ようこそ!ゲームの世界へ! 3

 

「れでぃーすあんどじぇんとるめーん!
ようこそ!ゲームの世界へ!


……なーんて、私は誰に向かって言ってるんですかねぇ。
残った皆さんはそろそろ数えるほどになってきちゃいましたよ。
まったく、ここまで根性がない人間が多いとは、なんと脆くなったものでしょう。

第2ステージに入った途端、残った人数のそのまた半数が幻の魔物にやられちゃうなんて、私としても意外すぎてびっくりですよ。
思わず「は?」とか言っちゃいましたよ。
もう少し骨があると思ってたんですが、今の世の中草食系男子が増えたとは、ほんとだったんですかねぇ…。
昔はもっと……こう……肉食系みたいにギラギラして、不屈の精神を宿したような人が多かったと思ったのですが。
えーえ。わたしの大嫌いな正義感だの勇気だの使命感だの、強い意志を持った方たちが居たものですが。
それなのに、今の男たちなど、ダメダメですね。
だからむさ苦しくて汚くて臭い男は嫌いなんですよ。美味しくないですし。


それに比べてあの女性なんて、私は個人的に応援したくなっちゃいますねぇ。

皆さんここに来るまでに、利害関係が一致しているものだから助け合ったり裏切ったり。
本当に見ていて飽きないですよ(笑)
その中であの女性はこれまで何人の男を裏切ってきたことか。
何人の男や女性を見殺しにしてきたことか。
美しい花にはトゲどころか毒まであるという、典型的な見本のような方ですねぇ。

あちらの男女のペアなんかも、仲がよろしくて何度も助けたり助けられたり。
けれど今は良くても最終的にはどうなのでしょう。
クリア出来るのは……望みが叶えられるのはこの中の一人。たった一人だけなのですからねぇ……(嘲笑)


おやおや、言っている間にあの熊のような男、せっかく助けてもらったのにその相手を奈落の底に突き落としちゃってますよ。

あの少年もしぶとく生き残ってますねぇ。
彼の目的は世界を自分の思い通りに…でしたか。
子供って、ほんと残酷で愚かで無知ですねぇ。

あらま、あちらでは女同士の武器を持っての争いですか。
あーあ、あられもない格好で。はしたないったら。
確かあの方たちの望みは永遠の若さと美貌…でしたか。
そんなくだらないもののために命まで賭けて、果ては最大の罪まで犯すとは、本当に人間とは愚かで醜い生き物であることか(嘲笑)


ああ、でもだからこそ私は快感を禁じ得ないのです。
彼らの欲望や嫉妬や僻みや虫けらにも劣る自尊心。まるで甘美で芳醇な香りの最高級のワインのようじゃありませんか。
人間同士お互いに憎しみ合い騙し合い、果ては相手を無きものとするまでのその行為!
見ているだけでよだれが!(じゅる)
……と、失礼……。この私としたことが、はしたない。


何にしても、次は第3ステージ。
ようやく最後のステージです。
さて、何人がたどり着けるのでしょうねぇ(嘲笑)

何人であろうと、最後に残るのはたった一人。
その時こそ、私の目的は達成するのです!
そう!壮大で麗しく、楽しい、高揚感に満ちた私の世界!
誰にも邪魔されず、誰もが楽しめる、私の箱庭が!


さあ、その実現のためにも、もっともっと邪悪に染まってください。
それこそが貴方の使命なのですから……(嘲笑)