 | |
メアリー | …私立探偵。警察の方じゃなかったんですか?叔母の死に何かおかしなことが? | |
ポワロ | まだ判りませんが、奇妙なことが起こり掛けているのです。 | |
N | メアリーから聞きたいことを聞いた後、夕刻、彼らはアッシャー夫人の店にたどり着いた。 | |
ヘイスティングス | ちょうど犯行時間と同じだ。 | |
110 | メイベル | あっ!現場を見るのは犯行時間に合わせたんだわ。それで先にメアリーさんのところに。 |
ヘイスティングス | うん。 | |
ポワロ | A・ASCHER(エー・アッシャー)。…これはひょっとすると…。 | |
シャープ警部 | ポワロさん、なんですか? | |
ポワロ | いや…。 | |
刑事 | 被害者は、このカウンターの陰に蹲るようにして倒れていました。 後ろを向いて、棚に手を伸ばしたところをやられたに違いありません。 |
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ポワロ | それで、ABC時刻表のあったところは? | |
刑事 | ここです。アンドーバーの載っているページが開いて伏せてありました。 | |
ポワロ | アンドーバーのページが? | |
シャープ警部 | わざとですかね? | |
120 | ポワロ | ふぅむ。 被害者はこの2階に住んでいたのですか。 |
刑事 | そうです。 | |
シャープ警部 | 変な手紙はなかったかね? | |
刑事 | 調べましたが、姪のメアリーからの手紙、他はダイレクトメールしかありませんでした。 | |
N | アッシャー夫人の部屋。こぎれいに片付けられ、夫人の人となりが判るような居心地のいい空間である。 机の上に、一葉の写真が額に入れられて飾られていた。 一人の女性が座って、男性と一緒に写っている写真である。 |
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シャープ警部 | これは? | |
ポワロ | 結婚したときのアッシャー夫妻でしょう。 | |
メイベル | これは、メアリーさん。 | |
N | 同じように傍に飾られていたのは、子供の頃のメアリーの写真であった。 | |
ポワロ | 慎ましやかな生活をしていたようですね。 | |
130 | メイベル | 新品のストッキング…。メアリーさんへのプレゼントだったのかしら。 |
ポワロ | 気の毒な女性だ。 | |
シャープ警部。 | ええ…。 | |
N | 外ではヘイスティングスが向かいの八百屋の女主人に話を聞こうとしていたが、ちょうど忙しい時間帯に当たったのか、機嫌が悪い彼女の話を聞くことは出来なかったようである。 | |
ヘイスティングス | だめです。取り付く島もありません。 | |
シャープ警部 | ま、警察や新聞記者からあれこれ聞かれたんだろうね。 | |
ヘイスティングス | きっと犯人も一番忙しい時間帯を選んだんでしょう。 | |
N | 念のために隣の家の人にも聞こうとしたのだが、入れ替わり立ち替わり現れる、ストッキングだの匂い袋だの食器だのを押しつける押し売りに辟易しているだけで、事件そのものは悲鳴も聞いてなく、何も知らないと応えられただけであった。 | |
シャープ警部 | さっぱり判らない。どこから手を付けていいのやら。 さすがのポワロさんも、灰色の脳細胞の働かせようがないようですねぇ。 |
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ポワロ | いえ、判っていることも沢山ありますよ。 | |
140 | シャープ警部 | えっ!? |
ポワロ | きちんとした文字を書ける男。上質な便せんを買える男。自分の存在を認められたいと思っている男。 それに、この事件の犯人は、独り善がりの自惚れ屋でなくてはいけません。 男と言いましたが、女性の可能性も捨て切れませんねぇ。 |
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メイベル(M) | あれから一ヶ月。アンドーバー事件の捜査は何の進展もないままでした。 | |
N | そんなある日のポワロ探偵事務所。 一葉の手紙が配達されてきた。メイベルはハンカチを取り出すと、その手紙を拾い、差出人を確かめる。 |
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メイベル | !?ポワロさん! | |
ポワロ | んん?第2の手紙ですか? | |
N | ポワロが手紙を開封し、内容を読んでいく。その顔付きが厳しいものに変わるのは、すぐのことであった。 | |
ポワロ | A・B・Cです。 | |
ヘイスティングス | 『親愛なるポワロ殿。 さて、ご感想はいかがかな。一回戦は私の勝ちのようだね。 A・B・C』 |
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メイベル | 7月25日。ベクスヒル・オン・シー…。 | |
150 | ヘイスティングス | 消印は、前と同じ、ロンドン西中央第一郵便区です。 |
ポワロ | うーん…。 | |
メイベル | ポワロさん、これは…。 | |
ポワロ | ですから、私はあのとき言ったのです。 これは、始まりにすぎない、と。 ヘイスティングス!至急シャープ警部に連絡を取ってください。 |
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ヘイスティングス | 判りました! | |
N | スコットランド・ヤードでは、今回の事件に関しての会議が開かれていた。 手紙はどちらも同じ筆跡。つまり、どちらも同じ人物によって書かれたものだと判った。 だが、次の25日にベクスヒルで何が起こるのか見当も付かず、対処のしようもない。そして次の被害者に対してもまるで手がかりはないと思われた。 だが。 |
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ポワロ | 次の犠牲者はBから始まる可能性があります。 | |
メイベル シャープ警部 ヘイスティングス |
!!? | |
ポワロ | Aから始まるアンドーバーでは、Aから始まるアリス・アッシャー夫人が殺されました。 今度の手紙では、Bから始まるベクスヒル・オン・シーを指定しています。 そして、犯人の署名はA・B・Cです。 つまり…。 |
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シャープ警部 | 犯人はゲームでもしているつもりか! | |
160 | N | 会議に集まっている刑事達は、ポワロのその言葉にいきり立つ。 だが、それでも対処としては、Bから始まる名前の一人で暮らしている年輩の女性に、25日は気を付けろと言うくらいしか出来ないのが現状であったのだ。 7月25日。 |
メイベル | おはようございます。遅くなってすみません! …あ、あの…。 |
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ヘイスティングス | シャープ警部から、電話が入った。ベクスヒル・オン・シーで、若い女性が殺されたそうだ。 | |
メイベル | ええっ!? | |
ポワロ | 名前はBから始まる、Betty Barnard(ベティ・バーナード)です。 | |
メイベル | …Bから始まる街で、Bから始まる名前の人が……。 | |
ヘイスティングス | しかも、死体の下からABC時刻表が見つかった。ベクスヒルのページが開かれて。 | |
メイベル | …!? | |
ポワロ | さあ、行きましょう! | |
メイベル | えっ!? | |
170 | ポワロ | ベクスヒルへ! |
次回予告 | ||
メイベル | Bで始まるベクスヒルでも、予告通り事件が! ポワロさんは、「鍵は犯行の動機」だと。 次回。 |
参考 『名探偵ポワロとマープル』キャスト
エルキュール・ポワロ:里見浩太朗/メイベル:折笠富美子/ヘイスティングス:野島裕史/ミス・レモン:田中敦子/シャープ警部:屋良有作