百物語 世にも奇妙な怖い話

里沙:作

 

かず

普通さん(八咫烏)

25
しろう まじめさん(一目連) 22
いちろー 元気っこさん(?) 34
いつみ ボクっ娘さん(おとら狐) 20
にのこ 勝ち気さん(弥々子河童) 23
みみ 泣き虫さん(一つ目) 25
なれーたー/声   なれーたーさん。出来ればいちろー以外の男性で被り推奨。 9

 

 

百物語の最初の 『赤い部屋』 の話と、101番目のいちろーのセリフ 『増えた5人目』 だけ変更しなければ、途中の怖い話はアレンジOKです。
その場合、次に続くみんなのセリフは全員が知っていることを前提にしてアレンジしてください。

001     N     百物語って知ってるかい?
うん、そうそう。
くら〜〜い部屋でみんなが集まって、ろうそく100本用意して、こわーいこわいお話を1つずつする度に、灯したろうそくを消していく。
100話100本に達した時、何かが起こるって言う話だね。
夏の怪談話さ。

でもね、冬にそれをやっちゃいけないよ?
どうしてかって?それはね……。

  かず 「そうして夫婦が購入した中古のマイホーム。新築同然にもかかわらず、中古でしかも割安だった事に疑問はあったけど、念願だったから気にしないことにした。
けれど、そこに住み始めてから、毎日毎日、おかしな事が続いたんだ……」
  みみ (小声で)……っううっ…いっちゃん…ぎゅってしてもいい?」
  いつみ (小声で)怖かったら耳塞いでて良いよ、みー…」
  かず 「毎日毎日、その家の奥の廊下に赤いクレヨンが落ちているんだ。
掃除をしても、確かに拾って捨てたと思っても、毎日毎日、同じ場所に赤いクレヨンが一本、落ちている。
不審に思った夫婦は購入した不動産屋さんに相談した。
初めは笑っていた不動産屋さんだったけど、夫婦の真剣な顔に何か思う所があったのか、一緒にその家を見に行ったんだ。」
  しろう (小声で)何か思う所があったって事は、やはり曰く付きの家って事ですね」
  にのこ (小声で)黙って話を聞きなさいよ、しろうはもう!良い所でいつも口挟むんだから」
  かず 「家を見て回った不動産屋さんは、変なことに気が付いた。家の間取りから『存在しなければいけない部屋』があることに気が付いたんだ。
それは、家の奥、いつも赤いクレヨンが落ちていた廊下の前だった。
不動産屋さんは夫婦の了解を得て、その壁を壊してみた。
はたしてそこにあったのは!」
  みみ 「いやあぁぁぁ!聞きたくないーっ。・゚・(ノД`)・゚・。 」
010 にのこ 「みみ、うるさい」
  いつみ 「だから耳を塞いでろって言っただろ、みー。いいからボクにぎゅってしてろ」
  しろう 「不動産屋が勝手に家を破壊してもいいんですかね?これは違反にはならないんでしょうか」
  にのこ 「しろう、話の腰を折らないでよ」
  いちろー 「お前ら、人の話は最後までちゃんと聞けよ!いい所なんだからよー!」
  かず 「お前が一番うるさいよ!続きいいか!?」
  にのこ 「ごめんごめん、聞く聞く。それでそれで?」
  みみ 「ふえぇぇ…(泣)かずくんの意地悪ぅ…」
  かず 「壁を壊して出てきたのは、4畳半くらいの部屋だった。
だが、その部屋の壁という壁、床という床、一面に赤いクレヨンで『オカアサンダシテ オカアサンゴメンナサイ オカアサンダシテ オカアサンゴメンナサイ オカアサンダシテ オカアサンダシテ オカアサンダシテ…オカアサン……』
子供の字で部屋が赤く見えるほどにそう書かれていた…。
そして……その部屋の片隅には小さな赤い固まりが1つと……ひからびたその固まりの側に、赤いクレヨンがひとつ、転がっていたと言う……」
  いちろー (囁くように)オカアサンダシテェ………」
020 みみ 「いやあぁぁぁぁぁ!!!」
  いつみ 「うわっ!脅かすなよ!
ちょ、みみ、そんなにしがみつかれたら痛いって!」
  にのこ 「みみってば、ほんと恐がりなんだから。毎回悲鳴上げてたら、声が枯れるわよ」
  しろう 「これはあれですね。現代の親子関係の犯罪でしょうね。
おそらく以前の入居者の母親が、子供を虐待してその部屋に閉じこめ、果ては死なせてしまったという…」
  かず 「しろうー…そう言う分析は興冷めだぞー。まあ、これが『赤い部屋』という話でした。じゃ、ろうそく消すぞー(ふーっと息を吐いて)
  にのこ 「うひー。これはちょっと怖かったー。精神的に来るねー。サブイボ立っちゃったよ」
  みみ 「もうやだぁ……もう止めようよぉ…(半べそで泣きながら)せっかく来たのに、こんなのばっかりやだよぉ…」
  いつみ 「さすがにずっと怖い話ばかりしていたら、色々と来るからねー。ほら、みみ、泣きやんで。目が真っ赤になっちゃってるよ」
  かず 「えーと、これで何本目だっけ?」
  しろう 「ちょっと待ってください。10本ずつ纏めているんですけど、さっき誰かが入れてる箱蹴飛ばしちゃって一緒くたになったんですよ」
030 いちろー 「あ、ごめん、それ俺。暗いから、足下見えなくってさー」
  にのこ 「はあ?なんでうろうろする必要あるのよ」
  いちろー 「喉渇いたから上の通りの自販機でジュース買ってきたんだよ。お前らの分もあるよ。飲む?コーラとウーロン茶とポカリがあるけど」
  かず 「あ、俺ポカリくれ。3話も続けて話したから、喉渇いちまった」
  しろう 「うーん……48、49、50、と。結構ばらけてしまいましたね」
  みみ (泣きながら)もうやだー。昨日からずっと怖い話ばっかり…。使われてない海の家で百物語なんて、誰がやろうって言ったのぉ」
  いつみ 「こんな事言い出すのは、決まって「かず」か「にのこ」でしょ」
  にのこ 「失礼ね!今回は私たちじゃないわよ!言い出したのはしろうなんだからね!」
  いつみ 「うそ、まじで!?」
  しろう 「時季ははずれていますが、それは僕たちには好都合でしょう?
この夏はみんな色々と忙しかったし、こうしてみんなで会うのもままならなかったし。落ち着いた所でみんなで何かやりたいなと思ったんですよ」
040 かず 「それで百物語ってのも、しろうらしいって言うかw 俺としては富士の樹海に探検ツアーとか考えてたんだけどな」
  みみ 「絶対いやあぁぁぁぁぁぁっ!絶対行かないいぃぃぃ!」
  いちろー 「おー、それもおもしろそうだなー」
  みみ 「嫌ったらいやあぁぁぁっ!」
  にのこ 「みみ、うるさい」(ぱこんとみみを叩きながら)
  いつみ 「こら、にのこ。みみを叩くなよ。
みみもそんなに泣くなって。あんまり騒ぐと、誰か来ちゃうよ。ここ、内緒で使わせてもらってるんだし」
  かず 「んで、ろうそくの数ってどうなってんの?」
  しろう 「えーと、ちょっと待ってください。…76,77,78…ん?79か?」
  にのこ 「『赤い部屋』の話が98話目じゃなかった?確か私が95話を話したはずだから」
  かず 「そうだっけ?あれ?でも…」
050 いちろー 「じゃ、次が99話目だな。よっしゃ!俺がとびきり怖い話をしてやるよ」
  みみ 「ひっ!ま、まだ話すのおぉぉ!?もういいよ、もう止めようよー!」
  しろう 「だめですよ、みみさん。百物語って言うのは、途中で止めちゃダメなんです。止めてもいいとされる99話か、百話全てを語り終えないと」
  いつみ 「百話全部じゃないの?なんで99話?」
  しろう 「百話全部を語るのは、怪異を引き出すという目的からです。百話の怖い話を積み重ねていけば、その空間は一種異様な空間となり、なにがしかの怪異が起こると言われているんですよ。
反対に、怪異を起こさないために、1つ前の99話で止めるというのもあるんです。その場合は、最後の一本の蝋燭は、何も話をせず、火を付けたら消すという形を取るんですけれど」
  いちろー 「すげー。よく知ってるなー」
  しろう 「やろうと言いだしたのは僕ですからね。事前の情報収集は欠かしませんよ」
  にのこ 「んじゃ、次で最後?それとも百話までいっちゃう?」
  みみ 「絶対次で終わり!百話なんて嫌っ!もう、こんな怖いのやだーっ!」
  いつみ 「ああ、ほら、みー。いい加減泣くなっての。目が溶けるぞ。
ボクも出来れば次でお終いにしたいかな。みーがこんな調子だし、本当に何か起こったら嫌だし、そろそろ夜も明けてくるだろ?」
060 いちろー 「ちぇ。百話全部話したら、何か起こるかわくわくしてたんだけどな。まあ、可愛い女の子を泣かすっていうのも後味悪くなっちまうし、じゃ、次で最後な?」
  かず 「そうだな。朝が来る前にここを引き払いたいし、俺もさすがに家のことが心配だしなー」
  しろう 「双子の弟がいたずらしていないか、かずは心配なんですよね。まあ、あの子たちのいたずらは洒落にならない時もありますけど」
  かず 「そそ。俺がちゃんと見てないと、何しでかすか解んねーし。後始末するのはいっつも俺だしなー(溜め息)」
  いちろー 「よーし、じゃ、蝋燭点けるぞー。……さて、これから俺が話すのは、もう何十年も昔の実際にあった話だ…」
  にのこ (小声)実際にあった話って、結構脚色されて伝わるのよね」
  みみ (小声でぶつぶつ)うぅ…聞きたくない聞きたくない…私はなーんにも聞きたくないー…」
  いつみ (小声)……みーはもう…。怖がる要素なんてないと思うんだけど…大体、怖い話なんて、殆どが作り話なんだし…」
 

にのこ

(小声)そうそう。ちょっとした話がどんどん広がって、いつの間にか怪談話になったりするのよね」
 

しろう

(小声)同じ話が分裂して、似たような別の話にもなったりしますからね。さっきの『赤い部屋』の話も、似たような話がまだありますよ」
070

かず

(小声)タクシーの運ちゃんの話だろ。髪の長い陰鬱(いんうつ)な女性を乗せて、気になってその女の部屋にまで行ったら〜ってやつ」
  みみ (小声)聞きたくない聞きたくない聞きたくないいぃぃぃ……」
  いちろー 「お前ら、聞く気はあるのかよ!俺が話してるんだから、少しは静かに聞けよー!」
  にのこ 「ごめんごめんw ちゃんと静かに聞くから、続きをどうぞー」
  いちろー 「ったくもう。心籠もってねーぞ。まあいいけど…。
で、実際にあった話なんだが、その昔、ある寂れた村で最後の卒業式が行われたんだ。子供の数も少なくなって、学校が統合されるためにその学校は廃校になるからだった。
卒業生たちは最後の記念にとタイムカプセルを埋めることにしたんだ。それぞれに思い出を入れた箱を埋めて、何年後かに取り出すってやつな」
  かず 「あー………」
  しろう 「その話…知ってますよ」
  いちろー 「あ?なんだとー」
  いつみ 「ボクも知ってる。仲良し3人組が学校行事とは別に埋めたタイムカプセルを掘り起こすんだけど、埋められていたのはタイムカプセルじゃなくて」
  みみ 「……昔虐めていた男の子だったっていうお話でしょ。みみもそれ知ってる。前にかずくんから聞いたことある…」
080 にのこ 「3人とも昔のことで記憶が曖昧になって、埋めたのは思い出しても何を埋めたか忘れていたって奴ね。ひどい話だわよねぇ。知ってる話はださいぞっw」
  いちろー 「な、なんだよ!じゃ、じゃあ、他の話!
これは俺の兄貴の友人の話なんだけど、そいつはスゲーイケメンなくせに、絶対に彼女を作ろうとしなかったんだよ。何人にも告白されて、その中にはアイドルも真っ青な美少女が居るにもかかわらず、特定の彼女を作ることはしなかった。
何でか聞いた兄貴にその人が言ったことは」
  しろう 「『だって、告白してくる子に限ってみんな肩のとこに赤ちゃん背負ってるからさあ。そんな女の子っていやじゃん?』」
  にのこ 「ぷぷっ(笑)
  かず 「それも知られている話だなw」
  いちろー 「だーっ!なんだよ、お前らー!」
  いつみ 「そりゃ、怖い話にも限度はあるし、何かの拍子で聞いたことがある話ってのもあるだろ」
  みみ 「一度聞いたら、そんなに怖くなくなるからなんとか大丈夫ー」
  いちろー 「じゃ、じゃあ、『小学校の閉まらずのトイレ』!」
  いつみ 「鍵の壊れたトイレを利用して、いたずらしようとした男の子が、中から鍵を掛けてよじ登って出て、みんなを集めてからかおうとしたら」
090 みみ 「中から黒いマントに黒い帽子、マスクにマフラーの全身黒ずくめの人が出てきて」
  かず 「ものすごい目で睨んでいって出ていったって話だな」
  しろう 「後日、なぜかそのトイレの鏡が取り外されたって言うのは、意味不明なんですけどね」
  いちろー 「じゃ、じゃ、じゃあ!『登っください』!(脱字ではありません。そのまま「て」を抜いたまま読んでください)
  にのこ 「『登っください』と書かれた張り紙の通りに友人二人が丘を登っていくと、一本の木に手錠に繋がれた手首だけがあって、そこにお金が掴まれてる」
  かず 「欲を出した一人がそのお金を取ろうとしたら、その手首が消えて、欲を出したやつが変わりに手錠に繋がれて。
助けようとした一人が下山途中『てがないよおぉぉ』という笑い声と悲鳴がが聞こえて戻ってみたら、その友人が血だらけの手首だけ残して消えていたって言う話だろ」
  いちろー 「むきー!なんで知ってんだよ!」
  いつみ 「なんでって言われても、なぁ?」
  みみ 「みんな怖い話好きで、毎年百物語開いてるし…私は嫌だって言ってるの……に…。(ここから小声) え……?あれ……みんな?」
  しろう 「年々話が増えてはいるけど、どれも似たり寄ったりになりますからねぇ」
100 かず 「そんな訳で、一度は聞いたことがある話ばかりだな」
  いちろー 「……ちくしょう…ビビらせてやろうという俺の計画が……。
じゃあ!これが最後だ!『増えた5人目』!!」
  にのこ 「山小屋で寝ないように4隅に立ってグルグル回っていたら、いないはずの5人目がいたって話でしょw 有名じゃない。
残念でした。これじゃ切り無いから、怖い話はみんな知っていました。これ以上怖いことはありませんってことで99話目にして終わっちゃおうかw」
  みみ 「ぁ……っ!」
  いつみ 「それがいいかもね。じゃあ、ろうそく消すよー」
  みみ 「……ね、ねぇ…いっちゃん!」
  しろう 「96、97、98…………え?」
  いつみ 「どした?みみ、そんな切羽詰まったような声出して」
  しろう 「ちょっと待ってください!…ろうそく…蝋燭の数が…」
  かず 「どうした、しろう?」
110 みみ 「ねぇ!みんなって誰!」
  にのこ 「は?何言ってんの、みみ」
  しろう 「蝋燭の数…今ので100本目です…」
  かず 「え……」
  みみ 「みんなって誰!?ねえ、なんで『6人』もいるの!?私たち、『5人』で集まったはずでしょ!?」
  にのこ 「は?な、何言って…え?『6人』?」
  いつみ 「ちょっと待って…みみの言う通りだよ!ボクたち、いつも『5人』だった。今回だって『5人』で集まったはず…」
  かず 「まてよ!途中からなんか変だと思ってたんだけど、今判った!あんまり自然に入り込んでたけど…俺にしろう、いつみににのこ、それにみみ…。
なあ!お前誰だよ!」
  みみ 「私知らない!この人誰!だれー!?」
  にのこ 「やだ!ちょっと!なんなの!え?誰!?何?何なの!?」
120 しろう 「離れて!みんな!」
  いちろー 「……は?おいおい、みんな、何言って」
  いつみ 「かずにしろう、にのこにみみ、そしてボク…お前…誰だ…お前、なんだ!?」
  いちろー 「おいおい…俺だよ、俺。何言ってんだ…俺だってば…(笑)いくら百物語だからって、みんな変な冗談言うなよぉ…くくく…俺はぁ…」
  みみ 「い…いやああああ!こわいいぃぃぃ(ぽぽんっ!)(以下、変身を解く音はご自由にアレンジして下さい)
  いちろー 「通りすがりの…って、へっ!?」
  いつみ 「みみ!うかつに変身解くな!(ぽーんっ!)
  いちろー 「ちょっ!?」
  にのこ 「やだ、ちょっと!何なの!なんなのよー!(ぽへんっ!)
  いちろー 「でぇっ!?」
130 しろう 「下がって、皆さん!(ぱふんっ!)
  いちろー 「ちょっ!おばっ!」
  かず 「お前!人間か!?(ばしゅんっ!)
  いちろー 「お…おばけ…おば…!!」
  みみ (いちろーに被せて)いやあぁぁぁぁぁっ!人間こわいいいいいっっ!」
  いちろー (みみといっしょに)お化けだあぁぁぁぁぁっ!」
  かず 「一目連(いちもくれん)(しろう)!弥々子河童(ねねこかっぱ)(にのこ)!おとら狐(いつみ)!一つ目(みみ)!逃げろ!」
  しろう 「八咫烏(やたがらす)(かず)も早く!!」
  いちろー 「わああぁぁ!お化け!お化けが出たあぁぁ!おばけだあぁぁぁぁぁ…っ!(逃げ出して声がだんだん遠くに)
  みみ 「だから百物語なんていやって言ったのおぉぉぉ!(泣)
140 にのこ 「来年はもう別のにしてよね!」
  いつみ 「そんなこと言ってる場合じゃないよ!速く逃げなきゃ!」
  しろう 「げに恐ろしきは百物語!本当に百本目でこんな怪異が起こるとは!人間を呼び寄せるなんて想定外でした!」
  かず 「そんなことより早くここから逃げるぞ!人間が来る!我らの存在が人間に知れたら大変だ!」
  みみ 「ふえぇぇぇん…怖かったよおぉぉぉ(だんだん声が遠くになって)
  いちろー (小さい声からだんだん大きい声で)「わあぁぁ…マジでお化け!おばけだあっ!怖えぇぇ!」
  (ゆっくりとした調子で)おーい…おーい、いちろー……』
  いちろー 「マジ怖えっ!半端なく怖えっ!」
  『こらー……いちろー…』
  いちろー 「見ちゃったよ!マジで見ちゃったよおぉぉ!こえぇーっ!」
150 『いいかげんにせぇ!さっさと戻ってこんかー!』
  いちろー 「こえぇ……って!ありゃ、おやじさん(N/声が女性なら姐さんで、セリフもアレンジしてください)
  『そろそろ夜が明ける。船があの世に向かうぞー…』
  いちろー 「おやじさーん!おれ、お化け見ちゃったよー!怖かったよー!」
  『何言ってんだぁ……俺もお前も幽霊で、言ってみればお化けの仲間じゃねーか…』
  いちろー 「でもさ!でもさ!幽霊と妖怪とじゃ全然違うと思うっすよ!怖かったんだから!」
  『いいからさっさと逝くぞー…。まったく、あの世行きの船待つ間にふらふらしやがって…乗れなかったら本当に成仏出来なくなっちまう……』
  いちろー 「ちょっと名残惜しんでたら、俺と一緒くらいの子たちの百物語会を見つけて、面白そうだったから混ぜてもらったんすよー…まさかお化けとは思わなくてー…」
  『だからお前も幽霊だってーの……たくっ…単車でひっころんで死ぬなんざ、まだまだひよっこだなぁ…』
  いちろー 『それは言わねーで下さいよー……自分だってフグに当たって死んだ癖にー…あー…この世の最後にスゲーもん見ちまったー…こえぇー……』
160 冬に百物語はしちゃいけないよ?
なぜかって?
なぜならシーズンを過ぎて暇になったお化けたちが、集まって騒いで百物語して、その拍子に呼ばれちゃうかも知れないからね。
ほらほら…今君の隣にいる人は、本当に君の知っている人かな?
もしかしたら…もしかしたら…お化けが混じっているかも知れないよ……
(笑)